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2015年 6月
番外編『Sticky Fingers』Super Deluxe Edition |
『Sticky Fingers』Super Deluxe Edition
(Disc-2) Bonus Disc
1.Brown Sugar(with Eric Clapton)/2.Wild Horses(Acoustick)/3.Can't You Hear Me Knocking(Alternate Version)/4.Bitch(Extended Version)/5.Dead Flowers(Alternate Version)/6.Live With Me(Live At The Roundhouse.1971)/7.Stray Cat Blues(Live At The Roundhouse.1971)/8.Love In Vain(Live At The Roundhouse.1971)/9.Midnight Rambler(Live At The Roundhouse.1971)/10.Honky Tonk Women(Live At The Roundhouse.1971)
(Disc-3) Get Yer Leeds Lungs Out
1.Junping Jack Flash/2.Live With Me/3.Dead Flowers/4.Stray Cat Blues/5.Love In Vain/6.Midnight Rambler/7.Bitch/8.Honky Tonk Women/9.Satisfaction/10.Little Queenie/11.Brown Sugar/12.Street Fighting Man/13.Let It Rock
(Disc-4) Live At The Marquee Club,1971 ※DVD
1.Midnight Rambler/2.Bitch
『Sticky Fingers』Super Deluxe Editionのディスク2以降についての雑感等を少々。
まずはCD2のボーナスディスク。
トラック1の"Brown Sugar"は、古くからブートでお馴染みのクラプトン入りテイク。
比較的新しめな収録盤であるDAC『Sympathy For Slowhand』(DAC-075)と比べてみると。
Super Deluxe Editionの方はブートと定位が変えられており、キースのサイドギターやボビー・キーズのサックス、そしてアル・クーパーのピアノが右に定位しているのはそのままですが、クラプトンが弾いていると思しきスライドギターはブートがほぼ中央だったのに対し、Super Deluxe Editionは左にミックスされていることから、これまで全体的に右寄りに感じられたこのテイクの左右バランスが良くなっています。
逆に間奏のみに現れるテイラーのリードギターはブートだと左でしたが、Super Deluxe Editionは中央にミックス。また、曲後半のミックのアドリブヴォーカルがブートよりオンにミックスされていることに加え、曲が終わった後にはブートで聞けなかったミックの語りがほんの少し聞けるようにもなっています。
ということでこのテイクについては、ブートも別ミックスとしてまだ価値が残ったのかなと。
トラック2は"Wild Horses"。
映画『Gimme Shelter』にて抜粋披露されていたものや『Hot Rocks』の初回版に誤って収録されていたものと同テイク。
『Hot Rocks』では、イントロ部はストロークで歌いだしからハーモニクスを弾いているギターが中央やや左に定位してますが、Super Deluxe Editionは左に寄せられ、ステレオ感を出すためコーラス系のリバーヴがかけられています。また歌い始めからバッキングのコードを受け持つギターについては『Hot Rocks』は中央やや右寄りなのに対し、Super Deluxe Editionは右にミックス。そしてこの右側のギター、『Hot Rocks』ではイントロの最初から聞こえますが、Super Deluxe Editionの方は最初オフになっており歌い出し寸前(16秒)からオンになっています。
「Graceless lady」のヴァースから入ってくるピアノが中央にミックスされているのは『Hot Rocks』もSuper Deluxe Editionも同じですが、『Hot Rocks』の方がかなりオンにミックスされており、最初のサビ以降はかなり目立って聞こえ、中央やや右寄りのギターがかき消されてしまっている箇所が多いため、Super Deluxe Editionとは異なる印象を受けることも。
