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2021年 5月
『Palladium 1978』(-) 2CD
June.19 1978 New York Palladium,NYC,NY,USA
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Intro/2.Let It Rock/3.All Down The Line/4.Honky Tonk Women/5.Star Star/6.When The Whip Comes Down/7.Respectable/8.Miss You/9.Just My Imagination
(Disc-2)
1.Far Away Eyes/2.Love In Vain/3.Beast Of Burden/4.Shattered/5.Sweet Little Sixteen/6.Tumbling Dice/7.Happy/8.Brown Sugar/9.Jumping Jack Flash/10.Don't Look Back
(※) Don't Look Back・・・Peter Tosh with Mick Jagger
78年ツアー6公演目、シアターギグとしては4公演目となる6月19日ニューヨーク・パラディアム公演収録盤。
この日の"Brown Sugar"では、ミックが観客との「I said, yeah, yeah, yeah, woo」の掛け合いをする前に曲が終ってしまうという、『Europe 76』(DAC-087)等でブート愛好家なら一度は耳にしているであろう1976年6月7日のパリ公演でのミス再び。
この時もパリ同様に曲が終わった後、演奏なしでミックが掛け合いをして場を収めています。
そんなパラディアム公演、既発盤はEXILEがリリースしていた『New York Palladium』(EXM-005AB)。
全曲ノーカット収録ではあるものの、基になったテープの状態がかなり悪く、"Let It Rock"ではテープ劣化による回転ムラで音が波打ち、"Miss You"はピッチがやや不安定、そして"Just My Imagination"では曲の途中から一段と音の波打ちが激しくなり、"Far Away Eyes"から持ち直すものの"Jumping Jack Flash"では再び音が波打つといった状態のマニア向けタイトル。
本作は、EXILE盤と音源自体は同じですが、状態がはるかに良いマスターから作られているため、音ムラや音の波うちといった問題は無し。
この音源、やや距離を感じる録音ではあるものの、演奏自体は大きめに拾われているのと、曲中に耳障りな手拍子等がほとんど入って来ないことから、案外と聴き易かったりするのですが、主に曲間で入ってくる口笛が耳につくのが玉にキズ。
本作はEXILE盤よりも高域を抑えつつ低域をやや持ち上げた音造りにしているため、明るめの音造りだったがために口笛に加えてシンバル類も時折耳についていたEXILE盤に比べて、聴き易さが向上しています。
EXILE盤同様、ディスク2のラストにボーナストラックとして収録されているのは、前座のピータートッシュのステージに、ミックがコーラスでゲスト参加した"Don't Look Back"。メインに比べるとやや音が遠目の録音。この曲の前半では口笛がうるさかったりしますが、最後までではなく途中で収まります。
本作のディスク割、EXILE盤同様に"Just My Imagination"でディスク1終了としていますが、何故か終わりはEXILE盤のようにフェードアウト処理がしてなくてカットアウト。そしてディスク2冒頭もフェードインではなくカットイン。もしやと思ってこの部分を繋げてみたところ、実はノーカットで奇麗に繋がることが判明。
実際のテープチェンジはディスク2の1曲目"Far Away Eyes"終了後であり、本作もその部分に編集痕があったりするので、素直にディスク1の終わりに"Far Away Eyes"を収録してディスクを終わらせておけば自然だったと思われるのですが・・・。
丁寧な編集のタイトルが多いノンレーベルシリーズ、このタイトルに限ってはやや雑な印象。 |
by Hara ¦ 07:25, Thursday, May 27, 2021 ¦ 固定リンク
『Complete Lacerated』(-) 2CD
June.28 1978 Mid-South Coliseum,Memphis,TN,USA
June.29 1978 Rupp Arena,Lexington,KY,USA
July.6 1978 Masonic Temple Auditorium,Detroit,MI,USA
July.18 1978 Will Rogers Memorial Center,Fortworth,TX,USA
July.19 1978 Sam Houston Coliseum,Houston,TX,USA
