The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 



『The Complete LA Sundays Tapes』(SODD)
soddcompletelasundaytapes

『The Complete LA Sundays Tapes』(SODD 073/76) 4CD

July.13 1975 Inglewood Forum,Los Angels,CA

(※)Disc-3 Track4,8,11 Disc-4 Track1,2,10
July.10 1975 Inglewood Forum,Los Angels,CA

Stereo Audience Recording
Quality:Excellent(Disc-1&2),Excellent-Very Good(Disc-3&4)

(Disc-1)
1.Fanfale For The Common Man/2.Honky Tonk Women/3.All Down The Line/4.If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud/5.Star Star/6.Gimme Shelter/7.Ain't Too Proud To Beg/8.You Gotta Move/9.You Can't Always Get What You Want/10.Happy/11.Tumbling Dice/12.Band Introductions/13.It's Only Rock'n Roll
(Disc-2)
1.Doo Doo Doo Doo Doo/2.Fingerprint File/3.Angie/4.Wild Horses/5.That's Life/6.Outa Space/7.Brown Sugar/8.Midnight Rambler/9.Rip This Joint/10.Street Fighting Man/11.Jumping Jack Flash/12.Sympathy For The Devil
(Disc-3)
1.Honky Tonk Women/2.All Down The Line/3.If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud/4.Star Star(7/10)/5.Gimme Shelter/6.Ain't Too Proud To Beg/7.You Gotta Move/8.You Can't Always Get What You Want(7/10)/9.Happy/10.Tumbling Dice/11.Doo Doo Doo Doo Doo(7/10)/12.Band Introductions/13.It's Only Rock'n Roll
(Disc-4)
1.Fingerprint File(7/10)/2.Angie(7/10)/3.Wild Horses/4.Brown Sugar/5.Midnight Rambler/6.Rip This Joint/7.Street Fighting Man/8.Jumping Jack Flash/9.Sympathy For The Devil/10.Brown Sugar(7/10)

同じ音源を何度も出し直すことが多いSODDから、またもや定番の1975年7月13日公演が今度は4枚組でリリース・・・。

「1st source」ソースと銘打たれた最初の2枚は、毎度お馴染みミラード音源。本来なら後述するアナログ時代からのディスク3・4の音源よりも、
発掘は後のCD時代からなので、本来はこっちが「2nd source」ソースだろうという気がするのですが。

さてこのミラード音源、SODD自体『Rockin' At The Forum 1975 Last Night』(SODD 036/37) でリリース済みでしたが、こちらは"Fingerprint File"がテープチェンジで曲の終わりが切れていたことから、曲自体を7月9日の演奏に差しかえた音源をそのままにリリースしてしまったが故に、"Fingerprint File"が7月9日の演奏となっていたり、
音の方も若干クリアーさに欠ける上、ピッチも終盤遅くなるといった具合で、おおよそ後発とは思えない造りのタイトル(苦笑)。

soddrockinattheforum1975

ちなみに"Fingerprint File"がきちんと13日の音になっているタイトルに関しては、別公演との組み合わせによる複数枚タイトルや、枚数を水増ししているタイトルもあったりしますが、その"Fingerprint File"を13日公演に差し替えリイシューしたVGP『Who Went To Church This Sunday』(VGP-082)が、唯一コンパクトにこの音源を楽しめる単独タイトルとして君臨。

vgpwhowenttochurchthissunday

ちなみにこの『Who Went To Church This Sunday』リイシューも、VGPお得意の"ジャケはそのまま"状態につき、リイシューか否かの見分けに関しては、例によってディスクデザインで見るしかありません。リイシュー版は黒地に「For Members Only Not For Sale」と大きく記載されているデザインのもの。

さて本作ですが、今回は当然の如く"Fingerprint File"は13日の演奏で、VGP盤同様にテープチェンジで欠落している曲の最後1小節と1音は
同じく9日の音を補填。

全体的な音の方も、VGP盤に比べて高域を少しまろやかにした上、ヒスノイズを不自然にならない程度に除去して聞きやすくはしていますが、気にならない程度の違いではあるものの、ほんのわずかながらVGP盤よりピッチ遅め。

続いてのディスク1の冒頭は、VGP盤はテープスタートからの収録につき、"Fanfale For The Common Man"が始まる寸前からのカットインとなっていましたが、本作ではそれより前の歓声から収録。ただしこの歓声、最初に聞こえる女性の悲鳴が、ライブ中盤あたりからよく聞かれるものに近い為、ひょっとしたらその辺りの歓声を重ねているだけかもしれませんが、特定できず。