映画『Gimme Shelter』の方は、Super Deluxe Edition同様にギターがきちんと左右に分離したミックスとなっていますが、ピアノが右にミックスされているということで、このテイクは3種のミックスが存在するということとなります。
ブートでは『Time Trip 1969-1973 Vol.2』(R.S-TR-12)やDACの『Time Trip 1966-1974』(DAC-063)で聞けたものと同テイク。
左右のギターの振り分けや中央のピアノ等、定位はほぼ同じですがリバーブが異なるため、ブート方がややこじんまりとした印象。このブートで聞けるミックスも右からのギターはイントロ初めから聴くことが出来ます。
曲が終わった後のチャットは『Hot Rocks』やブートでは未収録につき、Super Deluxe Editionのみで聞くことが出来ます。
なお、Super Deluxe Editionの4分18秒に発生している音ブレはマスターに起因するもののようで、『Time Trip 1969-1973 Vol.2』や『Time Trip 1966-1974』でも同様の音ブレが確認できますが『Hot Rocks』の方にはありませんので、マスターの経年劣化によるものなのかと推測されます。
余談となりますが、『Hot Rocks』のこのモノラルに近いミックスもYellow Dogの『The Black Box』4枚組バージョン(YD-046-048,2000)や、最近ではWLRの『Rarities Deluxe - Collectors Edition』(WLR-2198)といった幾つかのブートにアナログ落としで収録されていますが、VGPの『Bright Lights Big City』(VGP-307)は何故かモノラルで収録されているので要注意。
トラック3の"Can't You Hear Me Knocking"は、アウトテイク自体がブートでもリリースされていなかった曲。
イントロのリフがようやく出来つつあるといった状態で、歌詞が未完成なのはもちろん、曲の構成もまだあやふやな初期テイク。後半のインプロビゼーションは当然のことながら無く、それ以前に演奏終了。Super Deluxe Editionは、この後のラウンドハウス収録曲からも推測されるように、1枚のディスク内に同じ楽曲が重複するのを避けるというコンセプトのようなので、もう少し進んだテイクが併せて収録されなかったのはちょっと残念。とはいえ、このテイク自体が聞けるようになったこと自体が大変画期的ではあるのですが・・・。
トラック4の"Bitch"も、ブートで聞くことの出来たものはミックス違い程度のものでアウトテイクとはいえないものしかありませんでしたが、今回のSuper Deluxe Edition収録テイクは、歌詞が未完成どころではなく演奏自体がアルバム採用テイクとは異なるもの。フェードアウトすることなく、ほぼ演奏が止まる最後の部分まで聞くことが出来るため、曲終盤の各人のフリーなアドリブを聞くことが出来ます。
"Dead Flowers"はAlternate Versionとサブタイトルが付いており、アウトテイク扱いとなっていますが、アレンジ自体は70年8月30日からスタートし10月9日まで続いたヨーロピアンツアーと同じもの。
NicoのHPでは、このテイクもアルバム収録の正規テイクと同じ69年12月9,10,18日のオリンピックスタジオでのレコーディングとなっており、この別テイクの方が初期テイクとされていますが、もしそうだとしたら何故に翌年のツアーで今回の別テイクのアレンジ、所謂ボツとしたアレンジが復活したのかが謎となりますが、どう聞いてもこの3日間でここまで雰囲気を変えるとは考え難い気も・・・。
ちなみに70年ツアーでの演奏を比べたところ、残念ながらまったく同じ演奏はありませんでしたが(未ブート化の9月9日と11日、12日の昼夜どちらかのショー、29日、そして10月3日は確認出来ず)、テンポやニュアンスはツアー初期の頃に近いものがあったので、ツアー開始前8月27日と28日にロンドンのLyceum Theatreで行われた
リハーサルの可能性が高い気がしますが、はたして真相はいかに。
他のこの曲のアウトテイクとしては、アルバムテイク同様のアレンジのテイクが過去にブート化されており、
