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2016年 9月
『Live In Paris』(CODA Publishing) |
『Live In Paris』(CPLCD038) 1CD
Apr.18 1965 L'Olympia,Paris,France
(※)Track12,13
Mar.5-7 1965 : London, Liverpool & Manchester,UK
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent
1.Everybody Needs Somebody To Love - Around And Around/2.Off The Hook/3.Time Is On My Side/4.Carol/5.It's All Over Now/6.Little Red Rooster/7.Route 66/8.Everybody Needs Somebody To Love/9.The Last Time/10.I'm Alright/11.Hey Crawdaddy(Craw-Dad)/12.Everybody Needs Somebody To Love/13.Down The Road Apiece
ハーフオフィシャル盤。
トラック1から11までは、65年4月16〜18日の3日間で行われたパリはオランピア公演から、フランスのFM局Europe 1が収録し「Musicorama」という番組で全曲を放送した18日公演の模様を収録(本作のクレジットは17日と誤記)。
LP時代から音質の良さで知られた音源だけに、本作も当然ながら高音質で収録。
オープニングの"Everybody Needs Somebody To Love"にアナウンスが被っていないことから、基にしたのは近年の再放送音源ではない方の音源。
こちらの音源の代表盤として事典で挙げたのはVGPの『A Rolling Stone Gathers No Moss』(VGP-101)
本作の音質は、このVGP盤より音圧が若干上がってはいるものの、ほぼ同等といっていいレベル。
アンコール"Craw-Dad"(本作のクレジットは"Hey Crawdaddy")を始める前の、1分近くあるギターのチューニング含む歓声部はVGPと同じですが、ライブ前後の歓声はVGP盤よりも若干短くなっています。
ただこのCD、チャプターが変わるたびに音ぶれやプチノイズが混入してしまってるという欠陥が生じてしまっています。しかも"Everybody Needs Somebody To Love"からのメドレーで同じ1つのトラックに入っている"Around And Around"の曲前では、チャプターが振られていないのに音ブレとプチノイズが・・・。という訳で、この音ぶれやプチノイズ、本作の作成時というよりは基にしたマスターがそうだったということなのでしょう。この致命的な欠陥は何とも残念。
オランピア公演の次に収録されている"Everybody Needs Somebody To Love"と"Down The Road Apiece"は、同年3月5日から7日に行われたリバプールもしくはマンチェスター公演(本作のクレジットでは3月6日のリバプール公演)からで、VGPが名前を伏せてリリースした『Got Live If You Want It』(London DFE 8620 ※VGP CD)に収録されているものと同じ。
事典でも触れたように、オフィシャルDVD『Charlie Is My Darling』のスーパーデラックスエディションに付属しているボーナスCD2『Live In England 1965』に収録のものと演奏自体は同じですが、"Everybody Needs Somebody To Love"は途中からヴォーカルが異なっています。 |
06:31, Wednesday, Sep 28, 2016 ¦ 固定リンク
『Rock'n'Roll Circus Sessions』(misterclaudel) |
『Rock'n'Roll Circus Sessions』(mccd-485/486/487/488) 3CD+1DVD
Dec.10-12 Intertel Studios,London,UK
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(※)Disc-2 Track1-4,15,16(part)
Mono Soundboard Recording
Quality:Very Good
(※)Disc-2 Track5-10,13,14 Disc-3 Track5-9
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
-Genuine Stereo Mix-
1.Entry Of The Gladiators/2.Song For Jeffrey/3.A Quick One/4.Over The Waves/5.Ain't That A Lot Of Love/6.Something Better/7.Fire Eater And Luna/8.John And Mick/9.Yer Blues/10.Whole Lotta Yoko/11.Jumping Jack Flash/12.Parachute Woman/13.No Expectations/14.You Can't Always Get What You Want/15.Sympathy For The Devil/16.Salt Of The Earth/17.Ending Parade
(Disc-2)
-Rehearsal & Outtakes-
1.Parachute Woman #1/2.Parachute Woman #2/3.You Can't Always Get What You Want #1/4.You Can't Always Get What You Want #2/5.Yer Blues(a capella)#1/6.Yer Blues(a capella)#2/7.Yer Blues(Rehearsal take from Nagra reel)/8.Blues Jam/9.Yer Blues(take 1 from Nagra reel)/10.Yer Blues(take 1 Vocal Track)/11.Yer Blues(take 2 Stereo Mix)/12.Whole Lotta Yoko(Stereo Mix)/13.Yer Blues(take 2 Mono Mix 1)/14.Yer Blues(take 2 Mono Mix 2)/15.A Quick One(take 1)/16.A Quick One(take 2)/17.A Quick One(take 3 Stereo Mix "TKAAL" Sound Track)
(Disc-3)
-Outtakes-
1.Checkin' Up On My Baby/2.Leavin'Trunk/3.Corina/4.Sonata In C,First Movement
-IBC Acetates-
5.Yer Blues/6.Whole Lotta Yoko/7.A Quick One/8.Purple Haze/9.Wild Thing
(※)Disc-1 Track2・・・Jesro Tull
(※)Disc-1 Track3 Disc-2 Track11,12,13・・・The WHO
(※)Disc-1 Track5 Disc-3 Track1,2,3・・・Taj Mahal
(※)Disc-1 Track6・・・Marianne Faithfull
(※)Disc-1 Track7・・・Performance
(※)Disc-1 Track9,10 Disc-2 Track3〜10 Disc-3 Track5,6・・・The Dirty Mac
(※)Disc-3 Track4・・・Julius Katchen
(※)Disc-3 Track8,9・・・Jimi Hendrix (Not"Rock'Roll Circus")
70年、69年と続けて書いてきたので、今回はその流れで、これまたタイミングを大きく外してしまっていた68年のロックンロールサーカス関連盤を紹介。
ディスク1は、初登場となるオフィシャルとは異なるステレオラフミックスを収録。
オフィシャルはほとんどモノラルに近いミックスだったのに対し、こちらのミックスはヴォーカルが右、ドラムが左、その他の楽器は基本的に中央やや左ですがエフェクトをかけて左右に膨らみを与えています。
