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『Street Fighting Men In Milan』(DAC) |
『Street Fighting Men In Milan』(DAC-157) 2CD
Oct.1 1970 Palalido Palazzo Dello Sport,Milan,Italy (1st&2nd show)
Mono Audience Recording Quality:Very Good
(Disc-1) 1.Jumping Jack Flash/2.Roll Over Beethoven/3.Sympathy For The Devil/4.Stary Cat Blues/5.Love In Vain/6.Prodigal Son/7.Dead Flowers/8.Midnight Rambler/9.Live With Me/10.Little Queenie/11.Brown Sugar/12.Honky Tonk Women/13.Street Fighting Man (Disc-2) 1.Jumping Jack Flash/2.Roll Over Beethoven/3.Sympathy For The Devil/4.Stary Cat Blues/5.Love In Vain/6.Prodigal Son/7.Dead Flowers/8.Midnight Rambler/9.Live With Me/10.Let It Rock/11.Little Queenie/12.Brown Sugar/13.Honky Tonk Women/14.Street Fighting Man
タイミングを外してしまって(まあこのサイトでは往々にしてそればっかりなんですが・・・)紹介し損ねていた本作を、前項で1970年欧州ツアーのタイトルを紹介した流れで、ここでは採り上げます。
本作が収録しているのは、1970年10月1日にミラノで行われた2回の公演。
ディスク1に収録されているのは1stショー。
その1stショーの既発収録盤についておさらいしておくと・・・
アナログ時代は『Street Fighting Men In Milan』(Claudine Records 181243)という1枚物LPに、この1stショーで演奏された全13曲がブート化されてはいたものの、"Sympathy For The Devil"は若干の頭欠け。 "Stary Cat Blues"はイントロがフェードインな上、曲が終わりきらない内にフェードアウト。"Love In Vain"もイントロ途中からフェードイン。"Live With Me"もイントロ途中からフェードインして1分19秒ほどの収録。"Little Queenie"に至っては曲の終盤28秒程しか収録されていないといった具合。
音の方は遠目ながらバランスの良い聞きやすい録音で、低音やや軽めながらも意外と聞き易い音質ではあったものの、"Little Queenie"以降は音がコモってしまっているのが難点。
CDでの既発収録盤は2タイトル。
1つ目は、事典でこのショーの代表盤として挙げたVGP『Roll Over Beethoven』(VGP-261)。 アナログ起こしで、針音が一切聞こえない上、合っていなかったピッチを修正。そしてLPでは不足気味だった低音を増強し聞きやすくしてあるのがポイント。ただし、針音除去と荒れ気味の高域をマスキングする意図だったのか、高域部の一部周波数をカットした音造りだったため、LP本来のクリアーな音質が損なわれてしまっています。
もう1つは事典出版後にリリースされた、Mayflower『Live In Milan 1970』(MF-80/81/82)。 こちらもまたVGP盤同様にLP起こしで、ピッチは正常に修正。スクラッチノイズやチリノイズがそこそこ聞こえていたり、高域が一部歪み気味になっていたりはするものの、音質についてはVGP盤よりも鮮明な音で収録されており、VGP盤同様に低域については若干持ち上げているようで音の重心の差こそあれどほぼ同等。また基のLPは"Sympathy For The Devil"と"Love In Vain""Midnight Rambler"の前にテープの上書きと思しき別の音が入っていましたが、VGP盤はその部分をカットしていたのに対し、Mayflower盤はそのまま収録。その他の部分でも基LPでカットアウト・インとなっていた箇所についてもVGP盤はクロスフェード処理を施していましたが、このMayflower盤はあくまでもLPそのままの編集で収録されていました。
さて本作はというと、既発CD2タイトル同様にアナログから起こされており、ピッチは正常に修正。
基LPにあったテープの上書きと思しき別の音のカットやクロスフェード処理についてはVGP盤同様。
ただ、全体的な音質については、VGP盤程ではありませんが、やはりノイズ除去処理の影響により、低域を上げた以外はLPに結構忠実な音だったMayflower盤と比べると、鮮明さに欠ける印象の音となってしまっているのが、後発だったことを考えると何とも残念。
続いてディスク2に収録されているのは、1stショー同様に"Sympathy For The Devil"でのテンション高いミックのヴォーカルが聞きものの2ndショー。
この2ndショー音源、事典出版時は『Vintage Champaign』(DAC-081)を採り上げており、"Jumping Jack Flash""Roll Over Beethoven""Stary Cat Blues""Prodigal Son""Dead Flowers""Midnight Rambler"の6曲がブート化されていただけでしたが、これはこのショーの8mm映像に被せてあった音源をCD化したもの。8mm映像の方では他に"Love In Vain"も1分半ほど被せてありましたが、このDAC盤には未収録。