前述の『Time Trip 1969-1973 Vol.2』(R.S-TR-12)やDACの『Time Trip 1966-1974』(DAC-063)にも収録されています。こちらのアウトテイク、ベーシックトラック自体はアルバムと同じなものの、スライドギターとヴォーカルが異なっており、間奏後のサビ「Take me down little Susie」のlittle Susieをlittle Lucyと歌っているテイク。また楽器の配置もオフィシャルでは左に定位しているピアノが、このアウトテイクでは右に配置されている等、異なる点があります。ちなみに『Time Trip 1969-1973 Vol.2』の方は左右のチャンネルが逆。
トラック6以降の5曲は71年3月14日に行われたラウンドハウス音源から。
『Sticky Fingers』の拡大版なのに、その『Sticky Fingers』収録曲のライブテイクが外されたのは、前述したように1枚のディスク内に同じ楽曲が重複するのを避けるというコンセプトがあったからなのかなと。
このラウンドハウス公演については昼夜2公演行われており、2ndショーの方はTMOQ『"London Roundhouse"』を含めた幾つかのタイトルで、オーディエンス音源がブート化されてきましたが、そのオーディエンス音源と今回のオフィシャルリリース音源を確認したところ、"Live With Me"と"Stray Cat Blues"はオーディエンス音源と異なる演奏だったことから1stショーからとなり、"Love In Vain""Midnight Rambler""Honky Tonk Women"の3曲がオーディエンス音源と一致したので、2ndショーからとなります。
したがって、ラウンドハウス公演については昼夜2回のショーともサウンドボード音源が残されていることが判明。
ここに収録されている演奏はいずれも、Super Deluxe Editionディスク3のリーズ公演よりも(散々聞いてきたリーズでの演奏と比べて新鮮であるという贔屓目もあるのでしょうけど)激しい印象を受ける演奏につき、いつの日か両方のショーともオフィシャルリリースしてもらいたいものです。
ちなみに2ndショーのオーディエンス音源の現行ベストはDACの『Get Your Leeds Lungs Out』(DAC-069)。
ディスク3は、ブートレグの定番音源である71年3月13日リーズ大学公演からこの日の演奏曲を全曲収録。
副題はブートレグでおなじみのタイトル「Get Your Leeds Lungs Out」と思いきや、微妙に変えた「Get Yer Leeds Lungs Out」。From The Vaultシリーズがオフィシャルブートレグとして、有名ブートレグのタイトルを使用していることから、シリーズとは別の本作はタイトルをそのまま使わず微妙に変えたのかなと。
ブートの方はBBCでの放送を基にしており、LP時代の代表盤だったRoyal Soundの『Get Your Leeds Lungs Out』(RS-001)をジャケットごと復刻した、DACの『Get Your Leeds Lungs Out』(DAC-089)を事典ではBBC音源収録タイトルの代表盤として挙げて来ましたが、このBBCでの放送は残念ながら冒頭2曲がカットされていたことから、これまで"Dead Flowers"から"Let It Rock"までの11曲しか聞くことが出来なかったことに加えて、オフィシャルリリースされた"Let it Rock"以外はモノラルといった状況。
今回は放送されなかったオープニングの2曲"Junping Jack Flash"と"Live With Me"も晴れて収録され、この公演の全曲をステレオで聞くことが出来るようになったのでした。
今回、"Midnight Rambler"の前奏部もこれまでブートで聞けたものより長く収録。ただし、このSuper Deluxe Editionで聞けるようになった前奏部ですが、おそらくリール交換後の録音スタートが間に合わなかったようで、最初はテープが伸びたような音になっています(本作のタイムでいうとトラック6の0秒)。このテープが伸びたような箇所は"Satisfaction"終了後、本作のタイムでいうとトラック9の5分23秒にもありますが、ブートレグすなわちBBCでの放送ではこれらの箇所をカットして放送していたことが分かります。
また、トラック分けやクレジットこそされてませんが、"Honky Tonk Women"前のサポートメンバー紹介もカットされずに収録されており、前述のブートタイトル「Get Your Leeds Lungs Out」はこのメンバー紹介後にミックがつぶやいた言葉。当然ながらこのつぶやきこのSuper Deluxe Editionにきちんと収録されています。
