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2017年 3月
『Live At The El Mocambo』(Goldplate) |
『Live At The El Mocambo』(GP1605CD) 1CD
Mar.4&5 1977 El Mocambo Tavern,Tronto,Canada
(※)Track3(part)
May.27-June.8 1978 Bearsville Studios,Woodstock,N.Y.
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent-Very Good
(※)Track4,7,10,13,14
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
1.Route 66(D)/2.Hand Of Fate(A)/3.Crazy Mama(F+'78 Rehearsal)/4.Mannish Boy(C)/5.Crackin'Up(F)/6.Dance Little Sister(D)/7.Around And Around(C)/8.Worried About You(F)/9.Let's Spend The Night Together(F+B)/10.Band Introduction(C)/11.Little Red Rooster(D)/12.Crazy Mama(F)/13.Mannish Boy(C Edit)/14.Crackin'Up(C)
前項で紹介した『El Mocambo 1977』(-)同様、本作もまた2012年にネットにアップされていたCaptain Acidによるリマスター音源を収録したタイトル。
基本的な収録曲と構成は『El Mocambo 1977』とさほど変わりませんが、本作は新たに"Mannish Boy"のエディット版を『Sucking In The Seventies』から追加収録しています。
ちなみにこの"Mannish Boy"のエディット版、オフィシャル『Rarities 1971-2003』にも収録されていますが、『Rarities 1971-2003』の方はミックの曲前MCが入る寸前からトラックスタートしているのに対し、『Sucking In The Seventies』はそれよりも前の部分からトラックスタート。
本作は『Sucking In The Seventies』とトラックスタートからエンドまで完全一致しているので、ここからであるということが分かります。
『El Mocambo 1977』とのもう一つの相違点としては、疑似完全版"Crazy Mama"を『El Mocambo 1977』の方はノンクレジットのボーナストラック収録としていたのに対し、本作は3曲目のメイン部分に組み込んでいるという点。
その疑似完全版"Crazy Mama"、本作はテープ伸びしたような音ムラを起こしてしまっていたステレオミックスのイントロを、冒頭4秒間モノラルミックスに音源に差し替えているだけでなく、後半の78年リハーサルへの切り替わりも新たに編集しなおして、聞きやすさの向上を図っているのがポイント。
その音源切り替わり編集はというと、『El Mocambo 1977』の方は3コーラス目の「Plain psychotic Plain insane」のpsychoticから78年リハーサル音源に、カットアウト・カットインの繋ぎで切り替わっていましたが、本作はその前の部分「Well your crazy mama With your ball and chain」のcrazy mamaからクロスフェードして、滑らかにリハーサル音源に切り替わるようになっています。
ただ、この編集によりモカンボ部分が若干短くなってしまってはいますが、このこの疑似完全版自体があくまでもオマケ的扱いの編集テイクなんで、気にするほどのことではないかと。
なお、12曲目に収録されている"Crazy Mama"は、イントロの差替えもなくPlain psychoticでフェードアウトするという本来の"ステレオミックス。ちなみに『El Mocambo 1977』の方はPlain psychoticでカットアウトしているという違いあり。
もう1つの編集テイクである"Let's Spend The Night Together"については、音質の良い(F)が間奏後の3コーラス目のサビ途中までしかないということを受け、そこまでを(F)、以後終わりまでを(B)という構成としていますが、本作もこちらは新たなクロスフェード処理は行わず『El Mocambo 1977』同様にカットアウト・カットインの繋ぎ編集としています。
この曲については『El Mocambo 1977』の項でも書きましたが、音の切り替わった際の音質差が結構あるので、(B)で1曲丸々収録という方が聞きやすくて良かったのではという気はします。
全体的な音質は『El Mocambo 1977』よりも中高域を持ち上げており、クリアーさが増している反面、一部高域が耳についてしまうところがあるため、『El Mocambo 1977』の方が聞きやすいかなという印象を受けます。 |
by Hara ¦ 21:49, Thursday, Mar 30, 2017 ¦ 固定リンク
『El Mocambo 1977』(-) 1CD
Mar.4&5 1977 El Mocambo Tavern,Tronto,Canada
(※)Track12(part)
May.27-June.8 1978 Bearsville Studios,Woodstock,N.Y.
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent-Very Good
(※)Track4,7,10,13
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
1.Route 66(D)/2.Hand Of Fate(A)/3.Crazy Mama(F)/4.Mannish Boy(C)/5.Crackin'Up(F)/6.Dance Little Sister(D)/7.Around And Around(C)/8.Worried About You(F)/9.Let's Spend The Night Together(F+B)/10.Band Introduction(C)/11.Little Red Rooster(D)/12.Crazy Mama(F+'78 Rehearsal)/13.Crackin'Up(C)
エルモカンボ公演収録盤。
基となっているのは35周年記念として、2012年にネットにアップされていたCaptain Acidによるリマスター音源。
その音質については後で触れるとして、まずは本作の目玉?ともいえる疑似コンプリート版"Crazy Mama"について。
本作では、ノンクレジットのボーナス扱いとして12曲目に収録されていますが、ベースとなっているのは『From Paris To Toronto』(DAC-127)にて初めてブート化されたステレオミックス。
このステレオミックス、それまでのモノラルミックスよりもはるかに長くなっていて、曲の途中までという不完全さは変わりませんが、ソロ後の3コーラス目「plain insane」まで聴けるようになったというもの。
本作のこのトラックは、このステレオミックスの後半欠落部に『The Complete Woodstock Tapes』(VGP-130)を代表とする78年のツアーリハーサル音源を繋げて、疑似完全版としています。
この疑似完全版"Crazy Mama"、演奏年が異なるのに音源が切り替わってもテンポはほぼ変わらず、そして何よりミックの歌いまわしもほとんど変わらずという稀有なものとなっています。もちろんツアーリハーサル音源の方は、エレピがやたら前面に出て、ギターの音量が小さいというバランスであることから、音源が切り替わった際は、ミックのヴォーカルのみそのままでドラムは軽くなり、ギターは急にオフになったような印象のものとなっていますが、あたかもミキサー卓をいじったかのように聞こえるこの編集はフェイクながら見事。
