|
『Sympathy For Slowhand』(DAC) |
『Sympathy For Slowhand』(DAC-075) 2CD
June.22 1975 Madison Square Garden,New York City,NY
Mono Audience Recording Quality:Excellent-Very Good
(※)Disc-1 Track-15 June.25 1975 Electric Lady Studios,NY
Stereo Soundboard Recording Quality:Excellent
(※)Disc-2 Track-13 Dec.18 1970 Olympic Sound Studios,London
Stereo Soundboard Recording Quality:Excellent
(Disc-1) 1.Fanfale For The Common Man/2.Honky Tonk Women/3.All Down The Line/4.If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud/5.Star Star/6.Gimme Shelter/7.Ain't Too Proud To Beg/8.You Gotta Move/9.You Can't Always Get What You Want/10.Band Introductions/11.Happy/12.Tumbling Dice/13.It's Only Rock'n Roll/14.Doo Doo Doo Doo Doo/15.Carnival To Rio (Disc-2) 1.Fingerprint File/2.Angie/3.Wild Horses/4.That's Life/5.Outa Space/6.Brown Sugar/7.Midnight Rambler/8.Rip This Joint/9.Street Fighting Man/10.Jumping Jack Flash/11.Sympathy For The Devil/12.Outro/13.Brown Sugar
MSG6日連続公演初日、アンコール"Sympathy For The Devil"でクラプトンが飛び入りしたことで有名なこの公演がDACからもリリース。
75年のMSGといえばサンタナ飛び入りの最終日も有名で、あちらの"Sympathy For The Devil"はベースに回ったキースとチャーリーのタイミングが合わずに苦労している様子を聴くことが出来ましたが、実はこの日の"Sympathy For The Devil"も負けず劣らずで、ミックとバックの演奏がズレまくって、こちらも混乱(笑)。
更にこの日の"Tumbling Dice"ではキースがイントロをトチってやり直していたり、"Brown Sugar"や"JJF"ではミックが歌い出せず・・・。挙げ句その"JJF"の2コーラス目からはベースがなくなり(メーカーインフォでは弦が切れたとのこと)、しばしの間は音が薄くなったりもしてますが、さすがに気合いの入った大都市での公演、こんだけ色々やらかしていても、全体的にはまとまりのある好演奏を繰り広げています。
さて、そんなこの公演、ブート化されている音源に関しては現在2種あり、いずれもCD時代になってからの発掘。
とりあえず、両方の音源に軽く触れておきますと・・・
●ソースA 最初に発掘されたソースで、事典では『Eric Clapton & His Rolling Stones』(VGP-315)を代表盤として取りあげた方のソース。
遠目からの録音なのと、総じてややモコっとした印象は受けるものの、 邪魔な歓声の少ない安定した聞き易い音。
この音源の全曲収録盤としては他に、ピッチが早く(注:事典では遅くと間違っていました、失礼)、テープ劣化による音ユレがあり、ヒスノイズも多めでコモり気味の音質の『Tour Of The Americas 75』(RS01-08)、
イコライジング過多による高域キツ目の低音不足な音作りの上、ヒスノイズも多くなってしまっている『Devil』(Mid Valley 057/058)があります。
なお、VGP盤は曲中カット無しの全曲収録となっていますが、この音源を収録した前述のタイトルは"You Can't Always Get What You Want"の7分過ぎにカットがあり、『Devil』のその部分の処理に関しては、本来のそことは異なる違う部分をつなぎ合わせて、曲のサイズを合わせているので要注意。
●ソースB
今回のDAC盤の方の音源。全曲収録はもちろんのこと、前述の音源では聴けなかった終演後の客出し場内BGMまで聴くことができます。
肝心の音の方は、ソースA同様に遠目からの録音ですが、高域の抜けが良いことから全体的にすっきりとした印象を受けるのと、こちらも周りの観客比較的静かな為、たとえ演奏を大きく拾っていなくともさほど距離感を感じず聴くことが出来ます。
ただし、ソースAに比べると、ギターが奥に引っ込んでしまっており、"You Can't Always Get What You Want""Happy""Tumbling Dice"辺りでは、 ギターより前面に出たビリーのオルガンが新鮮な反面、鬱陶しく感じてしまうのが玉にキズ。
この音源を収録した既発タイトルでは、タランチュラの『Sympathy For The God』(TCDES-5-1,2)がありますが、紙ジャケにピクチャーディスクそしてポスター付きと、装丁が立派な割には肝心の中身の音作りがイマイチ。
全体的に、今時珍しい耳に高域が突き刺さるドンシャリサウンドで、かなりキツい印象を受ける音作りな上、ピッチは早め。