ここで今回のリリースで気になるのが、今回登場した冒頭2曲が本当にリーズなのか?ひょっとしてラウンドハウスなのではないか?という疑問。これについては、Super Deluxe Editionディスク2収録のラウンドハウス1stショーからの"Live With Me"、そしてブートで聞けるオーディエンス音源の2ndショー"Live With Me"、いずれの演奏とも異なることや、曲間の歓声も他のリーズ公演の曲間と似たようなもののため、ほぼリーズ公演で間違いないかと。
"Jumping Jack Flash"についてもラウンドハウスの1stショーは確認出来ませんが、2ndショーのオーディエンス音源とは演奏が異なっています。
ただNicoのHPには、3月12日のエンパイアシアター公演もサウンドボード収録されたとの記載があったりもするので、ここからの可能性もゼロとはいえませんが・・・。
なお、ラストの"Let It Rock"だけはステレオミックスでオフィシャルリリースされていましたが、今回のSuper Deluxe Editionとはミックスが異なっています。
まず何故か歓声が逆になっており、イントロがはじまる寸前の「Paint It Black!」と聞こえる観客の掛け声が、従来は左なのに対し、Super Deluxe Editionは右。
キーボードは、従来が左でSuper Deluxe Editionはほぼ中央。
ブラス隊は、従来が中央やや左なのに対して、Super Deluxe Editionは左。
ドラムについては、従来はシンバル類が中央やや右になっていたのが、Super Deluxe Editionは中央となっています。
また全体的な音も、従来は中域がオンになっていたのに対し、Super Deluxe Editionは音の重心がやや下になり、奥行きが若干増していることに加え、一連のOfficial Bootlegシリーズ同様にスネアドラムが胴鳴りを強調した太いものに。
ちなみにブートではカットの有無があった"Street Fighting Man"終了時のハウリング。オフィシャル化にあたってうまく消してあるのかと思いきや、Super Deluxe Editionの方もそのまま残してあったりします。
といったわけで、今回のリリースによりこのリーズ公演のブートの存在意義といえば、BBCで放送されたオリジナルモノラルミックスを収録しているといった点のみとなり、この公演に限っていえばほとんどその役目を終了した感が濃厚かなと。
ディスク4は「Live At The Marquee Club,1971」というサブタイトルのDVDで、テレビ放送された3月26日マーキー公演から抜粋された2曲を収録。
ほぼ同時期に発売されたFrom The Vaultシリーズの『The Marquee Club Live In 1971』と何らかの違いがあるのかと思いきや、カット割等まったく異なる部分の無い、ただの抜粋収録盤となってしまってます。
せめて"Midnight Rambler"が、92年の再放送企画時のエディットバージョンならそれなりの価値もあったんでしょうけど、この中途半端さは何とも残念。
最後に、このSuper Deluxe Editionに封入されているメンバーの切り抜き、ビルが多いようにネットでは見受けられますが、私のボックスも見事にビルでした・・・。
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by Hara ¦ 02:31, Monday, Jun 15, 2015 ¦ 固定リンク
『Chicago 1997 1st Night』(-) |
『Chicago 1997 1st Night』(-) 2CD
Sep.23 1997 Soldier Field,Chicago,IL
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(※)Disc-1 Track-8
Stereo Audience Recording
Quality:Excellent
(※)Disc-1 Track-7、Disc-2 Track-15
Stereo Audience Recording
Quality:Excellent-Very Good
(Disc-1)
1.Pre-Show VH1 Introductory Comments/2.Intro/3.Satisfaction/4.It's Only Rock'n Roll/5.Bitch/6.Let's Spend The Night Together/7.Rock And A Hard Place/8.Ruby Tuesday/9.Anybody Seen My Baby?/10.19th Nervous Breakdown/11.Out Of Control/12.Under My Thumb/13.Miss You/14.Band Introductions
