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2020年 7月
『Anaheim 1978 Day1』(-) 2CD
July.23 1978 Anaheim Stadium,Anaheim,CA
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Intro/2.Let It Rock/3.All Down The Line/4.Honky Tonk Women/5.Star Star/6.When The Whip Comes Down/7.Beast Of Burden/8.Lies/9.Miss You/10.Just My Imagination
(Disc-2)
1.Shattered/2.Respectable/3.Far Away Eyes/4.Love In Vain/5.Tumbling Dice/6.Happy/7.Sweet Little Sixteen/8.Brown Sugar/9.Jumping Jack Flash
78年ツアー唯一の同一場での複数開催となったアナハイムスタジアム初日公演収録盤。
この公演の既発収録盤は、2枚組CD『The Burning Out』(BLACK N'BLUE RSBB-2008/009)のみ。
おそらくスタジアムの上の方と思しきやや距離のある録音ながら、演奏を大きく捉えていることに加えて、耳障りな歓声の無いという聴き易い音源をベースに作成されてはいましたが、遅めのピッチはじめ幾つかの欠点が玉にキズだったこのタイトル、本作はそんな『The Burning Out』のリマスター盤となります。
遅かったピッチは正常にし、一部の曲で片寄っていた定位も中央に修正。
テープチェンジ等によるカットのあった"Lies"と"Miss You"、"Miss You"と"Just My Imagination"、"Tumbling Dice"と"Happy"、"Brown Sugar"と"Jumping Jack Flash"、それぞれの曲間はクロスフェード処理で切れ目なく聴けるよう編集。
"Love In Vain"終了直後に入っていた「ジッ」という耳障りなノイズを削除、
そして事典執筆時は気づいていませんでしたが"Miss You"曲中のミックのトーキング部分のカットについても違和感ない繋ぎ編集が施されています。
また『The Burning Out』では"Just My Imagination"終了後すぐに歓声がフェードアウトしてディスクが終わっていたのに対し、本作はおそらくどこかの歓声を足したのだと思われますが、"Just My Imagination"終了後の歓声を長めにして唐突な終了感を緩和しています。
全体的にヒスノイズは多くなってはいるものの、『The Burning Out』よりもクリアーで聴き易い音造りとしているのもポイント。
この日は"Sahattered"後半のミックのハイテンションなヴォーカルが聴ける反面、"Lies"や"Respectable"(こちらは2回も)ではミックが歌に入れないというミスに加え、事典でも触れたように"Happy"終了後にキースのギタートラブルによるかなりの空白が空いてしまい、ミックがお詫びを兼ねたMCの途中でキースが"Sweet Little Sixteen"を始めてしまったがために、これまたミックが歌に入れずといったミスが再び・・・。
"Sweet Little Sixteen"が終ってミックが挽回とばかりに客を煽るも、再びキースのギタートラブルで"Brown Sugar"が始まるまでまたも1分近い空白が生じ、明らかにミックのテンションが下がってるのが"Brown Sugar"のヴォーカルからも感じ取れますが、何とかその"Brown Sugar"の後半から持ち直すも、次曲"Jumping Jack Flash"の前が再び空白という・・・。
ちなみにその後始まった"Jumping Jack Flash"はフォートワース公演でも試していた、曲を一旦終わらせてから再び始まるというアレンジも含めて10分弱の長尺演奏にはなっているものの、テンションが高いわけでもなくただ単に長いだけ・・・といった具合のラフというよりはグダグダといった感の強い演奏を聴くことが出来ます。 |
by Hara ¦ 06:03, Tuesday, Jul 28, 2020 ¦ 固定リンク
『Still Life In St.Paul 1981』(Mayflower) |
『Still Life In St.Paul 1981』(MF-156/157) 2CD
Nov.21 1981 Civic Center,St.Paul,Minnesota
※Disc-1 Track-12(part) Disc-2 Track-7(part),Track-8(part)
Dec.8 1981 Capital Arena,Largo,MD
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Take The A Train/2.Under My Thumb/3.When The Whip Comes Down/4.Let's Spend The Night Together/5.Shattered/6.Neighbours/7.Black Limousine/8.Just My Imagination/9.Down The Road Apiece/10.Going To A Go Go/11.Let Me Go/12.Time Is On My Side/13.Beast Of Burden/14.Waiting On A Friend/15.Let It Bleed
