The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 

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2017年 5月

『KBFH Broadcasts 2』(Moonchild Records)
moonchildkbfh2

『KBFH Broadcasts 2』(Moonchild Records) 2CD

Oct.17 1973 Foret Nationale,Brussels,Belgium (1st Show)
June.29 1978 Rupp Arena,Lexington, Kentucky
July.6 1978 Masonic Temple Auditorium,Detroit,Michigan
July.19 1978 Sam Houston Coliseum,Houston,TX
Nov.25 1981 Rosemont Horizon,Des Plaines,IL
Dec.1 1981 Silverdome,Pontiac MI
Dec.9 1981 Capital Arena,Largo,MD
Dec.13 1981 Sun Devil Stadium,Phoenix,AZ
Dec.18 1981 Hampton Coliseum,Hampton Roads,VA

Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(Disc-1)
1.KBFH Intro/2.Miss You(12/18 '81)/3.Hang Fire(12/13 '81)/4.Beast Of Burden(11/25 '81)/5.She's So Cold(12/9 '81)/6.Honky Tonk Women(7/19 '78)/7.Shattered(6/29 '78)/8.Tumbling Dice(7/6 '78)/9.Jumping Jack Flash(7/19 '78)/10.Brown Sugar(10/17 1st '73 Remix)/11.Gimme Shelter(10/17 1st '73)/12.Happy(10/17 1st '73)/13.KBFH Outro
(Disc-2)
1.KBFH Intro/2.Under My Thumb(12/1 '81)/3.Let's Spend The Night Together(12/18 '81)/4.Shatterd(12/1 '81)/5.Beast Of Burden(11/25 '81)/6.She's So Cold(12/9 '81)/7.Hang Fire(12/13 '81)/8.Miss You(12/18 '81)/9.Honky Tonk Women(7/19 '78)/10.Brown Sugar(12/9 '81)/11.Start Me Up(12/9 '81)/12.Satisfaction(12/13 '81)/13.KBFH Outro


ディスク1は、アメリカのラジオ番組「The King Biscuit Flowers Hour」(通称KBFH)の1987年9月27日放送回を、CMカットして丸ごとディスク化したもの。

この放送回は、73年・78年・81年のライブ音源を数曲ずつチョイスして放送するという形態でしたが、この放送回は、間奏でサックスがオンにリミックスされた"Brown Sugar"、初出となる1973年ブリュッセルでの1stショーから"Gimme Shelter""Happy"が放送されたのが目玉となるもので、この放送のおかげで『Brussels Affair 1973』(CHAM 8812)や『The Lost Brussels』(VGP-088)といった名盤が生み出されたという意味でも、貴重なものであったと言えるかと。

brusselsaffair1973

vgplostbru2


この放送回については、ブートCD黎明期に『The King Biscuit Flowers Hour』(18F02)や『Stoned Through The Years』(GC 002CD)といったタイトルでリリースされていましたが、本作は久々のブート化タイトル。

thekingbiscuitflowerhour

stonedthroughyears

全体的な音質は、迫力を出そうとしたのかコンプレッサーをかなり利かせたダイナミックレンジの狭い音で、先に挙げた既発2タイトルがほとんど加工していない素直な音質だったのに比べ、質感の異なるものとなっています。

残念ながらこのディスク1はピッチが高く、全体的に音程がややシャープ気味とという難点があることから、ここは正確に合わせておいてほしかったところ。

裏ジャケのクレジットも誤りがあり、"She's So Cold"は12月13日とありますが実際は12月9日のラーゴ公演、"Jumping Jack Flash"は7月18日ではなく19日が正解。

なお、本作のディスク最初と最後に収録されている"KBFH Intro"と"KBFH Outro"。歓声をバックとしたDJアナウンスの短いトラックですが、『The King Biscuit Flowers Hour』にはノンクレジットながら収録されていたものの、『Stoned Through The Years』の方は未収録となっています。


ディスク2に収録されているのは97年の放送回。

ディスク1の方は73年・78年・81年のライブ音源を数曲ずつチョイスして放送するという形態でしたが、こちらの回は81年を主として"Honky Tonk Women"のみ78年のテイクというもので、この選曲での放送は96年にも行われているのが確認できていますが、それ以前にもあるかもしれません。

この選曲での既発タイトルは『Live In Detroit』(BOLS 005)
ラジオショーディスクからではなく、カセットによるエアチェックテープを基にしたかと思しき輪郭甘目の音で、CD化の際に失敗したのか左右のチャンネルが逆。

liveindetroit

さて本作ですが、前述したように"KBFH Intro"と"KBFH Outro"を収録しているのがポイント。

音質は、やはり本作もラジオショーディスクからのダイレクトコピーではなく、ディスク1同様のコンプレッサーを利かせたダイナミックレンジの狭め音となっています。

ディスク1と異なりディスク2の方はピッチはほぼ合っているものの、残念ながら『Live In Detroit』同様に左右のチャンネルが逆。

更に"KBFH Intro"を収録したのはポイントですが、次の"Under My Thumb"のイントロが欠けているという『Live In Detroit』にはなかった新たな欠点もあるという残念な面も。