(Disc-2)
1.Keith Intro/2.All About You/3.Wanna Hold You/4.Little Queenie/5.Let It Bleed/6.The Last Time/7.Sympathy For The Devil/8.Tumbling Dice/9.Honky Tonk Women/10.You Got Me Rocking/11.Start Me Up/12.Jumping Jack Flash/13.You Can't Always Get What You Want/14.Brown Sugar/15.The Last Announcement
過去最長のステレオサウンドボード音源をメインとした、1997年Bridges To Babylonツアー初日となる9月23日シカゴ公演全曲収録盤。
まずは本公演のサウンドボード音源の変遷について。
事典でも取り上げてきてはいますが、一部訂正があるのでここであらためてまとめてみます。
このツアー初日シカゴ公演はアメリカのケーブルTV局VH-1(事典では系列局のMTVとしていましたが正解はVH-1でした)が収録し、"Satisfaction""It's Only Rock'n Roll"のライブ冒頭2曲をTV放送しましたが、その素材となるビデオが流出。
そのビデオ音声を基に作成しリリースされた最初のブートCDが『Piece Of Gold』(970923)
曲は"Satisfaction"から"Let's Spend The Night Together"までの4曲に"Out Of Control"から"The Last Time"までの8曲、そして僅か56秒だけの"Sympathy For The Devil"の計13曲をステレオサウンドボード音源で収録した1枚物CDで、ライブ後半が未収録なのが玉にキズでしたが、インターネット投票による選出曲"Under My Thumb"をテレビ放送と同等の高音質ステレオサウンドボード音源で聞くことが出来るというタイトル。
このサウンドボード音源、ミックス自体はテレビ放送と同じもので、テレビ放送でもそうでしたがオープニングSEが始まっていてもギターの音が聞こえてきていたりと、ややラフなミックス。
Bステージに移動する際に場内に流れている"Sticks"はオンになっておらず、歓声用のマイクが拾っている音のみでかすかに聞こえるレベルだったり、映像を見ると分かりますが、Bステージからメインステージに戻る際に"Sympathy For The Devil"のシーケンサーがスタートしていますが、チャーリーが花道を歩いているのにバスドラムとスネアドラムの音が鳴ってます。このバスドラムとスネアドラム、テレビやラジオ放送された初来日の90年2月26日公演の同曲でも編集ミスで聞くことが出来た、チャーリーが聞いているドンカマの音が、この初日映像でもしっかりとオンにミックスされてしまってます。
次にリリースされたのがVGP『Soldier Of Stones』(VGP-199)
フルにステレオサウンドボード音源で収録されているのは12曲と変わりませんが、56秒だけだった"Sympathy For The Devil"が惜しくも最後までとはならなかったものの6分13秒まで拡大、そして新たに"Rock And A Hard Place"が曲頭から26秒間と、僅かではあるもののステレオサウンドボード部分が増えたことと、欠落している曲をオーディエンス音源で補填して全曲ノーカット収録としたタイトル。ハムノイズは『Piece Of Gold』よりやや多めで高域もやや強めだったりしますが、充分高音質といえるレベルの音。
そしてVGP『Rest Of Gold』(VGP-299)
事典ではこの公演の2項目目で紹介しているこのタイトルですが(425ページ上段)、タイトル・ジャケット画像共に『Soldier Of Stones』と誤記してしまってます、すみません。まずは9月20日と21日に同会場で行われたリハーサルのビデオから落としたモノラルサウンドボード音源を収録。その後からツアー初日でこれまでサウンドボード未収だった"Anybody Seen My Baby?""19th Nervous Breakdown"のライブ中盤2曲に、"Tumbling Dice"から"アンコールの"Brown Sugar"までの計9曲に加えて、終盤が欠落していた"Sympathy For The Devil"もフルで、こちらもモノラルサウンドボード音源にて収録しているというタイトル。このタイトルのリリースによりステレオとモノラルの違いはあれど、"Rock And A Hard Place"の26秒以降と"Ruby Tuesday"の2曲以外はサウンドボード音源がブート化されたのでした。
