The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 

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2016年 3月

『Light As A Feather』(DAC)
daclightasafeather

『Light As A Feather』(DAC-155) 2CD

Dec.8 1981 Capital Arena,Largo,MD,U.S.A

Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(Disc-1)
1.Take The A Train〜Under My Thumb/2.When The Whip Comes Down/3.Let's Spend The Night Together/4.Shattered/5.Neighbours/6.Black Limousine/7.Just My Imagination/8.Twenty Flight Rock/9.Going To A Go Go/10.Let Me Go/11.Time Is On My Side/12.Beast Of Burden/13.Waiting On A Friend/14.Let It Bleed
(Disc-2)
1.You Can't Always Get What You Want/2.Band Introduction/3.Little T&A/4.Tumbling Dice/5.She's So Cold/6.Hang Fire/7.Miss You/8.Honky Tonk Women/9.Brown Sugar/10.Start Me Up/11.Jumping Jack Flash/12.Satisfaction

1981年ツアー終盤、ラーゴ3連続公演の中日となる12月8日公演収録盤。

この公演からは"Let Me Go"が、曲を短く編集されてヴォーカルを差し替えた上で、FM放送と『Still Life』に採用されていますが、本作が基としているのは、サイト「Wolfgang Vault」にて公開された、そのFM放送の素材と思しき高音質ステレオサウンドボード音源。

この音源を基に作成された他のブートは、事典で代表盤として挙げた『Largo 1981 2nd Night』(-)

largo19812ndnight

サイトで公開されていた音源はピッチが遅いという難点がありましたが、本作も『Largo 1981 2nd Night』同様にほぼ正確に調整。

また、大元の音源がカセットテープを経由していることから、サイトで聞ける"Let Me Go"は、本作のタイムでいうと4分37秒から約7秒ほどテープチェンジによる欠落がありましたが、残念なことにこの欠落部はFM放送や『Still Life』では編集でカットされてしまっていたので、そこから持ってきての補填は出来ず。

この部分、『Largo 1981 2nd Night』の方は、『Capital Connection Vol.2』(DAC-037)にてブート化されていた、ミキサー卓直結のモノラルサウンドボード音源を疑似ステレオ化して補填。この補填箇所はロニーのソロ部分だったこともあり、ロニーのギターが左から中央に定位が変わったと感じる程度の見事な編集となっています。

daccapitalconnectionvol2

では本作はというと、裏ジャケットに「Recorded In Full Stereo」のクレジットを入れていることからも、あくまでステレオ音源で通すというコンセプトで作成したようで、欠落部から約20秒前のキースがソロを弾いている部分を持ってきて補填しています。

その本作の補填部を聞いてみると、ロニーがソロを弾き始めたものの、キースがソロを弾きだしたので慌ててバッキングに戻ったかのように聞こえるという、こちらも違和感のない編集となっていますが、ここは意見の分かれるところかと。

もう一箇所の欠落部は曲中にあたらず、おそらく"She's So Cold"終了後の曲間かと推測されますが、ミキサー卓直結音源の方でも"She's So Cold"終了後がテープチェンジにあたってしまったようで、逆に本作や『Largo 1981 2nd Night』の方がミックの発する言葉含め長く収録されていたりします。

全体的な音質については、本作の方がやや低域に厚みを持たせてはいるものの、それほどの差はありません。

『Still Life』やFM放送での"Let Me Go"の編集については事典にも書きましたが、再掲しておくと、本作のタイムでいうとまず2分26秒から2分35秒まで、次いで2分46秒から2分55秒、3分6秒から4分25秒、そして4分36秒から4分45秒と計4ヶ所にわたる細かいカットがされた上で、ヴォーカルが全面的に録り直しされています。

この日の公演、その"Let Me Go"の曲前では、ミックが勘違いして"Time Is On My Side"用のMCを途中まで言いかけて気付いてやめたり、続く"Time Is On My Side"の間奏や"She's So Cold"のイントロではチャーリーのリズムがひっくり返ってしまっていたり、"Beast Of Burden"は何とも中途半端な感じで曲が終了、そして"Start Me Up"ではキースがキーを間違えてイントロを弾き始めたものの慌てて弾き直す、といったツアー終盤とは思えないほどのドタバタぶりが楽しめます。

23:49, Wednesday, Mar 30, 2016 ¦ 固定リンク


『Blind Date Revisited』(GREXIT Records)
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『Blind Date Revisited』(GREX 062) 2CD

Apr.22 1979 Civic Auditorium,Oshawa, Canada (2nd Show)

Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(Disc-1)
1.Introduction By Lorrimer And Belushi/2.Sweet Little Rockn'Roller/3.F.U.C.Her/4.Breath On Me/5.Infekshun'/6.I Can Feel The Fire/7.Am I Grooving You/8.Seven Days/9.Before They Make Me Run
(Disc-2)
1.Prodigal Son/2.Let It Rock/3.Respectable/4.Star Star/5.Beast Of Burden/6.Just My Imagination/7.When The Whip Comes Down/8.Shattered/9.Miss You/10.Jumping Jack Flash

(※)Disc-1・・・New Barbarians
Disc-2 Track1・・・Keith & Mick
Disc-2 Track2-10・・・Rolling Stones

79年4月22日に開催された、キースの執行猶予判決の条件として課されていたC.N.I.Bコンサートの2ndショー収録盤。

歌に入れず1コーラス丸々バッキングトラック状態の"Satr Star"、ニューバーバリアンズにベーシストで参加していたスタンリー・クラークが客演し、チョッパーだらけとなっているツインベースの"Miss You"、そしてギターのチューニングがずれたまま最後まで演奏が続けられる"JJF"等、いつ聞いてもインパクト充分な迷演ぶりが楽しめるこの公演は、オーディエンス音源とサウンドボード音源双方とも高音質でブート化されていますが、本作は事典でサウンドボード音源の代表盤として挙げたTSPの『Blind Date Revisited』(TSP-CD-202-2)のコピー盤。

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よって、メインのサウンドボード音源で欠けていた"Respectable"のイントロ部には、オーディエンス音源が違和感なく補填されていますが、その反面曲間を一部カットしてしまっていて、トータルタイムが5分ほど短くなってしまっているのもそのまま。

同じくTSP盤をベースとして作成しているMayflowerの『Nothern Dancer』(MF-58/59)は、TSP盤より高域をやや押さえつつ低域を厚くして聞きやすくする等の音加工をしていましたが、本作はそのようなことも無し。

mayflowernortherndancer

サウンドボードテープそのままのVGPノンクレジットで出した『Blind Date Revisted』(-)をベースとするなりして、曲間カットの無いタイトルが出てきてもおかしくはない気がしますが、どうもTSP盤がこの音源の基準となってしまってるのはやや残念。

vgpblinddaterevisited

とはいえ、オーディエンス音源の方も有名音源の割には、ブートCD黎明期の作成されたイマイチのアナログ起こしのタイトルしかないので、こちらも現在の技術できちんと作成したアナログ復刻盤が望まれるところ。

23:52, Monday, Mar 28, 2016 ¦ 固定リンク


『Take Me Out To The Crowd!』(Mayflower)
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『Take Me Out To The Crowd!』(MF-69) 1CD

Sep.19 1973 Odeon Theatre,Birmingham,UK (1st Show)

Stereo Audience Recording
Quality:Excellent

1.Introduction/2.Brown Sugar/3.Gimme Shelter/4.Happy/5.Tumbling Dice/6.Star Star/7.Dancing With Mr.D/8.Angie/9.You Can't Always Get What You Want/10.Midnight Rambler/11.Honky Tonk Women/12.All Down The Line/13.Rip This Joint/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man


前項・前々項と73年グラスゴー公演収録盤を採り上げてきましたが、今回はその次の公演地バーミンガム。

本作が収録しているのは、演奏を大きく捉えていることに加えて高音質の、もはや定番ともいうべき9月19日の1stショー。

事典でも触れましたが、この音源を収録した既発タイトルについここでも触れておくと。

まずは、ピッチがかなり遅くテープ劣化による音ユレがある『Birmingham Odeon 1973』(Oh Boy 1-9168)とそのコピーである『Tour 1973』(WLR-2135)

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ピッチが若干改善されるもまだ遅く音ユレは変わらずの『Rainy Days In Birmingham』(STO 002)

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ピッチは正常に近いものの肝心の音質が落ちている『British Tour 1973』(SC-004)

britishtour1973


ピッチ正確で高音質キープの『Birmingham Remaster 1973』(IMP-N-016)

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事典で代表盤として挙げたうちの1つDAC『Birmingham Odeon』(DAC-067)

