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『Sweet Tropical Sun』(Empress Valley) |
『Sweet Tropical Sun』(EVSD-661〜668) 8CD
Jan.21 & 22 1973 Honolulu International Center,Honolulu,HI
EVSD-661〜664 Disc-1〜4 Mono Audience Recording Quality:Very Good
EVSD-665〜668 Disc-1〜4 Stereo Audience Recording Quality:Excellent
(Disc-1) ※EVSD-661,665 1.Introduction/2.Brown Sugar/3.Bitch/4.Rocks Off/5.Gimme Shelter/6.It's All Over Now/7.Happy/8.Tumbling Dice/9.Sweet Virginia/10.Band Introductions/11.Dead Flowers (Disc-2) ※EVSD-662,666 1.You Can't Always Get What You Want/2.All Down The Line/3.Midnight Rambler/4.Live With Me/5.Rip This Joint/6.Jumping Jack Flash/7.Street Fighting Man/8.Radio Advertisements (Disc-3,4) ※EVSD-663,664,667,668 1.Brown Sugar/2.Bitch/3.Rocks Off/4.Gimme Shelter/5.It's All Over Now/6.Happy/7.Tumbling Dice/8.Sweet Virginia/9.Dead Flowers/10.You Can't Always Get What You Want/11.All Down The Line/12.Midnight Rambler/13.Rip This Joint/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man
ミックの入国許可が下りず中止となってしまったストーンズの初来日公演(1月28日〜2月1日)。その前の公演地であるハワイでの3公演を、新たに発掘した音源と従来の音源それぞれメインに作成した全曲収録盤を封入して、ハワイ公演の決定版を目指したボックスセット。
ボックスには新音源と従来音源それぞれのディスクを収納する紙ジャケットと名刺大の説明カード、ハワイ公演の写真を使った24ページのブックレット、紙ジャケ大のミックとキースのカードが1枚づつに、来日中止をうけてのミックとストーンズ名義のメッセージカードといったものが封入されてます。
まずは新たに発掘された方の音源から。EVSD-661から664の黒レーベルディスク(以下、黒盤)がこちらにあたり、ミックがGジャンを着ているジャケットに入れられていましたが、ジャケットにはディスク番号の記載がないので要注意。ちなみに紙ジャケ大のカードは、ミックの方がこちらのジャケットに帯で挟まれていました。
ディスク1と2に収録されているのは初日の21日公演。従来音源に比べると遠目からの録音となっていますが、周りが騒がしくないことに加えて、エコーがかってはいるもののバランスも意外と良いことから、 これはこれで聴きやすい印象。クリアーな低域もしっかり拾った音質で、やや高域にくせがあったりはしますが不快に感じるほどでは無し。
ディスク1冒頭は、従来音源では聴くことが出来なかったドラムのサウンドチェック14秒のあと、カットアウト・インでバンドコールの少し前からの収録。
テープチェンジは"You Can't Always Get What You Want"の6分10秒から7分14秒までの1分4秒間。この部分には従来音源が補填されていますが、前述の距離感の差での補填部分だけ音が近くなっているのはまだしも、やや右寄りのメイン音源との定位調整がされていないため、如何にも補填しましたという繋ぎになっているのはやや残念。
ディスク2の最後は、SODDの『Stones In Exotic Honolulu』(SODD 117)のみに収録されていたこの公演を含むホノルル公演全体の告知ラジオCM。1966年のホノルル公演はラジオ収録されていたこともあって、このCMでも1966年のオープニングのバンドコール後半部分が放送されています。
黒盤のディスク3は1月22日1stショーの新音源。
こちらも従来音源より音が遠く、"Rip This Joint"あたりから音がやや団子気味になるものの、それまでは遠いながらも良好なバランスで聴くことが出来ます。