(Disc-2)
1.You Can't Always Get What You Want/2.Band Introductions/3.Little T & A/4.Tumbling Dice/5.She's So Cold/6.Hang Fire/7.Miss You/8.Honky Tonk Women/9.Brown Sugar/10.Start Me Up/11.Jumping Jack Flash/12.Satisfaction
1981年11月21日ミネソタ公演を、ミキサー卓直結のモノラルサウンドボード音源にて収録した本作。
この公演の既発タイトルは、同じくミキサー卓直結のモノラルサウンドボード音源にて制作されているDACの『Twin Cities 1981』(DAC-031)
メインのサウンドボード音源については、DACがテープそのままのモノラル状態にて収録していたのに対し、本作は左右の音の拡がりを出そうと疑似ステレオ処理を施している事に加え、やや音の重心を上げた音造りにしています。
テープの欠落部は2箇所あり、最初は"Time Is On My Side"1コーラス目の途中から曲終了まで。
この部分、DACは遠目ながら安定した聴きやすいモノラルオーディエンス音源を補填していましたが、本作は12月8日ラーゴ公演のモノラルサウンドボード音源を同じく疑似ステレオ処理を施したうえで補填して、この曲を音質ほとんど変わらずに通して聞けるようにしています。
そしてもう1箇所は"Miss You"の間奏から"Honky Tonk Women"最初のサビの途中まで。
DACの方はオーディエンス音源を入手できなかったようで、この部分を欠落していたままでしたが、本作はこちらも疑似ステレオ処理した12月8日ラーゴ公演のモノラルサウンドボード音源を補填して、通して聞けるようにしています。
ちなみにこちらは12月8日ラーゴ公演モノラルサウンドボード音源収録盤DAC『Capital Connection Vol.2』(DAC-037)
別公演の補填については、同日の演奏で通して聞くことに拘るか、類似の音源を使ってでも違和感の少ない聴き易さをとるかで意見が分かれるところではありますが、きちんとクレジットだけはしておいてもらいたかったところ。
なお、"Honky Tonk Women"から"Start Me Up"までのテープ劣化による高域部分の波打ちは両タイトルとも同じ。
この日は事典でも触れたように、"Neighbours"ではSAXソロ後にミックが早く歌い出してしまった為、歌とバックの演奏がズレてグチャグチャになったり、"Let It Bleed"のイントロではチャーリーのリズムがひっくり返っちゃったりという81年ツアーならではズッコケぶりはあるものの、81年ツアー中盤の公演の中では屈指の好演といえる、前日のCedar Falls公演の好調さを持続していて、なかなか聴き応えのあるものだったりします。 |
by Hara ¦ 13:15, Saturday, Jul 25, 2020 ¦ 固定リンク
『The Complete Hamburg Tapes 1973』(DAC) |
『The Complete Hamburg Tapes 1973』(DAC-193) 2CD
Oct.2 1973 Emst Merck Halle,Hamburg,Germany(1st & 2nd Show)
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Brown Sugar/2.Gimme Shelter/3.Happy/4.Tumbling Dice/5.Star Star/6.Dancing With Mr.D./7.Angie/8.You Can't Always Get What You Want/9.Midnight Rambler/10.Honky Tonk Women/11.All Down The Line/12.Rip This Joint/13.Jumping Jack Flash/14.Street Fighting Man
(Disc-2)
1.Brown Sugar/2.Gimme Shelter/3.Happy/4.Tumbling Dice/5.Star Star/6.Doo Doo Doo Doo Doo/7.Angie/8.You Can't Always Get What You Want/9.Midnight Rambler/10.Honky Tonk Women/11.All Down The Line/12.Rip This Joint/13.Jumping Jack Flash/14.Street Fighting Man
1973年10月2日に行われたハンブルグ2公演全曲収録盤
ディスク1に収録されているのが1stショー。
