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『From Paris To Hamburg 1965』(IMP) |
『From Paris To Hamburg 1965』(IMP-N-051) 1CD
Track 1-13 Apr.18 1965 L'Olympia,Paris,France
Track 14-22 Sep.13 1965 Ernst-Merck-Halle,Hamburg,West-Germany
Mono Soundboard Recording Quality:Excellent
1.Everybody Needs Somebody To Love/2.Around And Around/3.Off The Hook/4.Time Is On My Side/5.Carol/6.It's All Over Now/7.MC by Charlie Watts/8.Little Red Rooster/9.Route 66/10.Everybody Needs Somebody To Love/11.The Last Time/12.I'm Alright/13.Crawdad/14.Everybody Needs Somebody To Love/15.Pain In My Heart/16.Around And Around/17.Time Is On My Side/18.I'm Moving On/19.MC by Charlie Watts/20.The Last Time/21.Satisfaction/22.I'm Alright
トラック1から13は、フランスのFM局Europe 1が収録し、「Musicorama」という番組にて全曲が放送された1965年4月18日のパリ公演。
初期のコンサート全曲収録というだけでも貴重な上に音質も良く、アンコールで演奏された"Crawdad"は未発表のカバー曲ということもあって、アナログLP時代から幾多ものブートがリリースされてきており、今やハーフオフィシャルとしてもリリースされていることから手軽に入手できるという定番音源。
そんな中でのリリースとなった本作の最大のポイントが、このパリ公演を初めて正常なピッチにて音盤化しているということ。
本作は、既発タイトルと比べてピッチが低く全体的にフラット気味に聞こえますが、実際にCDに合わせて鍵盤を弾いてみたところ、たしかにほぼぴったり音程が一致していることから、本作のピッチが正常であるということ分かります。
では何故、過去にリリースされたほとんどのタイトルのピッチがおかしかったのかというと、基にしたエアチェックテープの状態というよりは、放送された番組自体が全体的にピッチ高めのシャープ状態だったのではないかと。
これを裏付けるものは何かないかと思い出したのが、『Still I'm Gonna Miss You』(VGP-073)や『A Rolling Stone Gathers No Moss』(VGP-101)が収録していた、このライブから30年後の95年12月に突如フランスのラジオ局が放送した65年〜67年のパリ公演からの抜粋番組。
この番組では、65年のパリ公演から"Everybody Needs Somebody To Love""Around And Around""Time Is On My Side""It's All Over Now"の4曲が放送されましたが、やはりここでもピッチが高くシャープ気味となっています。
では同時に放送された66年と67年のパリ公演音源はどうかなのかというと、こちらはピッチが正常。これにより65年のパリ公演については元々高いピッチで放送されていたということが分かりますが、何故にという疑問も。少なくとも放送局もしくはストーンズ側で意図して早めたというエピソードが、これまで全く漏れ伝わってこなかったことから、おそらく収録時のテープスピードがやや遅かった、もしくは収録時と番組編集時でテープスピードが違っていたという機材の問題だったのではないかという推測が成り立つのかなと。
いずれにせよこれまで放送音源ということもあり、何の疑問も持たずにこのパリ公演をピッチが高いまま聞いてきましたが(そもそも気づいてなかったし・・・)、本作が本来のピッチで収録したことにより、今後は正しいピッチを基準とした後発タイトルがリリースされるようになるのかもしれません・・・。
さて、本作がもう1つのポイントとして挙げているのが、歓声のダブリ部分がないという点。 これは"Crawdad"前の歓声部を指しているようで、たしかに事典で代表盤の1つとして挙げた『A Rolling Stone Gathers No Moss』(VGP-101)や同じVGPの『All Those Years Ago』(VGP-079)ではこの部分の歓声がダブっていましたが(『A Rolling Stone Gathers No Moss』のタイムでいうと3分51秒あたりから3分55秒くらいまで)、本作はダブリなしで"I'm Alright"からアンコールの"Crawdad"までの1分弱程度の曲間を収録しています。
ちなみに、このダブり無しという点については本作が初めてという訳ではなく、事典でもう1つの代表盤として挙げたGoldplate『Olympia Live In The Sixties』(GP-1302CD1/2)も同様のダブリ無しとなっています。
このGoldplate盤、1曲目の"Everybody Needs Somebody To Love"イントロにアナウンスが被ってしまっているという21世紀に入ってからの再放送をベースに作成されていますが、同じ再放送をベースに作成されているDAC『Paris Match』(DAC-007)の方は一部VGP音源で補完したりしているのか、ダブリのある状態となっています。
トラック14から最後までは、Red Tongue Recordsのボックス『Live In Hamburg 1965』(RTR-032)にて初登場した、1965年9月13日ハンブルグ公演のサウンドボード音源。
歓声も曲間にしっかりと入っていることから卓直結のサウンドボードではなく、放送用等の何らかの意図で録られたものと推測されますが、ミックを主としたヴォーカルトラックが大きめで演奏はかなり小さい音量というバランスだったりすることから、まだラフミックス段階のものかと。
このRTR盤はオリジナルリールとリマスターの2種を収録しており、オリジナルリールの方は全編プチプチというノイズが乗っていて聞きづらかったりしましたが、リマスターの方はこのノイズを消去した上、高域をクリアーにして聞きやすくしていたのが特徴。
続いてリリースされたのがDACの『The Rolling Stones In Action - German Tour 1965』(DAC-150)で、RTR盤のリマスター音源よりも高域を抑え気味にして低域に厚みを加えているという音造り。
では、それらと比べて本作はというと、まずライブ冒頭の"Everybody Needs Somebody To Love"が曲の途中からなのは既発同様ですが、RTR盤のオリジナルリール音源やDAC盤がカットインだったのに対し、本作はRTR盤のリマスター音源同様のフェードイン処理。
既発ではラストの"I'm Alright"が曲の最後の余韻部分で音源が切れて終わってしまっていましたが、本作は曲が始まる寸前の歓声をループした上で、この最後の欠落部にクロスフェードしてディスクの唐突な終了を回避しています。
ただ、ディスク前半のパリ公演では歓声のダブリをポイントとしていたのに、逆に後半のハンブルグ公演では歓声をダブらせて収録しているというのはどうかなといった感も。
トラック19のチャーリーの曲紹介で、テープ転写によるものと思しき、この公演とは関係のない音楽がうっすらと聞こえるのは全タイトル共通。
音質はRTR盤のリマスターの高域をほんの僅かマイルドにした感じのもので、DAC盤より音の抜けは良いものの、DAC盤ほどの低域の厚みはありません。
なお、ハーフオフィシャルで、パリとハンブルグ公演のカップリングという本作と全く同じ構成の『Live In Paris And Hanburg 1965』(STBCD027)やそれを封入したボックス『Another Time Another Place』(STBCD005)がリリースされていますが、そちらのパリ公演は、頭の"Everybody Needs Somebody To Love"が始まる前の歓声が短いのはともかくとして、チャプターが変わる部分のギャップ設定をマイナスとしてしまっていたのか、"The Last Time"や"I'm Alright"が始まる前の歓声に音飛びが生じてしまっているのが何とも残念。
当然ながら"Crawdad"前の歓声はダブっていますし、ハンブルグ公演の"I'm Alright"は曲の最後の余韻部分で終了しています。
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by Hara ¦ 15:39, Saturday, May 06, 2017 ¦ 固定リンク
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