惜しかったのは、この"Crazy Mama"のステレオミックスはイントロがテープ伸びしたような音ムラを起こしてしまっているという難点があり、本作も特にいじらずそのまま収録してしまっているので、こういう疑似完全版を作成するのなら、問題のなかったモノラルミックスからをイントロ部分のみを持ってきて差替えれば尚良しだったかと。
さて、メインのモカンボ音源にも触れておきますと、これまでのモカンボ音源はAからFの6種の音源に分類されます。
(A)・・・Stero Reel A - Rough Mix
(B)・・・Stero Reel B - Rough Mix
(C)・・・Stero Reel C - Final Mix(オフィシャルミックス)
(D)・・・Stero Reel D - Off Acetate
(E)・・・Mono Mix
(F)・・・Streo Mix(Eのモノミックスのステレオ版)
これらのうちオフィシャル以外のモカンボ音源については、事典で挙げた2つのDAC盤でほぼすべてを聞くことが出来ます。
1つ目は『Sexual Healing』(DAC-117)で、(A)(B)(D)(E)を収録。
イントロから歌い出しまでという短い部分のみだった(D)の"Crazy Mama"は残念ながらカットされていますが、他のタイトルが複数の音源が入り乱れた編集だったのに対し、このDAC盤は音源ごとに整理して収録しているという便利タイトル。
そしてもう1つが『From Paris To Toronto』(DAC-127)。本作がリリースされるまで唯一(F)を収録していたタイトルで、前述のステレオミックスの"Crazy Mama"はこのDAC盤が初出。
では、本作はどういった音源で構成されているのかというと。
"Mannish Boy""Around And Around""Band Introduction"、そしてノンクレジットで13トラック目にボーナス収録されている"Crackin'Up"は(C)、すなわちオフィシャルから流用。
これでいくと"Little Red Rooster"もオフィシャルからとなりそうなものですが、何故かこの曲は(D)のアセテート盤からで、どういう訳かイントロ頭の1小節が欠けてしまっているという難点あり。
(D)からは他に"Dance Little Sister"と"Route 66"も採用、ということでアセテート盤に収録されていた3曲は全て採用ということとなります。
他は"Hand Of Fate"が(A)、"Crazy Mama"とトラック5の"Crackin'Up"、そして"Worried About You"は(F)。ちなみに(F)の"Crackin'Up"はイントロにチョーキングギターがオーバーダブされる前のもの。
"Let's Spend The Night Together"については、音質の良い(F)が間奏後の3コーラス目のサビに入る直前までしかないということを受け、そこまでを(F)、以後終わりまでを(B)という構成としていますが、音の切り替わった際の音質差が気になってしまうので、音質重視というコンセプトも分からないでもないですが、これなら(B)で1曲丸々収録という方が聞きやすかったかと。
なお本作が収録している、Captain Acidリマスター音源は高域が潰れ気味な感はありますが、いずれもDAC盤や他の既発盤より音が太く、DAC盤にあった余韻の不自然さも本作の方が自然な感じとなっていて、聞きやすさが向上しています。 |
23:38, Wednesday, Mar 29, 2017 ¦ 固定リンク
『Garden State 78』(-) 4CD
June.14 1978 Capitol Theatre,Passaic,NJ
Disc-1 Track1-3,5(part),6(part),7,8(part),10,11 & Disc-2 Track1-9
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent-Very Good
Disc-2 Track10(part)
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent
Disc-2 Track3,4(part),5(part),7(part),8
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent-Very Good
Disc-2 Track10(part)
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
Disc-3 Track1,2,4(part),5(part),6,7(part),9,10 & Disc-4 Track 1-10
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent
Disc-3 Track3,4(part),5(part),7(part),8
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.DJ Intro/2.Introduction/3.Let It Rock/4.All Down The Line/5.Honky Tonk Women/6.Star Star/7.When The Whip Comes Down/8.Miss You/9.Just My Imagination/10.Lies/11.Beast Of Burden
(Disc-2)
1.Respectable/2.Far Away Eyes/3.Love In Vain/4.Shattered/5.Sweet Little Sixteen/6.Tumbling Dice/7.Happy/8.Brown Sugar/9.Jumping Jack Flash/10.Street Fighting Man
(Disc-3)
1.Introduction/2.Let It Rock/3.All Down The Line/4.Honky Tonk Women/5.Star Star/6.When The Whip Comes Down/7.Miss You/8.Just My Imagination/9.Lies/10.Beast Of Burden
(Disc-4)
1.Respectable/2.Far Away Eyes/3.Love In Vain/4.Shattered/5.Sweet Little Sixteen/6.Tumbling Dice/7.Happy/8.Brown Sugar/9.Jumping Jack Flash/10.Street Fighting Man(part)
アナログLP時代からの名盤『Garden State 78』(SD 3957)。
このLPがFM放送された時のエアチェック音源をディスク1と2に、LPをストレートにデジタル化したものをディスク3と4に収録したのが本作。
まずは、このLP『Garden State 78』と以降にリリースされた主なCD含めてのまとめ。
LPの中身は、1978年ツアー3公演目となるニュージャージー・キャピトルシアター公演の流出ミキサー卓直結サウンドボード音源。
ミキサー卓直結ということで場内の様子が捉えられていないため、小会場(3200名は入るようですが・・・)での演奏という雰囲気は味わえないものの、ラフなバランスのミックスとやや歪み気味の音質も相まって全体的に迫力のあるものとなっています。
残念ながらラストの"Street Fighting Man"のみ3コーラス目が終わった後の展開部でフェードアウトしてしまいますが、他の曲は曲中カット無しで、ほぼ1コンサートフルに聞けるという音源。