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もう1つの代表盤で、IMP盤でキツ目だった高域を抑えめにしたGodfather『A Destructive Element』(G.R.661)

godfatheradestructiveelement


そして8つめのタイトルとなるのが本作。
音の傾向としてはGodfather盤に近く、低域に厚みを持たせていますが高域がやや硬めな印象。

"Happy"から"Star Star"にかけてのテープ劣化による左チャンネルの周期的な音ユレは本作も解消されず。

ただ、既発との差別化を図ろうとしたのかステレオ感を出すエフェクトをかけているようで、既発タイトルに比べて音が左右にやや広がった印象を受けます。

残念なのはピッチがやや遅めな点。最後発タイトルにつき、ここはしっかりと合わせてもらいたかったところ。

23:57, Wednesday, Mar 23, 2016 ¦ 固定リンク


『The Rolling Stones In Scotland 1973』(DAC)
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『The Rolling Stones In Scotland 1973』(DAC-166) 2CD

Sep.16 1973 Apollo Thetre,Glasgow,Scotland

Mono Audience Recording
Quality:Excellent

(Disc-1) Billy Preston's God Squad
1.Day Tripper/2.The Bus/3.The Bus(reprise)/4.Let It Be - Let's Go Get Stoned/5.Will It Go Round In Circles/6.That's The Way God Planned It/7.Outa Space/8.Puta Space(reprise) - Get Back/Higher

(Disc-2) The Rolling Stones
1.Introduction/2.Brown Sugar/3.Gimme Shelter/4.Happy/5.Tumbling Dice/6.Star Star/7.Dancing With Mr.D/8.Angie/9.You Can't Always Get What You Want/10.Midnight Rambler/11.Honky Tonk Women/12.All Down The Line/13.Rip This Joint/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man/16.Outro

前項に引き続いての73年9月16日のアポロシアター公演収録盤。

ディスク1は、前座のビリープレストンの演奏を1曲目の"Day Tripper"イントロ途中から最後まで、メインのストーンズと同じ録音者によるバランスの良い高音質音源にて収録。

ツアー後半からはミック・テイラーが、ビリープレストンの前座ステージに客演するようになりますが、この時期はまだということで、ディスク1にストーンズのメンバーは参加していません。

よって、ストーンズのブートという観点からすると対象外という音源ではありますが、おそらく元々ブートの少ない人の音源につき、これはこれで興味のある方には魅力的な音ではあるのでしょう。

ちなみにこの時のストーンズ前座ツアーは『Live Europian Tour』としてオフィシャル化されており、日本では選曲が異なるUSバージョンとUKバージョンが2イン1でCD化されていますが、本作収録の楽曲は全てこのオフィシャルCDに網羅されていますので、本作でしか聞けない楽曲というのはありません。

billyprestonlive


ディスク2は、新たに発掘された16日と称される音源を収録。

演奏を大きく捉えている上に耳障りな手拍子・歓声の類なし。そして音の分離も良く、ヒスノイズはやや強めながら音質はクリアーと、73年ヨーロピアンツアーのオーディエンス音源としてはトップクラスのもの。

前項の『You Don't Have To Go To Harlem』(EAT 80)にて触れたように、この音源はテープチェンジによる欠落や、録音レベル調整による音量差が生じてしまっているので、そこをどう調整してあるかが比較ポイントとなります。

youdonthavetogotoharlem


まずはテープチェンジによるものと思しき欠落部2ヶ所。

"You Can't Always Get What You Want"のエンディング部については、『Glasgow Apollo 1973』(-)、『You Don't Have To Go To Harlem』いずれも音が飛んでいたのに対し、本作は1つ前のサビの同部分「But if you try sometimes」をコピー補填することにより、スムーズに聞けるよう編集されています。

glasgowapollo1973

"Rip This Joint"1番途中から2番冒頭までの欠落部については、中盤のサックスによる間奏の終わりにかけから3番冒頭にかけての部分を補填。当然ながら歌詞が異なっているため、本作での2番頭は「Mister President, Mister Immigration Man」が「From San Jose down, Mister Immigration Man,」と変わってしまっていますが、スムーズに聞けるという点ではこの編集もありかと。

続いては、レコーダーの録音レベル調整によるものと思しき音量レベルダウン部。

"Brown Sugar"イントロ途中から中間ギターソロまでの広範囲にわたる若干のレベル落ちについては、そんなことがあったのか分からないくらいの見事な音量調整が施されています。

ただし、一番落ち込みの激しい「market down in New Orleans」部分については、音量を思い切り持ち上げたことによるスプレーを吹き付けたかの如くの強烈なヒスノイズが発生していますが、同様の編集をしている『You Don't Have To Go To Harlem』と比べると、演奏の音量をよりメインに近づけるべく音量を上げている分だけ、本作の方がこの部分のヒスノイズは多めとなっています。

