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『The Emotional Rescue Sessions』(DAC) |
『The Emotional Rescue Sessions』(DAC-108) 2CD
Studio Outtakes 1975-1981
Disc-1 Track1,2,9 Disc-2 Track2 Jan.18-Feb.12 1979 Compass Point Studios,Nassau Bahamas
Disc-1 Track3 Disc-2 Track1,4 Jan.5-Mar.2 1978 Pathe Marconi Studios,Boulogne Billancourt,France
Disc-1 Track4-8 Disc-2 Track3 June.10-July.7 & Late July-Aug.25 & Sep.12-Oct.19 1979 Pathe Marconi Studios,Boulogne Billancourt,France
Disc-2 Track5,7 Mar.25-Apr.4 1975 Musicland Studio,Munich,Germany
Disc-2 Track6 Apr-June 1981 Mobile Recording Unit In Some Unlocated,Paris & Atlantic Studios,New York
Stereo Soundboard Recordings Quality:Excellent
(Disc-1) 1.Blues Jam #1/2.Blues Jam #2/3.Summer Romance(I)/4.Dance(I)/5.Dance(II)/6.Dance(III)/7.We Had It All(I)/8.We Had It All(II)/9.Little T&A(I) (Disc-2) 1.Where The Boys Go(I)/2.Jah Is Not Dead/3.Summer Romance(IV)/4.Summer Romance(II)/5.Cellophane Trousers(II)/6.Let's Do It Right(II)/7.Munich Reggae(II)
DACによるアナログ複刻タイトル
本作の音源を収録していた既発ブートとしては、事典で取りあげた下記2タイトルが代表的なものではあるものの、いずれも何かしらの欠点がありました。
まずは、本作の基となった同名アナログ 『The Emotional Rescue Sessions』(RSERS 1979)
このアナログには"Summer Romance"が都合4トラック収録されており、本作はこのアナログの全曲を網羅していないかに見えますが、実のところはサイドAの1曲目とサイドDの1曲目にあたる"Summer Romance(I)"は左右のチャンネルが逆なだけの(サイドAが逆)重複収録となっています。
音の方はというと、曲によって若干の差はあるものの全体的に音質はクリアーですっきりとした音ですが、全曲ピッチ早め。
このアルバムに関しては、全体的にチリチリといったノイズが漂っているというイメージで捉えられがちではありますが、実際のところノイズが漂っているのはサイドCに収録された"Jah Is Not Dead""Dance(III)""We Had It All(II)"の3曲のみで、他の曲に関しては耳につくノイズはありません。
なお、本作以前にリリースされたアナログ起こしCD『Dance』(J-006/007)も、曲間だけ無音編集をしているだけのストレートなアナログ起こしの為、前述のチリチリノイズに関しては同様。
ちなみにこのCD、"Jah Is Not Dead"の曲前に入っていたスネア2発にバスドラ1発とベース4音が編集ミスによりカットされてしまってる上、曲の序盤にキーンといった高周波ノイズが聞こえますが、今回確認した黒盤アナログにはそういったノイズがなかったりしますので、CDマスター編集段階で入ってしまったものと推測されます。
続いてもう一方の代表的なタイトル 『Emotional Rescue Demos』(CD 079)
こちらはアナログに収録されていた『Tattoo You』用の75年リミックス音源3曲がカットされた、純粋な『Emotional Rescue』用セッション集となっており、75年音源以外の収録曲はアナログと同じ。
このタイトルはテープから落とされていることから、先のアナログのようなチリチリノイズはありませんが、テープのヒスノイズ対策として高域を思い切り絞ったのか、全体的にコモった音になってしまっています。加えてこちらもピッチ早め。
このタイトルのメリットといえば、前述のチリチリノイズが無いことに加え、アナログでは聴けなかった"Dance(I)"の曲前カウントが聴ける点。
なお、事典では"Jah Is Not Dead"がアナログに比べて曲前が長い旨の記載がありましたが、これは前述した曲前のスネア2発にバスドラ1発とベース4音のことで、曲前の長さ自体はアナログと変わらないと訂正しておきます。
ちなみに『EMOTIONAL RESCUE SESSIONS REVISITED』(RYF-003)は、ジャケットこそ『The Emotional Rescue Sessions』から流用していますが、収録されている音源に関しては『Emotional Rescue Demos』からピッチを修正してのコピー収録。またこのタイトルについては、他のエモレス関連の音源もコピー収録し、集大成的な造りにしているものの、何故か"Little T&A(I)"は未収録。
さて本作、これまで何かしら難点のあった音の方はというと、アナログ『The Emotional Rescue Sessions』と同等のクリアーな高域はそのままに、全体的に厚みを持たせた音造りにしています。
また、アナログでは曲によって若干の音質のばらつきがありましたが、本作は出来うる限り音質差を縮めているしていることに加え、当然のことながらスクラッチノイズも無しということで、これまで難のあったこの音源がようやくまともな形でリリースされたことになります。
いきなりディスク1冒頭の2トラックは初登場となるブルースジャム。まず1曲目の"Blues Jam #1"ですが、ギターは左チャンネルの1本だけで、右チャンネルにエレピ、そして中央にドラムとベースという編成。54秒からのドラムのフィルインや1分からのオープンハイハットの長さ、そしてその後の妙なモタリ具合を聴く限りは、ドラムがチャーリーワッツではないような気もしますが、はたして真相は如何に。
2曲目の"Blues Jam #2"も編成は同じ。これもブラシのタタッというつっこみ加減がチャーリーと異なるような気が・・・。
"Dance(I)"はきちんと曲前のカウント入り。
"Jah Is Not Dead"は、元々ヒスノイズが多い曲ではありますが、ノイズゲートの弊害なのか、一部でヒスノイズが大きくなったり引っ込んだりとムラが発生してしまっているのがやや難点。
ラストは"Munich Reggae(II)"。 この曲自体は一連のDACアウトテイク集で3度目の登場となりますが、『Munichland Melodies』(DAC-088)に収録されていたのは(I)で、『Lonely At The Top』(DAC-096)に収録されていたのは本作と同じ『Tattoo You』用にリミックスされた(II)の方。
ここで(I)と(II)の違いについて触れておきますと、明らかに分かる違いはパーカッションの位置。(I)は中央で(II)は右にミックスされています。
では本作の(II)とはというと、アナログにあったイントロ欠けは無し。これに関してはDACの『Lonely At The Top』も同様。音質に関しては『Lonely At The Top』やアナログの方がすっきりした感じで、それに比べると本作はステレオセパレーションが狭まった分、若干中域寄りの音。
インフォにあったこの曲の収録サイズに関しては、たしかに『Lonely At The Top』よりは1フレーズ(4小節分)長く収録されていますが、実のところアナログとはサイズが同じだったりします。
なお、本作はディスク1が43分でディスク2が42分30秒の計85分30秒と2枚組にしてはなんとも微妙な収録時間。初登場の"Blues Jam"を2テイク収録していたり曲順も変えていることから、アナログの完全複刻ということでもないので、DAC一連のアウトテイクシリーズに未収録だった、『Static In The Attic』(MB CD 084)に収録されていたエモレス関連音源を追加収録して決定盤的な造りにしてくれれば尚良しだったのに、この点は残念。
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by Hara ¦ 03:38, Thursday, Aug 11, 2011 ¦ 固定リンク
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