この音源、事典ではステレオサウンドボード音源と表記してきましたが、実際にステレオミックスされている楽曲は、"All Down The Line"は1曲丸々、"Honky Tonk Women"は間奏以降、"Star Star"は序盤のみ、"Miss You"も間奏のみ、そして"Just My Imagination"は1曲丸々と、この日演奏した19曲中5曲しかなく、大半がモノラルミックスというのが本当のところ。
またこの音源、オーバーレベルが原因と思しき左チャンネルのドロップアウトが各曲1〜4箇所あるという難点あり。
ここからはCDの主なタイトルの特徴を挙げますが、一部CDタイトルにある"Street Fighting Man"の補填に使われているオーディエンス音源は、いずれもアナログLP『In Again Out Again』(Oakland Rec.1909)で使用されているのと同じもの。
まずは『Capitol Connection』(RS 7801114)。音質はヒスノイズが多くチャンネルも逆だったりするものの、
変にイコライジングされていないナチュラルな音で聞き易いというタイトルですが、残念ながら"Street Fighting Man"が丸々未収録。
TSP『Out On Bail』(TSP-CD-064-2)は、このメーカー特有のヒスノイズ除去による弊害で音の余韻が不自然になっているのと、過度のイコライジングにより高域がかなりキツくなっています。"Street Fighting Man"は、オーディエンス音源を繋いで疑似完全版としていますが、オーディエンス音源切り替えが3コーラス目の頭からと、サウンドボード音源が短くなってしまっています。このタイトルも左右のチャンネルが逆。
VGP『Garden State 78』(VGP-253)は、元テープのジェネレーションが高い上、メリハリつけたイコライジングのおかげで高域がかなりキツ目。こちらの"Street Fighting Man"もオーディエンス音源を繋いだ疑似完全版ですが、このタイトルも切り替わりは3コーラス目の頭。なお、ボックス『Rolling Stones Tour 1978』(WLR-2129)が収録しているのはこのVGP盤のコピー。
事典で代表盤として挙げた『Out On Bail』(VGP-278)は、アルバム名がTSP盤と同じな上、ジャケットもTSP『Out On Bail』と同じ写真(TSPは写真が反転)を使っているのことから大変紛らわしかったりするタイトル。高域を耳に刺さらない程度にクリアーにしていることに加え、中低域に厚みを持たせた音造り。"Street Fighting Man"は、元々3コーラス目が終わってから十数秒近くまであるサウンドボード音源をめいっぱい使用して、そのサウンドボード音源が終わる寸前の部分でオーディエンス音源に切り替わるという、素材を最大限に生かした編集を施しているというもの。また最大のポイントとして、この音源の欠点であった左チャンネルのドロップアウト箇所をモノラル処理にすることによって、見事に難点を解消しているという優良タイトル。
現時点での代表盤といえるのが事典出版後にリリースされた『Garden State 78』(-)
タイミングを逸して未紹介でしたが(まあ、このサイトでタイミングも何もという気はしますけど・・・)、本作と同系列からのリリース。左チャンネルのドロップアウト箇所をモノラル処理しているのはVGP『Out On Bail』と同じですが、そのモノラル部分を疑似ステレオ化して聞きやすさを向上させているのがポイント。
"Street Fighting Man"もはVGP『Out On Bail』と同様に、サウンドボード音源が終わる寸前の部分でオーディエンス音源に切り替えるという、素材を最大限に生かした編集が施されています。
VGP『Out On Bail』と最大の違いは高域部の処理。VGP盤はクリアーな音質をほこるものの、高域部が如何にもデジタル処理を施した質感であったのに対し、このノンレーベル『Garden State 78』はあくまでもLPの音そのままに近いナチュラルな音造りとしています。
さて本作。
ディスク1と2に収録されているのは、LP『Garden State 78』がニューヨークの地方FM曲WPLJで放送された際のエアチェック音源。
FM放送とはいえ、アナウンスは冒頭6秒ほどの番組紹介と、"Far Away Eyes"から"Love In Vain"の間にほんの少し入ってくる程度で、後はレコードを流しているだけのものでCM等が収録されているわけではありません。よって、左チャンネルのドロップアウトや"Street Fighting Man"のサウンドボード音源が不完全なのは変わらず。
その"Street Fighting Man"、本作の大元であるネットアップ音源では、3コーラス目の頭からオーディエンス音源に雑な繋ぎで切り替わっていましたが、本作は前述の同系列リリースの『Garden State 78』から差し替え補填をしているようで、きちんと3コーラス目後の展開部からオーディエンス音源に切り替わっています。
また、このネットアップ音源では"Street Fighting Man"終了後に番組名を言うだけのアナウンスが入っていましたが、本作は差し替え部にこのアナウンスを被せるという編集はしていません。ただ、このアナウンス自体が本作にも収録されている番組オープニングのものと全く同じであることから、これは番組放送時のものではなく、後から編集してくっつけただけのもであると推測されることから、本作の編集によって聞けなくなったということではないのかなと。
全体的な音質については、基の放送自体がそういうものだったのか、はたまたエアチェック時に使用したカセットデッキの性能によるものだったのかは不明ですが、高音部のエッジがやや甘めになっていたり、耳につくレベルではないもののハムノイズがずっと漂っていたりと、既発の同音源収録盤と比べてみると1ランク落ちてしまっています。
この音源、放送時にカットされたのか、はたまたエアチェック時にテープ節約でデッキを一時停止をしていたことによるものかは不明ですが、"Star Star"は1曲丸々、そして幾つかの曲間に欠落が生じています。
その欠落部分には別音源が補填されてはいるものの、"Star Star"はやたら高域が耳につく硬質な音源、曲間の欠落部の方にはやたら低いレートで圧縮された音源が収録されており、この補填部分がチャリチャリとなってしまっているという残念な点も。
これら補填は本作が基にしたネットアップ音源自体がそうだったということもありますが、せっかくディスク3と4にレコード落としのしっかりとした音源があったのだから、CD化にあたってきちんと差替え補正しておいてもらいたかったところ。
また、"Far Away Eyes"もドラムが入ってからの収録でイントロ部が欠落したままとなっていますが、"Street Fighting Man"を差替えたくらいだから、ここも補填しておいてもらいたかったかなと。
というわけでこのディスク1と2は、あくまでもこんな放送があったというマニア向けなものといったところかと。
ディスク3と4は、LP『Garden State 78』(SD 3957)をストレートにCD化したもの。
スクラッチノイズが同系列の2CD版『Garden State 78』よりも残っていたり、左チャンネルのドロップアウトはそのまま、また"Street Fighting Man"も補填なしでそのままフェードアウトとなっていますが、これはこれでアナログLP音源を加工されない形で、気軽にデジタルで楽しむのに最適なものとなっています。 |
17:27, Sunday, Mar 26, 2017 ¦ 固定リンク
『Fratelli d'Italia』(Eat A Peach) |
『Fratelli d'Italia』(EAT 146/47) 2CD
July.12 1982 Stadio Communale Di Torino,Turin,Italy
