The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 

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2024年12月

『Earls Court London '76』(KING STREET)
earlscourtlondon76

『Earls Court London '76』(KING2CD4657) 2CD

May.22 1976 Earl's Court Arena,London,UK

Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(Disc-1)
1.Honky Tonk Women (Fade In)/2.If You Can't Rock Me〜Get Off Of My Cloud/3.Hand Of Fate/4.Hey Negrita/5.Ain't Too Proud To Beg/6.Fool To Cry/7.Hot Stuff/8.Star Star/9.You Gotta Move/10.You Can't Always Get What You Want〜Band Introductions
(Disc-2)
1.Happy/2.Tumblinhg Dice/3.Nothing From Nothing/4.Outa Space/5.Midnight Rambler/6.It's Only Rock'n Roll/7.Brown Sugar/8.Jumping Jack Flash (Fade Out)

1976ツアー最初のハイライト、アールズコート6連続公演2日目となる5月22日公演収録盤。

この公演は、右チャンネルにはキース・ロニーとオリーブラウン、左チャンネルにビリーの鍵盤、そして中央(時折左に寄りますが)にミック・チャーリー・ビルといったちょっと変わった振り分けになっている上、ロニーがかなり小さめにミックスされているのに対してビリーが大きめにミックスされているといった変ったバランスの、ミキサー卓直結と思しきステレオサウンドボード音源が流出しており、ブートCD黎明期から幾つものタイトルがリリースされてきた中、事典で代表盤として挙げていたのがDACの『Earl's Court 1976』(DAC-045)。

dacearlscourt1976

過去のどのタイトルよりもクリアーな音質を誇り、オープニングから"Honky Tonk Women"の1コーラス目途中までと、"JJF"の2コーラス目途中以降に"Street Fighting Man""Sympathy For The Devil"といったサウンドボード音源欠落部については、オーディエンス音源で補填して全曲を聴けるようにしていたタイトル。

ちなみにもう一箇所の欠落部である"You Can't Always Get What You Want"の頭からイントロ途中までについては、オーディエンス音源自体もテープチェンジにあたり存在していなかったようで、ここは欠けたまま。

さて、本作ですが、そのDAC盤のサウンドボード部分だけをコピーして作成されているようで、補填時にオーディエンス音源とクロスフェードしていた箇所については、オーディエンス音源と重なっていないところからのフェードイン・アウトとなっているため、ほんの僅かながらDAC盤よりもサウンドボード部分が短め。

ただ、編集ソフトの進歩の恩恵なのかDAC盤全体に漂っていたヒスノイズが激減、
かつ余韻もおかしくなっていないということでDAC盤より聴き易さが向上しています。

by Hara ¦ 01:34, Thursday, Dec 19, 2024 ¦ 固定リンク


『Hampton 1981 Monitor Mixes』(-)
hampton81monitormix

『Hampton 1981 Monitor Mixes』(-)

Dec.18 1981 Hampton Coliseum,Hampton Roads,VA,AZ,USA

Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(Disc-1)
1.Take The A Train/2.Under My Thumb/3.When The Whip Comes Down/4.Let's Spend The Night Together/5.Shattered/6.Neighbours/7.Black Limousine/8.Just My Imagination/9.Twenty Flight Rock/10.Going To A Go Go/11.Let Me Go/12.Time Is On My Side/13.Beast Of Burden/14.Waiting On A Friend/15.Let It Bleed
(Disc-2)
1.You Can't Always Get What You Want/2.Band Introductions/3.Little T&A/4.Tumbling Dice/5.She's So Cold/6.Hang Fire/7.Miss You/8.Honky Tonk Women/9.Brown Sugar/10.Start Me Up/11.Jumping Jack Flash/12.Satisfaction/13.Star Spangled Bannner〜School Days(※ジャケットクレジット漏れ)

81年12月18日のハンプトン公演の放送音源収録ブートといえば、ロニーの音量が大きくキースが小さいというアンバランスなミックスだったということもあり、2012年のリミックス版の公式リリースをもって、参考資料として放送時のミックスを確認するためだけのものとなっていましたが、今回まさかの別ミックス音源が発掘されたとのことで、久々のリリースとなったのが本作。

ジャケットにクレジットとそのテープ画像が載せられているように、本作のベースとなったのは、ローリング・ストーンズ・レコードの当時の副社長、アート・コリンズ所有のテープ。