もう1ヶ所の"You Can't Always Get What You Want"1番「was a footloose man」部分も、他のタイトルはそのままだったのに対し、本作は音量を上げる編集がされているため、こちらもヒスノイズが強烈にはなっています。

ここで素朴に、ここでのヒスノイズを今度は除去処理するとどんな感じになるんだろうというのがあるのですが、この手の編集でその処理がされたブートというのを少なくともストーンズブートでは知らないので、あまり効果がないということなのでしょうか。

全体的な音質については、『Glasgow Apollo 1973』よりもヒスノイズ抑え目で、中低域に若干の厚みを持たせるという『You Don't Have To Go To Harlem』に近い音造り。

『You Don't Have To Go To Harlem』より高域のクリアーさは本作の僅かながら上ですが、中低域については『You Don't Have To Go To Harlem』の方が厚みを感じる音となっているので、このあたりは僅かな差とはいえ、好みの分かれるところ。とはいえ『You Don't Have To Go To Harlem』の方はピッチが速いという難点があるのですが・・・。

18:34, Monday, Mar 21, 2016 ¦ 固定リンク


『You Don't Have To Go To Harlem』(Eat A Peach)
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『You Don't Have To Go To Harlem』(EAT 80) 1CD

Sep.16 1973 Apollo Thetre,Glasgow,Scotland

Mono Audience Recording
Quality:Excellent

1.Introduction/2.Brown Sugar/3.Gimme Shelter/4.Happy/5.Tumbling Dice/6.Star Star/7.Dancing With Mr.D/8.Angie/9.You Can't Always Get What You Want/10.Midnight Rambler/11.Honky Tonk Women/12.All Down The Line/13.Rip This Joint/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man/16.Closure

73年9月16日のアポロシアター公演収録盤。

9月16日公演といえば、これまでは『Live From England 1973』(DAC-090)や『Glasgow 1973』(-)にて、ブート化されてきた音源がこの日のものとされてきましたが、

glasgow73

daclivefronengland1973

今回ブート化された音源の"Brown Sugar"終了後のMCで、ミックが「It's great to be back Glasgow」と発していることから、今回の音源が16日で、以前の音源は実は翌17日公演だったという説が有力となっています。

とはいえ今回の音源を聞くと、翌日も同所で公演が行われるのに客出しを急ぐかの如く、"Street Fighting Man"が終わった後の終演を告げる場内SEの"威風堂々"がやたら早く場内に流されたりして、そうとも言えない要素もあったりはするのですが・・・。

さて、本作収録の今回の音源、演奏を大きく捉えている上に耳障りな手拍子・歓声の類なし。そして音の分離も良く、ヒスノイズはやや強めながら音質はクリアーと、73年ヨーロピアンツアーのオーディエンス音源としてはトップクラスのものとなっています。

ただ、"All Down The Line"中間の間奏序盤で何かトラブルがあったのか、テイラーのソロが一旦途切れた後、テイラーの音量が上がったことから全体のバランスが若干おかしなことに。以降の"Rip This Joint"や"Jumping Jack Flash"では、キースのギターに呼応するテイラーの裏フレーズの方がよく聞こえてしまうことから、かなり印象の異なるものとなってしまっています。

この音源、テープチェンジと思しき欠落は、"You Can't Always Get What You Want"のエンディング部と"Rip This Joint"1番途中から2番途中までの2ヶ所。

まあ"You Can't Always Get What You Want"のエンディングについては、テープチェンジというには欠落部があまりに短いので、音飛びに近い印象を受けたりはするのですが・・・。

またその"You Can't Always Get What You Want"終了直後も歓声に編集痕があるので、ここもカットがされていると推測されますが、こちらについてはさして気にするほどのものではないかと。

これらに加えて"Brown Sugar"イントロ途中から中間ギターソロまでの間と、"You Can't Always Get What You Want"1番「was a footloose man」部分は、レコーダーの録音レベル調整によるものと思しき音量レベルダウンがあります。

これらの修正具合が、今後複数リリースされていくであろう、この音源を収録するブートの比較ポイントとなるわけですが・・・。

まずは最初にリリースされた『Glasgow Apollo 1973』(-)

glasgowapollo1973

テープチェンジによる"You Can't Always Get What You Want""Rip This Joint"はそのまま

"Brown Sugar""You Can't Always Get What You Want"の音量レベルダウン部分については、ネットにアップされた大元の音源に比べれば改善されてはいるものの、まだまだ落ち込みが激しい印象。

またその"Brown Sugar"、一番落ち込みの激しい「market down in New Orleans」以外の部分については、音量レベルを均等に出来るレベルの落ち込みでしたが、ここはさほど修正されていなかったのがやや残念。