Stereo Audience Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Intro:Take The A Train/2.Under My Thumb/3.When The Whip Comes Down/4.Let's Spend The Night Together/5.Shattered/6.Neighbours/7.Black Limousine/8.Just My Imagination/9.Twenty Flight Rock/10.Going To A Go Go/11.Let Me Go/12.Time Is On My Side/13.Beast Of Burden/14.You Can't Always Get What You Want
(Disc-2)
1.Band Introduction/2.Little T&A/3.Angie/4.Tumbling Dice/5.She's So Cold/6.Hang Fire/7.Miss You/8.Honky Tonk Women/9.Brown Sugar/10.Start Me Up/11.Jumping Jack Flash/12.Satisfaction/13.Outro:Fratelli d'Italia-Fireworks
1970年以来12年ぶりとなったイタリア公演は、1982年欧州ツアー終盤の7月11日と12日にトリノで開催されましたが、本作が収録しているのは2日目にあたる7月12日公演。
82年のトリノ公演といえば、初日11日公演がアナログ時代からブート化され、それなりに知られてきましたが、本作が収録している12日公演については、プレスブートとしては初のリリース。
何故か"Shattered"と"Neighbours"の順番が逆になっていたりはするものの、前日カットされたキースの"Little T&A"がセットに復活して、この日の演奏曲全24曲を収録。
"You Can't Always Get What You Want"最後のワンショットの余韻のところでフェードアウトしているだけで、他の曲は曲中カット無し。
PAスピーカーからやや離れた席からと思しき奥行きのある録音ですが、演奏をそこそこ大きめに捉えた分離の良い好録音で、耳障りな歓声や拍手の類はほとんどなく、盛り上がる曲での手拍子は程よいバランスで被るという安定した聞きやすい音源。スネアが妙に浮き立っており、会場の反響も相まってスッコンスッコン鳴っている独特な音となっています。
やや低域不足で厚みがもう少しあった方がとは感じるものの、カセットらしからぬクリヤーな音質。
残念ながらピッチがやや速めで、これはきちんと調整しておいてもらいたかったところ。
演奏自体は安定した82年ツアー、しかも終盤ということで特筆すべきもののない平均的なものですが、前日にイタリアがサッカーのワールドカップで優勝したことをうけ、"Take The A Train"がスタートするや否や、バンドコールの前に優勝をあらためて伝えるアナウンスを流して、場内が大盛り上がるになるというという場面や、アンコールの"Satisfaction"終了後に終演を伝える場内SEを、前日の"1812 Overture"からこの日はイタリア国歌の"Fratelli d'Italia"に変えて流しているという、ささやかな聞きどころあり。
なお、Goldplate『European Tour 1982』(GP-1210 CD1/2 DVD1/2)のDVDに前日11日の演奏として収録されている"Satisfaction"は、この日の演奏というのが正解。
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08:20, Saturday, Mar 25, 2017 ¦ 固定リンク
『Brown Sugar & White Snow』(DAC) |
『Brown Sugar & White Snow』(DAC-174) 2CD
Disc-1
Oct.9 1973 Grugahalle,Essen,West Germany
Disc-2
Sep.20 1970 Killesberg,Stuttgart,West Germany
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Brown Sugar/2.Gimme Shelter/3.Happy/4.Tumbling Dice/5.Star Star/6.Angie/7.You Can't Always Get What You Want/8.Midnight Rambler/9.Honky Tonk Women/10.All Down The Line
(Disc-2)
1.Jumping Jack Flash/2.Roll Over Beethoven/3.Sympathy For The Devil/4.Stary Cat Blues/5.Love In Vain/6.Dead Flowers/7.Midnight Rambler/8.Live With Me/9.Let It Rock/10.Little Queenie/11.Brown Sugar/12.Honky Tonk Women/13.Street Fighting Man
ディスク1は、本作のアルバムタイトルならびにジャケットの基となった、10月9日のエッセン公演を収録したブートLP『Brown Sugar & White Snow』(Caution! AS.TS-198 810)の復刻。
LP『Brown Sugar & White Snow』は、この日演奏した全14曲中、"Dancing With Mr.D""Rip This Joint""Jumping Jack Flash""Street Fighting Man"を除く10曲を収録。
全体的にエコーがかっており輪郭がややぼやけていたりはしますが、演奏を大きく拾っているのと耳障りな歓声の類が少ないので、案外と聞きやすい音のタイトル。
ただ、何故か"All Down The Line"が全く同じ音源で、サイド2の3曲目と5曲目に収録されており、3曲目の方はイントロから曲の後半まで、5曲目の方はイントロが若干切れているものの完走しているという、いずれも中途半端な状態という難点がありましたが、それを解消したのがアナログLP起こし同士のカップリングCD
『Brown Sugar & White Snow/100 Years Ago』(-)。
追加収録曲は無く、LPと変わらぬ全10曲。
LPで響き気味だった中域を少し削っているようで、僅かながら聴きやすさが向上。
曲終了時の余韻部分で切れてしまっていた"Star Star"、頭が若干欠けているのと11分15秒で僅かながらの音飛び(音ブレ程度のもの)を起こしていた"Midnight Rambler"は別音源の補填なくLP同様。
ただしLPで中途半端だった"All Down The Line"はきちんと繋がれて1曲通して聴けるようになっています。
さて本作、収録曲はこちらも追加なく全10曲で、"All Down The Line"は当然ながらきちんと完走。
曲の最後の余韻部分でブツ切れだった"Star Star"はフェードアウトをさせつつ、"Brown Sugar"終了後の歓声をうまく被せて(特徴的な口笛が聞こえるので分かりやすいかと)、次曲"Angie"の曲前にあたかもそうであったかのような見事な繋ぎとなっています。
"Midnight Rambler"の頭欠けと、スローブルースパートから加速した後の歌い出し部分の音ブレ(本作のタイムでは11分09秒)については変わらず。
音質は、中低域に厚みを加えたノンレーベルCDとは方向性の違う音造り。クリアーさは僅かながらノンレーベルCDに譲るものの、高域若干控えめで厚みを持たせた音造りは、ノンレーベル盤より落ち着いた印象のものとなっています。
ディスク2は、70年欧州ツアー中盤のシュトゥットガルト公演を収録。
本作はどちらも西ドイツ公演ということでのカップリングタイトルなのでしょうけど、年代が異なるツアーのカップリングは、年代別に収納しているコレクターにとっては、どっちの年を基準とするか悩むとこなので、これは個別リリースしてもらいたかったところ。
本作が収録しているこの公演は事典でも取り上げたように、これまで2種の音源がブート化されています。