この1stショー収録したタイトルについては、事典では『Hamburg 1973 1st Show』(-)のセカンドプレスを代表盤として挙げていましたが、本作の基となっているのも同じ録音で、シンバル類がほとんど聞こえないモコッとした感じの遠目の音でありつつも、意外と演奏を大きく捉えており、耳障りな手拍子や拍手・歓声の類がほとんど入っていないことに加えてヒスノイズもほとんど無いことから、慣れてしまえば案外と聞きやすい印象を受ける音源。
この公演を収録した他のタイトルはというと、タランチュラの『Hamburger Concerto』(TCDR.S-49-1,2)が事典出版後にリリースされています。
これら3種の音質を比べてみると、『Hamburg 1973 1st Show』は中高域控えめな耳に優しい音造りに加え、疑似ステレオ処理で音に奥行を与えて聴き易さの向上を図っているという特徴あり。ちなみにこのタイトルのファーストプレスはこの疑似ステレオ処理が施されていないのと、プレスミスによる周期的なデジタルノイズが発生しているので要注意。
本作はというと『Hamburg 1973 1st Show』のような疑似ステレオ処理を施していないため音の拡がり自体は乏しいものの、その処理による音の引っ込みがないため、ヴォーカルやギターは比べるとオンに聞こえます。また『Hamburg 1973 1st Show』よりも中高域が上がっていることから僅かながらクリアーな音となっています。
タランチュラ盤は本作に感じは近いものの、マスター作成時に音を過大入力してしまったのか、音の端々にビリビリとした歪みが生じて聴きづらくなってしまっているというマイナスポイントあり。
なお、テープチェンジによるカットは"Honky Tonk Women"のイントロ数秒ですが、ここの編集は3タイトルとも同様にそのままですが、開演前の手拍子からバンドコールが始まる前のテレコのオンオフによる音飛びについては、タランチュラ盤はそのまま、『Hamburg 1973 1st Show』は極力滑らかに聞こえるよう編集がされていたのに対し、本作はそれがなかったかの如くのスムーズな編集がされています。
続いてディスク2の2ndショー
この公演はアナログ時代から"Star Star"と"Doo Doo Doo Doo Doo"の2曲が高音質録音でリリースされてきましたが、未だこの音源の全長版発掘は叶わず。
こちらはこの2曲を収録した代表盤のDAC『The Stars In The Sky The Never Lie』(DAC-100)
本作が収録しているのは、VGP/DACがCAUTION!名義の『The Stars In The Sky They Never Lie』(Caution) にて全曲リリースしていた方のオーディエンス音源で、遠目の録音ですが観客が近くで騒いでいない分、安定はしているので耳さえ慣れればそれなりに聞くことは出来るというもの。
CAUTION!盤の方は、ヒスノイズの多いモコっとした音で、ヴォーカルやギターは聞き取れるもののドラムの判別がしづらいといった状態でしたが、本作はジェネレーションの若いテープから作られているようでヒスノイズは激減、また中域をやや持ち上げたことにより音像も近くなりドラムも判別できる状態まで向上しています。
音源の欠落部については、CAUTION!盤が"Angie"の中盤から終盤にかけて欠落していたり、"You Can't Always Get What You Want"では基テープの劣化と思しき一瞬の音切れや音飛びが、そして"Street Fighting Man"はテープが切れたのか、終盤加速し始めたところでフェードアウトしてしまっています。
対して本作は、"You Can't Always Get What You Want"の音飛び等は変わらず、"Street Fighting Man"のフェードアウトも同様ですが、"Angie"の欠落がなくなってフルに聴くことが出来るようになっています。
逆に本作の"Jumping Jack Flash"は、イントロはほんの僅か、1番のAメロが後半半分だけしか収録されておらず、最初のサビの真ん中にもカットがあったりして、ようやくまともに聴けるのは2番以降からという収録状態なのですが、CAUTION!盤の方はイントロからノーカットで聴けるようになっています。
ただ、CAUTION!盤の方の"Jumping Jack Flash"のイントロから最初のサビまでは、9月25日のベルン公演に似た感じの歓声が聞こえたりするので、ひょっとしたらそこまではベルンの可能性もあるのではとも考えたりしますが、ヒスノイズや音の距離も変わらないことから、当時そのような編集が出来たのかという観点からいうと、ノーカットなのではという気はします。
ちなみに1stショーの方で紹介したタランチュラの『Hamburger Concerto』(TCDR.S-49-1,2)、
ディスク2は全曲この2ndショーからとクレジットされていますが、2ndショー音源は"You Can't Always Get What You Want"までで、"Midnight Rambler"以降は9月25日のベルン公演音源が収録されています。
演奏は、2ndショーの"Happy"がイントロをやり直していたり、"All Down The Line"中盤でミックが完全に歌を飛ばしてしまったりはしているものの、総じて両公演ともハイレベルでという意味での平均的なものとなっています。 |
15:10, Thursday, Jul 23, 2020 ¦ 固定リンク