事典出版後、この8mm映像に被せていたオーディエンス音源の全長版がネットにアップされ、1stショーでは演奏されなかった"Let It Rock"も加わった全14曲がほぼノーカットで聞けるようになりました。
この音源、1stショー音源に似た感じの、やや遠目な軽めの音ではあるものの、演奏の細部まで聞くことが出来るバランスの良いクリアーな音質の好録音で、この年代のオーディエンス音源としては良質の部類。時折、周りの観客の私語を拾っていたりもしますが充分許容範囲内。
DAC盤では途中までの収録だった"Prodigal Son"やフェードインの"Dead Flowers"はノーカット収録となりましたが、"Love In Vain"は惜しくもエンデイングでドラムがブレイクした後のギターアルペジオ部分が欠落しています。
事典でエンディングがおかしいと触れていた"Midnight Rambler"については、DAC盤の方はやはり音飛びしていたようで、こちらの音源ではエンディングになって極端に音質がコモってしまってはいるものの、いつもどおりのエンディングだったことが確認できます。その"Midnight Rambler"が終わった後、チャーリーが曲間で遊びで叩いているドラムが2種重なって聞こえてきますが、これはおそらく大元のテープ供給者が行ったテープチェンジ部のクロスフェード編集と推測。
この"Midnight Rambler"での音のコモリも含め、ネットにアップされた音源はテープの状態が良くなかったようで、時折テープ劣化による音のヨレが生じていることに加えて、大元のマスターテープからの流通過程でビデオテープが使用されていたのか、"Little Queenie"や"Street Fighting Man"に顕著ですが、トラッキングがずれたことによるHiFi音声のオンオフによるものと思しき音のコモリが生じていたりもします。
また、"Sympathy For The Devil"は全体的に、"Street Fighting Man"はイントロから歌いだしにかけて、ヒズノイズが増大していたりも。
そんなこの音源を収録した既発タイトルは2種。
まずは前述のMayflower『Live In Milan 1970』(MF-80/81/82) 基音源の高域と低域を持ち上げてメリハリをつけた程度の音造りとしていますが、"Midnight Rambler"のエンディングでの極端に高域が落ちる部分や、"Little Queenie"や"Street Fighting Man"での音のこもった部分への音質補正は無し。また、"Sympathy For The Devil"や"Street Fighting Man"序盤のヒスノイズについては、音にメリハリをつけた影響により、更に強調されてしまったにも関わらず、この箇所への緩和処理も行ってはいません。"Love In Vain"のエンデイング欠落部はそのまま。
続いては『Milan 1970 2nd Show』(-) Mayflower盤が基音源の高域と低域を持ち上げてメリハリをつけた音造りとしていたのに対し、本作は全体的な音質については基音源をほとんど調整処理をしていないようなので、Mayflower盤と比べると若干おとなしめな印象。 "Sympathy For The Devil"や"Street Fighting Man"冒頭のヒスノイズについては、余韻がおかしくならない程度の除去処理を施していますが、その影響によりこれらの曲は若干高域が押さえ気味の音質に。 "Little Queenie"や"Street Fighting Man"で頻繁に発生していた音のコモリや、"Midnight Rambler"のエンディングでの極端に高域が落ちる部分についてはそのまま。 なお、"Love In Vain"のエンデイング欠落部については、VGP『Roll Over Beethoven』から同日1stショーの同箇所をコピー補填して、ノーカットで聞けるようにしています。 また細かいとことろでは"Live With Me"の間奏後半、このノンレーベル盤のタイムでいうと2分2秒付近での一瞬の音ブレについてもスムーズに聞けるよう補正がされています。
では本作はというと、全体的な音質は『Milan 1970 2nd Show』よりも若干明るめで、低域に厚みをつけた音造り。あらためてモノラル化して造りなおしたようで、他タイトルにあった左右の音ブレは無し。
"Sympathy For The Devil"や"Street Fighting Man"冒頭のヒスノイズについては、『Milan 1970 2nd Show』同様に余韻がおかしくならない程度の除去処理を施していますが、前曲の"Roll Over Beethoven"と比べての音質変化はほとんど無いという絶妙の仕上がりとなっています。
また、"Midnight Rambler"のエンディングでの極端に高域が落ちる部分や、"Little Queenie"や"Street Fighting Man"での音のコモリについては、余韻がおかしくならない程度にヒスノイズを除去しつつ高域を持ち上げているようで、まだまだ音質差はあるものの、他タイトルよりはその差が少な目。
なお、"Live With Me"の間奏後半の一瞬の音ブレや"Love In Vain"のエンデイング欠落部については、特に処理をせずそのままとなっています。
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by Hara ¦ 23:58, Tuesday, Sep 13, 2016 ¦ 固定リンク
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