ただしダーティーマックの演奏分についてはミックスが異なり、ヴォーカルが中央でドラムが右、クラプトンのギターが左、ジョンのギターとベースはステレオに振り分けられています。
また、マリアンヌの"Something Better"やストーンズの"Salt Of The Earth"といったマイミング楽曲のバッキングトラックは、まとめて左に定位。
収録曲は全てオフィシャルと同じですが、ジョン・レノンがストーンズを紹介する際、オフィシャルは手話を強調しようという意図なのか、紹介部分を無音にしていましたが、本作はそのようなことなくしっかりと収録されています。
そのストーンズ部分、いきなり"Jumping Jack Flash"のイントロで、手拍子を思い切り拾ってしまっているのはラフミックスならでは。ミックス作成中に気づいたのか、曲を邪魔する手拍子はこの部分だけで以降は無し。
ロックンロールサーカスは元々ライブ盤リリースの予定があり、このディスク1に収録されている音も、如何にも60年代っぽい極端なリアルステレオミックスとなっていたりすることから、ライブ盤用のものかとの推測も成り立ちそうですが、ここに収録されている"Yer Blues"が、当時のモノクロ映像等で採用されていた方のテイク2ではなく、オフィシャルリリースされた時に採用されたテイク1であることから、これは90年代のオフィシャル作成時のラフミックスと考えた方が妥当かと。
続いてディスク2。
最初の4トラックは、ストーンズのリハーサルテイクですが初出は無し。ただ事典にも書いたように、この4トラック全てを収録したタイトルがありませんでしたが、本作がようやく収録したことにより、1枚でまとめて聞けるようになっています。
ただ残念なことに、新たにテープからという訳にはいかなかったようで、"Parachute Woman #2"と"You Can't Always Get What You Want"2テイクの計3曲は、アナログ起こしでスクラッチノイズが結構聞こえてきますが、事典でこの3曲の代表盤として挙げた、Chapter Oneの『Rock'n'Roll Circus』(CO 25123)よりは遥かにクリアーな音質で収録されています。
ディスク冒頭の"Parachute Woman #1"は、『Let It Beep』(WLR-2103)を事典では代表盤として挙げておきましたが、こちらも本作の方がクリアーな音質で収録されています。ただしその分、元々割れ気味だった高域の歪が若干強調された感はありますが・・・。
トラック5から14までは、ダーティーマックの演奏を収録。
ここに収録されている演奏は、Mid Valleyの『Rock And Roll Circus Session』(MVR-662/663)や『The Dirty Mac』(MC-014)といったダーティーマックの音源にフォーカスを絞ったまとめタイトルでも聞くことが可能。
ちなみに本作ディスク1のラフミックスに関しては、これらまとめタイトルには未収録につき、いずれまた新たなまとめタイトルが出るかもしれません。
では本作収録分について軽く触れていくと、まず最初のアカペラ2トラックは同じもので、基にした音源の違い。バックステージでミックとジョンがこの曲の一節を軽く合わせる程度というものですが、アナログ時代はビートルズのブートLP『Strawberry Fields Forever』(CLUE 9)でしか聞けなかったという、それなりに貴重なものでしたが、オフィシャルでDVD化された際に「Close But No Cigar」という項目でボーナス収録されたことから、今や珍しくも何ともなくなってしまっています。
"Yer Blues(a capella)#1"はそのオフィシャルDVDから。
"Yer Blues(a capella)#2"の方はラジオ番組「Lost Lennon Tapes Show」で放送されたものからですが、基にしたのが低いレートで変換されたmp3音源だったため、先に触れたまとめタイトルと比べると、かなり音質は劣ってしまっています。
"Yer Blues(Rehearsal take from Nagra reel)""Blues Jam""Yer Blues(take 1 from Nagra reel)"は、同じくラジオ番組「Lost Lennon Tapes Show」からですが、先ほどのアカペラのような劣化した音ではなく、ちゃんと高音質で収録されており、既発のやや硬質気味な音質のまとめタイトル2種よりも自然な感じで聞きやすくなっています。
"Yer Blues(take 1 Vocal Track)"はジョンのヴォーカルが前面に出て、演奏がやや後ろの方で鳴っている印象のトラック。その前の"Yer Blues(take 1 from Nagra reel)"はカメラ備え付けのマイクによる録音のため、ジョンのヴォーカルはほとんど拾っていなかったので、その真逆な感じ。このヴォーカルメインのトラックは、まとめタイトル2種には未収録。
"Yer Blues(take 2 Stereo Mix)"とWhole Lotta Yoko(Stereo Mix)は、ドラムとベースが右、クラプトンが左、ジョンが中央やや左寄り、そしてヴォーカルとバイオリンは中央というミックス。『Rock And Roll Circus Session』はIBC Mono Acetateとミスクレジットされて、そして『The Dirty Mac』にはWide Stereo Versionと称されてそれぞれ収録されていますが、本作が一番クリアーで高音質。
"Yer Blues(take 2 Mono Mix 1)"は高域やや潰れ気味のミックス。まとめタイトル2種にも収録されていますが、『Rock And Roll Circus Session』はEarly Alternate Stereo Mixes 4-track Reelとミスクレジットされています。
"Yer Blues(take 2 Mono Mix 2)"は、まとめ2種はモノラルに近いステレオすなわちオフィシャルミックスで収録されていますが、本作は何故かそれをモノラル化したものが収録されています。
・・・と、これら"Yer Blues"、やたらたくさん入ってはいますが、実際の演奏はリハーサルテイクと本番の2テイクのみ。
ブートVHS時代に出回っていたモノクロ映像にはテイク2が収録されていて、そちらがブート愛好家の中ではポピュラーなテイクでしたが、ジョンが歌詞を間違えていたのが原因だったのか、オフィシャルでLD/VHS化された際はクラプトンのギターがあっさり目のテイク1の方が採用、このまま熱い演奏のテイク2がお蔵入りになるかと思いきや、DVDのボーナストラックとしてこちらもめでたくオフィシャル化されたので、ミックスの違いはあれど現在は手軽に見聞きできる状況となっています。
ちなみにそのテイク2の歌詞間違いですが、1回目のBメロの「My mother was of the sky, My father was of the earth」が「My mother was of the earth,My father was of the Sky」と逆になってしまっているのと、2回目のBメロ「Just like Dylan's Mr. Jones」を「Feel like Dylan's Mr. Jones」と2ヶ所失敗してしまっているので、オフィシャルのメインで採用されなかったのもやむなしかなといったところ。
ディスク2最後の3トラックは、フーの"Quick One"3テイク。
テイク1はオフィシャル未リリーステイクですが、ヒスノイズが多いことに加えて高域キツ目の音造りとなってしまっているので、耳につく周波数を抑える等してもらいたかったところ。
テイク2は、The WHOのオフィシャルボックス『Thirty Years Of Maximum R&B』にてオフィシャル化されていましたが、この時は6パートで構成される楽曲中、最初の「Her Man's Been Gone」と最後の「You Are Forgiven」の2パートが、このロックンロールサーカスのテイク2で、残りの4パートがオフィシャルのスタジオテイクという編集となっていました。本作収録のテイク2は当然ながら最初から最後まで同一テイクの完走版ですが、
少しでも音質の良いものをという発想からなのか、こちらも最初の「Her Man's Been Gone」と最後の「You Are Forgiven」の2パートをオフィシャルから流用しているため、オフィシャルパートはステレオなのに残りのパートはモノラル、そして音質も若干差がでてしまっていますので、ここはモノラルで通してもらいたかったところ。