裏ジャケットのクレジットもディスク1同様に誤りが幾つかあり、クレジットではディスク2の全曲が81年のテイクと表記されていますが、ディスク2唯一の78年テイク"Honky Tonk Women"は81年の12月18日ハンプトン公演ではなく、実際は78年のヒューストン公演から。この"Honky Tonk Women"、ディスク1に全く同テイクが収録されていますが、そちらのクレジットは合っています。

また、"Under My Thumb"は11月5日ではなく12月1日、"Shattered"は12月18日ではなく12月1日、"She's So Cold"と"Brown Sugar"が81年12月12日ではなく(そもそもこの日はライブ自体行われていない)12月9日、そして"Start Me Up"も11月25日ではなく12月9日が正解とクレジットミスが多く、このあたりにも気を使ってもらいたかったところ。

なお、オフィシャル『Still Life』とテイクが重複する2曲"Let's Spend The Night Together"と"Satisfaction"は、過去の「KBFH同様にピッチを高くシャープ気味で放送していましたが、この97年放送回も同じで、本作も修正することなくピッチは高いまま。

その2曲のうち"Let's Spend The Night Together"は、83年の「Super Groups In Concert」にて登場した、最後のサビ4小節を強引にカットしたエディットバージョンです。

by Hara ¦ 13:50, Sunday, May 14, 2017 ¦ 固定リンク


『From Paris To Hamburg 1965』(IMP)
impfromparistohamburg1965

『From Paris To Hamburg 1965』(IMP-N-051) 1CD

Track 1-13
Apr.18 1965 L'Olympia,Paris,France

Track 14-22
Sep.13 1965 Ernst-Merck-Halle,Hamburg,West-Germany

Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent

1.Everybody Needs Somebody To Love/2.Around And Around/3.Off The Hook/4.Time Is On My Side/5.Carol/6.It's All Over Now/7.MC by Charlie Watts/8.Little Red Rooster/9.Route 66/10.Everybody Needs Somebody To Love/11.The Last Time/12.I'm Alright/13.Crawdad/14.Everybody Needs Somebody To Love/15.Pain In My Heart/16.Around And Around/17.Time Is On My Side/18.I'm Moving On/19.MC by Charlie Watts/20.The Last Time/21.Satisfaction/22.I'm Alright

トラック1から13は、フランスのFM局Europe 1が収録し、「Musicorama」という番組にて全曲が放送された1965年4月18日のパリ公演。

初期のコンサート全曲収録というだけでも貴重な上に音質も良く、アンコールで演奏された"Crawdad"は未発表のカバー曲ということもあって、アナログLP時代から幾多ものブートがリリースされてきており、今やハーフオフィシャルとしてもリリースされていることから手軽に入手できるという定番音源。

そんな中でのリリースとなった本作の最大のポイントが、このパリ公演を初めて正常なピッチにて音盤化しているということ。

本作は、既発タイトルと比べてピッチが低く全体的にフラット気味に聞こえますが、実際にCDに合わせて鍵盤を弾いてみたところ、たしかにほぼぴったり音程が一致していることから、本作のピッチが正常であるということ分かります。

では何故、過去にリリースされたほとんどのタイトルのピッチがおかしかったのかというと、基にしたエアチェックテープの状態というよりは、放送された番組自体が全体的にピッチ高めのシャープ状態だったのではないかと。

これを裏付けるものは何かないかと思い出したのが、『Still I'm Gonna Miss You』(VGP-073)や『A Rolling Stone Gathers No Moss』(VGP-101)が収録していた、このライブから30年後の95年12月に突如フランスのラジオ局が放送した65年〜67年のパリ公演からの抜粋番組。

vgpstillgonnaimmissyou

vgprollingstonegathersnomoss1

この番組では、65年のパリ公演から"Everybody Needs Somebody To Love""Around And Around""Time Is On My Side""It's All Over Now"の4曲が放送されましたが、やはりここでもピッチが高くシャープ気味となっています。

では同時に放送された66年と67年のパリ公演音源はどうかなのかというと、こちらはピッチが正常。これにより65年のパリ公演については元々高いピッチで放送されていたということが分かりますが、何故にという疑問も。少なくとも放送局もしくはストーンズ側で意図して早めたというエピソードが、これまで全く漏れ伝わってこなかったことから、おそらく収録時のテープスピードがやや遅かった、もしくは収録時と番組編集時でテープスピードが違っていたという機材の問題だったのではないかという推測が成り立つのかなと。