また、編集に問題があったようで、チャプターが変わる部分に音の欠落が生じており、歓声の音量が急に変化したり、"Rip This Joint"から間髪いれず始まる"SFM"では、なんとイントロで音飛びを起こしてしまっているというトホホぶり。
そして本作『Sympathy For Slowhand』
当然の事ながらタランチュラ盤にあったような音飛びは当然皆無。
また、ピッチもほぼ正常な上、音質もタランチュラ盤に比べると、シンバル類の抜けが自然な感じのナチュラルな音作りで、ピッチも当然ながらほぼ正常。
なお、この音源で目立つカット部分は3箇所ですが、タランチュラとDAC盤では当然ながら編集も異なっています。
まずは"You Gotta Move"での、曲が一旦終わってピアノ・リフレイン部分に移る部分。ここでミックが発する「You Gotta Move,You Gotta Move」というつぶやきとピアノ・リフレイン部分での歌い出し3音がカットされていますが、タランチュラ盤はその部分を定位も音質も合わせずに繋いでいる為、如何にも繋ぎましたといった違和感を感じる音なのに対し、DAC盤はどこで切り替わったか分からない位の見事な音合わせ及び繋ぎを施しています。
続いて"Brown Sugar"、こちらはイントロの最初の1フレーズが丸々と、2フレーズ目の最初の1音がほんのわずかにフェードイン気味でしたが、タランチュラ盤は1フレーズ目のみをソースAで補填している為、2フレーズ目はややフェードイン気味。対するDAC盤は、繋ぎ部分をスムーズに聴かせるべく、2フレーズ目で入るチャーリーのフィルから音源を切り替え。
そして"Midnight Rambler"終了直後のミックのファルセットでの叫び声。こちらに関しては、タランチュラ、DAC共々カットのままですが、タランチュラは如何にも音が切れてますといったブツ切れ繋ぎ編集なのに対し、DAC盤は元々なかったかのように綺麗な繋ぎ処理を施しています。
全体的な音質もさることながら、定位調整や繋ぎ処理に関してもDAC盤はさすがの編集上手といった感じ。
さて、このDAC盤の各ディスクの最後には1曲ずつボーナストラックが収録されており、まずはディスク1の最後に収録された"Carnival To Rio"。
後にクラプトンのアルバム『No Reason To Cry』で"Carnival"と改題されて リリースされる曲ですが、本作に収録されているのは正規テイクとは別のストーンズ参加テイク。
この曲に関しては、6月25日に7テイク、6月30日に3テイクの計10テイクを録音と事典にも載せましたが、ストーンズ自体は6月29,30日とフィラデルフィア公演を行っており、そこからわざわざ公演日である30日に一旦ニューヨークに戻るとは考え難いので、今回収録のテイクは6月25日に録音されたと考えるのが妥当かと。まあ、6月30日に作られたテイク自体が、6月25日のテイクにクラプトン側がオーバーダヴしただけと推測すれば、ストーンズ参加テイクという可能性もありますけど・・・。
さて、この曲に関しては、まず編集盤『Gals*Gags*Pin-Ups』(RST-SG)にて、今回のDAC盤でいうところの3分33秒付近から1分半弱の部分が、かなり劣化した音質でまず初登場。
続いて前述『Eric Clapton & His Rolling Stones』に少しだけ音質が改善された物がリリースされましたが、曲のサイズは中途半端なまま。
そして「Steel Wheels Tour」でのクラプトン競演公演をカップリングした ミッドバレイ『19』(MVR 185-189)のボーナスディスク及び、それのディスクは同じでジャケだけ新たに作った単品リリース『Brown Sugar * Carnival』(MVR Limited Sampler)にて、ついにフルサイズが登場。
ちなみに、これらMV盤には"Carnival To Rio"が2つ入っていますが、1フレーズでテープを止められてしまうイントロ部分が入っているかいないかだけの違いにつき、テイク違い云々といった類ではありません。
今回のDAC盤に収録されたのもMV盤とテイクは同じ。
ただ、MV盤はヒスノイズ多めでやや輪郭の甘い音だったのに対し、DAC盤はヒスノイズはさほど感じない上、MV盤にはなかった止められてしまうイントロ前の音(この曲の音かは不明)までを収録。
まあ、この音はあってもなくてもといった感じですが、曲本体も一段と聴きやすくなっています。
ディスク2のラストは、毎度お馴染みクラプトンとアル・クーパー参加の"Brown Sugar"
これだけ年代がちょいと前になってしまいますが、MV盤に収録ということで、こちらにも収録したんでしょう。音の方はこちらもMV盤より音が締まって聞き易さが増しています。
ちなみにディスク2の頭の"Fingerprint File"をディスク1の最後に持ってきてボーナストラック2曲をディスク2の最後に持ってきた方がすっきりすると感じる人も多かろうと思われますが(当然私も)、実際に計算してみると、たしかに"Fingerprint File"自体はギリギリで入る事が判明しましたが、曲終了後あまり余裕なくフェードアウトしなくてはならないので、ここはあえて、ディスクの代わり目ではあるものの、ライブを途中で分断する不自然な形となったのかなと。
だったら個人的には、"Carnival To Rio"なら時期的にも一致しているので、イントロダクション的にディスク1の頭に収録しても良かったかななんて思ったりもするのですが・・・。 |
by Hara ¦ 03:05, Monday, Feb 25, 2008 ¦ 固定リンク
|
Links |
|
|
|