さて本作、基になっているのはネットにアップされていた音源で、それをノイズ軽減したりして聞きやすくしてのリリース。
今回初登場となったステレオサウンドボード音源部分は、"Anybody Seen My Baby?""19th Nervous Breakdown"、そして"Tumbling Dice"から"Brown Sugar"までの9曲と既発で欠落していた"Sympathy For The Devil"終盤から終わりまでの25秒。というわけでVGP『Rest Of Gold』に収録されたツアー初日のモノラル音源が全てステレオになったのでした。
ただしこのステレオ音声、何故か"Sympathy For The Devil"終了後のミックのMC「Thank you very much!」の後から、ヒスノイズ除去処理をやり過ぎたかのような余韻の不自然な音に変わってしまいます。
これは本作の作成時やネットにアップする際の音加工によるものではなく、元々のビデオ自体がそうなっているようで、前述のVGP『Rest Of Gold』や、この公演から19曲をプロショット映像で収録したプレスDVD『Soldier Field Chicago 1997』(-)も同様の不自然な音となっています。
音質の方は『Piece Of Gold』に近い感じですが、『Piece Of Gold』は『Soldier Of Stones』程ではないものの高域に若干のクセがあったのに対し、本作の高域は自然な感じとなっていますが、"I Wanna Hold You""Little Queenie""Let It Bleed""The Last Time"の4曲については、『Piece Of Gold』からのコピーにつき、ここだけは高域のクセもそのまま。
ただ、本作は他タイトルよりも中低域に厚みを持たせていることにより、高域が若干マスキングされているようにも聞こえることから、『Piece Of Gold』や『Soldier Of Stones』の方がすっきりとした音と感じる方もいるかと。
Bステージが終わって余韻が不自然となる後半部も、高域が若干落ちる程度でメイン同様の自然な感じのクリアーな音。その後半部の既発タイトル『Rest Of Gold』の方はかなり持ち上げた感じの高域だったので、本作のほうがはるかに聞きやすい印象。
また本作は「And do ya think」から始まる展開部で、右チャンネルにテープ劣化が原因と思しき部分的な高域のコモりが生じるという、僅かな箇所ながら他タイトルにはない難点があり、その展開部の「girl around」部分ではかなり右チャンネルがこもってしまってます。前述したように『Piece Of Gold』からのコピー曲があったりもするので、この部分もコピーするなりすれば良かったのに、ここは何とも残念。
サウンドボード以外のトラックについても触れておくと、ディスク1冒頭の"Pre-Show VH1 Introductory Comments"は冒頭2曲が放送された番組からで、"Low Down"をバックに始まり、女性レポーターによるコメントが2分半弱といったもの。ハムノイズが多めで音ユレもあったりします。ちなみにこのトラックでは場内の客電が落ちた後もオープニングSEが始まる少し前までコメントが続いていますが、素材ビデオの方はコメントが一切被っていないため、『Piece Of Gold』や『Soldier Of Stones』といったタイトルは、場内の客電が落ちた際の盛り上がりをコメントに遮られずに聞くことが出来るので、このトラックについては評価の分かれるところ。
続いて"Rock And A Hard Place"。
『Soldier Of Stones』のようなサウンドボード26秒+以降オーディエンスという形態ではなく、オーディエンス録画のビデオ音声からということで、これまでリリースされてきた幾つものオーディエンス録音ブートとは異なる音源にて収録。演奏自体は大きめに捉えており、周りの観客も静かで聴きやすい音ではあるものの、基がビデオ音声につきハムノイズが聞こえることに加え、この日の強風の影響で風がマイクにあたるノイズを時折大きめに拾ってしまってます。ちなみにこの曲の歌いだし部分、チャーリーがタムでリズム刻んでますが、これはひょっとして"You Got Me Rocking"と勘違いしたのでは?
