The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 

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2016年10月

『The Brian Jones Memorial Album』(DAC)
dacbrianjonesmemorialalbum

『The Brian Jones Memorial Album』(DAC-170) 2CD

Compilation Album

Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent-Very Good

(※)Disc-1 Track10,16,17,23 Disc-2 Track1
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent-Very Good

(※)Disc-1 Track9 Disc-2 Track5
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(※)Disc-2 Track7-18
Mono Audience Recording
Quality:Very Good

(Disc-1)
1.Road Runner(IBC Studios,London Mar.11 1963)/2.Baby What's Wrong(IBC Studios,London Mar.11 1963)/3.Bright Lights, Big City(IBC Studios,London Mar.11 1963)/4 Diddley Daddy(IBC Studios,London Mar.11 1963)/5.Memphis,Tennessee(BBC Saturday Club, Oct.26 1963)/6.Roll Over Beethoven(BBC Saturday Club, Oct.26 1963)/7.Memphis,Tennessee(London,February - March 1964)/8.It Should Be You(Regent Studios,London,Nov.20-21 1963)/9.I Get Around(Regent Studios And Decca Studios,London June.29-July 7 1964)/10.Beautiful Delilah (BBC Saturday Club, Apr.18 1964)/11.Andrew's Blues(Regent Studios,London Feb.4 1964)/12.Spector And Pitney Came Too(Regent Studios,London Feb.4 1964)/13.Down In The Bottom(Chess Studios,Chicago June.11 1964)/14.Tell Me Baby(Chess Studios,Chicago June.11 1964)/15.Hi-Heel Sneakers(Chess Studios,Chicago June.11 1964)/16 Don't Lie To Me(BBC Saturday Club Feb.8 1964)/17.Ain't That Loving You Baby(BBC Top Gear July.23 1964)/18.Looking Tired(RCA Studios,Los Angeles Sep.6 1965)/19.Stewed And Keefed(Chess Studios,Chicago June.10 1964)/20.Fannie Mae(BBC Saturday Club Sep.18 1965)/21.The Last Time(BBC Top Gear Mar.6 1965)/22.Blue Turns To Grey(Pye Studios And Decca Studios,London, Aug.31-Sep.4 1964)/23.You've Just Made My Day(Regent Studios,London June.24-26 1964)/24.Mother's Little Helper(RCA Studios,Los Angeles Dec.3-10 1965)/25.Have You Seen Your Mother,Baby,Standing In The Shadow?(RCA Studios,Los Angeles Aug.3-11 1966)
(Disc-2)
1.2000 Light Years From Home(Olympic Sound Studios,London July.2-22 1967 ※Take 15 Extra SE)/2.Loving Sacred Loving(Olympic Sound Studios,London Sep.4&8 1967 ※Not Stones 「The End」)/3.Shades Of Orange(Olympic Sound Studios,London Nov.8 1967 ※Not Stones 「The End」)/4.The Lantern(Olympic Sound Studios,London July.2-22 1967 ※Bell Sound Acetate)/5.Citadel(Olympic Sound Studios,London July.2-22 1967 ※Take 34 Extra Piano)/6.Brian's Father About Brian(BBC proglam unknown early 1970's)
<Bonus Tracks>
-Little Boy Blue And The Blue Boys, Home Reheasals Late 1961-
7.Around And Around/8.Little Queenie #1/9.Beautiful Delilah #1/10.La Bamba/11.Go On To School/12.I Ain't Got You/13.I'm Left,You're Right,She's Gone/14.Down The Road Apiece/15.Don't Stay Out All Night/16.Johnny B.Goode/17.Little Queenie #2/18.Beautiful Delilah #2/
19.Bits And Pieces De Lane Lea Studios 1964 (De Lane Lea Studios, London, March 11, 1964)
A)As Tears Go By #1/B)As Tears Go By #2/C)Congratulations/D)No One Loves You More Than Me


DACによるアナログブート復刻作。

基となったのはSeagull Recordsの2枚組LP『The Brian Jones Memorial Album』(SG371969)

brianjonesmemorialalbumlp

未発表教を中心に年代順に編纂したアンソロジー的なタイトルですが、ブライアン在籍期間全てを網羅しているわけではなく、67年のサタニック期までの収録。

このLPのCD復刻は今回のDACが初めてではなく、過去には『The Brian Jones Memorial Album』(-)というノンレーベルタイトルがリリースされており、こちらはLPラストのブライアンの父親のインタビューをカットし、基LPがカバーしていなかった68年以降の音源が中心の15曲を追加したというもの。

brianjonesmemorialalbumplus15

こちらのノンレーベル復刻CD(長いので以降は+15CDと称します)はストレートな盤起こしCDで、元々のLP自体も盤起こし音源が入っていたことから、結構スクラッチノイズが聞こえるタイトルとなっていました。