音質をクリアーにするために高域を結構持ち上げているようで、ヒスノイズが多いことに加えて一部耳につく箇所も。また基がそうだったのか後からなのかが不明ですが低域も強調されており、通常聞きづらいベースラインが聞き取れるのは新鮮ですが、響きすぎに感じる部分も。
Rip This Joint"1分31秒や"Jumping Jack Flash"最初のサビ0分34秒で結構大きく聞こえてくる、ジャリっとしたノイズはマイク付近で発生したもののようで、ダビングや編修段階で発生したものではありません。
テープチェンジは"You Can't Always Get What You Want"の5分8秒から5分28秒までの20秒間。この部分には従来音源が補填されていますが、ディスク2の初日音源同様にこちらも距離感の差で補填部分だけ音が近くなっていますが定位差はさほど無し。
また本作の基になったテープはダビングを経たもののようで、テープチェンジ以外でも"You Can't Always Get What You Want"の曲前でカットアウト・イン、"All Down The Line"では2分47秒から49秒までの2秒間に従来音源を補填と、録音マスターにはなかったであろう欠落部が本作にはあったりします。
なお、事典ではこのショーの従来音源収録盤の紹介で、前日のショーでメンバー紹介のあった"Sweet Virginia"と"Dead Flowers"の曲間にテープチェンジがあったことから、メンバー紹介が欠落していると書きましたが、その部分がノーカットの本作の登場によりメンバー紹介自体が行われなかったことが判明しました。
また、この音源の登場により"Midnight Rambler"と"Rip This Joint"の間にも、従来音源ではテープチェンジがあったことが判明しています(その部分をよく聞けば編集痕があったのが分かります)。
黒盤のディスク4は1月22日2ndショーの新音源。
前日や1stショーの新音源同様に遠目の録音ですが、このショーについては周りが騒がしめで"Dead Flowers"では手拍子が耳につくことも。
ヒスノイズが多めだったりしますが全体的な音質はクリアー。ただし低域が出過ぎで一部歪み気味になっており、ベースラインがよく聞き取れるという利点はありますが、ここは少し聴きやすく調整してもらいたかったところ。
テープチェンジは"You Can't Always Get What You Want"の1分45秒から2分4秒までの19秒間。この部分には従来音源が補填されていますが、従来音源の低域を上げる等して音質調整を施していない分、音源切り替わりの不自然さが出てしまっています。
冒頭のバンドコール未収録なのは従来音源同様ですが、"Street Fighting Man"修了後のアナウンスについては、この音源で初めて聴けるようになっています。
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アロハシャツを着たミックが写っている紙ジャケに入れられている、EVSD-665から668の青レーベルディスク(以下、青盤)に収録されているのが従来音源。単体でのリリースも念頭にあったのか、ディスク表記が黒盤と同じ1から4だったりして、ちょっと紛らわしいのが難点。
ディスク1と2に収録されているのは21日公演。この公演の従来音源ベストはSODDの『Stones In Exotic Honolulu』(SODD 117)。
従来音源は一部テープ劣化による音ブレはあるものの、若干遠目ながらバランス良く録れたクリアーな音質のステレオ録音で、一応全曲を収録していることにはなっていますが、"Jumping Jack Flash"はテープチェンジが原因で、最初のサビが終わった後のリフから3コーラス目のサビの途中まで欠落。
事典で挙げたSODD盤含む既発タイトルは全て、この欠落部に翌22日の2ndショーの音源を繋いでいましたが、本作は黒盤の同日別音源を補填して通しで聴けるようにしています。ただその補填部分、基音源の録音位置の違いで音が遠くなってしまっているのは仕方ありませんが、シンバル類が耳についてしまうのが玉にキズにつき、この耳につく周波数を調整してもらいたかったところ。また補填音源がモノラル故、音源切り替わり時に音の広がりが結構変わるので、思い切って疑似ステレオ処理をしてみても面白かったかもしれません。
全体的な音質は、SODD盤が既発と比べてロージェネレーションのマスターから作成されている分、すっきりとした感じの音となっていましたが、本作も同じくロージェネレーションのマスターから作成してはいるものの、SODD盤より僅かに硬質な印象。