そしてテイク3は、フーの映画『The kids Are Alright』のサウンドトラックからとなっていますが、音質はオフィシャルのサントラ盤よりもかなり劣化してしまっています。
ディスク3冒頭から4トラック収録されているタジ・マハールとジュリアス・カッチェンそれぞれの演奏は、オフィシャルのメイン映像では採用されませんでしたが、今やDVDのボーナストラックとして映像付で収録されていたりしますので、まあCDプレイヤーで聞きたい人向け。
IBCアセテートからの収録となっている"Yer Blues"はテイク2。次の"Whole Lotta Yoko"とともにモノラルミックスですが、盤の状態が良くなかったのか高域がやや潰れ気味。『Rock And Roll Circus Session』はクレジットされているものの別のステレオミックスが収録されていることから、このアセテート音源は未収録。『The Dirty Mac』にはちゃんと収録されていますが、本作の方が音質はクリアーです。
フーの"Quick One"はtake3のミックス違い。
なお、ジミヘンの2曲はロックンロールサーカスと全く関係のないウインターランドでのライブからとなっています。
DVDの方にも少しだけ触れておくと、収録曲は以下
(DVD Disc)
-Rough Cut Edition-
1.Entry Of The Gladiators/2.Song For Jeffrey/3.Fire Eater And Luna/4.A Quick One/5.Ain't That A Lot Of Love/6.Something Better/7.John And Mick/8.Yer Blues/9.Whole Lotta Yoko/10.You Can't Always Get What You Want/11.Sympathy For The Devil/12.Salt Of The Earth
-Rough Cut VS Final Cut-
1.Entry Of The Gladiators/2.Song For Jeffrey/3.Fire Eater And Luna/4.A Quick One/5.Ain't That A Lot Of Love/6.Something Better/7.Yer Blues/8.Whole Lotta Yoko
-The Dirty Mac Outtakes-
1.Yer Blues(take 2 in Color)/2.Yer Blues(German TV Documentary "Piece Of His Mind)/3.Yer Blues("John And Yoko")/4.Yer Blues(Austria TV Archive)
-B&W Video Version-
1.Jumping Jack Flash/2.Parachute Woman/3.No Expectations/4.You Can't Always Get What You Want
-The WHO Multi Angle-
1.A Quick One
-Dirty Mac Multi Angle-
1.Yer Blues
-Rough Cut Edition-と題されたパートは、ビデオテープ時代のブートでお馴染みのモノクロ編集版。
歪みがほぼ全くない状態で収録されており、VHS時代でもこんな状態の良いものはそうそう無かったレベルにつき、大変貴重かと。
次の-Rough Cut VS Final Cut-は、モノクロ編集版とオフィシャルの2分割画面による比較映像となっており、オフィシャルリリースの際に、どの部分が差し替えられたかがよく分かる造りになっているのですが、よりによってストーンズ部分が未収録・・・。作られてないのか、ディスク制作時にカットされたのかは不明ですが、いつの日かストーンズ部分も収録したコンプリート比較版を見てみたいものです。
-The Dirty Mac Outtakes-と称されたオフィシャルのメイン映像未収録集。
最初のテイク2は、オフィシャルの4分割画面と違って、きちんと編集された映像で楽しむことが出来ますが、画質自体は荒め。続く2つはテレビのドキュメンタリー番組からの断片映像で前者はカラーで後者はモノクロ。そしてAustria TV Archiveと称されたタイムコード入りの映像は、ややぼけ気味ながらもフル収録で、オフィシャルのマルチアングルには未収録。
続く-B&W Video Version-は、ストーンズの4曲。
オフィシャルDVDはフィルム映像でしたが、ここに収録されているのはモノクロのビデオ映像。カメラの切り替え等の編集自体はオフィシャルDVDと全く同じとなっており、このビデオ映像がどういう意図で作られたのか興味深いところではあります。
フーの-The WHO Multi Angle-は、映画「The Kids Are Alright」とオフィシャルDVDを2分割画面で同時に観ることが出来、その編集の違い比較するトラック。微妙にカットが異なっているのが分かります。
ラストの-Dirty Mac Multi Angle-。
オフィシャルはカメラごとの4分割画面となっていましたが、本作の方はそれに加えてモノクロ編集版映像とAustria TV Archive映像を加えての6分割画面となっています。
最後に、後発盤であるOriginal Master Series『Rock'n'Roll Circus Sessions』(OMS 325-328)は、
装丁が異なることを除けば、DVD含めて本作のフルコピー盤です。
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by Hara ¦ 02:00, Sunday, Sep 25, 2016 ¦ 固定リンク
『Dub And Douglas Present』(Eat A Peach) |
『Dub And Douglas Present』(EAT 115) 1CD
Nov.8 1969 Inglewood Forum,Los Angels,CA (2nd show)
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
1.Introduction/2.Jumping Jack Flash/3.Carol/4.Sympathy For The Devil/5.Stray Cat Blues/6.Prodigal Son/7.You Gotta Move/8.Love In Vain/9.I'm Free/10.Under My Thumb/11.Midnight Rambler/12.Live With Me/13.Little Queenie/14.Satisfaction/15.Honky Tonk Women/16.Street Fighting Man
69年ツアー2日目、11月8日のロサンゼルス公演2ndショー収録盤。
この公演は2種類のオーディエンス音源がブート化されていますが、本作が収録しているのは、アルバムタイトルが示しているように元祖TMOQ創始者であるダブ・テイラーが録った方の音源。
ヒスノイズはそこそこあるものの、演奏を大きく捉えた好録音で、この時代のオーディエンス録音としてはかなり上質の部類。ヴォーカルがよく聞こえる代わりにギターが引っ込み気味といったバランス。
事典で挙げたこの音源の代表盤は、DACの『Western Affair Vol.1』(DAC-124)。
このDAC盤と本作を比較すると、全体的な音質はDAC盤の低域を若干持ち上げた印象。音量自体もDAC盤より上げてはいるものの、高域が耳につくということは無し。
この音源、テープチェンジにより"Live With Me"曲頭から最初のサビまでが欠落していましたが、曲前の「Thank you」のMCからサビ後のAメロ最初まで、DACの『L.A.69』(DAC-120)に代表される、もう片方のオーディエンス音源を補填しているのはDAC盤同様。その補填音源のヒスノイズ部分が波打ってしまっているのもまた同様。
・・・と書きはしていますが、早い話が本作は基本的にはDAC盤のコピー。
ただし本作は、全体的な音質をちょっと加工しただけのコピーではなく、何故かDAC盤には未収録だったサム・カトラーによるイントロダクションを、もう片方の音源から持ってきて補填しています。
とはいえ、その補填したイントロダクション、既発はいずれもカット無しで収録されていたのに、本作はどういう訳か、頭がほんの僅か欠けてしまっているのがちょっと残念。 |
by Hara ¦ 23:29, Friday, Sep 23, 2016 ¦ 固定リンク
『Live From The Radio Paris 1970』(Goldplate) |