では本作はというと、"You Can't Always Get What You Want"のエンディング部については一旦音質がこもってから音が途切れており、『Glasgow Apollo 1973』はそのまま収録していましたが、本作はその音質がこもる部分も嫌ってカットしてしまっているため、音飛び範囲が更に広くなってしまっています。

"Rip This Joint"も同じように音が途切れる前の音質劣化部分をカットしてしまっているので、こちらも『Glasgow Apollo 1973』よりも音飛び範囲が広くなってしまっているのが、音質を均等化して聞きやすくしようということだったんだろうなとはいえ何とも残念。

音量レベルの方は、"Brown Sugar"のイントロ途中で若干下がったかなという印象は受けるものの、『Glasgow Apollo 1973』よりもうまく均等になるよう調整しており、落ち込みが激しい1番「market down in New Orleans」部分については、音量をかなり持ち上げたことからまるでスプレ噴射の如くヒスノイズも強烈にはなっていますが、ヒスノイズの音量と全体の音量がほぼ同じになる程度の調整が施されているため、聞いていて驚くほどのことにはなっていません。

なお、同じくレベルの落ち込みが激しい"You Can't Always Get What You Want"1番「was a footloose man」部分は、ほとんど修正していないようで、こちらはレベルアップもない代わりに強烈なヒスノイズもないといった具合。

全体的な音質は、共にほとんど変わらず高音質ですが、本作はややピッチ早めという難点あり。

14:16, Monday, Mar 21, 2016 ¦ 固定リンク


『Waiting On A Friend』(Eat A Peach)
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『Waiting On A Friend』(EAT 61/62) 2CD

Nov.19 1997 Oakland Stadium,Oakland,CA,USA

Stereo Audience Recording
Quality:Excellent

(※)CD-2 Track12,13,14
Nov.18 1997 Oakland Stadium,Oakland,CA,USA

Stereo Audience Recording
Quality:Excellent (Track14)
Quality:Very Good (Track12,13)

(CD 1)
1.Intro/2.Satisfaction/3.Let's Spend The Night Together/4.Flip The Switch/5.Gimme Shelter/6.Anybody Seen My Baby?/7.Saint Of Me/8.Rock And A Hard Place/9.Out Of Control/10.Waiting On A Friend/11.Miss You/12.Band Introduction/13.All About You/14.You Don't Have To Mean It
(CD 2)
1.Bridge Drawing & Charlies Jam/2.Little Queenie/3.Crazy Mama/4.You Got Me Rocking/5.Sympathy For The Devil/6.Tumbling Dice/7.Honky Tonk Women/8.Start Me Up/9.Jumping Jack Flash/10.You Can't Always Get What You Want/11.Brown Sugar
-Bonus Track-
12.19th Nervous Breakdown/13.Star Star/14.The Last Time

Voodoo Loungeツアーに引き続き、Bridges Babylonツアーでも4連続公演が行われたオークランド。

本作がメインに収録しているのは、4日目にあたる1997年11月18日公演。

インターネット投票で選ばれた"Waiting On A Friend"では、Pearl JamのEddie Vedderがゲスト出演してミックとデュエット。キースコーナーではライブ初演となる"You Don't Have To Mean It"が登場。そして、ツアー初日からの定番だったものの10月6日のマジソン公演を最後に、"Gimme Shelter"に5曲目の位置を取って代わられてしまい演奏自体がされなくなってしまっていた"Rock And A Hard Place"がテンポを落として久々に復活。・・・したのはいいものの、久々だったのが災いしたのかチャーリーが後半の決めの部分で決められなかったり、"Flip The Switch"の最初のサビではミックが1人だけ早くサビが終わらせちゃうというズッコケぶり等々、いろいろ聞きどころの多い公演だったりします。

そんなこの公演、過去には2種の音源で3タイトルがリリースされています。

1つ目は、メインステージは高音質ながらBステージでは残念ながら音が遠くなってしまう『The Fourth Dimention』(VGP-186)と、同音源ながら音が劣化してしまっているボックス『Bridges Babylon Tour'97』(WLR-2138)

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wlrb2b97box


そしてもう1つはスタンドからと思しき遠目の録音で、低音が出すぎて音割れしてしまっている『Oakland 3rd & 4th Day』(CBM-08-11)

oakland3rd4thday

本作はそれらとは異なる音源で作成されています。

メインステージの音は、97年のアメリカツアーのオーディエンス録音の中ではトップクラスといえると事典に書いたVGP盤よりも演奏を大きく捉えていることに加え、音質もVGP盤よりも高域が控えめの聞きやすい音に仕上げられています。