続いてオープニングのバンドコール前の歓声について。SODD盤含む既発タイトルはバンドコール後の歓声をコピー補填していましたが(つまりバンドコール前後で同じ歓声が聞こえる)、本作は黒盤で初登場したドラムのサウンドチェック部分を、こちらのディスクにも冒頭に持ってきて既発タイトルとの差別化を図ってはいるものの、バンドコール前にあったバンドコール後の歓声をきちんとカットせずにクロスフェードしてしまっていることから、この変な編集が本作でも解消されていないのは残念。
なおディスク2ラストに収録されている告知ラジオCMは、黒盤やSODD盤に収録されているものと同じものです。
青盤のディスク3は1月22日1stショーの従来音源で、事典での代表盤はVGPの『In Exotic Honolulu』(VGP-040)。このVGP盤、ジャケットのクレジットではジャケットでは21日1stショーと誤記されているので要注意。
アナログ時代から多数のタイトルがリリースされてきたのがこの音源で、少し遠目のステレオオーディエンス録音。
"You Can't Always Get What You Want"の前半で顕著なテープ劣化による音ユレが一部にあるものの、クリアーでバランスの良い音質の上質録音。
本作も音質についてはVGP盤と同等ですが、"You Can't Always Get What You Want"前半の音ユレについては、その部分をモノラル化することによって、左チャンネルのレベルダウンによる聞きづらさを緩和しています。
またVGP盤はじめ既発タイトルのテープチェンジにあたった"Sweet Virginia"と"Dead Flowers"の曲間や、"Midnight Rambler"と"Rip This Joint"の曲間のテープチェンジによる欠落部については黒盤の別音源を補填していますが、どうせならモノラルの補填音源を疑似ステレオ化して音の広がりの差異を緩和してあれば尚良しだったかと。
そして"Street Fighting Man"終了後も、黒盤の別音源の方が僅か2秒ほど長かったことから、本作は差別化を図るために少しでも長くと考えたのかクロスフェードして補填していますが、補填開始のポイントを早めに設定してしまったがためにメインのステレオ音源が13秒ほどVGP盤より短くなってしまっているのは、ちょっと疑問の残る編集。
そして最後に青盤のディスク4が1月22日1stショーの従来音源で、事典での代表盤はVGPの『Blue Hawaii』(VGP-212)。
この公演も他のハワイ公演従来音源同様、やや遠目のステレオオーディエンス録音で、若干ホールエコーが強めなもののバランス自体は悪くありません。
まずメイン音源の音質ですが、VGP盤と本作はほぼ同等。
VGP盤は一応全曲を収録していたものの、"Tumbling Dice"はフェードイン、"Midnight Rambler"の中盤から終盤にかけてはおそらくテープチェンジによるものと思しきカットがありましたが、本作は黒盤の別音源をこの部分に補填。VGP盤の"Tumbling Dice"はフェードインでイントロが始まった後、最初の1コーラス目に周期的なドロップアウトがあったことを本作は嫌って、曲の冒頭26秒を別音源としています。また"Midnight Rambler"についても、VGP盤では欠落後から曲の終わりまで26秒ほどしかなかったことから、本作は曲中で従来音源に戻すようなことはせず、"Midnight Rambler"欠落開始から次曲"Rip This Joint"が始まる寸前まで別音源としています。
更にこれら曲に被っていたカット以外にも従来音源には頻繁にカットがあり、本作は"Rocks Off""Gimme Shelter""It's All Over Now""Happy""Tumbling Dice""Sweet Virginia""Dead Flowers""You Can't Always Get What You Want"の曲間と、"Street Fighting Man"終了後にも別音源を補填していますが、VGP盤で右寄りだったメインの音源の定位を修正していないことに加えて、やはりステレオとモノラルの違いによる音の広がりの差異を感じるので、ここはメイン音源の定位修正と補填音源の疑似ステレオ化をしてもらいたかったところ。
なお、VGP盤は何故かディスク冒頭と最後に、オフィシャル『Their Satanic Majesties Request』に入っていたイビキの音が収録されているという、意味不明の編集となっていましたが、当然のことながら本作には収録されていません。 |
by Hara ¦ 23:20, Tuesday, Oct 07, 2014 ¦ 固定リンク
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