残念ながら今回もサウンドボード音源が断片すら発掘されなかった"Ruby Thuesday"はCrystal Cat『Sweet Home Chicago』(CC 440-41)からのコピー。
基が奥行きのある音源だったため、音像がオンのサウンドボード音源の他曲と比べると音が引っ込み気味に聞こえることから、少し中低域に厚みを加えれば良かったような気が・・・。そしてキツ目だった高域もあまり緩和されておらず。
ディスク2の最後"The Last Announcement"は場内BGMをバックに終演のアナウンスが流れるというオーディエンス録音トラックで、VGP『Soldier Of Stones』からのコピー。実際はその前の"Brown Sugar"のトラック6分41秒からクロスフェードしてこの音源に切り替わっています。 |
by Hara ¦ 01:24, Tuesday, Jun 09, 2015 ¦ 固定リンク
『The Essential Stripped Tracks』(IMP) |
『The Essential Stripped Tracks』(IMP-HR-1003) 1CD
May.26&27 1995 The Paradiso,Amsterdam,Holland
July.3 1995 L'Olympia,Paris,France
July.19 1995 Brixton Academy,London,England
Mar.3-5 1995 Toshiba-EMI Studios,Tokyo,Japan
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
1.It's All Over Now(5/27)/2.Live With Me(7/19)/3.Black Limousine(7/19)/4.Sweet Verginia(7/19)/5.Dead Flowers(5/27)/6.Shine A Light(5/27)/7.Like A Rolling Stone(7/19)/8.Gimme Shelter(5/26)/9.All Down The Line(5/27)/10.Rip This Joint(7/19)/11.Street Fighting Man(5/26)/12.Honest I Do(3/3-5)/13.No Expectations(3/3-5)/14.Beast Of Burden(3/3-5)/15.Memory Motel(3/3-5)/16.Let's Spend The Night Together(3/3-5)/17.The Spider And The Fly(3/3-5)/18.Let It Bleed(3/3-5)
オフィシャルアルバム『Stripped』関連トラック集。
トラック1から11までは<Live Tracks - Small Gigs1995>と副題がつけられたライブ音源集。
こういった寄せ集めにありがちな曲毎のフェードアウト・インといったことはなく、ライブ部分は全て切れ目なく綺麗に繋げてあるのは良心的。
1曲目は5月27日パラディソ公演からの"It's All Over Now"。
この音源はITunesで2003年にオフィシャル配信されたもので、WLRの23枚組超大作ボックス『Rarities Deluxe - Collectors Edition』に続いてのブート化。
この日の"It's All Over Now"は、『The Foottappers And Wheel Shunters Club Gig』(VGP-084) に代表される、場内に入れなかった観客の為に近くの公園にスクリーンを設置して同時中継したものをマイクで録音した音源でも聞くことが出来ましたが、そこで聞けるこの曲はミックが歌に早く入ってしまったがために、一旦演奏を止めて最初から演奏しなおしているといったもの。
この配信音源では、イントロから最初の4小節が最初の方のテイクで、以降がやり直した方のテイクという混合編集となっています。
"Live With Me""Black Limousine""Gimme Shelter""All Down The Line"の4曲は、オフィシャルシングルのカップリングとしてリリースされたものですが、本作は耳につく周波数をうまく抑えてはいるものの、やや高域持ち上げすぎな感も。
ちなみに関連音源のオフィシャルリリースものとしては、バックステージリハーサルから7月3日パリ・オリンピア劇場での演奏につながる"Tumbling Dice"もありますが、何故か本作は未収録。まあ、このあたりがブートといえばブートなんでしょうけど・・・。
「TV Mix」とクレジットされている"Sweet Virginia""Dead Flowers""Shine A Light""Like A Rolling Stone""Rip This Joint""Street Fighting Man"の5曲は、テレビショー「Stripped」から。
テレビショー「Stripped」収録盤については事典で代表盤として取り上げた、放送曲順そのまま音盤化した『Censored!』(Electric 30041)と、曲を収録地別に並べ替えた『But Naked』(VGP-071)がありましたが、本作はやや高域寄りでハムノイズも若干乗っていたりはするものの、これら既発よりもすっきりした聞きやすい音となっています。
各曲に触れておくと、まずは"Sweet Virginia"。
テレビショーではイントロにコメントが被っていたため、同じ7月19日ブリクストンアカデミー公演の流出ステレオサウンドボードのラフミックス音源を補填。