録音者の周りも、"Anybody Seen My Baby?"から"Waiting On A Friend"あたりまでは、やや中だるみなのかざわついていたりはしていますが、それも気にならない程度に拾っていたりするだけで、基本的には静かで耳につく拍手や手拍子、歓声の類はほとんど無し。


Bステージの方は、VGP盤では前述したように残念ながら音が遠くなってしまっていましたが、本作はやや中域が引っ込んでシャリっとした感じの音質になるものの、音の近さはほぼキープしている上、メインステージ同様に周りが静かという好条件で収録されています。

また、VGP盤はメディアの交換でもしたのか"Waiting On A Friend"や"Tumbling Dice""You Can't Always Get What You Want"の曲前で音飛びが発生していたりしましたが、本作にはそういった音飛びやカットもありません。

ボーナストラックは前日のオークランド公演から"19th Nervous Breakdown""Star Star""The Last Time"の3曲。

中域に集まり気味の音質ながら、こちらも周りが静かで演奏を大きく捉えた好ポジションによる録音なんですが、残念ながらメインステージの"19th Nervous Breakdown""Star Star"は、左チャンネルがオーバーレベルで音割れを起こしてしまっています。

ただし右チャンネルの方はそうでもないので、こちらをモノラルにして疑似ステレオ化すれば、これも単体でいけそうな音ではあったりはします。

Bステージの"The Last Time"は定位右寄りになってしまってはいますが、演奏を大きく捉えており周りも静か、そしてメインステージのような音割れもありません。

ちなみにこの18日公演は前述の『Oakland 3rd & 4th Day』(CBM-08-11)のみでブート化されていますが、本作のこのボーナストラックと比べると音が遠め。

01:00, Wednesday, Mar 16, 2016 ¦ 固定リンク


『We Want The Stones』(-)
dacwewantstones

『We Want The Stones』(-) 1CD

Mar.5 1965 Regal Theatre,Edmonton,UK
Mar.6 1965 Empire Theatre,Liverpool,UK
Mar.7 1965 Palace Theatre,Manchester,UK

(※)Track-11(part)
Sep.3 1965 Adelphi Theatre,Dublin,Ireland

(※)Track-20,21,24,25
Oct.1 1966 City Hall,Newcastle-upon-Tyne,UK (2nd Show)

(※)Track-22,23,28,29
Oct.7 1966 Colston Hall,Bristol,UK (2nd Show)

Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent


●Got Live If You Want It! 1965
1.We Want The Stones/2.Everybody Needs Somebody To Love/3.Pain My Heart/4.Route 66/5.I'm Moving On/6.I'm Alright

●Live In England'65
7.Show Intro/8.Everybody Needs Somebody To Love/9.Pain In My Heart/10.Down The Road Apiece/11.Time Is On My Side/12.I'm Alright/13.Off The Hook/14.Charlie's Intro To Little Red Rooster/15.Little Red Rooster/16.Route 66/17.I'm Moving On/18.The Last Time/19.Everybody Needs Somebody To Love

●Got Live If You Want It! 1966 (reconstructed)
20.Under My Thumb/21.Get Off Of My Cloud/22.Lady Jane/23.Not Fade Away/24.The Last Time/25.19th Nervous Breakdown/26.Time Is on My Side/27.I'm Alright/28.Have You Seen Your Mother, Baby Standing in the Shadow?/29.Satisfaction


『Got Live If You Want It』関連音源集。

本作は大きく「Got Live If You Want It! 1965」「Live In England'65」「Got Live If You Want It! 1966 (reconstructed)」の3パートに分かれています。


まずは「Got Live If You Want It! 1965」。
表ジャケットに使われた日本の7インチ盤は何故か"Route 66"未収録だったりしましたが、本作は当然ながらジャケットとは関係なく収録されてます。

この英国編集EP『Got Live If You Want It!』、オフィシャルではシングルボックス『Singles 1963-1965』の中の1枚としてCD化されていましたが、ブートの方は若干編集が異なっており、
事典で取り上げたVGPのノンクレジット盤『Got Live If You Want It』(London DFE 8620 ※VGP)や、『Bright Lights Big City』(TSP-CD-010)、LP『IBS Demos Radio London』(APC Promotions)といったタイトルに収録されている"I'm Alright"は、曲が終った後がやや長めと僅かながらの違いがあったのが特徴。

