The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 



『Salut Montreal』(DAC)
dacsalutmontreal

『Salut Montreal』(DAC-167) 2CD

Dec.14 1989 Olympic Stadium,Montreal,Canada

Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(※)Disc-2 Track13
Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent


(Disc-1)
1.Continenntal Drift/2.Start Me Up/3.Bitch/4.Sad Sad Sad/5.Undercover Of The Night/6.Harlem Shuffle/7.Tumbling Dice/8.Miss You/9.Ruby Tuesday/10.Play With Fire/11.Terrifying/12.Rock And A Hard Place/13.Mixed Emotions/14.Honky Tonk Women/15.Midnight Rambler
(Disc-2)
1.You Can't Always Get What You Want/2.Little Red Rooster/3.Can't Be Seen/4.Happy/5.Paint It Black/6.2000 Light Years From Home/7.Sympathy For The Devil/8.Gimme Shelter/9.Band Introductions/10.It's Only Rock'n Roll/11.Brown Sugar/12.Satisfaction/13.Jumping Jack Flash


前項、前々項に引き続いての、サイト「Wolfgang's Vault」で公開された音源をベースに作成されたタイトル。

本作が収録しているのは、テレビ中継が行われたツアー最終アトランティックシティの前の公演地、カナダはモントリオール、2日連続公演の2日目にあたる12月14日公演。

この日の"It's Only Rock'n Roll"には前座のリヴィング・カラーがゲスト出演。

その模様はリヴィング・カラーのオフィシャル映像『time tunnel』に抜粋収録されており、そのワーキングビデオと思しきタイムコード入りの映像が流出。

livingcolourvhs

映像を収録したDVDはじめ、これまではそのビデオの音声から作成されたCDが幾つかリリースされてきましたが、本作収録の音源はモノラルとステレオの違いだけではなくミックス自体が異なっています。

その前にまずは、旧音源のテープチェンジ部であった"Honky Tonk Women"のイントロ欠落部の補填について。

本作のインフォメーションにて初めて気づきましたが、たしかに改めてこの映像を収録したEmpress ValleyのDVD『Les Roues Metallic Et Les Jumeaux Demons』(EVSDVD 010-011)を確認してみると、"Mixed Emotion"終了直後から、ミックがギターを肩からおろすシーンがスローモーションになり、
次の"Honky Tonk Women"が始まってから4小節までがこのスロー映像が続きますが、タイムコード自体も進みがスローになっていることから、これは基のビデオがそういう編集だったのではなく、欠落部をマスキングするためにDVD化する際にこういう編集をしたことが分かります。

ev89montrealdvd

まあ、そもそもスローモーション映像から、キースが"Honky Tonk Women"のイントロを弾く映像に切り替わった直後から、そのタイムカウンターがリセットされ0分20秒という表示になっていたりはしたのですが、これまで全く気付いておらず・・・。ただ、カウンターが20秒になっているということは、大元のビデオ自体はこの欠落がなく、各ブートの基になったビデオが何らかの理由で欠けてしまっていたという推測が成り立つわけでもありますが。

montreal89screen

では、その欠落部分の音声補填はどのようにされていたのかというと、事典で代表盤として挙げた『Paint It White』(VGP-309)やそのコピー『Rolling Stones Steel Wheels North American Tour 1989』(WLR-2126)は、次のアトランティックシティ公演のテレビ放送音源から補填。アトランティックシティ公演ではイントロのカウベルが通常2小節のところチャーリーが入り損ねたのか、3小節となっている上、キースもチャーリーのフィルから入るところがズレてしまっているのが特徴ですが、このVGP盤はカウベルの最初の1小節終わったところから補填して、曲のサイズを合わせています。

vgppaintitwhite

wlr1989box

この音源の初出タイトルEmpress Valley『Les Roues Metallic Et Les Jumeaux Demons』(EVSD 142-144)や、そこからのコピー『Salut Montreal』(RS112/13)や『Maple Leaves』(HEN 109-1/2)は、90年7月7日のウェンブリー公演のFM放送から補填。たしかによく聞いてみると、ウェンブリーのFM放送の特徴である厚みのあるスネアドラムの音が、カウベル部分を含めて最初の4小節鳴っていて、あきらかにスネアの音が変わることに気づきます。