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Introduction(6/29)/2.Let It Rock(7/18)/3.Honky Tonk Women(7/19)/4.Star Star(7/19)/5.Lies(6/29)/6.Miss You(6/29)/ 7.Just My Imagination(6/29)/8.Beast Of Burden(7/19)/9.Shattered(6/28)/10.Respectable(7/19)/11.Member Introduction(7/6)/12.Love In Vain(7/6)/13.Tumbling Dice(7/6)/14.Happy(7/6)/15.Hound Dog(6/28)/16.Sweet Little Sixteen(7/19)/17.Brown Sugar(7/19)/18.Jumping Jack Flash(7/19)
(Disc-2)
1.Introduction(7/6)/2.Let It Rock(7/6)/3.All Down The Line(7/19)/4.When The Whip Comes Down(7/6)/5.Lies(7/19)/6.Miss You(7/6)/7.Just My Imagination(7/6)/8.Beast Of Burden(6/29)/9.Member Introduction(6/29)/10.Shattered(6/29)/11.Respectable(6/29)/12.Faraway Eyes(6/29)/13.Member Introduction(7/19)/14.Tumbling Dice(7/19)/15.Happy(7/19)/16.Sweet Little Sixteen(6/29)/17.Brown Sugar(6/29)/18.Jumping Jack Flash(6/29)
1978年ツアーのFMラジオ放送音源収録盤繋がりで少し前に出た・・・と思いきや、実は1年半も経ってしまっていたようですが、とりあえずその気になったので、このまとめタイトルを。
本作は78年ツアーのFMラジオ放送関連音源の集大成となるタイトル。
まずメインとなる、本作全36トラック中29トラックを占めているのが、アメリカのラジオ番組「King Biscuit Fllower Hour」(通称KBFH)の未放送・未編集含む放送用素材音源で、TSP『Handsome Girls』(TSP-CD-200-4)から。
素材だけあって、放送ではミックの放送禁止用語部分がカットされた7月6日デトロイト公演のバンドコールはノーカット、そして同じくミックが放送禁止用語を発したためにセンサード・バージョンとなっていた、こちらもデトロイト公演の"Just My Imagination"もピー音が被されない状態で聴くことが出来ます。
音の方は当然ながら超高音質で、基となったTSP盤より若干音の抜けが良くなった印象。
そしてこの放送用素材音源の中、本作独自の編集が施されているのがディスク1、デトロイト公演からの"Tumbling Dice"。ラジオ音源では間奏後のAメロでのミックのヴォーカルがオフになってしまっており、他の楽器用マイクに回り込んだと思しき微かな音量でしか聴くことが出来ず、この点は『Handsome Girls』でも変わりませんでしたが、実際のライブ会場での出音ではしっかりと出ていたことがLP『Abandoned In Detroit』(CS-DM-7678)で確認出来ていたことに目を付け、本作はサウンドボード音源にこのオーディエンス音源を被せることによりミックのヴォーカルを聴けるように試みています。
ただ、オーディエンス音源自体が、エコーがかった遠めの音像のヴォーカルバランスだったため、劇的にヴォーカルがオンになったわけではなく、若干音量が上がった程度の印象ではあるものの、既発よりは僅かながらよく聞こえるように改善されています。
その『Handsome Girls』からは、本作の両ディスクともライブのダイジェストというコンセプトのためか、ラジオに採用されなかった7月18日フォートワース公演からの"Let It Rock"も本作のディスク1に収録。もちろんこちらも超高音質で、同様にTSP盤よりも高域の抜けを良くしている印象。
続いては、ディスク2後半に収録されている7月19日ヒューストン公演からの"Member Introduction""Tumbling Dice""Happy"、6月29日レキシントン公演からの"Brown Sugar""Jumping Jack Flash"の5トラック。これらもKBFH関連ではありますが『Handsome Girls』に未収録だったもの。
この音源についてはアナログLP時代から、基は同じながらダビング工程の異なる2つの系統があります。
まずは『Special Collector's Series Volume 8』(OBR 93008)や『Can't Stop Rollin』(OBR 93008)等のOBR系タイトルに収録されていた方の音源。
高域があまり入っていないレンジ狭めの音につき、Dandelion『Handsome Girls』(DL030-33)等の、こちらの音源を加工収録したCDについてはメインのラジオ音源とはかなりの音質差がついてしまっています。
もう1つの系統がLP『Live From England 1974』(-)に収録されていた音源。
LP自体はコモリ気味に感じる音ではあるものの、実は必要な周波数がしっかりと入っていたことから、この音源をイコライズして収録した『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』(-) 、『The Lost Handsome Girls』(-)、『Handsome Girls Lexington』(DAC-178)、『Handsome Girls Houston』(DAC-172)といったタイトルでは、メインのKBFH音源に比べて音の端々が若干傷んでる程度の印象は受けるものの、ほとんど変わらないくらいの高音質となっています。