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tspbrightlightsbigcity

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具体的には、曲が終わった直後からミックは「Alright」を計8回連呼した後に「Yeah」と発していますが、オフィシャルEPの方は4回目の「Alright」から緩やかにフェードアウトが始まり、「Yeah」を言い終わったかどうかのうちに終了。対してブートの方は、フェードアウトが「Yeah」より後からスタートすることから、「Yeah」がしっかりと聞けるだけでなく、その後の歓声も聴くことが出来ます。

では本作はというと、せっかくそういった素材があるにも関わらず、残念ながらオフィシャル丸コピーにつき、オフィシャル同様の早めのフェードアウトとなってしまってます・・・。


続いてのパートは「Live In England'65」。
オフィシャル『Charlie Is My Darling』のスーパーデラックスエディションのボーナスCD2としてリリースされていましたが、本作はこちらもそのまま・・・。

たしかにEP『Got Live If You Want It!』『Live In England'65』の2つとも、オフィシャルではボックスの中の1枚ということから、こういう風にまとまっていると便利といえば便利なんですが、前述のブートのみの編集の"I'm Alright"の他、VGP『Got Live If You Want It』(London DFE 8620 ※VGP)や『Down The Road Apiece』(BW 6167)に収録されていた"Everybody Needs Somebody To Love"は、演奏自体はオフィシャル『Live In England '65』すなわち本作のトラック19に収録されたものと同じではあるものの、途中からオーバーダビングの違いからヴォーカルがどんどんと異なってくるという格好の素材があるのだから、こういったものも収録して単なるパイレート盤とは違うというところを見せてもらいたかったかなと。

gotliveep

downtheroad

と・・・ここまでは単なるオフィシャルの丸コピーだったりしましたが、3つめのパート「Got Live If You Want It! 1966 (reconstructed)」はなかなか凝った編集となっています。

元々このUS版『Got Live If You Want It!』は、ステレオLP・モノラルLP・abkco盤と3種類の異なるミックスがあり、その違いについては、2002年のリマスター盤リリース時に、三十郎氏のHP「Bridges To Stones」内のコンテンツとしてまとめているので、興味持たれた方はそちらを参照していただければと。

http://www.din.or.jp/~sugar/b2s/abkco/index.html

さて、本作のベースとなっているのは現行のabkcoミックスのリマスター盤。

"Under My Thumb"は、abkcoミックスだとイントロのギターの頭が欠けてしまっていますが、本作はその欠けている部分をLPから持ってきて、まったく違和感を抱かせない見事な移植編集が施されています。

続く"Get off of My Cloud"も、abkcoミックスではイントロのリズムからフィル・インに入る寸前の部分がちょっと欠けてしまっていることから、つんのめった感じに聞こえますが、本作はおそらくその前の部分のリズムをうまくコピー補填して、すっきりと聞けるように編集しています。

"Lady Jane"は特に編集なし。

"Not Fade Away"は、LPと比べてabkcoミックスではドラムが入ってから歌までの2小節がカットされてしまっていましたが、本作も残念ながら補填はせず、abkcoミックスそのまま。

スタジオテイクに歓声を被せただけの"I've Been Loving You Too Long"と"Fortune Teller"は、おそらくライブではないということで本作未収録。

"The Last Time"は、LPで聞くことができたリズムギターが入る前の一番最初のリフ1回が、abkcoミックスではカットされており(「Bridges To Stones」のコンテンツでは抜けてましたね・・・)、リフ3回で歌に入る構成になっていますが、本作は最初のリフをLPから持ってきて本来のリフ4回で歌に入る構成となる編集がされています。

"19th Nervous Breakdown""Time Is on My Side"と"I'm Alright"は特に変わらず。

ちなみに"I'm Alright"終了後のミックが発する言葉について、abkcoミックスでは最初の「Thank you」こそはっきりと収録されているものの、次の言葉はフェーダーを上げ忘れたのか、場内の歓声用のマイクが拾ったと思われるかすかにエコーがかった音でしか聞き取れないミックスとなっており、本作もそのままですが、モノラルLPの方はフェーダーもちゃんと上がっておりきちんと聞くことが出来ます。


"Have You Seen Your Mother, Baby Standing in the Shadow?"は楽曲自体の編集は無し。ただし曲終了後、abkcoミックスでは曲がカットアウトされて歓声が繋がれていましたが、本作はLP同様に次曲"Satisfaction"に繋がる編集としています。また、これも「Bridges To Stones」のコンテンツで抜けてましたが、モノラルLPのこの曲のエンディングは短く、abkcoミックスとステレオLPが同じ長さとなっています。