『Live From The Radio Paris 1970』(GP-1505CD1/2) 2CD
Sep.22 & 23 1970 Palais Des Sports,Paris,France
Mono Soundboard Recording
Quality:Very Good
(※)Disc-2 Track14,15
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
Radio Introduction/2.Jumping Jack Flash/3.Roll Over Beethoven/4.Sympathy For The Devil/5.Stary Cat Blues/6.Love In Vain/7.Dead Flowers/8.Midnight Rambler/9.Live With Me/10.Little Queenie/11.Let It Rock/12.Brown Sugar/13.Honky Tonk Women/14.Street Fighting Man/15.Radio Outroduction/16.Backstage Radio Report/17.It's My Life Baby
(Disc-2)
1.Jumping Jack Flash/2.Roll Over Beethoven/3.Sympathy For The Devil/4.Stary Cat Blues/5.Love In Vain/6.Dead Flowers/7.Midnight Rambler/8.Live With Me/9.Let It Rock/10.Little Queenie/11.Brown Sugar/12.Honky Tonk Women/13.Street Fighting Man/14.Sympathy For The Devil(rebroadcast)/15.Brown Sugar(rebroadcast)
(※)Disc-1 Track17・・・Buddy Guy and Junior Wells with Eric Clapton
1970年ツアー続きということで、ここでも結構古めなタイトルを。
アルバムタイトルにあるように、本作が収録しているのはラジオ放送された1970年のパリ公演。
ストーンズのパリ公演は65,66,67年と公演を行う度にラジオ放送されてきましたが、この年は9月22日と23日の2公演がそれぞれ「Europe 1」にて全曲放送されています。
ディスク1に収録されているのは9月22日公演。
この公演の放送は、1曲毎にアナウンスが被っちゃっているのが玉にキズ。
この放送を収録したタイトルとして、事典で代表盤として挙げたのは『Paris Affair』(VGP-127)と『Return of The Marquis De Sade』(Mid Valley 511)の2つ。
基にしたテープは同じで、ヒスノイズ多めでクリアーさに欠けるジェネレーションの高い音。VGP盤と比べると、Mid Valley盤の方が高域の持ち上げ加減をやや控えめにし、逆に低域を少し持ち上げている印象。
本作は、高域がMid Valley盤同様にやや控えめ、低域はVGP盤に似た感じなものの、オーバーレベルが原因と思しき音割れについては、VGP盤よりも若干聞きやすくなっている印象に仕上げていますが、これら既発とそれほど大きな差があるわけではなし。
では、事典で触れた2曲の編集違いについてはどうかというと、まずは"Jumping Jack Flash"。
VGP盤では最後のサビの「Gas Gas Gas」あたりから音量が10秒程落ち込んでいましたが、Mid Valley盤は完璧ではないものの音量修正を施しており、VGP盤程に音量が落ちたという印象は受けず。本作は、Mid Valley盤同様に修正を施しており、ほんの僅かながら音の落ち込み度合が改善されています。とはいえほとんど大差ないと言っていいレベルだったりはしますが・・・。
続いて"Little Queenie"のイントロ1分6秒と1分8秒にあった一瞬の音切れ。
VGP盤はそのまま、Mid Valley盤はその途切れた部分を詰めてしまったがために音飛びを起こしたようになっていましたが、本作は、おそらくその前の似た部分をコピー補填して音飛びを解消させています。ただ、ちょうどその音飛び部分でテイラーがちょっとしたオブリガードを入れており、既発では断片的ながらそのフレーズを聴くことが出来ましたが、本作ではそのオブリ部分を丸ごと差替えたがために、無かったこととなっています。
この"Little Queenie"の処理については、こちらも事典出版後リリースだったTarantura『Europe 1』(TCDRS-37)も同様に行っていますが、このTarantura盤については、聞きやすくしようと全体的に疑似ステレオ処理をしていたまでは良かったものの、合わせてリヴァーヴエコーまでかけていたのは、ちょっとやり過ぎかといった感も。ちなみにこのTarantura盤、チャプター処理が不得手で音ブレを起こしているタイトルが多いこのレーベルにしては珍しく、音ブレのないものとなっています。
なお、Mid Valley盤の方のみに収録されていた、前座のバディ・ガイとジュニア・ウェルズのステージにクラプトンが飛び入りした"It's My Life Baby"は本作にも収録。
また、バンドがステージに上がって来る際のバンドコールについては、ここに挙げた既発2タイトルは寸前でのフェードインだったのに対し、本作はほんの僅かながらそれらより前から収録しています。
ディスク2は翌23日公演。
こちらも全曲が放送されていますが、前日公演の放送とはうってかわって余計なアナウンスを挟まないものとなっています。
事典で代表盤としたのはVGPの『Some Like It Hot!』(VGP-044) Gold CD Limited Edition。
全体的にやや強目に感じる位に低域をしっかり拾った音で、ヒスノイズ多めのエアチェック音源。残念ながら全曲同一マスターではなく、"Honky Tonk Women"と"Street Fighting Man"の2曲は低音不足で中域が響き気味というメインより音質の落ちる音源となっています。
本作も"Honky Tonk Women"と"Street Fighting Man"が別マスターなのはVGP盤同様。メインとなる"Brown Sugar"までの音源については、低域を若干絞ってVGP盤よりも明るめな印象の音造り。VGP盤で低域不足だった"Honky Tonk Women"と"Street Fighting Man"は同様に明るめな音造りとしてはいるものの、低域不足については、元々入っていない音を持ち上げることは当然ながら出来なかったようで、ほとんど大差なし。
またVGP盤には、編集時の混入と推測される「ピッ」という電子音が、"Little Queenie"の1分26秒と36秒付近、"Brown Sugar"の4分13秒付近にそれぞれ入ってしまっていましたが、本作にはそれは無し。
ただ、サイトHot Stuffでの本作のレビューにより聞き逃していたことに気づきましたが、"Stray Cat Blues"の3分付近にも実はこの電子音が入っており、本作の方もチャプター位置の関係で3分4秒となりますが、やはりこの電子音が混入してしまっています。このことから本作のディスク2は、VGP盤をコピーして作成したということが分かります。
ちなみにこの電子音、VGPの『Some Like It Hot』1stエディションにも入ってしまっているため、この電子音が入っていない唯一のタイトルは、この音源の初出タイトルであったGray Sealの『Paris 1970』(GS-93001)のみですが、こちらはヒスノイズが多く、音も左に偏ってしまっていたり、"Brown Sugar"が終わりきらないうちにフェードアウトしてしまうという他とは別の難点あり。
ディスク2の最後2曲はボーナストラックで、どちらも後年の再放送から。
"Sympathy For The Devil"は、VGP『From The Vault』(VGP-100)に収録されていたものと同じ。
音自体は高音質なものの、イントロが若干フェードイン気味で終わりは4分少々でフェードアウトという中途半端な状態。本作はスタート箇所は同じなものの、終わりは僅かながらフェードインが早められていることから、このVGP盤のコピー。
"Brown Sugar"はVGPの『The Royal Dragon』(VGP-083)にボーナス収録されていたものと同じ。