最初にブート化されたのは『Europien Tour Stuttgart 1970』(VGP-187)収録の音源。
ラストの"Street Fighting Man"が途中でフェードアウトする以外は、曲中カット無しの全曲収録。
全体的に分離が悪く、ドラムの聞き分けも難しいような状態ではあるものの案外と聞きやすい音。
基テープの劣化による音ユレが少々と、時折「ジッ」というノイズが入るのがやや難点。
次にブート化されたのが『Germany 1970』(DAC-070)収録の音源。
こちらの音源、音の分離がVGP盤音源よりも良く、全体の音量が上がったライブ終盤は低音にやや歪みが生じている箇所があるものの、総じてVGP盤よりも断然聴きやすい印象。
また、VGP盤の"Jumping Jack Flash"冒頭は、元々音が団子状態だったことに加えて叫び声やら話し声を大きく拾っていたことから、最初音楽に聞こえなかったりしましたが、このDAC盤の方の音源は最初からしっかりと聞き取ることが出来るというもの。
事典ではこのDAC盤を代表盤としていましたが、出版後にリリースされたのが『Stuttgart 1970』(-)
DAC盤の方は、基にしたテープの"Let It Rock"に問題があったようで、曲を丸ごとVGP盤の方の音源に音質調整を施した上で差し替えられていましたが、このノンレーベル盤は全曲同じ音源でのノーカット収録。
DACとしてこの音源2度目のリリースとなる本作の方はというと、ノンレーベル盤同様に全曲ノーカット収録。
ノンレーベル盤の全体的な音質は、旧DAC盤よりも硬質さ控えめのナチュラルな質感の音となっていましたが、本作はそのノンレーベル盤と比べると、中域を若干抑えつつ低域を上げた音造りとなっていることから、聞きやすさが更に向上しています。
旧DAC盤よりも7秒ほど長く、ノンレーベル盤では"Intro"としてわざわざトラック割りされていた"Jumping Jack Flash"スタート前の15秒ほどの歓声部。本作もトラック割りはされていないものの長さ自体は同じですが、ノンレーベル盤がカットインだったのに対し、本作はフェードインとなっています。
旧DAC盤では、曲が終わると7秒ほどで早々にフェードアウトしていた"Street Fighting Man"。ノンレーベル盤は、曲が終わった後も40秒ほど収録しており、客出しの場内BGMも聞くことが出来ましたが、この部分の長さについても本作も同様。
音源の長さが同じなのに、トータルタイムがノンレーベル盤と本作で38秒も違うのは主にピッチの差。旧DAC盤やノンレーベル盤はほぼ同じピッチだったのに対し、本作はやや早めのピッチとなっています。
ノンレーベル盤の"Sympathy For The Devil"では、6分2秒と6分4秒に一瞬の音の欠落があり、旧DAC盤の方は音飛びしたと感じない程度にうまく詰めていましたが、本作も旧DAC盤同様の処理。
ノンレーベル盤の難点であった、"Love In Vain"の4分46秒から4分47秒にかけてのプツッという読み込みエラーっぽいデジタルノイズ3つについては、本作はこちらもまた旧DAC盤同様にノイズの混入はありません。 |
23:21, Thursday, Mar 23, 2017 ¦ 固定リンク
『Pittsburgh 1972』(-) 2CD
July.22 1972 Civic Arena,Pittsburgh,PA
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent - Very Good
1.Brown Sugar/2.Bitch/3.Rocks Off/4.Gimme Shelter/5.Happy/6.Tumbling Dice/7.Love In Vain/9.You Can't Always Get What You Want/9.All Down The Line/10.Midnight Rambler/11.Band Introductions/12.Bye Bye Johnny/13.Rip This Joint/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man(part)
1972年ツアー最終地ニューヨークの前に組み込まれたピッツバーグ公演収録盤。
本作はネットに挙がっていたDXP Mixなる音源をディスク化したもので、音源自体の基は、事典でこの公演の代表盤として挙げたVGP『The Royal Dragon』(VGP-083)
収録されているのは、歓声はほとんど入っていないものの宅直結とは少し質感が異なるステレオサウンドボード音源。
事典ではライブアルバムや映画とは関係のない音源と書きましたが、ミックス自体はライブアルバム用の素材に近いものがあるので、歓声をミックスする前の素材なのかもしれないし、映画「Cocksucker Blues」にこのピッツバーグに向かう飛行機の中の状況が収録されているので、公演自体も映画の素材として録音されている可能性もあったりしますので、何とも言いきれない謎の音源だったりします。
VGP盤の方は、基テープのジェネレーションがあまり若くなかったことからクリアーさにやや欠ける音質でしたが、本作は高域と低域を持ち上げてメリハリをつけた上でヒスノイズを除去し、更にうっすらと空間系のエフェクトをかけて音に奥行を加えるという、VGP盤とは別物かと思ってしまいそうなほどの聴きやすい音に仕上がっています。
VGP盤の方は、この公演の音源で唯一欠落していた"Sweet Virginia"を、6月24日のフォートワース1stショーのステレオサウンドボード音源から持ってきて疑似全曲収録盤としており、基のDXP Mix音源の方も同様に収録していましたが、本作はこれをカットしてピッツバーグ公演のみの収録としています。
加えてDXP Mix音源では、2コーラス目のサビ途中まででフェードアウトととなり以降が欠落していた"Street Fighting Man"の後半部として、こちらも6月24日のフォートワース1stショーのステレオサウンドボード音源を繋げるというVGP盤とは異なる編集をしていましたが、本作はおそらく別公演ということでこちらもカットしています。
その"Street Fighting Man"、別公演部分をカットした際に繋ぎ目部分でクロスフェードしている分だけ、ピッツバーグ音源がVGP盤より短くなってしまうことから、ディスクが終わる寸前のほんの僅かな部分ながら、新たにVGP盤から持ってきて繋げて長さを合わせるという芸の細かい編集もされている模様。
ただ、音質までは合わせられなかったようで、音源が切り替わるとコモり気味の音になってしまってはいますが、フェードアウト途中の部分につき、さほど気にはなりません。
また、VGP盤では"All Down The Line"のみ、曲の最初から最後まで音量が小さいという欠点を抱えていましたが、本作は他曲と同じ音量レベルに調整してあり、こちらもボリュームをいじることなく聞くことが出来るようになっています。
・・・と、ここまではいいことばかりを列挙してきましたが、本作にもある意味致命的な欠点が。
基のDXP Mix音源自体が音圧を上げ過ぎてしまって、高中域にバリバリという音の歪みが乗ってしまっていたのですが、本作も歪みによるノイズは除去できなかったようで、そのままとなってしまっています。
スピーカーで聞く分にはそれほど気になるレベルではないようですが、ヘッドフォンで聞くと結構気になってしまうという・・・。
この点さえ解消できていれば、文句なしの代表盤といえるタイトルとなったのに何とも残念ではあります。 |
22:17, Friday, Mar 17, 2017 ¦ 固定リンク
『Fort Worth 1972 2nd Show』(-) |
『Fort Worth 1972 2nd Show』(-) 1CD
June.24 1972 Fort Worth,TX (2nd Show)
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