『Place Aux Dames - Shades 'n' Canes』(-) |
『Place Aux Dames - Shades 'n' Canes』(-)
Apr.22 1979 Civic Auditorium,Oshawa, Canada (1st Show)
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Intro/2.Breath On Me/3.Come To Realise/4.Infekshun/5.Lost And Lonely/6.Am I Grooving You/7.Bass-Drum Jam/8.Seven Days/Before They Make Me Run
(Disc-2)
1.Intro/2.Prodigal Son/3.Let It Rock/4.Respectable/5.Star Star/6.Beast Of Burden/7.Just My Imagination/8.When The Whip Comes Down/9.Shattered/10.Miss You/11.Jumping Jack Flash/12.Outro
(※)ストーンズの演奏は"Let It Rock"以降
C.N.I.B 1stショー収録盤。
このショーを収録していた同名の1枚ものLP『Place Aux Dames-Shade'n'Canes』(Mona Records-M-KR4-Fugue)のスリックが裏ジャケにデザインされていたりしていて、このLPの拡大復刻盤を彷彿させる造りになっていますが、本作が基にしたオーディエンス音源は別物で、分離が悪く聴きづらかったLPの音源は一部の補填に使用されたのみとなっています。
この1stショーも2ndショー同様に、まずニューバーバリアンズが出てきて数曲演奏、その後キースだけステージに残って「いるところにミックが入ってきて2人で"Prodigal Son"を演奏。その間にバンドがステージに上がってストーンズのライブがスタートという流れになっていましたが、LPは収録時間の関係からか"Star Star"以降のストーンズのステージのみの収録となっていたのに対し、本作は複数音源を組み合わせての完全収録としています。
メインの音源は、やや団子状ではあるものの音が遠いわけでもなく、そこそこ演奏を大きく拾っており、また曲中に耳障りな手拍子や拍手の類も被って来ないので、音に慣れさえすれば十分聴けるレベルの音。
ただし右チャンネルの高域部の抜けが悪く、ストーンズのステージ部分では若干改善されるものの、音が左寄りになってしまっているため、ここは一旦再度モノラル化にして造り直した方が良かったかも。
補填については、ディスク1冒頭から"Breath On Me"最初のスネア一発が入る寸前までと、"Seven Days"と"Before They Make Me Run"の曲間部約6秒(MCや楽器音無し)、そして"Miss You"後半のミックが再び歌い出したあたり(5分42秒から6分5秒)と終了後のミックのMC一部含む歓声部(7分45秒から8分23秒)には、低域部がゴーっといった箱鳴りのようなノイズが乗っている分離の悪いオーディエンス音源を、またJJF"終了後にメンバーがステージを去った後の歓声部から司会者のアナウンス(本作では"Outro"とクレジット)まではLP音源をと、それぞれに使用。
さて演奏の方ですが、C.N.I.Bというと、2ndショーのストーンズの迷演がブート愛好家にはお馴染みですが、こちらの1stショーも負けず劣らず。
"Respectable"の歌い出しまでは各人のタイミングがおかしなことになっていたり、"Star Star"ではキースが間奏に入ろうかというところでチャーリーが曲終わりの3連リズムを叩きはじめて演奏が崩れそうになる他、"When The Whip Comes Down"のエンディングや"Shattered"の中間部もボロボロといった具合で、こちらもまたリハ不足による迷演ぶりを披露しています。 |
by Hara ¦ 06:33, Wednesday, Jul 22, 2020 ¦ 固定リンク
『Blind Date C.N.I.B.1979 2nd Show』(-) |
『Blind Date C.N.I.B.1979 2nd Show』(-)
Apr.22 1979 Civic Auditorium,Oshawa, Canada (2nd Show)
Disc-1&2
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
Disc-3&4
Mono Audeience Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.DJ Intro/2.Intro By John Belushi/3.Sweet Little Rockn'Roller/4.F.U.C.Her/5.Breath On Me/6.Infekshun'/7.I Can Feel The Fire/8.Am I Grooving You/9.Bass・Drum Jam/10.Seven Days/11.Before They Make Me Run
(Disc-2)