5トラックの内、ヒューストン公演の"Tumbling Dice"は、ミックが放送禁止用語を発してしまったがためにピー音を被せたセンサード・バージョン。既発ではこのピー音をカットして音飛び状態になっていたり、別公演からの同部分を被せていたりするタイトルがあったりしましたが、本作はピー音そのままの状態で収録。
その"Tumbling Dice"とレキシントン公演の"Jumping Jack Flash"。どちらも曲が終わり切らないうちにフェードアウトし始めますが、本作は既発CD同様に音量を上げて曲中フェードアウト問題を解消。加えて曲終了後の歓声が短いことについての対応として別の歓声を被せることにより唐突な印象を抱かせない造りとしています。
また、レキシントン公演の"Brown Sugar"はイントロが欠けてしまっており、DAC『Handsome Girls Lexington』は欠けたままフェードイン、『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』と『The Lost Handsome Girls』は7月19日ヒューストン公演の同曲イントロを補填してノーカット収録としていましたが、本作は7月18日フォートワース公演のイントロを補填して全く違和感なく通して聴けるようにしています。
そして残るトラックは、本作のオープニングを飾る6月29日公演のミックによるバンドコール。こちらは『Handsome Girls』から唯一漏れたKBFH関連音源で、『King Biscuit Fllower Hour』(KBFH-CD-001-2)や『Just Another Gig』(MAG901 401)、先に触れた『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』(-) 、『The Lost Handsome Girls-』(-)といったで聴けたもの。こちらもまた高音質ですが、既発が中高域上げ気味だったことから、本作はメインに合わせるため逆に高域を少し抑えた音造り。
FMラジオ放送関連音源が1つのタイトルに全てまとまったのは本作が初。
本作のアルバムタイトルの元となった『Lacerated』は一部の曲が漏れてはいるものの、コンサートがダイジェストで楽しめる選曲の放送から作られた音盤でしたが、Completeと銘うった本作もまたその流れを踏襲して、ディスク1とディスク2のどちらか片方を聴いても、同様にコンサートがダイジェストで楽しめるようになっている点がポイント高いかと。
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by Hara ¦ 23:59, Friday, May 21, 2021 ¦ 固定リンク
『Live...1978』(KING STREET) |
『Live...1978』(KINGCD4197) 1CD
June.28 1978 Mid-South Coliseum,Memphis,TN,USA
June.29 1978 Rupp Arena,Lexington,KY,USA
July.6 1978 Masonic Temple Auditorium,Detroit,MI,USA
July.19 1978 Sam Houston Coliseum,Houston,TX,USA
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
1.Intro/2.Let It Rock(7/6)/3.All Down The Line(7/19)/4.Honky Tonk Women(7/19)/5.Miss You(7/6)/6.Just My Imagination(7/6)/7.Shattered(6/28)/8.Hound Dog(6/28)/9.Respectable(7/19)/10.Beast Of Burden(7/19)/11.When The Whip Comes Down(7/6)/12.Love In Vain(7/6)/13.Tumbling Dice(7/6)/14.Happy(7/6)/15.Brown Sugar(7/19)/16.Jumping Jack Flash(7/19)
表ジャケットにも表記されているように本作が収録しているのは、アメリカのラジオ番組「King Biscuit Fllower Hour」(通称KBFH)にて放送された1978年ツアーのライブ音源。
このアルバム、帯では「Alive The Live」と銘打たれていますが、ジャケットやディスクにその表記はないため、実のところは日本独自でつけたシリーズ名のようです。
本作収録のこの選曲は1979年4月29日に放送された時のもので(同じ選曲での再放送があったかは不明)、LP時代から幾つものタイトルがリリースされてきましたが、LP復刻の形をとりながらも音質が向上したVGPの『Lacerated』(VGP-004)が、この選曲のブートとしては代表的なタイトルとなっています。
