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『Brian,Come Back You Bastard!』(DAC) |
『Brian,Come Back You Bastard!』(DAC-164) 2CD
July.5 1969 Hyde Park,London,UK
(※)Disc-2 Track 16 Dec.6 1969 Altamont Speedway,Livermore,CA
Disc-1 Track1-17,Disc-2 Track 16 Mono Soundboard Recording Quality:Excellent
Disc-2 Track 1-10 Stereo Soundboard Recording Quality:Excellent
Disc-2 Track 11-15 Mono Audience Recording Quality:Very Good
(Disc-1) 1.Adonais/2.Jumping Jack Flash/3.Mercy Mercy/4.Radio Comment/5.Stray Cat Blues/6.No Expectations/7.Radio Comment/8.I'm Free/9.Love In Vain/10.Radio Comment/11.Loving Cup/12.Honky Tonk Women/13.Radio Comment/14.Street Fighting Man/15.Midnight Rambler/16.Sympathy For The Devil (Disc-2) 1.Backdtage Rehearsals/2.Adonais/3.I'm Yours And She's Mine/4.Jumping Jack Flash/5.I'm Free/6.Love In Vain/7.Honky Tonk Women/8.Midnight Rambler/9.Satisfaction/10.Sympathy For The Devil/11.I'm Yours And She's Mine(unedited)/12.Down Home Girl/13.Midnight Rambler/14.Satisfaction(unedited)/ 15.Streeet Fighting Man/16.Love In Vain
ディスク1は、「10th Anniversary Broadcast,WLIR FM Radio,New York,1979」と裏ジャケットに記載されているように、1969年ハイドパーク公演のFM放送音源を収録。
楽曲自体はこれまで同様の11曲と増えてはいないものの、番組がほぼ丸ごと収録されていることから、既発ブートでは気づかなかった点が分かるようになっています。
このハイドパーク公演のFM放送音源については、これまで"Jumping Jack Flash""Love In Vain""I'm Free""Street Fighing Man"の4曲のイントロが欠けていると事典で書きましたが、今回は番組が丸々ブート化されたことにより、実際の放送ではどうだったのかというのが分かるようになったので、 曲ごとにあらためて関連盤含めて検証してみると・・・。
まず"Jumping Jack Flash"。 この公演ではイントロでキースがリフに入る前にBコードを刻むというアレンジになっていましたが、事典で代表盤として挙げた『Hyde Park "A Free Single Inside"』(Moon Child Records No.0053)や、 『Stones In The Park』(050769)といった既発の代表的なアナログタイトル、それらから起こしたと思しきCD『Hyde Park 1969』(Vulture CD 003)、『Stones In The Park』(LLRCD 032)、『Hyde Park 1969』(TSP-CD-023-1/2)では、このBコードの刻み自体は収録されていたものの、最初のアタック音がカットインのような感じのミックスとなっていたがために、頭欠けしていたような印象でしたが、今回リリースの音源を聞いてみて元々そういうミックスであり、よく聞いてみると実際にはカットされずに収録されていたことが判明。
オフィシャルリリースされているテレビ音源の方は、この刻みが明確に聞こえるようにミックスされていることから、それら映像作品や、『Stones In The Park』(VGP-296)、『Hyde Park Legend 1969 Complete Edition』(GP-1303CD1/2)といった現状の代表的なCDタイトルは、テレビ音源の刻みをFM音源に繋ぐという編集がされています。
ちなみにこのFM放送では、"I'm Yours And She's Mine"を始める前にミックが発した「Arlright!」の掛け声の後、すぐに"Jumping Jack Flash"のイントロが始まるという編集になっているのが本作では分かりますが、大半のハイドパーク公演ブートでは、FM未放送でテレビでは放送された"I'm Yours And She's Mine"を収録するために、この「Arlright!」もテレビ音源の方を使用していて、このFMで放送された「Arlright!」をカット。本作と、既発では先に触れた『Hyde Park "A Free Single Inside"』が純粋にFM放送だけを収録しているので、このFMで放送された「Arlright!」を聞くことが出来ます。