ラストの"Satisfaction"は、『Got Live If You Want It!』と同演奏のエンディングが収録された『Charlie Is My Darling』スーパーデラックスエディションのものに差し替え。曲終了後3分26秒からは、リマスター前のabkcoミックスのみ収録の歓声と場内客出し用SEである英国国歌が繋がれています。

ただ、ここまでやるのであれば、モノラルLPミックスで聞けた曲後半に2回入るブレイク部の、1回目のブレイクの後から2回目のブレイクまでの間の演奏や、2回目のブレイクの後のチャーリーがロールを刻むアレンジの部分といった、abkcoミックスになってからカットされてしまった部分も収録して現在出来得る完全版としてもらいたかったところ。

01:38, Tuesday, Mar 08, 2016 ¦ 固定リンク


『Around In A Roundhouse』(DAC)
dacaroundinaroundhouse

『Around In A Roundhouse』(DAC-165)1CD

Mar.14 1971 Chalk Farm Roundhouse.London.U.K. (2nd Show)

(※)Track-12,13,14
Mar.13 1971 University of Leeds .U.K.


Track-1,2,3,4,6,8,11
Mono Audience Recording
Quality:Excellent-Very Good


Track-5,7,9,10,12,13,14
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

1.Jumping Jack Flash/2.Live With Me/3.Dead Flowers/4.Stray Cat Blues/5.Love In Vain/6.Prodigal Son/7.Midnight Rambler/8.Bitch/9.Band Introductions/10.Honky Tonk Women/11.Satisfaction/12.Little Queenie/13.Brown Sugar/14.Street Fighting Man

1971年フェアウェルツアー最終となったラウンドハウスでの2ndショーを、現時点で発掘されている最良の音源にて収録し、未発掘のラスト3曲については前日のリーズ大学公演から補填して、疑似全曲収録としたタイトル。

"Jumping Jack Flash"から"Stray Cat Blues"の冒頭4曲と"Prodigal Son""Bitch""Satisfaction"の計7曲は、アナログLP時代からお馴染みのオーディエンス音源。

この時代にしては各楽器の分離も良く、耳障りな手拍子や歓声をあまり拾っていないという聞き易いもので、この音源を収録した代表盤として事典で挙げたのがDACの『Get Your Leeds Lungs Out』(DAC-089)。

dacgetyourleedslungsout

このDAC『Get Your Leeds Lungs Out』、前身レーベルのVGP『The Lost Marquee Tapes』(VGP-030)が使用したLP起こしのマスターを基に作成されていたようですが、VGP盤で若干聞こえていたスクラッチノイズもなく、高域の抜けも僅かながら向上して更に聞きやすくなっているという、既発では最良の出来ではあったものの、ヒスノイズ除去処理のし過ぎによる音の余韻の不自然さが若干気になってしまうのが、玉にキズなタイトル。

vgplostmarqueenewjak

vgplostmarqueeoldjak

本作は、状態の良いテープから新たに作成されているようで、高域はより自然な感じとなっているのに加え、
違いの出易いアコースティックの"Prodigal Son"で確認できるように、ヒスノイズの量はDAC『Get Your Leeds Lungs Out』よりも若干少な目になっているにもかかわらず、音の余韻がおかしくなることなく自然な質感の音で聞くことができるようになっています。


惜しむらくはラウンドハウス部分が全曲このオーディエンスマスターではなく、"Love In Vain""Midnight Rambler""Band Introductions""Honky Tonk Women"の3曲4トラックが、オフィシャル『Sticky Fingers』Deluxe Editionのボーナスディスクからのサウンドボード音源という点。

最良の音源を集めてベストな状態でというコンセプトも分からないではないですけど、せっかくの状態の良いオーディエンスマスターだったので、この音源で通して聞きたかったところ。

また音源の切り替わりも、音の近さ自体はオーディエンス音源も結構演奏を大きく捉えているので、その点ではさほど違和感を抱きませんが、音の左右の広がりに関してはモノラルになったりステレオになったりで、しかも1曲ごとに切り替わってしまうので、こちらはちょっと落ち着かない印象。ならばサウンドボード部をモノラル化して収録してあった方がまだ良かったかもしれませんが、それでは最良の音源を集めてというコンセプトから逸れてしまうことからから、そういう発想には至らなかったのかもしれません。

ラスト3曲のリーズ公演音源もブートでお馴染みモノラルサウンドボード音源ではなく、『Sticky Fingers』Super Deluxe Editionからのステレオサウンドボード音源が収録されています。

by Hara ¦ 23:10, Friday, Mar 04, 2016 ¦ 固定リンク


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