メインの音源よりは高音質なものの、低域割れ気味なことに加えてテープ劣化が原因の細かいドロップアウト箇所が結構あり。こちらもVGP盤からのコピーですが、高域部がチャリチャリ鳴っているという圧縮特有の音となっていることから、本作はVGP音源を一旦mp3化したものをマスターとしたようです。
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23:27, Thursday, Sep 22, 2016 ¦ 固定リンク
『Street Fighting Men In Milan』(DAC) |
『Street Fighting Men In Milan』(DAC-157) 2CD
Oct.1 1970 Palalido Palazzo Dello Sport,Milan,Italy (1st&2nd show)
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
(Disc-1)
1.Jumping Jack Flash/2.Roll Over Beethoven/3.Sympathy For The Devil/4.Stary Cat Blues/5.Love In Vain/6.Prodigal Son/7.Dead Flowers/8.Midnight Rambler/9.Live With Me/10.Little Queenie/11.Brown Sugar/12.Honky Tonk Women/13.Street Fighting Man
(Disc-2)
1.Jumping Jack Flash/2.Roll Over Beethoven/3.Sympathy For The Devil/4.Stary Cat Blues/5.Love In Vain/6.Prodigal Son/7.Dead Flowers/8.Midnight Rambler/9.Live With Me/10.Let It Rock/11.Little Queenie/12.Brown Sugar/13.Honky Tonk Women/14.Street Fighting Man
タイミングを外してしまって(まあこのサイトでは往々にしてそればっかりなんですが・・・)紹介し損ねていた本作を、前項で1970年欧州ツアーのタイトルを紹介した流れで、ここでは採り上げます。
本作が収録しているのは、1970年10月1日にミラノで行われた2回の公演。
ディスク1に収録されているのは1stショー。
その1stショーの既発収録盤についておさらいしておくと・・・
アナログ時代は『Street Fighting Men In Milan』(Claudine Records 181243)という1枚物LPに、この1stショーで演奏された全13曲がブート化されてはいたものの、"Sympathy For The Devil"は若干の頭欠け。
"Stary Cat Blues"はイントロがフェードインな上、曲が終わりきらない内にフェードアウト。"Love In Vain"もイントロ途中からフェードイン。"Live With Me"もイントロ途中からフェードインして1分19秒ほどの収録。"Little Queenie"に至っては曲の終盤28秒程しか収録されていないといった具合。
音の方は遠目ながらバランスの良い聞きやすい録音で、低音やや軽めながらも意外と聞き易い音質ではあったものの、"Little Queenie"以降は音がコモってしまっているのが難点。
CDでの既発収録盤は2タイトル。
1つ目は、事典でこのショーの代表盤として挙げたVGP『Roll Over Beethoven』(VGP-261)。
アナログ起こしで、針音が一切聞こえない上、合っていなかったピッチを修正。そしてLPでは不足気味だった低音を増強し聞きやすくしてあるのがポイント。ただし、針音除去と荒れ気味の高域をマスキングする意図だったのか、高域部の一部周波数をカットした音造りだったため、LP本来のクリアーな音質が損なわれてしまっています。
もう1つは事典出版後にリリースされた、Mayflower『Live In Milan 1970』(MF-80/81/82)。
こちらもまたVGP盤同様にLP起こしで、ピッチは正常に修正。スクラッチノイズやチリノイズがそこそこ聞こえていたり、高域が一部歪み気味になっていたりはするものの、音質についてはVGP盤よりも鮮明な音で収録されており、VGP盤同様に低域については若干持ち上げているようで音の重心の差こそあれどほぼ同等。また基のLPは"Sympathy For The Devil"と"Love In Vain""Midnight Rambler"の前にテープの上書きと思しき別の音が入っていましたが、VGP盤はその部分をカットしていたのに対し、Mayflower盤はそのまま収録。その他の部分でも基LPでカットアウト・インとなっていた箇所についてもVGP盤はクロスフェード処理を施していましたが、このMayflower盤はあくまでもLPそのままの編集で収録されていました。
さて本作はというと、既発CD2タイトル同様にアナログから起こされており、ピッチは正常に修正。
基LPにあったテープの上書きと思しき別の音のカットやクロスフェード処理についてはVGP盤同様。
ただ、全体的な音質については、VGP盤程ではありませんが、やはりノイズ除去処理の影響により、低域を上げた以外はLPに結構忠実な音だったMayflower盤と比べると、鮮明さに欠ける印象の音となってしまっているのが、後発だったことを考えると何とも残念。
続いてディスク2に収録されているのは、1stショー同様に"Sympathy For The Devil"でのテンション高いミックのヴォーカルが聞きものの2ndショー。
この2ndショー音源、事典出版時は『Vintage Champaign』(DAC-081)を採り上げており、"Jumping Jack Flash""Roll Over Beethoven""Stary Cat Blues""Prodigal Son""Dead Flowers""Midnight Rambler"の6曲がブート化されていただけでしたが、これはこのショーの8mm映像に被せてあった音源をCD化したもの。8mm映像の方では他に"Love In Vain"も1分半ほど被せてありましたが、このDAC盤には未収録。
事典出版後、この8mm映像に被せていたオーディエンス音源の全長版がネットにアップされ、1stショーでは演奏されなかった"Let It Rock"も加わった全14曲がほぼノーカットで聞けるようになりました。
この音源、1stショー音源に似た感じの、やや遠目な軽めの音ではあるものの、演奏の細部まで聞くことが出来るバランスの良いクリアーな音質の好録音で、この年代のオーディエンス音源としては良質の部類。時折、周りの観客の私語を拾っていたりもしますが充分許容範囲内。
DAC盤では途中までの収録だった"Prodigal Son"やフェードインの"Dead Flowers"はノーカット収録となりましたが、"Love In Vain"は惜しくもエンデイングでドラムがブレイクした後のギターアルペジオ部分が欠落しています。
事典でエンディングがおかしいと触れていた"Midnight Rambler"については、DAC盤の方はやはり音飛びしていたようで、こちらの音源ではエンディングになって極端に音質がコモってしまってはいるものの、いつもどおりのエンディングだったことが確認できます。その"Midnight Rambler"が終わった後、チャーリーが曲間で遊びで叩いているドラムが2種重なって聞こえてきますが、これはおそらく大元のテープ供給者が行ったテープチェンジ部のクロスフェード編集と推測。
この"Midnight Rambler"での音のコモリも含め、ネットにアップされた音源はテープの状態が良くなかったようで、時折テープ劣化による音のヨレが生じていることに加えて、大元のマスターテープからの流通過程でビデオテープが使用されていたのか、"Little Queenie"や"Street Fighting Man"に顕著ですが、トラッキングがずれたことによるHiFi音声のオンオフによるものと思しき音のコモリが生じていたりもします。
また、"Sympathy For The Devil"は全体的に、"Street Fighting Man"はイントロから歌いだしにかけて、ヒズノイズが増大していたりも。
そんなこの音源を収録した既発タイトルは2種。
まずは前述のMayflower『Live In Milan 1970』(MF-80/81/82)