1.Intro/2.Prodigal Son/3.Let It Rock/4.Respectable/5.Star Star/6.Beast Of Burden/7.Just My Imagination/8.When The Whip Comes Down/9.Shattered/10.Miss You/11.Jumping Jack Flash/12.Outro
(Disc-3)
1.DJ Intro/2.Intro By John Belushi/3.Sweet Little Rockn'Roller/4.F.U.C.Her/5.Breath On Me/6.Infekshun'/7.I Can Feel The Fire/8.Am I Grooving You/9.Bass・Drum Jam/10.Seven Days/11.Before They Make Me Run
(Disc-4)
1.Intro/2.Prodigal Son/3.Let It Rock/4.Respectable/5.Star Star/6.Beast Of Burden/7.Just My Imagination/8.When The Whip Comes Down/9.Shattered/10.Miss You/11.Jumping Jack Flash/12.Outro
(※)ストーンズの演奏は"Let It Rock"以降
前回投稿に引き続いてC.N.I.B.2ndショー収録盤を。
本作は4枚のディスクにサウンドボード音源とオーディエンス音源、それぞれの完全版を収録した、この2ndショーの集大成的タイトル。
まず「Soundboard Source」と題されたディスク1と2に収録されているのがステレオサウンドボード音源。
前回投稿で取り上げた『Blind Date』(DAC-197)同様に、既発よりも音質向上したサウンドボード音源を基に作成(リリースは本作が先ですが・・・)。
サウンドボード音源で欠落していた"I Can Feel The Fire"曲中約20秒、"Let It Rock"終了後の曲間から"Respectable"のイントロ、そして"Shattered"曲中約50秒ほどは、ディスク3と4収録のオーディエンス音源が補填されています。
オーディエンス音源自体も演奏を大きく捉えた高音質の好録音だったため、音源切り替わりでの違和感はさほどありませんが、ただし前回投稿のDAC『Blind Date』で触れたように、やや高域寄りの音になっているため、ヴォーカルのサ行が潰れ気味になっていたり、補填オーディエンス音源の定位が左に寄ってしまっているため、丁寧に編集した後発のDAC盤に比べると若干スムーズさに欠けるきらいがあるかと。
「LP Source」と題されたディスク3と4は、LP『Blind Date』(KR 422)起こしのオーディエンス音源。
演奏を大きく捉えたクリアーな音質の好録音で、耳障りな歓声や拍手の類がほとんど無いというもの。
このオーディエンス音源を収録した既発CDは、『Blind Date』(OMBS 100)、『Benefit Concert 1979』(PYCD 073-2)、『Rolling Stones Tour 1978』(WLR-2129)とこれまで3種リリースされてきましたが、いずれもLP起こしでスクラッチノイズが聞こえるという難点あり。
本作は針音を綺麗に除去している事に加え、ディスク1・2とは逆にオーディエンス音源で欠落している部分をサウンドボード音源で補填しています。
ニューバーバリアンズ部分の補填箇所は、ディスク3冒頭のCliff Lorrimerなる司会者(本作はDJとクレジット)が話し始める前までの歓声部分に、"F.U.C.Her""Breath On Me""Infekshun'""Before They Make Me Run"終了後の曲間部、そして唯一の曲中補填となったのが"Seven Days"前のベースとドラムのジャム演奏途中20秒弱ほど。
そしてミック&キースを含むストーンズ部分の補填箇所は、ディスク4冒頭のミックが登場して最初の一言を発するまでの歓声部分に、"Prodigal Son""Beast Of Burden""Just My Imagination""When The Whip Comes Down""Miss You""JJF"終了後の曲間部で、こちらは曲中補填は無し。
この補填については、サウンドボード音源に切り替わった途端に周りが極端に静かになってしまうことから違和感を覚えてしまうので、聴き易さを優先するのであれば、邪道ではあるものの補填サウンドボード音源に、オーディエンス音源の他の箇所から場内音を持ってきて被せた方が良かったかもしれません。 |
22:42, Monday, Jul 20, 2020 ¦ 固定リンク
『Blind Date』(DAC-197)
Apr.22 1979 Civic Auditorium,Oshawa, Canada (2nd Show)
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Cliff Lorrimer - John Belushi Introduction/2.Sweet Little Rockn'Roller/3.F.U.C.Her/4.Breath On Me/5.Infekshun'/6.I Can Feel The Fire/7.Am I Grooving You/8.Seven Days/9.Before They Make Me Run
