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『Europe 76』(DAC-087) 4CD
June.7 1976 Les Abattoirs,Paris,France
Disc-1&2,Disc-3 Track10,12(part) Stereo Audience Recording Quality:Excellent
Disc-3 Track 1〜9,11,12(part),Disc-4 Stereo Soundboard Recording Quality:Excellent-Very Good
(Disc-1&3) 1.Honky Tonk Women/2.If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud/3.Hand Of Fate/4.Hey Negrita/5.Ain't Too Proud To Beg/6.Fool To Cry/7.Hot Stuff/8.Star Star/9.Cherry Oh Baby/10.Angie/11.You Gotta Move/12.You Can't Always Get What You Want (Disc-2&4) 1.Band Introductions/2.Happy/3.Tumbling Dice/4.Nothing From Nothing/5.Outa Space/6.Midnight Rambler/7.It's Only Rock'n Roll/8.Brown Sugar/9.Jumping Jack Flash/10.Street Fighting Man
1976年6月7日のパリ公演を、SBD音源サイドとAUD音源サイドにて、それぞれ全曲収録した、ある意味この公演の集大成的なタイトル。
まず、Disc-1&2はAUD音源。
邪魔な歓声はほとんどなく、演奏が大きく録れた下手なSBD音源よりも全然聴きやすい素晴らしい録音で、テープチェンジによる曲中カットも無し。
この音源に関しては、テープから起こされた『Europe'76』(VGP-056)を 事典では代表タイトルとして挙げていましたが、
その後SODDが、VGP盤からヒスノイズを若干除去した上、気持ち音を太めに加工して『Vive la France!』(SODD 009/010)をリリース。
ちなみにこのSODD盤、コピーの仕方に失敗したようで、頭出し位置を変えた"JJF"のイントロ前では、本来のVGP盤の頭出し位置だった部分に音ブレが発生しているという、如何にもこのメーカーらしい詰めの甘さもあったりしました。
さて、本作も使用音源はこれらと同じですが、アナログ『Vive La France!』(ARC 3001)にはあったのに、VGP盤やSODD盤には未収録だった"Hot Stuff"前の曲名紹介MC、及び"Outa Space"と"Midnight Rambler"の間のMCも、今回ついに収録されたことにより過去最長となっています。
肝心の音の方もVGP盤やSODD盤に比べると、ヒスノイズが若干増えてはいるものの、その代わりに音が自然な感じで聞こえるようになっており、アナログ『Vive La France!』のすっきりとした音の感じを残しつつ、音を厚くした印象。
また、VGP盤とSODD盤共通の"IORR"最初のサビ前にあった音ブレも、当然の如く解消。
惜しむらくは、時折片寄る定位の修正がなされなかったこと位ですが、まあ、それほど気になるレベルではないものの、ここまでやったなら完璧にしてもらいたかったかなと。
続いてDisc-3&4はSBD音源。
この卓直結音源に関しては、アナログ時代に"Happy"以降が、そしてCD時代に入り"Angie"を除くライブ前半が発掘されて、大半を聞くことが出来ましたが、残念ながら今回も"Angie"発掘ならず。したがって"Angie"のみDisc-1同様のAUD音源となります。
これまでの収録盤に関しては、事典で挙げた代表盤であった『Vive La France!』(VGP-350)をコピーし、そのSBD音源でカットされていたMC等の曲間をAUD音源で補填するという、通常VGP/DACが使っている手法にて、 SODDが『Paris Par Excellence』(SODD 067/68)をリリースしましたが、対するDAC盤はというと。
今回も曲間のSBD音源欠落部分への、AUD音源補填は基本的にありませんが、前述の"Angie"と"You Can't Always Get What You Want"の7分5秒以降から曲終了までにおいてはAUD音源を補填して体裁を整えています。
ちなみに、SODD盤のレビュー時に書き忘れていましたが、SODD盤の"You Can't Always Get What You Want"は、中間のギターソロ7分5秒までが卓直結のSBD音源。そこから7分21秒までがAUD音源を補填し、その後8分8秒までを、オフィシャル『Love You Live』の同曲が同じ公演だったことに目をつけて、音質をメインに合わせて補填。そしてギターソロが終わった後の観客にサビを歌わせる8分8秒から8分49秒までは『Love You Live』でも編集でカットされていたので、再びAUD音源にて補填。8分49秒以降はまたも『Love You Live』に戻る形で、この曲をノーカットとしていました。
本作は、その様な音源の切り替わりを嫌ってか、そこまでの編集はしなかった模様。
さて、メインのSBD音源の音質ですが、CD時代になって発掘されたライブ前半部に関しては、ロージェネレーションのテープが発掘出来なかったようで、相変わらず強烈なヒスノイズが残っていますが、このヒスノイズ、捉えようによっては、日比谷野音の夏のコンサートで有名なセミの鳴き声のようにも聞こえるんで、日比谷野音でストーンズを聴いていると妄想すれば、まあ・・・んな訳ないですね(笑)。
この部分に関しては、若干ですがSODD盤よりもヒスノイズが少なく、低域も気持ち抑えめなので、ほんの僅かながら向上した印象を受けます。
また、繋ぎに使用したAUD音源部分に関しても、SODD盤は音をいじくりすぎて、ちょっとおかしくなっていましたが、DAC盤はさすがにその辺りはうまく、前述した"You Can't Always Get What You Want"の音の切り替わりに関しても、ギターが中央に寄って、スネアが引っ込んだ程度にしか感じない程、見事な調整となっています。
そして、アナログ時代からのライブ後半部。
当然の如くSODD盤やVGP盤に比べると、音の広がり等が向上していますが、やはりこの部分に関してはアナログ『From San Francisco To Paris』(Toasted Records 2S 920)と比べてどうかというと、
音の左右の広がりや低音の厚みに関しては本作の方が上、ただしスネアドラムの抜けの良さや音のすっきり感に関しては『From San Francisco To Paris』となりますが、トータルで判断すると迫力含めて本作に分があるかと。
次に元々"Brown Sugar"にあった2ヶ所の欠点に対する本作の処理に関して。
まずイントロリフの3音目に入っていたノイズはそのまま残しましたが、歌い出し"Gold coast slave ship〜"の"coast slave ship"部分でのテープが伸びたような音になる部分に関しては、残念ながら本作は前日6月6日公演のSBD音源を繋いでいます。
せっかく"You Can't Always Get What You Want"で見事な繋ぎを施していたのだから、ここもそうすれば良かったのに、これはなんとも残念なポイント。
とまあ、まだまだ不満はあありますが、Disc-1&2のAUD音源含めて6月7日のパリ公演収録盤としては、これまでに比べれば一段と向上している印象を受けるタイトルではあるかなと。 |
by Hara ¦ 12:34, Sunday, Oct 18, 2009 ¦ 固定リンク
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