基音源の高域と低域を持ち上げてメリハリをつけた程度の音造りとしていますが、"Midnight Rambler"のエンディングでの極端に高域が落ちる部分や、"Little Queenie"や"Street Fighting Man"での音のこもった部分への音質補正は無し。また、"Sympathy For The Devil"や"Street Fighting Man"序盤のヒスノイズについては、音にメリハリをつけた影響により、更に強調されてしまったにも関わらず、この箇所への緩和処理も行ってはいません。"Love In Vain"のエンデイング欠落部はそのまま。
続いては『Milan 1970 2nd Show』(-)
Mayflower盤が基音源の高域と低域を持ち上げてメリハリをつけた音造りとしていたのに対し、本作は全体的な音質については基音源をほとんど調整処理をしていないようなので、Mayflower盤と比べると若干おとなしめな印象。
"Sympathy For The Devil"や"Street Fighting Man"冒頭のヒスノイズについては、余韻がおかしくならない程度の除去処理を施していますが、その影響によりこれらの曲は若干高域が押さえ気味の音質に。
"Little Queenie"や"Street Fighting Man"で頻繁に発生していた音のコモリや、"Midnight Rambler"のエンディングでの極端に高域が落ちる部分についてはそのまま。
なお、"Love In Vain"のエンデイング欠落部については、VGP『Roll Over Beethoven』から同日1stショーの同箇所をコピー補填して、ノーカットで聞けるようにしています。
また細かいとことろでは"Live With Me"の間奏後半、このノンレーベル盤のタイムでいうと2分2秒付近での一瞬の音ブレについてもスムーズに聞けるよう補正がされています。
では本作はというと、全体的な音質は『Milan 1970 2nd Show』よりも若干明るめで、低域に厚みをつけた音造り。あらためてモノラル化して造りなおしたようで、他タイトルにあった左右の音ブレは無し。
"Sympathy For The Devil"や"Street Fighting Man"冒頭のヒスノイズについては、『Milan 1970 2nd Show』同様に余韻がおかしくならない程度の除去処理を施していますが、前曲の"Roll Over Beethoven"と比べての音質変化はほとんど無いという絶妙の仕上がりとなっています。
また、"Midnight Rambler"のエンディングでの極端に高域が落ちる部分や、"Little Queenie"や"Street Fighting Man"での音のコモリについては、余韻がおかしくならない程度にヒスノイズを除去しつつ高域を持ち上げているようで、まだまだ音質差はあるものの、他タイトルよりはその差が少な目。
なお、"Live With Me"の間奏後半の一瞬の音ブレや"Love In Vain"のエンデイング欠落部については、特に処理をせずそのままとなっています。
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by Hara ¦ 23:58, Tuesday, Sep 13, 2016 ¦ 固定リンク
『Stuttgart 1970』(-) 1CD
Sep.20 1970 Killesberg,Stuttgart,West Germany
Mono Audience Recording
Quality:Very Good
1.Intro/2.Jumping Jack Flash/3.Roll Over Beethoven/4.Sympathy For The Devil/5.Stary Cat Blues/6.Love In Vain/7.Dead Flowers/8.Midnight Rambler/9.Live With Me/10.Let It Rock/11.Little Queenie/12.Brown Sugar/13.Honky Tonk Women/14.Street Fighting Man
70年欧州ツアー中盤のシュトゥットガルト公演収録盤。
この公演はこれまで2種の音源がブート化されており、事典で2種とも紹介しましたが、ここであらためて記しておくと・・・。
まずは、最初にブート化された『Europien Tour Stuttgart 1970』(VGP-187)収録の音源。
ラストの"Street Fighting Man"が途中でフェードアウトする以外は、曲中カット無しの全曲収録。音の方は分離が悪く、ドラムの聞き分けも難しいような状態ではあるものの案外と聞きやすい音。基テープの劣化による音ユレが少々と、時折「ジッ」というノイズが入るのがやや難点。
次にブート化されたのが『Germany 1970』(DAC-070)収録の音源。
こちらの音源音の分離が最初の音源よりも良く、全体の音量が上がったライブ終盤は低音にやや歪みが生じている箇所があるものの、総じてVGP盤よりも断然聴きやすい印象。
また、VGP盤の"Jumping Jack Flash"冒頭は、元々音が団子状態だったことに加えて叫び声やら話し声を大きく拾っていたことから、最初音楽に聞こえなかったりしましたが、このDAC盤の方は最初からしっかりと聞き取ることが出来ます。
残念ながらこの音源での全曲収録ではなく、VGP盤で途中フェードアウトだった"Street Fighting Man"は最後までしっかりと収録されていたものの、"Let It Rock"には欠落があったようで(と当時は推測していましたが・・・)、VGP盤音源をメイン音源に違和感なく近づける音質調整を施した上で1曲丸々流用して、全曲ノーカット収録盤としています。
さて本作ですが、収録しているのはDAC盤の方の音源。
DAC盤よりも若いマスターを使用しているようで、全体的な音質はDAC盤よりも硬質さ控えめのナチュラルな質感の音となっていて、僅かながら聞きやすさは向上。
そして何より本作最大のポイントは、DAC盤の方で別音源が補填されていた"Let It Rock"が、メインと同一音源でノーカット収録されていること。
事典のDAC盤の項にはテープチェンジによる欠落部があると書きましたが、本作のリリースにより実は録音時の欠落が無かったことが証明されたのでした。
ここで疑問となるのが、ではテープチェンジはどのタイミングでしたのかという点。幸いにもVGPがリリースしたもう片方の音源があるので、曲間含めて比較してみましたが、結果としてライブ中のカットは確認できず。
たしかに本作のトータルタイムは62分26秒につき、120分テープの片面で収まる可能性はあるので、あとはこの当時に120分テープが発売されていたのかということでネットで検索してみたところ、「懐かしのカセットテープ博物館」という素晴らしいサイトを発見。
http://compactcassettes.jp/index.html
そのサイトの中に、マクセルがC-120というカセットテープを1968年頃から販売し、海外にも輸出品として販売されていたとの記載が。
http://compactcassettes.jp/maxell/maxell_c120_01.html
よって本作は、120分テープを使用したノーカット録音の音源を使用したという一旦の結論となりました。
なお、本作のオープニングトラックである"Intro"は、特にバンドコールが収録されているわけでもない、ただ観客がバンドの登場に騒いでいるだけのトラックですが、DAC盤より約7秒ほど長めの収録。
また、ラストの"Street Fighting Man"終了後は、DAC盤が7秒ほどで早々にフェードアウトしてしまうのに対し、本作は40秒ほど収録しており、客出しの場内BGMも聞くことが出来ます。
残念だったのは、Hot Stuffのatsu-y氏も指摘していましたが、"Sympathy For The Devil"の6分2秒と6分4秒、それぞれの一瞬の音の欠落。DAC盤の方は音飛びしたと感じない程度にうまく詰めていましたが、本作は特に処理なし。
また、"Love In Vain"の4分46秒から4分47秒にかけて、プツッという読み込みエラーっぽいデジタルノイズが3つ入ってしまっているので、ここはきちんと処理してもらいたかったところ。
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by Hara ¦ 22:28, Monday, Sep 12, 2016 ¦ 固定リンク
『Wanted Dead Or Alive』(-) |
『Wanted Dead Or Alive』(-) 1CD
May.7 1979 Madison Square Garden,New York City,NY