(Disc-2)
1.Prodigal Son/2.Let It Rock/3.Respectable/4.Star Star/5.Beast Of Burden/6.Just My Imagination/7.When The Whip Comes Down/8.Shattered/9.Miss You/10.Jumping Jack Flash
(※)ストーンズの演奏は"Let It Rock"以降
キースのヘロイン不法所持による裁判で、執行猶予の条件として命令されたことから、1979年4月22日に2回実施された全カナダ盲人協会(Canadian National Institute For The Blind 略してC.N.I.B)の慈善コンサート。
本作はアルバムタイトルからも推測できるように、アナログ時代からお馴染みの2ndショー。
ミックが歌に入れず1コーラス丸々バッキングトラック状態の"Satr Star"、ニューバーバリアンズにベーシストとして参加しているスタンリー・クラークがステージに上がり、曲調無視でチョッパー弾きまくるビルとのツインベースの"Miss You"、そしてギターのチューニングがずれたまま最後まで演奏が続けられ、エンディングでは周りが既に演奏を止めてるのも気にせず、チャーリーがひたすらシンバルを叩きまくる"JJF"等、いつ聞いてもインパクト充分な迷演ぶりが楽しめるこの2ndショーは、
オーディエンス音源とミキサー卓直結のサウンドボード音源、双方とも高音質でブート化されてきましたが、本作が収録しているのはステレオサウンドボード音源。
このステレオサウンドボード音源を収録した既発盤としては
『Blind Date』(TSD-026/27)
事典では「何故か"I Can Feel The Fire"と"Shattered"にカットがある」と書いてしまいましたが、
実のところは他のタイトルが巧妙に繋いでおり、こちらはまったくのテープそのままだったというタイトル。
VGPがノンレーベル扱いで出した『Blind Date Revisted』(-)
テープチェンジによると思しき"Respectable"の欠落したイントロは、オーディエンス音源を補填せずにそのままでしたが、曲中欠落のあった"I Can Feel The Fire"と"Shattered"については違和感のないスムーズな繋ぎ処理が施されています。
事典で代表盤に挙げていた『Blind Date Revisited』(TSP-CD-202-2)
"I Can Feel The Fire"と"Shattered"の巧妙な繋ぎ処理はこちらも同様。欠落していた"Respectable"のイントロについては、LP時代からのオーディエンス音源を補填。ストーンズブート専門レーベルであるVGPが、音源の補填処理を行うようになったきっかけとなったのがこの処理だったという、ある意味重要なタイトルでもあります。
ちなみに『Nothern Dancer』(MF-58/59) や『Blind Date Revisited』(GREX 062)はこのTSP盤のコピー。
そして4枚組の大作『Blind Date C.N.I.B.1979 2nd Show』(-)
サウンドボード音源とオーディエンス音源のそれぞれを全長収録したタイトル。
欠落部はそれぞれの音源で補填しており、これまでのタイトルでは曲中の一部が欠落していたままだった"I Can Feel The Fire"と"Shattered"も補填されてノーカットで聴くことが出来るようになっています。また、基にしたサウンドボード音源もそれまでのタイトルより状態の良いものだったことから、音質もアップしています。
さて本作、サウンドボード音源の音質については『Blind Date C.N.I.B.1979 2nd Show』とほとんど変わりなく、オーディエンス音源の補填箇所・処理についても同じ。
では、違いはというと、オーディエンス音源の音造りにあります。
『Blind Date C.N.I.B.1979 2nd Show』の方はやや高域寄りの音になっているため、ヴォーカルのサ行が潰れ気味になっていますが、本作は高域抑えめにした音造りとしていることから、ボーカルのサ行も潰れることなく聴けるようになっています。
また、『Blind Date C.N.I.B.1979 2nd Show』のオーディエンス音源の定位は左に寄ってしまっていますが、本作はきちんと中央に定位しているため、サウンドボード音源との切り替わり部がよりスムーズとなっています。
なお、『Blind Date C.N.I.B.1979 2nd Show』の方はミックが出てきて最初に発する言葉まで13秒なのに対し、本作は53秒と、ディスク冒頭としてはやや冗長な感が。本作の方がミック登場の盛り上がり部分を収録しているといえばそうなのですが、元々が歓声をあまり拾っていない卓直結音源故、この部分はディスク1の最後に持ってきて、ディスク2がすっきりと始まるようにしてあった方が良かったかも。 |
by Hara ¦ 18:15, Friday, Jul 17, 2020 ¦ 固定リンク
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