本作は曲順や大半の楽曲のテイクはLPに準じていますが、手持ちの良好なテープから新たに作成しており、初ブート化となる演奏もボーナストラックとして収録したタイトルで、全体的にぼやけた音質だった基LPや+15CDと異なり、大半のトラックが高音質で収録されています。

簡単に内容に触れていくと、まず冒頭の4トラックは『GRRR!』のスーパーデラックスエディションにてオフィシャル化されている63年のIBCスタジオデモ。

オフィシャルの方の"Bright Lights, Big City"は、アセテート盤を基にしたかのようなチリノイズがかなり入った状態でしたが、本作はテープから起こしているため、そのようなノイズは無し。

全体的な音質もオフィシャル盤にやや低域に厚みを持たせたような音造りで、オフィシャル盤より良好な状態でこの音源を聞くことが出来ますが、なんとIBCデモの残りの1曲"I Want To Be Loved"が、基のLPにでカットされていたことから本作も未収録。

+15CDは、全トラックが年代順となるように、追加の67年までのボーナストラックをちゃんと間に挟むという編集がされていたので、本作も同様にして"I Want To Be Loved"を収録しなかったのは中途半端となってしまい何とも残念。

ちなみに基LPと+15CDの"Diddley Daddy"は、頭欠けのフェードイン収録。

ディスク1、"Memphis,Tennessee""Roll Over Beethoven""Beautiful Delilah""Don't Lie To Me""Ain't That Loving You Baby""Fannie Mae""The Last Time"の7曲はBBC放送音源。

"Beautiful Delilah""Don't Lie To Me""Ain't That Loving You Baby"の4曲は、80年代の再放送以前のエアチェック音源のため、"Memphis,Tennessee""Roll Over Beethoven""Fannie Mae"といった曲と比べると、若干上下のレンジが狭い音となっていますが、この手のオムニバス盤にありがちな極端な音質差というのはなく、違和感なく普通に聞けるレベルとなっています。

基LPと+15CDのこれら7曲は全て頭欠けで途中からの収録。
中でも"The Last Time"は、曲後半のブレイク部をイントロに持ってくるというフェイク編集がされているとんでもないトラック。本作の"The Last Time"は、同じくDACがリリースしたBBC音源の決定盤的タイトル『Beet Beet Beet At The Beep』(DAC-130)に未収録だった、曲前のミックのインタビューからアナウンサーの曲紹介が収録されています。

dacbeatbeatbeat

ただ、"Beautiful Delilah"に関しては本作も頭欠け状態ですが、本作が歌い出しからの収録なのに対して、基LPと+15CDは歌い出し前の2音が収録されています。


トラック7の"Memphis,Tennessee"とトラック9の"I Get Around"は、この手のオムニバスには必ずといっていいほど収録される、アンドリュー・オールダム・オーケストラのもの。"I Get Around"にはミックがはっきりと分かる状態でのコーラスで参加していますが、"Memphis,Tennessee"にはメンバーの参加無し。

トラック8の"It Should Be You"、基LPと+15盤収録のこの曲はジョージ・ビーンが歌うオフィシャルテイクが収録されていましたが、本作はそのジョージ・ビーンに提供したミックが歌うデモテイクを収録。バッキングトラックもオフィシャルとは異なっています。

"Andrew's Blues""Spector And Pitney Came Too"は、64年2月4日レコーディングのアウトテイク曲。当然ながら本作は高音質で収録していますが、ちょっと中低域の厚みに欠ける印象。基LPと+15CDの"Spector And Pitney Came Too"は、曲前のチャット部分が本作よりも後の部分からの収録。

"Down In The Bottom""Tell Me Baby""Hi-Heel Sneakers""Stewed And Keefed"の4曲は、64年6月10〜11日にシカゴのチェススタジオでレコーディングされたアウトテイク。

チェススタジオでのレコーディング音源集の決定盤『2120 South Michigan Avenue』(Chess 64)では、これら4曲がステレオミックスで収録されていますが、本作はモノラルミックスにて収録。

2120southmichiganavenue2

ディスク1残りの5曲もアウトテイク。
基LPと+15CDでは、"Looking Tired"がフェードイン。"You've Just Made My Day"は意外と収録盤が少ないレアなアウトテイクですが、曲中40秒弱程度の抜粋収録なのは全盤共通。

"Mother's Little Helper"には、本作や基LP未収録の"(Walking Thru The)Sleepy City"の曲前チャットをくっつけるという、これまたフェイク編集がされていますが、+15CDがその"(Walking Thru The)Sleepy City"を追加収録してしまったがために、+15CDはこの曲前チャット部分が重複収録されてしまっているという事態となっています。

基LPと+15盤の"Have You Seen Your Mother,Baby,Standing In The Shadow?"は、冒頭のピアノが僅かに頭欠けでフェードイン。

