The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 



『El Mocambo 1977』(-)
elmocambo1977

『El Mocambo 1977』(-) 1CD

Mar.4&5 1977 El Mocambo Tavern,Tronto,Canada

(※)Track12(part)
May.27-June.8 1978 Bearsville Studios,Woodstock,N.Y.

Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent-Very Good

(※)Track4,7,10,13
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent


1.Route 66(D)/2.Hand Of Fate(A)/3.Crazy Mama(F)/4.Mannish Boy(C)/5.Crackin'Up(F)/6.Dance Little Sister(D)/7.Around And Around(C)/8.Worried About You(F)/9.Let's Spend The Night Together(F+B)/10.Band Introduction(C)/11.Little Red Rooster(D)/12.Crazy Mama(F+'78 Rehearsal)/13.Crackin'Up(C)

エルモカンボ公演収録盤。

基となっているのは35周年記念として、2012年にネットにアップされていたCaptain Acidによるリマスター音源。

その音質については後で触れるとして、まずは本作の目玉?ともいえる疑似コンプリート版"Crazy Mama"について。

本作では、ノンクレジットのボーナス扱いとして12曲目に収録されていますが、ベースとなっているのは『From Paris To Toronto』(DAC-127)にて初めてブート化されたステレオミックス。

dacfromparistotoronnto

このステレオミックス、それまでのモノラルミックスよりもはるかに長くなっていて、曲の途中までという不完全さは変わりませんが、ソロ後の3コーラス目「plain insane」まで聴けるようになったというもの。

本作のこのトラックは、このステレオミックスの後半欠落部に『The Complete Woodstock Tapes』(VGP-130)を代表とする78年のツアーリハーサル音源を繋げて、疑似完全版としています。

vgpcompletewoodstocktape

この疑似完全版"Crazy Mama"、演奏年が異なるのに音源が切り替わってもテンポはほぼ変わらず、そして何よりミックの歌いまわしもほとんど変わらずという稀有なものとなっています。もちろんツアーリハーサル音源の方は、エレピがやたら前面に出て、ギターの音量が小さいというバランスであることから、音源が切り替わった際は、ミックのヴォーカルのみそのままでドラムは軽くなり、ギターは急にオフになったような印象のものとなっていますが、あたかもミキサー卓をいじったかのように聞こえるこの編集はフェイクながら見事。

惜しかったのは、この"Crazy Mama"のステレオミックスはイントロがテープ伸びしたような音ムラを起こしてしまっているという難点があり、本作も特にいじらずそのまま収録してしまっているので、こういう疑似完全版を作成するのなら、問題のなかったモノラルミックスからをイントロ部分のみを持ってきて差替えれば尚良しだったかと。

さて、メインのモカンボ音源にも触れておきますと、これまでのモカンボ音源はAからFの6種の音源に分類されます。

(A)・・・Stero Reel A - Rough Mix
(B)・・・Stero Reel B - Rough Mix
(C)・・・Stero Reel C - Final Mix(オフィシャルミックス)
(D)・・・Stero Reel D - Off Acetate
(E)・・・Mono Mix
(F)・・・Streo Mix(Eのモノミックスのステレオ版)

これらのうちオフィシャル以外のモカンボ音源については、事典で挙げた2つのDAC盤でほぼすべてを聞くことが出来ます。

1つ目は『Sexual Healing』(DAC-117)で、(A)(B)(D)(E)を収録。

dacsexualhealing

イントロから歌い出しまでという短い部分のみだった(D)の"Crazy Mama"は残念ながらカットされていますが、他のタイトルが複数の音源が入り乱れた編集だったのに対し、このDAC盤は音源ごとに整理して収録しているという便利タイトル。


そしてもう1つが『From Paris To Toronto』(DAC-127)。本作がリリースされるまで唯一(F)を収録していたタイトルで、前述のステレオミックスの"Crazy Mama"はこのDAC盤が初出。

dacfromparistotoronnto

では、本作はどういった音源で構成されているのかというと。

"Mannish Boy""Around And Around""Band Introduction"、そしてノンクレジットで13トラック目にボーナス収録されている"Crackin'Up"は(C)、すなわちオフィシャルから流用。

これでいくと"Little Red Rooster"もオフィシャルからとなりそうなものですが、何故かこの曲は(D)のアセテート盤からで、どういう訳かイントロ頭の1小節が欠けてしまっているという難点あり。

(D)からは他に"Dance Little Sister"と"Route 66"も採用、ということでアセテート盤に収録されていた3曲は全て採用ということとなります。


他は"Hand Of Fate"が(A)、"Crazy Mama"とトラック5の"Crackin'Up"、そして"Worried About You"は(F)。ちなみに(F)の"Crackin'Up"はイントロにチョーキングギターがオーバーダブされる前のもの。

"Let's Spend The Night Together"については、音質の良い(F)が間奏後の3コーラス目のサビに入る直前までしかないということを受け、そこまでを(F)、以後終わりまでを(B)という構成としていますが、音の切り替わった際の音質差が気になってしまうので、音質重視というコンセプトも分からないでもないですが、これなら(B)で1曲丸々収録という方が聞きやすかったかと。

なお本作が収録している、Captain Acidリマスター音源は高域が潰れ気味な感はありますが、いずれもDAC盤や他の既発盤より音が太く、DAC盤にあった余韻の不自然さも本作の方が自然な感じとなっていて、聞きやすさが向上しています。

23:38, Wednesday, Mar 29, 2017 ¦ 固定リンク

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