The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 



『Liver Than You'll Ever Be』(Empress Valley)
evliver1

『Liver Than You'll Ever Be』(EVSD-583) 1CD

Nov.9 1969 Alameda County Coliseum,Oakland,CA (2nd show)

Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent - Very Good

(※)Track.1,2,8,9,10,15,16
Mono Audience Recording
Quality:Excellent

1.Jumping Jack Flash/2.Carol/3.Sympathy For The Devil/4.Stray Cat Blues/5.Prodigal Son/6.You Gotta Move/7.Love In Vain/8.I'm Free/9.Under My Thumb/10.Midnight Rambler/11.Live With Me/12.Gimme Shelter/13.Little Queenie/14.Satisfaction/15.Honky Tonk Women/16.Street Fighting Man

不完全なサウンドボード音源にオーディエンス音源を補填して、そのライブを出来うる限り完全なものとするのはブートの常套手段だったりしますが、ストーンズのブートレグ第1号であったこの公演については、LP時代からオーディエンス・サウンドボード共にブートリリースされていたのに、意外なことに本作が初めて。

メインとなるサウンドボード音源は、アナログ時代に1枚物LP『Oakland Sixty-Nine』(-)にてリリースされたもの。

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"Sympathy For The Devil""Stray Cat Blues""Prodigal Son""You Gotta Move""Love In Vain""Live With Me""Gimme Shelter""Little Queenie""Satisfaction"といったライブ序盤から中盤にかけてと、ライブ後半から終盤にかけての9曲で、1972年にビル・グラハムがラジオで流したと言われる音源。

卓直結の音源故に歓声は拾っていない生々しい音ではありますが、この手の音源特有のバランスの悪さはありません。

本作の音質は、中域に音が集まりレンジの狭かったアナログに対し、全体の音のレンジをアナログより広げ、高域を持ち上げたことにより増えたヒスノイズは余韻に影響ない程度に除去、また中低域も響き気味とならないよう程良く持ち上げて、落ち着いた印象を受ける聴きやすい音に仕上げていた既発代表盤であるDACの『Liver Than You'll Ever Be』(DAC-116)を少し明るめにした感じ。

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テープのジェネレーションが高い為、サーではなくノイズ除去処理で消せないシーといったヒスノイズが全般に漂っているのは既発同様。

この音源、"Satisfaction"の3コーラス目に欠落部があり、既発の他タイトルもそのままだったり他の同様な部分から補填したりと色々ありますが、本作はSODDの『Oakland Coliseum Arena 1969 FM-SB』(SODD-029)と同じく、1コーラス目の同じ箇所を補填して欠落なく聴けるようにしています。

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ちなみに前述のDAC『Liver Than You'll Ever Be』の処理はというと、2コーラス目から音を持ってきての補填。

なお、VGP『Oakland Sixty-Nine』(RS-692=VGP-003)にあった、基アナログの盤質によるものと思しき"Live With Me"以降に発生していた、定期的なノイズは本作にも無し。

vgpoakland2

また、既発では"You Gotta Move"頭が1音が欠けていましたが、本作は後述するオーディエンス音源が補填されてはいるものの、最初の1音だけでなく、2フレーズ目のミックのハミングを被せてくるあたりからサウンドボード音源に戻るようになっていますので、既発よりもこの部分は短くなってしまっています。

続いては補填に使用されたオーディエンス音源について。本作に使用されたのは、ストーンズのブート第1号であるLP『Live'r Than You'll Ever Be』(Lurch Records)に収録されていたオーディエンス音源の全長版より。

lpliverthanyoullever2

この音源、ややスピーカーから離れた位置から録られたと思しき音ではあるものの、演奏自体は大きく捉えており、また周りの観客が静かなこともあって、非常に聴きやすい好録音。

1曲目の"JJF"ではレコーダーの音量レベル調整により、以下の部分が大きくボリュ−ムが下がってしまっています。

1)最初のサビの「gas gas gas」の2回目・3回目と次のギターストロークの頭。
2)2番「schooled with a strap right across my back」の間の2箇所。
3)2回目のサビの「In fact」の前
4)3番「And left for dead」の「dead」が終わるあたりと「I fell down」に入る直前

既発ベストの前述したDAC『Liver Than You'll Ever Be』では、この部分のボリュームを持ち上げた為に、まるでスプレーを吹き付けたが如くのノイズが発生してしまっていますが、本作はそのDAC『Liver Than You'll Ever Be』のディスク2にて初登場した、この日の別音源を補填しています。

この別音源、メインのオーディエンス音源よりも遠い位置からの録音だったことから、その補填部は音が引っ込んだ感じに聞こえはするものの、これまでの色々な既発の補填の中では一番聴きやすい処理といえるでしょう。

では、サウンドボード音源とオーディエンス音源の繋ぎ目はというと、前述した"You Gotta Move"の冒頭以外はクロスフェード処理をせず、ぱっと音が切り替わる編集となっていることに加え、サウンドボードの曲が続く曲間でもオーディエンス音源を繋いでいる為、曲間で突如臨場感が出たり、なくなったりして違和感を覚えてしまいます。

せめて曲間では、オーディエンス音源とサウンドボード音源をミックスしたりクロスフェードする等すれば、この違和感を軽減出来たかと思うのですが・・・。

なお、本作を収納している紙ジャケットは、"Wild Horses"含むデッカ時代の楽曲26曲にメインストリートからの4曲の計30曲を、強引に短く編集して1枚のLPに収めているというレアな『Songs of THE ROLLING STONES』というプロモLPのレプリカだそうですが、当然のことながらアルバムタイトルやジャケ記載の曲目は中身のCDと異なってしまっており、かろうじて引っかけタイプの帯と、中に封入されたクレジット記載の紙で、ようやくこれがオークランド公演を収録したものだと分かる始末・・・。はたしてこんな装丁で喜ぶ人がいるのか甚だ疑問なところではあります。

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by Hara ¦ 23:55, Sunday, Jan 06, 2013 ¦ 固定リンク

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