1.Introduction/2.Brown Sugar/3.Bitch/4.Rocks Off/5.Gimme Shelter/6.Don't Lie To Me/7.Love In Vain/8.Sweet Virginia/9.You Can't Always Get What You Want/10.Tumbling Dice/11.Midnight Rambler/12.Band Introductions/13.Bye Bye Johnny/14.Rip This Joint/15.Jumping Jack Flash/16.Street Fighting Man
企画倒れとなった1972年ツアーのライブアルバムのサウンドボード素材の中で、ほぼコンサートの全貌を捉える形でブート化されているのが、本作収録の6月24日フォートワースでのセカンドショー。
この公演で演奏された16曲のうち、"Happy"と"All Down The Line"を除いた14曲がブート化されており、中でもツアーでこの公演でしか演奏していないレアな"Don't Lie To Me"が含まれているのが特筆もの。
事典で挙げたこの音源を収録した代表盤は『Tarrant County 1972』(NUMBER 003)。
また、旧事典ではVGP『Fort Worth Express』(VGP-205)を代表盤として挙げましたが、ここではこの2タイトルを中心として本作と比較してみることとします。
まず全体的な音質ですが、『Fort Worth Express』はヒスノイズ多めなもののクリアーな音質だったのに対して、『Tarrant County 1972』の方は、音の鮮明さこそ『Fort Worth Express』に譲るものの、中域に厚みを持たせた音造りとしており、ヒスノイズも余韻がおかしくならない程度に除去してあり、総合的に聞きやすい仕上がりとなっています。
本作はというと、『Fort Worth Express』と同傾向の音質ですが、『Fort Worth Express』盤より若干音に厚みが増しているという印象。
ただ、ヒスノイズの除去処理をやや強めにしてしまっているようで、音の余韻がおかしかったり、ノイズ除去処理をし過ぎた際、主に静音部で発生するキュルキュルというノイズが乗ってしまっているという難点あり。
『Fort Worth Express』はキース曲も必要と考えたのか、この日の1stショーから"Happy"を追加収録していますが、『Tarrant County 1972』と本作は純粋にこの2ndショー音源のみで構成。
サウンドボード音源では"Brown Sugar"イントロの頭3音が欠落しており、いずれのタイトルもオーディエンス音源を補填していますが、『Tarrant County 1972』や『Fort Worth Express』はイントロを弾き始める寸前の歓声部からの収録なのに対し、本作はそれよりも前のバンドコールから収録しています。
ちなみにこの公演のオーディエンス音源は2種ブート化されていますが、本作がこの部分の補填に使っているのはVGP『Mick Taylor We Miss You』(VGP-092)からのよう。
"Tumbling Dice"終了後にはミックが「Thank you very much」と発しており、その部分のサウンドボード音源も残されてはいますが、『Tarrant County 1972』や『Fort Worth Express』は未収録。本作は「Thank you ve」と途中まで収録されていますが、この長さで思い出すのがSODDの『The Greatest Lost 1972 Live Album』(SODD 016)。
SODD盤の方はイコライズしているようで高域がやや耳につく仕上がりとなっていますが、前述した静音部で発生するキュルキュルというノイズについては本作と同じであることから、本作はSODD盤と同じマスターということとなります。
なお、きちんと「Thank you very much」がフェードアウトしつつも聴けるのは『Hows Your Lungs』(SOF 8002)のみ。
続く"Midnight Rambler"の前のMCはサウンドボード音源未発掘で、『Fort Worth Express』や本作は未収録ですが、『Tarrant County 1972』は前述のVGP『Mick Taylor We Miss You』から持ってきて、MCを聞くことが出来るようにしています。
このMC後に始まる"Midnight Rambler"曲が始まってから1コーラス終わった少し後まで、『Fort Worth Express』や本作は音がコモってしまっていることに加えヒスノイズも結構増えてしまっていますが、『Tarrant County 1972』はさほど音質変化なく聞くことが出来ます。
ただし『Tarrant County 1972』は2番に入った途端に右チャンネルがやや中央に急に寄るという定位変化が起きてしまっています。
ちなみに『Plug In Flush Out』(VGP-259)や『American Tour 1972』(VGP-259)にも、この公演の"Midnight Rambler"が収録されていますが、音質変化や定位変化の無い、もっとも良い状態となっていますので、本作もここから持って来ればもう少し良くなったのではという感も。
というわけで既発とは一長一短あり、本作をこの音源の代表盤とするには今一歩といったところ。 |
by Hara ¦ 23:51, Thursday, Mar 16, 2017 ¦ 固定リンク
『Winterland 1972 2nd Night』(-) |
『Winterland 1972 2nd Night』(-) 2CD
June.8 1972 Winterland Palace,San Francisco,CA (2nd Show)
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Introduction/2.Brown Sugar/3.Bitch/4.Rocks Off/5.Gimme Shelter/6.Happy/7.Tumbling Dice/8.Love In Vain/9.Sweet Virginia/10.Loving Cup/11.You Can't Always Get What You Want
(Disc-2)
1.All Down The Line/2.Midnight Rambler/3.Bye Bye Johnny/4.Rip This Joint/5.Jumping Jack Flash/6.Street Fighting Man/7.Honky Tonk Women
本作が収録しているのは、1972年ツアー序盤、サンフランシスコはウインターランドで行われた2日間4公演のうち、最後にあたる6月8日のセカンドショー。
ツアー序盤だけのレア曲で、この公演を最後にセットリストから外される"Loving Cup"、そして72年ツアーでは数えるほどしか演奏しなかった"Honky Tonk Women"を含む全17曲を収録。
そんなレア曲のうちの片方である"Honky Tonk Women"。
事典ではこの曲をアンコールと書きましたが、今回改めて音を聞いてみると、"Street Fighting Man"が終わった後にステージを降りず、どうやらそのまま演奏に突入していたようなので、この公演のラストがこの曲で、アンコールは無しという方がどうやら正しかったようです。
その"Honky Tonk Women"の前に演奏した"Street Fighting Man"では、チャーリーが2度程スティックを落としてしまったのか、その都度リズムが無くなってしまうというアクシデントが発生していますが、2度目にリズムが無くなった際にはミックが一旦演奏を止めようかと歌うのをやめてしまっているという珍場面も。
とまあ、色々聴きどころの多いこの公演、これまでは事典に挙げたVGPの『Midnight Magic』(VGP-188)が唯一の収録タイトルでしたが、本作はこのVGP盤と同じオーディエンス音源を収録した音質向上盤となっています。