ちなみに、VGP盤はここに挙げたカラージャケットだけでなく、それ以前にアナログ盤と同じモノクロジャケットでのリリースもされていましたが、単なるジャケ替え再発ではなく、"When Th Whip Comes Down"終了直後にチャーリーがドラムをドカドカと叩いている部分が、カラージャケットの方が長く余分に収録されているといった違いがあったりします。
放送音源につき、ミック・ジャガーによるライブ開始時のバンドコールは放送禁止用語部分をカット、また"Just My Imagination"間奏後のAメロでもミックが放送禁止用語を発しており、こちらは曲中なのでその部分をカットするわけにもいかず、ピー音を被せたセンサード・バージョンとなっています。
そのこれらの部分を未編集で聴けるようにしたことに加え、音質も向上したタイトルがTSPの『Handsome Girls』(TSP-CD-200-4)。
さて本作、全体的に中域を持ち上げた音造りのため、"Respectable"等の一部の曲ではギターやヴォーカルが耳につく聴きづらい音となってしまっているのが何ともで、一応Excellentにはしていますが、VGP盤と比べると音質は劣っている印象。
そして前述の"Just My Imagination"のピー音部分はというと、あろうことかその部分をカットしてしまってるが故に、曲が音飛び状態になっているという・・・。
唯一VGP盤に勝っている点がラスト"Jumping Jack Flash"のエンディング部分。
VGP盤は曲が完全に終わり切らないうちにフェードアウトが始まり、曲が完全に終わってから僅か3秒ほどでディスクエンドとなるのに対し、本作は曲が終わった後の歓声部分が8秒弱もあるので、VGP盤で感じるであろう唐突さが軽減されています。 |
by Hara ¦ 23:28, Monday, May 17, 2021 ¦ 固定リンク
『Philadelphia 1989 Second Night』(-) |
『Philadelphia 1989 Second Night』(-) 2CD
Sep.1 1989 Veteran's Stadium, Philadelphia,PA
Stereo Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Continenntal Drift/2.Start Me Up/3.Bitch/4.Sad Sad Sad/5.Undercover Of The Night/6.Harlem Shuffle/7.Tumbling Dice/8.Miss You/9.Ruby Tuesday/10.Play With Fire/11.Dead Flowers/12.One Hit/13.Mixed Emotions/14.Honky Tonk Women/15.Rock And A Hard Place/16.Midnight Rambler
(Disc-2)
1You Can't Always Get What You Want/2.Little Red Rooster/3.Before They Make Me Run/4.Happy/5.Paint It Black/6.2000 Light Years From Home/7.Sympathy For The Devil/8.Gimme Shelter/9.It's Only Rock'n Roll/10.Brown Sugar/11.Satisfaction/12.Jumping Jack Flash/13.Carmen
プレスでのブート初登場となる1989年Steel Wheelsツアー2日目、9月1日フィラデルフィア公演収録盤。
前回投稿で採り上げた初日の音源に似た感じの、音の輪郭は甘めなものの演奏を大きく捉えたバランスの良い音源が基となっており、曲中カットは無し。
ただし、ディスク1のラスト"Midnight Rambler"は曲が完全に終わり切らないうちにフェードアウト開始してしまっているので、ここはその後のフェードアウトが急になったとしても、曲が終わりきった後の開始の方が良かったかも。
"One Hit"ではマイクを隠したりしたようで音が不安定になったり、曲の中間部では周りの観客のしゃべりが耳障りだったりもしますが、他は基本的に曲中は周りが静かめで安定しているので、さほどストレスなくコンサート全編を聴くことが出来ます。
とはいえ、主に曲間で吹いていることから、さほど不快というほどのことではないかもしれませんが、録音者近くの観客による口笛が大きなレベルで入り込んできてしまっているので、リミッターがかかった印象になってしまう可能性はあるものの、口笛部分のみの音量を少し下げた方が聴き易さが向上したかと。
前日、停電トラブルのあった"Shattered"はセット落ち。
またアレンジも前日から若干変更を加えており、バンド全体が止まった後に「And a hard place」とミックが歌うエンディングが付いていた"Rock And A Hard Place"は、バンド全体が止まって曲が終わるお馴染みのエンディングに。
そして前日なかなかキースが弾き始めなかったがために、やたらと間が空いてしまった"Paint It Black"はなんと鍵盤がイントロを担当・・・。さすがにやり過ぎとなったのか次の公演からはキースに戻りましたが、ある意味これがこの公演の目玉かと。