"I'm Free"は、前述のVGP盤やGoldplate盤のような既発タイトルは頭欠けでしたが、既発全てが頭欠けだったわけではなく、LPでは『Stones In The Park』(050769)、CDでは『Hyde Park 1969』(Vulture CD 003)、『Hyde Park 1969』(TSP-CD-023-1/2)といったブートCD黎明期のタイトルには頭から収録されていました。
LPの方はサイドの頭の曲ということもあり曲が始まる寸前からカットインとなっているのはまだしも、CDの方は前曲との歓声の繋ぎがカットアウト・イン処理につき唐突に曲が始まる印象を受けてしまいますが、本作を聞いてみると曲のイントロが始まる寸前までラジオコメントが歓声に被っているので、クロスフェードのような編集技術もまだだった黎明期のCDタイトルでは仕方なかったのかなと。
続いて"Love In Vain"は、『Hyde Park Legend 1969 Complete Edition』(GP-1303CD1/2)のみ、最初の1音に被る開き気味のハイハットを嫌ってか素早いフェードインで入ってくるという編集がされているものの、ほぼ頭から聞けるようにはなっていましたが、本作はその前のミックによる曲名紹介から収録されていることから、自然な感じで頭から聞くことができます。
このミックによる曲名紹介がサウンドボードでブートに収録されたのは本作が初めてとなりますが、この曲名紹介、オフィシャルのハイドパーク映像の音声がステレオリマスターされた際に新たに追加収録されているので、From The Vaultシリーズの『Hyde park Live 1969』でも聞くことが出来ます。
そして"Street Fighing Man" 『Hyde Park Legend 1969 Complete Edition』(GP-1303CD1/2)のようなオーディエンス音源のイントロを繋げているタイトルも含め、既発CDタイトル全てのサウンドボード部分は歌い出し2小節前からの収録でしたが、本作はLP『Hyde Park "A Free Single Inside"』以来のラジオコメントから収録したタイトルで (※事典のこのLP紹介の項で、このポイントが抜けていました。すみません)、 このトラックを聞いてみると、放送自体はほぼイントロ頭から流してはいたものの、その上にラジオコメントが被さってしまっていたことから、既発CDはすべてそれを嫌って途中からの収録としていたのが分かります。
ということで、コメントのバックで小さな音量で流れているといった状態ではあるものの、本作が"初めてこの曲をサウンドボードで頭から通して聞けるようになったCDタイトル"ということになります。
トラック4,7,10,13,17の"Radio Comment"にも触れておくと、これらは初登場というわけではなく、実はGoldplate『Hyde Park Legend 1969 Complete Edition』のディスク2に、「Stones in The Park Radio Special」とのクレジットでPart.1から6までトラック分けして収録されていたものと同じ。
本作のトラック4の"Radio Comment"が"Part.1"、トラック7の"Radio Comment"が"Part.3"、トラック10の"Radio Comment"が"Part.2"、トラック13の"Radio Comment"が"Part.4"、トラック17の"Radio Comment"が"Part.6"、そして"Part.5"は本作ではクレジットされてませんが、それも当然のことでこれは"Midnight Rambler"の中間部に被るコメント部分。Goldplate盤の方は、"Midnight Rambler"の曲中にコメントが被るのを嫌って、コメントが被る部分をテレビ音源に差し替えていたので、別のトラック("Part.5")として、このコメントを収録していたのでした。
したがって、本作を"初めてこの曲をサウンドボードで頭から通して聞けるようになったCDタイトル"としたのは、前述の"Street Fighing Man"のイントロが本作の初出ではなく、既にGoldplate盤が"Part.4"でリリースしていたことからですが、Goldplate盤の方はライブ本編と分けて収録してしまったがために、 結果としてそのありがたみが薄れてしまっていたということになります。
ただ、このラジオコメント自体はどれも聞いていてあまり楽しいものではないため、このGoldplate盤の編集はこれはこれでありかなといった感も。
本作のディスク1の音質は劇的な向上というほどのものではありませんが、既発の高音質といえるタイトルがどれも中高域が若干張り出した硬質系であったのに対して、自然な質感の聞きやすい音となっています。