ディスク2は基LPの4面からの収録。
冒頭の"2000 Light Years From Home"は、Glimmer Twin Rekordsの『Satanic Majesties』(SFR 005)というEPブートに入っていたフェイクもの。

satanicep
※EP未所持のため、この画像はネットで見つけたもの

曲の前後に独自のSEやら、最後にキースの「Where's The Joint?」という発言をリピートして貼り付ける等していたり、楽曲部分も序盤はオフィシャルの右チャンネルとモノラル化したものとし、途中から左チャンネルをモノラル化したものに切り替えて、アウトテイクっぽく聞かせるようにはしていますが、その切り替わり部分が音飛びしているという何とも雑な編集のもの。本作はこの雑な編集部分を何とか修正してるかと思いきや、そのままの状態で収録しています。

"Loving Sacred Loving"と"Shades Of Orange"はストーンズの演奏ではなく、ビル・ワイマンがプロデュースしたバンド「ジ・エンド」のオフィシャルシングルA面とB面。"Shades Of Orange"にはチャーリーがパーカッション(タブラ)で参加しています。

"The Lantern"は、基LPと+15CDではオフィシャルの左チャンネルをモノラル化して収録していましたが、本作はベル・サウンド・アセテート音源からのバッキングトラックを収録。ベル・サウンド・アセテート音源というと、Red Tongue Recorords『Cosmic Christmas』(RTR-016)でまとめて7曲聞くことが出来ましたが、本作に収録されているのは、このRTR盤で"Flying High As Kite"とクレジットされているものと同じテイク。RTR盤ほどの音の鮮明さはありませんが、RTR盤にあった細かい音ユレが本作にはありません。

anotheralternatesatanic

"Citadel"は、基LPと+15CDではオフィシャルの右チャンネルをモノラル化したものを収録していましたが、本作はテイク34にピアノをオーバーダブしたテイクを収録。このテイクはMidnight Beatのボックス『Satanic Session Volume One』(MB CD 120-123)のディスク2にExtra Pianoとクレジットされているテイクと同じ。

satanicsessionsvolume1

次の"Brian's Father About Brian"は、70年代初頭のBBCの番組でブライアンの父親がブライアンについて語っているという1分12秒ほどのトラック。基LPではアルバムの最後を飾るトラックでしたが、+15CDは楽曲ではないという理由だったのかカットして未収録となっています。

次の"Around And Around"からが本作のボーナストラック。

その"Around And Around"から"Beautiful Delilah #2"までの12トラックは、ストーンズ結成前にミックとキースが組んだ「Little Boy Blue And The Blue Boys」のライブに向けたリハーサル音源。

ベースのディック・テイラーの自宅での録音で、当然ながらミキシング卓を経由などしていないテレコでのマイク録音ですが、意外と鮮明な音で収録されています。

事典出版時にはこの12トラックをまとめて収録していたタイトルが無かったことから、3つのタイトルを紹介していましたが、その後Mayflowerが『Studio Sessions 1961-1963』(MF-45)で12曲全てをリリース。本作は2つ目の12曲収録タイトルとなっています。

mayflower19611963studiosessions

Mayflower盤は一部mp3音源を基にしたようで、"La Bamba"は高域がチャリチャリした圧縮音源特有の音となってしまってますが、本作はそのようなことなく最良の音で聞くことができます。

またその"La Bamba"、Mayflower盤では12番目に収録されていますが、本作では"Beautiful Delilah #1"と"Go On To School"の間に収録されており、これが実際のテープ収録順とされている通りの曲順となっています。

なお、"Beautiful Delilah #2"1分2秒の音ブレについては両タイトル共通ですが、本作は微妙にブレている箇所を摘まんで、スムーズに聞こえるようにしています。

本作のラストを飾るのが、今年2016年にオークションに出品された、64年3月11日にロンドンのDe Lane Leeスタジオでのセッションテープ音源で、本作が初ブート化。

テープの持ち主がIBCスタジオのゴミ箱から持ち帰ったとされるリール・テープに、4曲のストーンズのアウトテイクが収録されていたとのことで、本作で聞けるのはその4曲各30秒ごとのサンプル音源のため、どれも抜粋ではあるものの、マスター落としだけあってどれも高音質。

最初の2つの"As Tears Go By"は、オフィシャルテイクからストリングスを抜いて、ベースとドラムのリズム隊を入れたかのようなテイク。"Congratulations"はオフィシャルよりもゆったりとしたテンポで、ドラムのリムショットがタンバリンに置き換わったテイク。そして最後の"No One Loves You More Than Me"は初登場のオリジナル曲で、何とも掴みどころのないメロディーでボツになったのもやむなしといった感じの曲。

by Hara ¦ 22:20, Saturday, Oct 01, 2016 ¦ 固定リンク


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