更に他のテープチェンジにあたった箇所に触れると、VGP盤の"Happy"終了直後の歓声はテープチェンジでクロスフェードしており、そのクロスフェードしてくる歓声は、同じくVGPの旧仕様『Who Went To Church This Sunday』の方が女性の一悲鳴分長くなってましたが、本作もその女性の悲鳴は聞けず。

また、"Brown Sugar"終了後のMCに関しては、VGP盤ではテープチェンジ部分そのままにしていた為、ミックが発した「Thank You Very Much」の「Mu」のところで切れていましたが、本作は"Gimme Shelter"終了後の「Thank You Very Much」に差し替えています。

終演後に関しては、VGP盤は客出しBGMが鳴り始めたところでテープを止める際に、マイクに何かが触れる音がする部分まで収録していますが、本作はその少し前でフェードアウト。

といった具合で、VGP盤とは一長一短な出来なのかなと。


かわってディスク3&4はアナログ時代からリリースされていた方の音源。音の近さや迫力はミラード音源より断然こちらですが、クリアーさで若干劣ることと、残念ながら"Star Star""You Can't Always Get What You Want""Doo Doo Doo Doo Doo""Fingerprint File""Angie""That's Life""Outa Space"の7曲が未発掘の為に、やや過小評価されている感のある音源。

この音源を収録した代表的なCDとしては事典で挙げた『Charlie Watts And His Fabulous Rolling Stones』(VGP-284) や本作と同様にミラード音源と組み合わせた4枚組『The Complete LA Friday Tapes』(DL 036-39)。

vgpcharliewattsandhis

dandecompletelafridaytapes

VGP盤は、アナログ時代に3タイトルに分かれていたこの音源収録曲そのままに、前述の7月13日欠落曲を7月10日公演の音源から、またLAで演奏されなかったツアー初期のレア曲"Luxury""Dance Little Sister"を6月1日公演から収録していましたが、対するダンデライオン盤はというと、6月1日の2曲はカットの純粋なLA公演のみの収録という形をとっていました。

また、VGP盤とダンデライオン盤では"Doo Doo Doo Doo Doo"の位置が異なり、VGP盤は7月13日公演の演奏順そのままに"IORR"の次にこの曲を配置していましたが、ダンデライオン盤は何故か"IORR"の前に配置してしまっています。

さて本作ですが、曲目および曲順はダンデライオン盤とほぼ同じ。したがって前述の"Doo Doo Doo Doo Doo"の位置はおかしいんですが、VGP盤・ダンデライオン盤ともに本編は7月10日の演奏を配置し、あくまでもボーナス扱いのようにディスクラストに配置されていた7月13日の"Brown Sugar"が、本作ではきちんと本編に配置され、7月10日の演奏をディスク4のラストにと、ちゃんと7月13日をメインとした曲順に並び替えられています。

また、その7月13日の"Brown Sugar"は、これまでイントロが欠けていたのですが、本作はミラード音源から補填してこの問題を解消。ただし、VGP盤やダンデライオン盤の"Brown Sugar"は、イントロにビリーのオルガンが被ってくるところから、この音源が始まっているのですが、本作は歌い出し寸前までミラード音源を引っぱっている為、他タイトルに比べて本来の音源部分が短い上、繋ぎ方がイマイチという難点あり。

他にも同じくイントロ途中からだった7月10日の"You Can't Always Get What You Want"に関しては、前曲7月13日の"You Gotta Move"終了直後から、ミラード音源を音質合わせてクロスフェードさせて歌い出しちょっと前まで繋ぐという編集を施しています。したがって"You Can't Always Get What You Want"は、イントロが7月13日で、以降が7月10日となります。

また、ダンデライオン盤では完全モノラル、VGP盤では右寄りの定位となっていた"Rip this Joint"と"SFM"に関しては、本作は音がきちんと中央に定位した奥行きある音で収録されていることから、この点に関してはアドバンテージかなと。

と、ここまで色々と手の込んだことをしておきながら、なんと"Tumbling Dice"は2分53秒と3分25秒で音飛びを起こしているという超基本的な制作ミスを犯してしまってます・・・。

ってな訳で、例によって後発でありながら何だかなといった感のタイトル。

by Hara ¦ 18:31, Wednesday, Dec 31, 2008 ¦ 固定リンク

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