このラフミックス音源、IMP系列でもノンレーベルで『The Brixton Academy 1995』(RS950719R)としてリリースしていますが、テレビミックスとは楽器の定位が異なり、キースのギターがテレビでは右なのに対してラフミックスはやや中央寄り。ピアノもテレビが右なのに対してラフミックスの方は中央に定位しているという違いがあります。
この"Sweet Virginia"については、最初の2小節(頭のブリッジ3音を含めると3小節)がラフミックスで、
3小節目(本作のタイムでいうと8秒)からテレビミックスに切り替わります。
"Dead Flowers"は5月27日パラディソ公演からで「Different Vocal Edit」とクレジットされてますが、これはミックが2回目のサビの「Send me dead flowers to my wedding」にうまく入れず若干外してしまったため、
そこに他のサビの頭を補填修正しています(本作のタイムでいうと2分25秒)。その部分をよく聞くと微妙に音がブレていたりしますが、これはテレビショー自体がこうなっており、他のテレビショー「Stripped」収録盤でもこうなっているので本作のエラーではありません。
"Shine A Light"は、オフィシャル『Stripped』が7月3日のオリンピア公演なのに対し、テレビの方は5月27日パラディソ公演なので、テレビミックスとわざわざ表記しなくてもそれしかなかったりするのですが・・・。
7月19日ブリクストンの"Like A Rolling Stone"もテレビショーではコメントが被っていたため、歌いだしまでを前述のラフミックス音源で補填。ちなみにこの曲についてはオフィシャル『Stripped』にも収録されていますが、冒頭のチャックのカウントがオフィシャルはぼやけた感じでほとんど聞こえないのに対して、ラフミックスの方は左からしっかりと聞くことが出来、本作もこのカウントが左から聞こえるのでラフミックスからの補填ということが分かります。ちなみにラフミックスの方は、ミックが歌いはじめてもロニーのギターが良く聞こえますが、オフィシャルやテレビミックスの方は歌いはじめ前半はほとんどフェーダーが下げられた状態となっています。
"Rip This Joint"は、5月27日パラディソ、7月3日オリンピア、7月19日ブリクストンの3公演混合のテレビ特別編集につき、当然ながらテレビミックス。
5月26日パラディソ公演の"Street Fighting Man"も「Different Vocal Edit」とクレジットされてますが、これは曲後半、本作のタイムでいうと3分02秒にミックが発した「Come on baby」がオフィシャル『Stripped』ではカットされていることから。まあ、そもそもこの曲自体、オフィシャル『Stripped』は後半部を30秒弱短く編集していたりもするのですが。
<Studio Tracks - Tokyo Sessions 1995>と副題がつけられたトラック12以降は、東京でのレコーディングセッションから。
"Honest I Do"は、映画「Hope Floats」のサントラCDに収録されオフィシャルリリースされましたが、"No Expectations""Beast Of Burden""Memory Motel""Let's Spend The Night Together"の4曲はオフィシャル未リリースのアウトテイク。
この音源を収録したタイトルは幾つかあるものの、『Stripped Companion』(RSTS 001)が"Honest I Do"含めて1枚にまとめて収録しているので既発ではベスト。
ちなみにVGPも98年のアムステルダム連続公演の各タイトルに1曲ずつシークレットトラックとして収録していましたが、VGPの方は分散収録もさることながらライブの歓声がイントロにクロスフェードしてしまっている曲もあったりします。
他の"Honest I Do"含めた5曲をまとめて収録しているタイトルとしてはSODDの『EMI Studio』(SODD 103)もありますが、これはVGP盤からのコピーにつき、イントロに歓声が被っているので要注意。
さて本作収録のこの5曲ですが、音質は『Stripped Companion』と比べて若干音がすっきりしたかな程度で、さほど差はなし。当然ながらイントロに歓声も被っていません。
"The Spider And The Fly"は、オフィシャル『Stripped』からではなくテレビから。このトラックだけは放送で曲前に入っていたミックのコメントとスタジオでのミークとキースの会話を収録していますが、その会話では「"Let's Spend The Night Together"を演ってみよう」と言っているので、"Let's Spend The Night Together"の前に配置していれば気の利いたものになったのに、これはちょっと残念。ちなみに「Different Edit」とクレジットされていますが、これは曲が終わった後でテレビショーではチャーリーがふざけてライドシンバルを一発叩いていますが、『Stripped』の方はそこをカットしているだけの違い。
ラストの"Let It Bleed"は、テレビのエンディングで使用された超短縮編集バージョンで、『Stripped』に収録されているのは7月3日オリンピアでの演奏。 |
03:09, Wednesday, Jun 03, 2015 ¦ 固定リンク
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