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mapleleaves

さて、本作収録の音源について。

まずはインフォメーションにあったようにライブ冒頭部が、映像の方は"Continenntal Drift"開始直後からのフェードインとなっており、DVDの方はそのままでしたが、CDの方は他の部分の歓声を補填していたのに対し、本作は補填無しで曲が始まる9秒前から収録。

ディスクスタートから4秒でロニーの声が聞こえたり、"Continenntal Drift"が始まった後の1分3秒にはおそらくミックがマイクのスイッチを入れた「ポツッ」というノイズが、そして1分7秒ではミックの「ウン?」というマイクテストと思しき発声がそれぞれ聞こえるようにミックスされており、本来カットされるべきこれらの音声がそのまま残されていることからも、本作の音源もまたラフミックスであることが分かります。

"Sympathy For The Devil"冒頭で、チャーリーのモニター用のガイドリズムがミックスされているのは、ビデオ音源と本作収録の音源共通。

ここで不思議なのが、本作で聞けるものと同じと思しきロニーの声が、VGP『Paint It White』でも"Continenntal Drift"開始前で聞ける点。『Paint It White』内の他の歓声部分やアトランティックシティ公演の曲間等をさらっと確認してみたものの発見出来ず。VGP盤作成時に、このロニーの声をいったいどこから持ってきたのかが何とも気になるところ。

インフォではキースは基本右側で鳴っているとありましたが実際のところは、左寄りが"Start Me Up""Sad Sad Sad""Undercover Of The Night""Harlem Shuffle""Tumbling Dice""Miss You""Terrifying""Rock And A Hard Place""Mixed Emotions""You Can't Always Get What You Want""Sympathy For The Devil""Gimme Shelter""Brown Sugar"、そして右寄りなのは"Bitch""Ruby Tuesday""Play With Fire""Honky Tonk Women""Midnight Rambler""Can't Be Seen""Happy""Paint It Black""Little Red Rooster""2000 Light Years From Home""It's Only Rock'n Roll""Satisfaction""Jumping Jack Flash"と半々になっており、左寄りになっていてもディレイやパンニングで右側に来たりという感じで、キースの定位だけは結構いじられています。

他の定位にも触れておくと、ロニーは"Satisfaction"で右にミックスされたりしていますが、中央やや左が主で音量レベル小さ目。ドラムのハイハットはオフィシャルでよくある右、キーボードは2人とも中央もしくは右寄り、そして"Continenntal Drift"は『Steel Wheels』と左右が逆になっています。

では、リビングカラーの『time tunnel』はどうかというと、オフィシャルらしくきちんとステレオで収録されており、キースのギターは中央やや左寄りから右寄りになったりと、本作の音源同様にここでもいじられていますが、曲終了後の歓声で聞こえてくる口笛がビデオ音声の方とは一致するものの、本作収録の音源の方は異なっているので、やはり本作の方の音源は、ビデオとは別の系統での録音と推測されます。

全体的な音質はというと、たしか最初のアップ時はビデオ音源と変わらなかったと記憶していましたが、いつの間にか差し替えられていたようで、一連の「Wolfgang's Vault」にアップされていた81年FM放送素材音源同様の、高域がすっきりと伸びた落ち着いた感じを受ける素晴らしい音となっています。

ちなみに本作収録音源のテープチェンジによる欠落は、"Rock And A Hard Place"冒頭約50秒と"Jumping Jack Flash"は1曲丸々。当然のことながら、ビデオで頭が欠落していた"Honky Tonk Women"はノーカット収録。

インフォでの本作の欠落曲は、"Rock And A Hard Place"と"Satisfaction"になっていましたが、これは勘違いかと。

これら欠落部には、それぞれビデオ音源を補填編集していますが、中域を抑え目めにして音質を合わせるのはもちろんのこと、疑似ステレオ化処理も施されていて、まったく違和感のない繋ぎとなっています。

なお、この紹介をアップした後の「Hot Stuff」のatsu-y氏のレビューで気づきましたが、"Paint It Black"でキースがイントロを弾き始める前のスパニッシュ風の短い遊びも、ビデオの方はカットされていてそこもスローモーション処理がされています。

その部分については既発盤の方は音の補填等なく、まるでその遊びがなかったかのようにイントロから始まっていますが、本作の方はテープチェンジがその部分にあたったわけではないので、きちんと収録されています。

21:28, Saturday, Apr 02, 2016 ¦ 固定リンク

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