(※)Track-7,8,10
May.3 1979 Riverfront Coliseum,Cincinatti,OH
(※)Track-9
May.20 1979 Alameda Coliseum,Oakland,CA
Stereo Soundboard Recording
Quality:Exellent-Very Good
(※)Track-7-10
Mono Soundboard Recording
Quality:Exellent-Very Good
1.Sweet Little Rock'n Roller/2.Buried Alive/3.F.U.C.Her/4.Mystifies Me/5.Infekshun/6.Rock Me Baby/
7.Band Intro - Breath On Me/8.Let's Go Steady/9.Apartment No.9/10.Worried Life Blues
アマゾンで販売はしているものの、どこにもレーベル名やレコード会社名の記載はなく、ただニューバーバリアンズが著作権者とクレジットされているだけという何とも怪しい本作。
ジャケットのクレジットによると、本作が収録しているのは、ニューバーバリアンズの1979年USツアーから5月7日のMSG公演。
この公演は過去に、Empress Valleyが『Barb Wired Tour Vol.2』(EVSD 203/204/205/206)にて、"Love In Vain""Let's Go Steady""Apartment No.9""Honky Tonk Women"といった中盤の4曲が欠落しながらも、良好なミキサー卓直結のサウンドボード音源にてブート化されていましたが、本作も同じミキサー卓直結のサウンドボード音源から作成されています。
本作の方は、ジャガー/リチャーズ楽曲やボブディラン楽曲といったロニーに権利関係の無い楽曲がカットされ、ロニー単独作と古典曲で構成されていますが、『Barb Wired Tour Vol.2』に未収録だった"Let's Go Steady""Apartment No.9"や、フェードイン収録だった"Worried Life Blues"がフルに収録されているので、両方合わせればMSG公演の全曲を聞くことが出来る・・・はずだったのですが、実はなんと本作はMSG公演の音だけではなく他公演の音も収録していたのでした。
"Band Intro - Breath On Me"と"Let's Go Steady""Worried Life Blues"の3曲は、『Breath On Me』(BGS 1993-3)にてリリースされていた、5月3日のシンシナティ公演のミキサー卓直結サウンドボード音源。
ちなみに、TSPがリリースしていた『Live at L.A.Forum』(TSP-CD-204)はタイトル・クレジットとも間違っており、実際に収録されているのは同じく5月3日のシンシナティ公演です。
そして"Apartment No.9"は、EXILE『Carifornia Grooving』(EXM-002AB)にてリリースされていた、5月20日のオークランド公演ミキサー卓直結サウンドボード音源。
本作をヘッドフォンで聞いてみると、ヒスノイズの量や音質が曲によって異なっているので、トラック毎に音源編集をしたのかとの推測をしがちですが、実のところは複数公演の編集盤というのが正解。そして残念ながら新たにディスク化された音は無し。
なお、本作のラストトラックである"Worried Life Blues"が終了した後、ロニーのMSGの観客に向けてのMCが短く収録されていますが、このMCの本来の位置はMSG公演の"Come To Realise"の後。
シンシナティ公演の"Worried Life Blues"終了直後にMSG公演のMCをわざわざ繋げて、あたかも全曲MSG公演であるかのような確信犯的編集をしているところからしても、本作はオフィシャルではなくブートなんだろうなという気はします。 |
by Hara ¦ 01:03, Saturday, Sep 10, 2016 ¦ 固定リンク
『Handsome Girls Houston』(DAC) |
『Handsome Girls Houston』(DAC-172) 2CD
July.19 1978 Sam Houston Coliseum,Houston,TX
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(※)Disc-1 Track 1,5,8,9 Disc-2 Track 1,3,4
Mono Audience Recording
Quality:Very Good - Good
(Disc-1)
1.Let It Rock/2.All Down The Line/3.Honky Tonk Women/4.Star Star/5.When The Whip Comes Down/6.Beast Of Burden/7.Lies/8.Miss You/9.Just My Imagination
(Disc-2)
1.Shattered/2.Respectable/3.Far Away Eyes/4.Love In Vain/5.Intorductions/6.Tumbling Dice/7.Happy/8.Sweet Little Sixteen/9.Brown Sugar/10.Jumping Jack Flash
前項で紹介したデトロイト公演に引き続いての、1978年ツアーFM音源集大作『Hondsome Girls』(TSP-CD-200-4)の補完的タイトル、ヒューストン公演版。
本作も前項で紹介したデトロイト公演収録盤『Handsome Girls Detroit』(DAC-171)同様に、サウンドボード音源とオーディエンス音源を組み合わせてのヒューストン公演全曲収録盤としています。
デトロイト公演の方は、サイト「Wolfgang's Vault」に放送素材のラフミックス音源がアップされていたので、前述のDAC『Handsome Girls Detroit』はアップ音源をメインに作成していましたが、このヒューストン公演については何曲かアップされてはいるものの、すべてFM放送されたものと同じということで、そこからの流用は無いようです。
まずはメインのサウンドボード音源部、TSP盤未収録だった楽曲は"Tumbling Dice"とその前のサポートメンバー紹介。この部分については事典やここのブログでも触れましたが、アナログ時代から2種の音源がブート化されています。
1つ目の音源は、高域不足によるレンジ狭めの音のテープから作成された『Special Collector's Series Volume 8』(OBR 93008)、『Can't Stop Rollin』(OBR 93008)、『Can't Stop Rollin』(Diamond Sound)
そしてもう1つが、上記3タイトルに比べると音のクリアーさは譲るものの、音の鮮度自体はこちらの方が上の『Live From England 1974』(-)
本作は後者の『Live From England 1974』音源の高域をクリアーにして、他のサウンドボード音源とほとんど違和感なく収録するという、『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』(-)や音圧を若干上げた再発盤『The Lost Handsome Girls』(-)と同様の手法を取っています。
その"Tumbling Dice"、1コーラス目で構成を間違えてサビに早く入ろうとしたミックが照れ隠しのつもりなのか放送禁止用語を口にしたことにより、放送ではピー音が被せられてしまっていますが、本作はどういう訳かこのピー音をカットしてしまっているため音飛び状態となってしまっています。
他タイトルとの差別化ということでのカットならば、オーディエンス音源を補填するなりすれば良かったのにと、これについては何ともちょっと疑問の残る処理ではあります。
オーディエンス音源の方は、エコーがかった団子気味の音なものの、周りが静かなため演奏自体はよく捉えられているという録音。
音質もクリアーさに欠ける典型的なカセット録音の音ということで、サウンドボード音源との音質差による音源切り替わり時の違和感については仕方ない面はありますが、ディスク2頭のオーディエンス音源"Shattered"を、ディスク1のラストにしなかった点は、こちらもまた疑問の残るところ。