ディスク2の最初の10トラックは、オフィシャルのハイドパーク映像のステレオリマスター音声。
From The Vaultシリーズとして『Hyde park Live 1969』がリリースされた時に、音声がステレオになっていると話題になりましたが、本作のインフォによると2013年のハイドパーク公演を収録したオフィシャル『Sweet Summer Sun- Hyde Park Live』の2DVD/Blu-ray/2CD Comboにセットされていた『Hyde park Live 1969』が初出とのこと。
現物を持ってないので未確認ですが、たしかにFrom The Vaultの方のエンディングクレジットでも「2013 Production of Stones In The Park」の表記があるので、2013年に既にこのステレオリマスター音声がこっそりとリリースされていてもおかしくはありません。
このステレオリマスター音声、ちょっと変わったものとなっており、そうなってしまった経緯については本作のインフォメーションに細かく書いてはありますが、ここでも触れておくと・・・。
2006年に映像の方をリマスターしてリリースする際、その作業過程で映像規格によるスピード差を考慮しなかったが故に、2006年リマスター版は映像が遅くなってしまったが故に音声の方も音程が下がったままリリースされてしまっていましたが、今回の音声リマスターについては、映像のスピードは遅いままで、音声の方を音程は変えずテンポのみ遅くしてあてはめたという現代のテクノロジーならではのものとなっています。
したがって、本作のディスク1と2に収録されている"Love In Vain"のイントロ開始から終わりまでを例にしてみると、音程自体は同じなのに、ディスク1のFM音声=実際の演奏スピードは4分33秒なのに対し、ディスク2の映像音声は4分44秒と、なんと11秒もの違いが生じてしまっています。
面白いといえば面白いのかもしれませんが、オフィシャルでのリリースとはいえ、実際の演奏とは異なるものとなってしまっているので、これはある意味フェイクといえるのかもしれません。
変な話ですが、例えばブートレガーが今後入手した音源をこの技術で加工すると、アウトテイクなんかは「限りなくリリーステイクに近いアレンジだがテンポが異なる」みたいなフェイクものを作ることが可能だし、ライブ音源も実際の演奏速度を変えてリリースした場合、それがスタンダードとなってしまった場合、大げさな言い方をすると歴史が捻じ曲げられ、本来の演奏がどうだったのか分からなくなったりするといったことも起こるかもしれません。
とはいえ、今回の本作が収録している音源については、その逆にすることも可能なわけなので、きちんした演奏テンポに修正したもののリリースが望まれるのかなと。
ちなみにディスク1のところで触れましたが、"Love In Vain"の前のミックによる曲紹介は、このステレオリマスターの際に追加収録されたもの。逆に"Jumping Jack Flash"が始まる前にミックが発した「butterfly」という言葉は、このステレオリマスターではカットされています。また、"Satisfaction"冒頭のドラムが入る前のリフも、旧ミックスよりも僅かながら音量が上げられて聞き取りやすくなっていたりもします。
トラック11から15までは『In The Park』(SCRO 001)でリリースされていたものと同じオーディエンス音源ですが、状態の良いマスターから収録されているようで、『In The Park』の曲中にあった入力過多によるものと思しき、高域のビリビリといったノイズはほとんど聞こえません。
放送音源未収録の"Down Home Girl"、放送音源では編集されて短くなってしまっていた"I'm Yours And She's Mine"と"Satisfaction"、そしてラジオコメントが被っていた"Midnight Rambler"に"Streeet Fighting Man"と、気の利いたボーナス収録ではありますが、せっかく状態の良いマスターがあるのなら、この音源自体をきちんと全曲リリースしてくれればといった気も。
ディスク2のラストは、69年12月6日のオルタモント公演から初登場となる"Love In Vain"のモノラルサウンドボード音源。
Scorpioの『A Shot Of Salvation』(OM 90-64-17)等で聞けた、同じくこの公演の流出モノラルサウンドボード音源の"Gimme Shelter"同様に歓声がオフ気味のミックス。
"Gimme Shelter"と比べると若干高域が丸く感じますが、十分高音質といえるレベルの音源。
歌い出し部分の2秒間(トラックタイム18秒〜19秒)は音飛びでもしていたようで、オーディエンス音源が補填されていますが、元々ヴォーカルがオンに録れている音源だったことから、切り替え部にさほど違和感は無し。
この部分以外の欠落はなく曲は最後まで完走し、次曲"Under My Thumb"のリズムをチャーリーが刻み始めたところでディスク終了となっています。 |
by Hara ¦ 05:38, Friday, Feb 05, 2016 ¦ 固定リンク
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