またこの日の"Miss You"では、見せ場のはずのミックの中間のファルセットヴォーカルが何故かオクターブ下げだったり、これはそれほどレアでもないような気もしますがキースはキースで自分が歌う曲のイントロを2曲とも弾き損じ(よりによって本作のジャケットはそのキースが歌っている写真という・・・)、本編ラストの"Satisfaction"ではミックのコール・アンド・レスポンスの譜割りがおかしかったりといった、ツアー序盤ならではのイレギュラーな演奏も聴くことも出来ます。 |
by Hara ¦ 23:50, Friday, May 14, 2021 ¦ 固定リンク
『Philadelphia 1989 First Night』(-) |
『Philadelphia 1989 First Night』(-) 2CD
Aug.31 1989 Veteran's Stadium, Philadelphia,PA
Stereo Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Continenntal Drift/2.Start Me Up/3.Bitch/4.Shattered/5.Sad Sad Sad/6.Undercover Of The Night/7.Harlem Shuffle/8.Tumbling Dice/9.Miss You/10.Ruby Tuesday/11.Play With Fire/12.Dead Flowers/13.One Hit/14.Mixed Emotions/15.Honky Tonk Women/16.Rock And A Hard Place
(Disc-2)
1.Midnight Rambler/2.You Can't Always Get What You Want/3.Little Red Rooster/4.Before They Make Me Run/5.Happy/6.Paint It Black/7.2000 Light Years From Home/8.Sympathy For The Devil/9.Gimme Shelter/10.It's Only Rock'n Roll/11.Brown Sugar/12.Satisfaction/13.Jumping Jack Flash/14.Carmen〜The Ride Of Valkyries
1989年Steel Wheelsツアー初日となる8月31日フィラデルフィア公演収録盤。
7年ぶりに復活ツアーの初日ということで注目度も高かったはずのこの公演、当時はLPでのリリース告知もあったようですが結局実現せず、ステージでの停電発生でライブが中断するハプニングが起きた"Shattered"のみが『20 Years Rare Live 1969-1989』(GF 002)等幾つかのタイトルでリリースされてきただけでしたが、
ようやくライブから10年後の1999年にDirty Work Productionがリリースした『Electrical Discharge』(DWP-003)で、この公演の全曲が聴けるようになったのでした。
このDWP盤、音の輪郭はやや甘めながら演奏を大きめに捉えたバランスの良い音源から作成されていましたが、本作はそのDWP盤と同じ音源ながらジェネレーションが低いテープが基となっているため、ヒスノイズが少なくなっている分だけ聴き易さが若干向上。
本作が基にしたテープは終演後も長く収録されており、DWP盤では"Jumping Jack Flash"が終わったらフェードアウトでディスク終了となっていたのに対し、本作はその後の場内で流れる"Carmen"と"The Ride Of Valkyries"も聴けるようになっています。
また、DWP盤で若干早めだったピッチも正常になっていることに加え、録音レベル調整により音量が上下していた"Start Me Up"もほぼ均等になるよう修正されています。
ちなみにDWP盤が基にしたテープでは"Dead Flower"の前が意図的にカットされていたようで
(カットの前にテープチェンジ後の曲間部がほんの僅か聞こえる)、イントロが若干欠けていましたが、本作はyoutubenにもアップされているオーディエンス映像の音声を補填して、"Play With Fire"終了後から"Dead Flowers"が始まるまでをスムーズに聴けるようにしたことにより、DWP盤では聴けなかったミックの曲紹介MCも聴けるようにしています。
惜しむらくは、"Happy"終了後から"Paint It Black"のイントロを弾き出すまでののカット部も同様の処理がされていれば、なかなかキースがイントロを弾き始めないため、場繋ぎ(?)として発したミックの言葉が聴けるだけでなく、翌9月1日フィラデルフィア公演の"Paint It Black"のイントロをキーボードが受け持つことになった理由が、これではないかということが分かったのにという点で残念。 |
by Hara ¦ 23:15, Wednesday, May 12, 2021 ¦ 固定リンク
『Let It Bleed Sessions』 (Mayflower) |
『Let It Bleed Sessions』 (MF-162/163) 2CD
Feb.9-Mar.31 1969 Olympic Sound Studios,London,UK
(※)Disc-1 Track1
May.23 1968 Olympic Sound Studios,London,UK
(※)Disc-1 Track11-17