とはいえ、元の音源自体が遠目でやや分離の悪い録音であるため、劇的な向上ということにはなっていませんが、基にした音源のジェネレーションが若かったようでヒスノイズがVGP盤に比べてかなり減少していることや、VGP盤より中低域に若干厚みを持たせていることもあり、VGP盤よりも聞きやすい音となっています。
当然ながらVGP盤同様、この公演で演奏された全17曲を収録していますが、VGP盤が曲中欠落無しのノーカット収録だったのに対し、本作は"You Can't Always Get What You Want"の中間部が重複収録されてしまっています。
本作のインフォメーションによれば、この"You Can't Always Get What You Want"中間部にテープ・チェンジ的なカットが生じていて、この部分をVGP盤では見事にエディットしていたのですが、今回はあえてそのままの状態で収録しており、それによって以前は聴かれなかったテイラーのフレーズもわずかではありますが登場とのことでしたが、実際はそのようなことは無し。
その問題の部分をよく聞いてみると、フェードインしてくる4分52秒から4分58秒までと、フェードアウト前の4分45秒から4分51秒までの演奏が完全に一致しています。
これは本作が基にした音源もマスターからではなく、ダビングを経たものであり、そのダビング過程においてこの曲がテープの両面にまたがってしまったのが原因と推測。
せっかくの音質向上盤だったのに、この重複部分未処理が何とも残念なタイトル。
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02:08, Tuesday, Mar 14, 2017 ¦ 固定リンク
『Hound Dog』(DAC-175) 2CD
June.28 1978 Mid-South Coliseum,Memphis,TN
(※)Disc-2 Track11
July.6 1978 Masonic Hall,Detroit,MI
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Let It Rock/2.All Down The Line/3.Honky Tonk Women/4.Star Star/5.When The Whip Comes Down/6.Miss You/7.Lies/8.Beast Of Burden/9.Just My Imagination
(Disc-2)
1.Respectable/2.Far Away Eyes/3.Love In Vain/4.Shattered/5.Hound Dog/6.Tumbling Dice/7.Happy/8.Sweet Little Sixteen/9.Brown Sugar/10.Jumping Jack Flash/11.Tumbling Dice
78年のメンフィス公演といえば、ヒューストンやレキシントン、デトロイトと並んでラジオ収録された4公演のうちの1つで、放送には"Shattered"と、ツアー中2回しか演奏されなかったレアなカバー曲"Hound Dog"の2曲が採用されましたが、本作はそんなメンフィス公演の全曲収録盤。
デトロイト公演のようにラジオのアウトテイクというわけではなく、全編オーディエンス録音。
この公演のオーディエンス音源といえば、過去に"Hound Dog"4曲入りのアナログEP盤のみ『Some Boys』(-)にてブート化されていましたが、本作はそのEPで使用されていたオーディエンス音源の全長版。
若干遠目でボヤけた感じの音ではあるものの、演奏自体は大きく捉えられており、録音者の周りが騒がしくない聴きやすい音質の好録音。
EP『Some Boys』はエコーがかって演奏が奥に若干引っ込んだ音でしたが、本作はやや中域を持ち上げているようで、音の奥行き感はEPに譲るものの、逆に演奏自体を前面に出した感じの音となっています。
テープチェンジをうまく曲間で行っていたようで曲中のカットは無し。
本作が使用しているマスターはダビングを何回か経たテープを使用しているようで、"Star Star"の後半部では左チャンネルの高域が落ちたり、"Beast Of Burden"では周期的に"Just My Imagination"では小刻みな音ブレがそれぞれ左チャンネルに発生しています。
他にもちょっとしたドロップアウト等も左チャンネルに時折発生しているので、ここは思い切って左チャンネルをカットしてしまい、右チャンネルをモノラル化して作成していれば、これらの欠点は解消できていたので、この処理がされなかったのは残念。
また"Jumping Jack Flash"も極端に音質が落ちるので、これもイコライジングでもう少し何とかなったのではという印象。
と、まだ改善の余地はあるようですが、ラジオ放送されたメンフィス公演の全貌がようやく聞けるようになったという点で、本作は興味深いタイトルではあります。
この日は4つあったラジオ収録の最初ということで、ミックがややおとなしめには感じますが、"Beast Of Burden"のエンディングがぐだぐだになる以外は全体的に演奏がまとまっています。
その中でも4公演中2公演が採用された"Tumbling Dice"は、間奏後のミキシングミスがあったデトロイト公演や、構成を間違えた上に放送禁止用語をミックが言ってしまうヒューストン公演よりも演奏の出来が良いのに、何故欠陥のある公演2つが放送されたのかは謎の残るところ。
なお、本作はディスク2の最後にデトロイト公演の"Tumbling Dice"がオーディエンス音源にてボーナス収録されており、ラジオ放送では間奏後のミックのマイクがオフになっている為、しばらくインスト状態になってしまっていますが、本作収録のオーディエンス音源を聴くと、会場では普通にミックのヴォーカルが出ていたことが確認出来、これはマイクのトラブルではなくミキシング作業時のミスが原因ということが分かります。
このある意味貴重な"Tumbling Dice"のオーディエンス音源については、これまでLP『Abandoned In Detroit』(CS-DM-7678)でしか聞くことが出来ませんでしたが、本作に収録されたことによってようやくCDでも聞けるようになったのは特筆すべき点。
本作に収録されているオーディエンス音源はLPとは別音源。LPの方はクリアーな音質ではあるものの定位左寄りの低域が不足気味の軽めな音質だったのに対し、本作はヒスノイズ大目で音のクリアーさはLPに譲るものの、しっかりと低音の出た安定した音で聞けるようになっています。 |
12:14, Sunday, Mar 12, 2017 ¦ 固定リンク
『100 Years Ago』(DAC-169) 2CD
Sep.1 1973 Stadthalle,Vienna,Austria
Mono Audience Recording
Quality:Excellent-Very Good
(Disc-1)
1.Introdaction/2.Brown Sugar/3.Bitch/4.Gimme Shelter/5.Happy/6.Tumbling Dice/7.100 Years Ago/8.Star Star/9.Angie/10.Sweet Virginia
(Disc-2)
1.You Can't Always Get What You Want/2.Dancing With Mr.D/3.Midnight Rambler/4.Silver Train/5.Honky Tonk Women/6.All Down The Line/7.Rip This Joint/8.Jumping Jack Flash/9.Street Fighting Man
73年秋の欧州ツアー初日、ウイーン公演全曲収録盤。
そのアルバム名とジャケットから、"100Years Ago""Silver Train"といったツアー前半のみのレア曲を押さえつつ、コンサート全体をうまく1枚のLPにダイジェスト収録していた『100 Years Ago』(0501W)の復刻完全盤のようにも見えますが、中身の音源は別物。