そうしておけばディスク2はサウンドボード音源から始まるし、ディスク2自体の音源切り替わり回数も減らすことが出来る、そして何よりデトロイト公演の方は"Shartterd"でディスク1を終わらせていたのだから、こちらもそれで充分だったのではなかったかなと。
その"Shattered"、ラジオ放送に採用されたのは6月28日のメンフィス公演と6月29日のレキシントン公演の2つでしたが、そのどちらよりもミックのテンションが高い好演だったので、大きなミスも無いこの演奏が放送に採用されなかったのは何とも残念で、今後の発掘やオフィシャルリリースに期待したいところ。 |
by Hara ¦ 07:00, Friday, Sep 09, 2016 ¦ 固定リンク
『Handsome Girls Detroit』(DAC) |
『Handsome Girls Detroit』(DAC-171) 2CD
July.6 1978 Masonic Temple Auditorium,Detroit,Michigan
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
(※)Disc-2 Track 1,2,7,8,9
Mono Audience Recording
Quality:Very Good - Good
(Disc-1)
1.Let It Rock/2.All Down The Line/3.Honky Tonk Women/4.Star Star/5.When The Whip Comes Down/6.Lies/7.Miss You/8.Beast Of Burden/9.Just My Imagination/10.Shattered
(Disc-2)
1.Respectable/2.Far Away Eyes/3.Intorductions/4.Love In Vain/5.Tumbling Dice/6.Happy/7.Sweet Little Sixteen/8.Brown Sugar/9.Jumping Jack Flash
タイトル文字だけを変えただけのデザインそのままなジャケット、そしてそのアルバム名から、78年ツアーのFM音源集大成タイトルだったTSP『Hondsome Girls』(TSP-CD-200-4)のダイジェスト盤かとの誤解を招きそうな本作。
中身の方はそんなことはなく、サイト「Wolfgang's Vault」(※現在は「Concert Vault」)にて公開されている、78年デトロイト公演のFM放送素材のラフミックス音源をメインとした造りの、TSP盤の補完的なタイトルとなっています。
TSP盤の補完というコンセプトのタイトルとしては、『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』(-)と、音圧を若干上げた再発盤『The Lost Handsome Girls』(-)がありますが、これらはこのデトロイト公開ラフミックス音源をメインとして、TSP盤が収録しなかったFM放送音源4曲と、レキシントン公演の"Hound Dog"モノラルサウンドボード音源を収録した全編サウンドボード音源収録盤。
対する本作の方はというと、サウンドボード音源が未発表の曲についてはオーディエンス音源を補填した、デトロイト公演のみの全曲収録盤という違いを出しています。
そのメインとなる公開ラフミックス音源、「Wolfgang's Vault」の初期にアップされた音源の一部については音の圧縮率が高く、中高域に圧縮音源特有の不自然さがあったりしましたが、サイトの方でも密かに差し替えが行われており、現在ネット公開されている音は、公開し始めのころに比べてかなり音の圧縮率が改善されたものがアップされていて、このデトロイト公演音源も最初にアップされて音に比べると、現在ははるかに自然な音となっています。
本作はその点に着眼し、現在アップされている音源をベースに作成。
ちなみに比較的最近リリースされた『The Lost Handsome Girls』もそうですが、本作以外の既発タイトルは全て初期の公開音源を基としています。
その音の違いについては、事典でもデトロイト公演の代表盤として挙げていた、同じDACレーベル制作の『Abandoned In Detroit』(DAC-068)が旧公開音源から作成されているので、そちらと比較してみますと。
オープニングのミックによるバンドコールに被るところでよく分かりますが、歓声の一部が旧DAC盤では圧縮音源特有のチャラチャラとした揺らぎが生じていたのに対し、本作はそのように感じるところはなく自然な感じに。また、楽曲部分ではドラムのハイハットが開き気味になった時に旧DAC盤では同じような揺らぎが生じていますが、本作は歓声部分同様にそのように感じることは無し。
そのサウンドボード音源部の全体的な音質について。
"All Down The Line""Honky Tonk Women""Star Star""Lies""Beast Of Burden""Shattered""When The Whip Comes Down""Miss You""Just My Imagination"といった、サイトで初公開されたラフミックス曲では、ドラムのハイハットが妙にくっきりと浮き気味にミックスされていたが故に、旧DAC盤でのメリハリをつけた音造りでは、その点が更に強調してしまっているということになっていたのに対し、本作は前述の『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』や『The Lost Handsome Girls』と同じく、このハイハットが耳につかないよう周波数を調整していますが、本作はこれらノンレーベル盤よりも明るい音造りで、旧DAC盤とノンレーベル盤の中間くらいの音となっています。
続いて今回補填に使われたオーディエンス音源について。
オーディエンス音源が使われた楽曲は全てディスク2で、"Respectable""Far Away Eyes""Sweet Little Sixteen""Brown Sugar""Jumping Jack Flash"の5曲。
これまでこのデトロイト公演のオーディエンス音源は、LP『Abandoned In Detroit』(CS-DM-7678)で使用されていた音源と、旧DAC盤の"Respectable"で使用されたいた音源の2種がブート化されていましたが(旧DAC盤の"Far Away Eyes"はLPと同音源)、本作には今年になってネットにアップされた第三の音源が使われています。
この新たなオーディエンス音源、全体的に遠目でやや団子気味のモノラル録音。音質はクリアーさに欠ける標準的なカセット録音のもので、ややヒスノイズが多め。中高域部にやや歪みが生じていますが、気になるほどのレベルではなし。
ネットにアップされた音源の方は、右チャンネルに全く関係のない音声が混入していましたが、本作は左チャンネルをモノラル化して、この欠点を解消しています。
全体的な音については、旧DAC盤の"Respectable"音源と比べると音の距離は大差ありませんが本作の方が落ち着いた印象。また旧DAC盤"Far Away Eyes"すなわちLP音源の方とはどうかというと、音のクリアー差ではかなり劣るものの、低域は本作の方が出ているのと、録音者の周りは本作の音源の方が静か。
ようやく今回初めて"Sweet Little Sixteen"以降の3曲が本作に収録されたことにより、デトロイト公演の全曲がようやくブート化されたこととなりましたが、残念ながら"Brown Sugar"の序盤はテープチェンジにあたったのか、2番の歌い出し3小節半前からとなっており、別のオーディエンス音源での補填もなくフェードイン収録。
本作で残念だったのは、旧DAC盤をここで採り上げた際にも書いたのですが、今回もまた"Tumbling Dice"をオーディエンス音源でボーナス収録しなかった点。
この日の"Tumbling Dice"はラジオ放送で採用され、本作にもそのミックスで収録されていますが、録音時もしくはミックス時にミスをしたのか、何故か間奏後のミックのヴォーカルがオフに。ただしオーディエンス音源の方を聞くと、会場ではミックのヴォーカルはきちんと外に出ていたことから、実際の演奏はこうだったということを証明する資料的に貴重なもので、前述のLP『Abandoned In Detroit』でブート化されてはいるものの、今回のDAC盤はサウンドボード音源の補完的な役割のタイトルであるということからも、ボーナスは収録しておいてもらいたかったところ。 |
by Hara ¦ 07:00, Thursday, Sep 08, 2016 ¦ 固定リンク
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