Apr.12-July.2 1969 Olympic Sound Studios,London,UK
(※)Disc-2 Track1-10
Oct.17-Oct.26 1969 Sunset Studios L.A.USA & Oct.28-Nov.2 1969 Elektra Studios L.A.USA
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Love in Vain(Take 6 Blues Version)/2.Midnight Rambler(Take 18)/3.Love In Vain(Rough Vocal Mix)/4.You Got The Silver/5.Gimme Shelter #1/6.Let it Bleed(Inst)/7.Honky Tonk Women/8.Gimme Shelter #2/9.Sister Morphine(Without Piano)/10.And I Was A Country Boy/11.Downtown Suzie/12.Country Honk(Inst)/13.Country Honk(Without Fiddle)/14.Loving Cup/15.Jiving Sister Fanny/16.I Don't Know Why/17.Let It Bleed(Rough Vocal Mix)/18.Sister Morphine(Longer Early Version)
(Disc-2)
1.All Down The Line(Acoustic)/2.Hillside Blues/3.Gimme Shelter(1st Guitar + Percussions)/4.Gimme Shelter(2nd Guitar)/5.Gimme Shelter(Bass)/6.Gimme Shelter(Percussion)/7.Gimme Shelter(Piano,Guitar,Mouth Organ)/8.Gimme Shelter(Vocal)/9.Gimme Shelter(Backing Track)/10.Gimme Shelter(Rock Band Expert Full Band)/"You Can't Always Get What You Want" Choir Overdub Session
11.Rehearsal 1/12.Rehearsal 2 & 3/13.Take 1/14.Take 2 & Practice/15.Rehearsal 4/16.Rehearsal 5/17.Take 3/18.Rehearsal 6/19.Take 4/20.Take 5/21.Take 6
Mayflower、2度目のリリースとなる『Let It Bleed』アウトテイク&セッション集。
前作『Let It Bleed Sessions』(MF-40/41)は、何故かオフィシャル『Jamming With Edward』がアルバム丸々入っていたり、肝心のアウトテイクはというと左右が逆のテイクや漏れがあったりと、何とも雑なタイトルでしたが、本作はうってかわって69TRAX等の近年流出した音源もきちんとフォローした『Let It Bleed』関連の集大成的タイトル。
本作リリースの少し後に『Fully Finished Studio Outtakes』(BFR 101-103)にて、"Curtis Meets Smokey"(クレジットでは1966年と表記されていますが実際は1969年の音源)が発掘されたため、この曲だけは漏れてしまっていますが、それ以外は全て収録しているという力作。
ディスク1、トラック3の"Love In Vain"とトラック17の"Let It Bleed"の2曲のアセテート音源は、DAC『The Olympic Sound Studios Sessions 1968-1969』(DAC-198)にてブート初登場となったもの。本作もDAC盤同様、youtubeで公開されていた曲の前半1分半から45秒程度のものですが、どちらもヴォーカルが異なる貴重な音源につき、フルサイズの流出が望まれるところ。
ディスク2のトラック3からトラック9までは、前作にも入っていたJam Trackなるソフト用の分離トラック群ですが、ディスク2のトラック11以降収録の、69TRAXからの"You Can't Always Get What You Want"のコーラスダビングセッション音源同様に、何度も聴くような音源ではないので、ディスク2の最後の方に固められてるのは親切かも。
その観点でいうと、ゲームソフト「Rock Band」用に制作されたフェードアウトせずに曲が終わる編集が施された、本作が初収録となるトラック10"Gimme Shelter(Rock Band Expert Full Band)"が、分離トラック群の前に配置されていたら尚良しだったかも。 |
by Hara ¦ 21:18, Sunday, May 09, 2021 ¦ 固定リンク
『Buffalo 1981』(-) 2CD
Sep.27 1981 Rich Stadium,Buffalo,NY,USA