いずれにせよこれまで放送音源ということもあり、何の疑問も持たずにこのパリ公演をピッチが高いまま聞いてきましたが(そもそも気づいてなかったし・・・)、本作が本来のピッチで収録したことにより、今後は正しいピッチを基準とした後発タイトルがリリースされるようになるのかもしれません・・・。

さて、本作がもう1つのポイントとして挙げているのが、歓声のダブリ部分がないという点。
これは"Crawdad"前の歓声部を指しているようで、たしかに事典で代表盤の1つとして挙げた『A Rolling Stone Gathers No Moss』(VGP-101)や同じVGPの『All Those Years Ago』(VGP-079)ではこの部分の歓声がダブっていましたが(『A Rolling Stone Gathers No Moss』のタイムでいうと3分51秒あたりから3分55秒くらいまで)、本作はダブリなしで"I'm Alright"からアンコールの"Crawdad"までの1分弱程度の曲間を収録しています。

vgprollingstonegathersnomoss1

vgpallthoseyearsago


ちなみに、このダブり無しという点については本作が初めてという訳ではなく、事典でもう1つの代表盤として挙げたGoldplate『Olympia Live In The Sixties』(GP-1302CD1/2)も同様のダブリ無しとなっています。

goldplateolympialiveinsixties

このGoldplate盤、1曲目の"Everybody Needs Somebody To Love"イントロにアナウンスが被ってしまっているという21世紀に入ってからの再放送をベースに作成されていますが、同じ再放送をベースに作成されているDAC『Paris Match』(DAC-007)の方は一部VGP音源で補完したりしているのか、ダブリのある状態となっています。

dacparismatch


トラック14から最後までは、Red Tongue Recordsのボックス『Live In Hamburg 1965』(RTR-032)にて初登場した、1965年9月13日ハンブルグ公演のサウンドボード音源。

hamburg1965

歓声も曲間にしっかりと入っていることから卓直結のサウンドボードではなく、放送用等の何らかの意図で録られたものと推測されますが、ミックを主としたヴォーカルトラックが大きめで演奏はかなり小さい音量というバランスだったりすることから、まだラフミックス段階のものかと。

このRTR盤はオリジナルリールとリマスターの2種を収録しており、オリジナルリールの方は全編プチプチというノイズが乗っていて聞きづらかったりしましたが、リマスターの方はこのノイズを消去した上、高域をクリアーにして聞きやすくしていたのが特徴。

続いてリリースされたのがDACの『The Rolling Stones In Action - German Tour 1965』(DAC-150)で、RTR盤のリマスター音源よりも高域を抑え気味にして低域に厚みを加えているという音造り。

dacrollingstonesinaction

では、それらと比べて本作はというと、まずライブ冒頭の"Everybody Needs Somebody To Love"が曲の途中からなのは既発同様ですが、RTR盤のオリジナルリール音源やDAC盤がカットインだったのに対し、本作はRTR盤のリマスター音源同様のフェードイン処理。

既発ではラストの"I'm Alright"が曲の最後の余韻部分で音源が切れて終わってしまっていましたが、本作は曲が始まる寸前の歓声をループした上で、この最後の欠落部にクロスフェードしてディスクの唐突な終了を回避しています。

ただ、ディスク前半のパリ公演では歓声のダブリをポイントとしていたのに、逆に後半のハンブルグ公演では歓声をダブらせて収録しているというのはどうかなといった感も。

トラック19のチャーリーの曲紹介で、テープ転写によるものと思しき、この公演とは関係のない音楽がうっすらと聞こえるのは全タイトル共通。

音質はRTR盤のリマスターの高域をほんの僅かマイルドにした感じのもので、DAC盤より音の抜けは良いものの、DAC盤ほどの低域の厚みはありません。

なお、ハーフオフィシャルで、パリとハンブルグ公演のカップリングという本作と全く同じ構成の『Live In Paris And Hanburg 1965』(STBCD027)やそれを封入したボックス『Another Time Another Place』(STBCD005)がリリースされていますが、そちらのパリ公演は、頭の"Everybody Needs Somebody To Love"が始まる前の歓声が短いのはともかくとして、チャプターが変わる部分のギャップ設定をマイナスとしてしまっていたのか、"The Last Time"や"I'm Alright"が始まる前の歓声に音飛びが生じてしまっているのが何とも残念。

当然ながら"Crawdad"前の歓声はダブっていますし、ハンブルグ公演の"I'm Alright"は曲の最後の余韻部分で終了しています。

liveinparisandhumburg1965

anothertimeanotherplace

by Hara ¦ 15:39, Saturday, May 06, 2017 ¦ 固定リンク


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