本作は、2種類のオーディエンス音源を使用して全曲収録盤としていた、同系列レーベルのVGP『Goodnight Vienna』(VGP-009)のアップグレード版。
事典では、この2種音源構成盤の代表タイトルとしてVGP盤に加えて、SODDの『The Golden Era 1969-1974 Vol.1』(SODD 092/093)も併記しましたが、それらと本作はどうなのかというと・・・。
構成自体は既発とほぼ同じ。
メインとなるのは"Bitch"から"Jumping Jack Flash"のイントロまでで使用されている音源で、やや遠目というか奥行きを感じる音ではあるものの、耳障りな歓声等をあまり拾っていないバランスの良い優秀録音。
このメイン音源の音質については、全体的にすっきりとした印象なのがVGP盤。SODD盤の方はVGP盤に比べて、高域を抑えつつ音全体に厚みを持たせる加工を施していることから、音のレンジ自体が狭くなっているものの、逆にその分ラウドな印象を受けるという音。
本作の音質はVGP盤とほとんど変わらず。
ただしVGP盤の欠点の1つであった、"Gimme Shelter"イントロ途中から曲の終盤までの音量レベルの周期的な変化については、本作はレベルの変化なしで聴くことが出来るようになっています。
またSODD盤とVGP盤共通だった"Star Star"終了直後の「Thank You」で発生している音ブレについても本作は解消。
このメイン音源の長さ自体は既発と変わらずで、"Bitch"やや音量が小さ目にスタートして徐々にレベル上がって来るのも同様。
もう片方の音源は、"Brown Sugar"1曲丸ごとと、"Angie"のイントロから1コーラス途中までの30秒ほど、そして"Jumping Jack Flash"と"Street Fighting Man"に使われており、メイン同様にヴォーカルがやや遠く感じるものの、音源が切り替わっても違和感が少ないというもの。ただし、やや歓声がうるさい部分があるのが玉にキズ。
こちらの音源も音質自体はVGP盤とほとんど変わりませんが、編集に若干の違いがあります。
まず今回トラック割されているディスク1冒頭の"Introduction"。
既発では"Brown Sugar"と同トラックとされていてVGP盤とSODD盤どちらも途中からのフェードイン収録でしたが、本作はトラック冒頭約10秒をLP『100 Years Ago』音源から補填収録して、オープニングイントロダクションをノーカットで聞けるようになっています。
この音源の欠点であった、"Brown Sugar"イントロ3回目のリフから展開部にかけてのテレコのレベル調整と思しき、音の落ち込み部分の処理については、VGP盤はそのまま、SODD盤はその部分を持ち上げて音量を均一にしていましたが、本作も同様に持ち上げて音量を均一としています。この音量を持ち上げた部分、SODD盤はヒスノイズも増加していましたが、本作はノイズ除去処理をきちんとしている分だけ聞きやすさが向上。
一気にライブ終盤に飛んで"Jumping Jack Flash"の前にミックが叫ぶ「Alright Baby」「Alright」の二言。SODD盤は二言目の「Alright」が微妙にカットされてしまっていましたが、本作はVGP盤同様にカット無し。
その"Jumping Jack Flash"、メイン音源からの切り替わりがイントロ5音目からなのはVGP盤やSODD盤同様。
VGP盤やSODD盤で欠けていた"Street Fighting Man"のイントロ部分については、こちらもLP『100 Years Ago』音源から補填。"Street Fighting Man"開始前のミックの語りも聞けるようになってはいますが、何故か"Jumping Jack Flash"終了直後にミックが発した「Alright」は未収録。LPの方はきちんと入っているので、この部分を未収録としたのはやや疑問の残るところ。
なお、VGP盤のラストにボーナス収録されていた前座のビリープレストンの"That's The Way God Planned It"。これが本作にも収録されていればVGP盤は完全に用済みとなったんですが、残念ながら未収録としたのは、ストーンズとは関係のない部分とはいえ、VGP盤にもまだ若干の価値を残しておくということなのかなと。 |
01:15, Thursday, Mar 09, 2017 ¦ 固定リンク
『Australian Tour 1973 』(Top Gear) |
『Australian Tour 1973 』(TOP 37) 1CD
Feb.26 1973 Royal Randwick Racecourse,Sydney, Australia
※ Track-1
Feb.24 1973 Western Australia Cricket Ground,Perth Australia
Stereo Soundboard
Quality:Excellent
1.Brown Sugar/2.Bitch/3.Rocks Off/4.Gimme Shelter/5.Happy/6.Tumbling Dice/7.Love In Vain/8.Sweet Virginia/9.You Can't Always Get What You Want/10.Honky Tonk Women/11.All Down The Line/12.Midnight Rambler/13.Band Introduction/14.Little Queenie/15.Rip This Joint
一部クレジットミスがあったので修正と、そのクレジットについて追記。
著作隣接権切れでリリースされているブライアン期のハーフオフィシャル物と一緒に、ブート屋以外のレコードショップでも見かけることのある本作。
これもハーフオフィシャルかと思われがちですが、中身の方は1973年のライブで著作隣接権が有効な期間の音源につき、これはれっきとしたブート。
収録されているのは卓直結のサウンドボード音源、クレジットには2月24日のパース収録とありますが、24日の音源は冒頭の"Brown Sugar"のみで、曲終了直後からは次の26日のシドニー公演音源に切り替わっています。
これは26日の宅直結音源が"Brown Sugar"の曲の途中からスタートしていた為、この曲だけは差し換えざるを得なかったかと。
本作は、卓直結音源の平面的な音を聞きやすくするために、全体的に結構強めにリバーブをかけていますが、この処理についてはヘッドフォンで聞いた際に、かなりのエコー感があるので好みの分かれるところ。
・・・と特徴だけを羅列してきましたが、実のところ本作はWLRの14枚組ボックス『TOUR 1973』(WLR2135)のディスク4の丸コピー盤。
WLR盤の特徴であった過度のエコーもそのままなら、24日音源である"Brown Sugar"の左右チャンネルが逆なのも変わらず。
また、全体的なピッチが遅めなのも同じですが、これはWLR盤自体が基にしたのがOh Boy『Happy Birthday Nicky』(OH BOY 2-9039)だったため。
つまり本作はOh Boy盤の孫コピータイトルということになります。
したがって他のタイトルの多くでは問題ない"Honky Tonk Women"のイントロが欠けている点もそのまま。
本作が全編24日のパース公演とクレジットされているのも然り(Oh Boy盤は26日のシドニー公演音源を24日パースのイブニングショーと表記)。ちなみにWLR盤は逆に全編26日のシドニー公演とクレジットされていましたが、これはTop Gearの作成者がおそらく"Brown Sugar"だけ聞いてWLR盤のクレジットが間違っていると判断して修正したのかも。もしそうなら、まだWLR盤のクレジットだった26日の方が正解率が高かったのに残念。
過度のエコーはさておき、後発なので、せめてピッチと左右調整や欠損部分の補填くらいはしておいてもらいたかったところ。 |
09:16, Sunday, Mar 05, 2017 ¦ 固定リンク
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