Stereo Audience Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Introduction/2.Under My Thumb/3.When The Whip Comes Down/4.Let's Spend The Night Together/5.Shattered/6.Neighbours/7.Black Limousine/8.Down The Road Apiece/9.Just My Imagination/10.Twenty Flight Rock/11.She's So Cold/12.Time Is On My Side/13.Beast Of Burden
(Disc-2)
1.Band Introductions/2.Let It Bleed/3.You Can't Always Get What You Want/4.Tops/5.Tumbling Dice/6.Little T&A/7.Let Me Go/8.Hang Fire/9.Start Me Up/10.Miss You/11.Honky Tonk Women/12.All Down The Line/13.Brown Sugar/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man/16.Fireworks
1981ツアー3公演目となるバッファロー公演収録盤。
この公演は不完全ながらミキサー卓直結のサウンドボード音源もブート化されていますが、本作が収録しているのは『Buffalo'81』(Dandelion 94006/7 ※盤面クレジットは94004/94005)にて聴くことの出来たオーディエンス音源。
風の影響により高域部が時折揺れたりはするものの演奏を大きく捉えており、カセット録音ながら上下のレンジが広めな聴き易い音質の好音源。
既発『Buffalo'81』の方は、ライブ終盤の"Jumping Jack Flash"以降の2曲が未収録という欠点があったのに対し、本作は同じ音源で音質も変わることなくこの未収2曲含むライブ全曲を収録。
ピッチ早めだった『Buffalo'81』と違い、本作は正常。音質も不自然にならないよう調整しており、『Buffalo'81』よりも太く聴き易い音に仕上げてあります。
ちなみにサウンドボード音源を収録した『Buffalo's Rock'n'Roll Animals』(DAC-027)にも、"Under My Thumb"から"Shattered"までの4曲と"You Can't Always Get What You Want"や"Jumping Jack Flash"の曲後半といったサウンドボード音源欠落部の補填として、このオーディエンス音源が使われており、傾向としては本作同様に音が太く聴き易くなっていますが、本作の方がすっきりとした印象となっています。
既発両タイトルのディスク1冒頭に収録されていたサウンドチェックと思しきピアノ数秒を本作はカットしているものの、テープチェンジにあたった"Time Is On My Side"終了後のミックのMCは、僅かながら本作の方が長く聴くことが出来ます。
また、その"Time Is On My Side""All Down The Line"それぞれの終了後のテープチェンジ箇所の編集については、『Buffalo'81』は前者が単純にくっつけただけで後者はフェードアウトのカットインという雑だったものに対し、本作はきちんと繋げてはあるものの、もう少しクロスフェード範囲を広げる等して滑らかにしてあると尚良しだったかも。
この日の演奏については事典にも書きましたが、前日よりセットリストに加わった"Down The Road Apiece"では、曲中にチャーリーが勘違いして曲を終わらせそうになって演奏が崩れかけていたり、"She's So Cold"は構成が無茶苦茶。"Let Me Go"では、ミックが「I find it hard to be cruel」のパート展開に何度か持っていこうとするものの、バンドがそれに気付かないというツアー序盤ならではのドタバタぶりが満喫できます。
また、"Let It Bleed"演奏後では、客席から何かが投げ込まれてロンのプレイの邪魔をしたようで、ロンがマイクを通して客に文句を言っているという珍しい光景も。
なお、こちらも事典に書きましたが、この公演ではバンドコールが終わってもなかなか演奏が始まらないことから、キースの機材トラブルかと想像してしまいますが、実際のところはこの時はまだ"Take The A Train"をオープニングSEにしているわけではなく、普通のBGMをバックにしたバンドコールの後に、メンバーがステージ裏の花道からステージに入ってきて演奏を始めるという演出だったので、かなり間が空いてしまったということが、この日のニュースのアウトテイク映像(頭から3曲)で確認できます。
併せてこの日は強風のため、ステージ横に貼り付けられた『Still Life』のジャケットでもお馴染みのカズヒデ・ヤマザキのイラスト幕も危険防止の為、剥がされていることもこの映像では分かります。
そのニュース映像はプレスDVD『STILL LIFE』(WOW 273)に収録されています。
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by Hara ¦ 11:49, Tuesday, May 04, 2021 ¦ 固定リンク
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