81年のハンプトンといえば、ボブ・クリアマウンテンが放送時とリミックス時共にミキシングを担当し、場内音をふんだんに被せた臨場感を強調した音が特徴でしたが、こちらの音源は、音に余裕が感じられる、すっきりと落ち着いた何度でも繰り返し聞きたくなる高音質音源。

本作のインフォメーションでは、ボブ・クリアマウンテンの特徴的な臨場感を排除しただけで基本ミックスは変わらないように読み取れますが、実のところ全然別物で、生中継時同様にロニーが大きめでアンバランスと感じるのは、"Under My Thumb"のロニーが入ってくるあたりと"Jumping Jack Flash"1曲丸ごとくらいで、基本的にはバランスのとれたミックスとなっています。

また、ボブ・クリアマウンテンのミックスでは、アーニー・ワッツのサックスがキースに被る右寄りの定位となっているのに対し、本作の音源は基本的に左寄りの定位で、時折中央に寄ったりするものとなっているため、"Beast Of Burden"のサックスソロでもキースのギターの細かい部分もよく聴こえるようになっていたり、サックスソロの途中からキースがソロらしきものを弾き始めると、サックスの音量を下げてキースの音量を上げるといった、ボブ・クリアマウンテンより分かっているのでは?といった感も。

ここまでミックスが違っていると、実は生中継時ではなく後日関係者用にミックスしたのではといった疑念も生じますが、オープニングの"Take The A Train"前半で聴ける、ある意味大変レアなオープニング・アナウンスでおなじみビル・グレアムのマイクチェックは当然カットされていて然るべきなので、こちらもやはりリアルタイムでのミックスと考えられます。

その"Take The A Train"、これまでの生中継音源では"Under My Thumb"が始まる寸前まで映像がバックステージだったが故に、音声の方もそちらの音に切り替えられていたため、かすかに鳴ってはいるもののほぼ聴こえない状態だったのに対し、本作の音源はあくまでもライブ音声に特化していることから"Take The A Train"が頭から聞こえるようになっています。とはいえ、先に触れたマイクチェックのためビル・グレアムのチャンネルがオンになっている時は、
奥に押しやられてしまっていますが・・・。

この別ミックス、ボブ・クリアマウンテンがライブ中同時に2つのミックスを手掛けることは、かなり無理があるでしょうから、当然ながら他者がミックスを担当したことなりますが、それが誰かとなると。放送時のクレジットでは、ミックス(Audio Mixer)はストーンズとボブ・クリアマウンテンの並列表記となっています。

hamptoncredit

ここから推測するに、このライブ自体ストーンズ初のPPV生中継であることに加え、テレビの音をオフにしてFMでステレオ音声を流しながら映像を楽しむというサイマルキャスト方式までも採用されていることから、ミスが許されないという状況の中、メインのボブ・クリアマウンテン側の音声に不具合があった際、すぐ切り替えられるようにストーンズ側でも準備していたのではないかと。ただ、音の質感があまりにも違っている点は引っ掛かりますが・・・。

さて、本作の基となったカセットですが、後からのダビングではなくリアルでの録音だったのか、テープチェンジによる欠落部があり、そこには放送音源ではなくリミックス音源が補填されています。

該当するのは"Just My Imagination"の4分31秒から5分21秒、"Little T&A"間奏後のサビ2分30秒から3分00秒あたりまで、そして"She So Cold"終了3分41秒付近から"Hang Fire"1分10秒までの3箇所ですが、音が切り替わっても若干エコーがかって低域が厚くなったと感じる程度で、急に定位が変わる等の不自然さは皆無と上々の出来となっています。このことからも本作のミックスは放送音源とはバランスが異なり、正規に近い定位となっていたことが分かるかと。あえてこの部分に注文つけるとすると、補填音源の厚みを若干削いだ方が更に良かったかもしれません。

なおディスク2のラストには、ジャケットに記載はありませんが、トラック13として"Star Spangled Bannner〜School Days"も収録。その"Schcol Days"、一部のテレビ放送局ではフルに流され、その後のフルートが主旋を奏でるイージーリスニング調の曲が鳴り出してから放送が終了となっていましたが、本作は49秒ほどでフェードアウト。とはいえ過去のどの音盤よりも長く収録されています。

by Hara ¦ 17:28, Saturday, Dec 14, 2024 ¦ 固定リンク


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