The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 



『The Rolling Stones On Air 1964-1969』(DAC)
dactherollingstonesonair

『The Rolling Stones On Air 1964-1969』(DAC-173) 1CD

Compilation Album

Mono Soundboard Recording
Quality:Excellent

(※)Track6-18,24
Mono Soundboard Recording
Quality:Very Good


1.I Wanna Be Your Man/2.You Better Move On/3.Not Fade Away/4.I Just Make Wanna Love To You/5.I'm Alright/6.Everybody Needs Somebody To Love〜Pain In My Heart/7.Around And Around/8.The Last Time/9.Everybody Needs Somebody To Love/10.Around And Around/11.If You Need Me/12.What A Shame/13.Time Is On My Side/14.Down The Road Apiece/15.Everybody Needs Somebody To Love/16.Everybody Needs Somebody To Love〜Pain In My Heart/17.I'm Alright/18.The Last Time/19.Carol/20.Tell Me/21.Interview/22.Not Fade Away/23.I Just Want To Make Love To You/24.Satisfaction/25.Sympathy For The Devil/26.You Can't Always Get What You Want/27.Honky Tonk Women

DACによるテレビ放送音源集。

最初の2トラックは64年2月7日収録、翌8日放送の英国テレビ番組「The Arthur Haynes Show」から"I Wanna Be Your Man"と"You Better Move On"。

オフィシャルビデオ『25テ�5』では"You Better Move On"が、また映画『Crossfire Hurricane』のボーナス映像として2曲共公式にリリースされていますが、当時のテレビ映像をフィルムとして保存するための変換作業の際にピッチが若干遅くなってしまっていたようで、事典でこの音源の代表盤として挙げた『Dartford Renegades』(DAC-018)含め、これまでのタイトルの大半が全体的に僅かながらフラット気味となっていたのを、本作は調整して正しい音程で聞けるようにしているというのがポイント。

dacdartford

続いては64年4月26日に開催された、イギリスの音楽誌「New Musical Express」略してNME誌が主催するオムニバスイベント「NME Pollwinner's Concert」から"Not Fade Away""I Just Make Wanna Love To You""I'm Alright"。

この3曲も映画『Crossfire Hurricane』のボーナス映像としてリリース済み。ただ、音声だけ気軽に楽しみたいとなると、やはりブートということになりますが、幾つもある収録盤の中から事典で代表盤として挙げたのが『All Those Years Ago』(VGP-079)。

vgpallthoseyearsago

『All Those Years Ago』は耳につかない程度に持ち上げた高域がバランス良く、すっきりとした感じの音に仕上がっていたのに対し、VGP/DACとしてこの音源4度目のリリースとなる本作は、音の重心を下げた落ち着いた印象のものに仕上げています。

ちなみにこの音源を収録しているVGP/DACの『Animal Duds』(DAC-064)、は本作と同傾向の落ち着いた印象の音造りですが、高域部がダビングを経たような質感となっており、本作の方が明瞭な音で聞くことが出来ます。

dacanimalduds1

トラック6から9は、翌65年4月11日開催の「NME Pollwinner's Concert」から"Everybody Needs Somebody To Love〜Pain In My Heart""Around And Around""The Last Time""Everybody Needs Somebody To Love"の5曲。

これもまた映画『Crossfire Hurricane』のボーナス映像としてリリースされていますが、この公演については全曲ではなく"Pain In My Heart"と"The Last Time"の2曲のみ。

ブート映像の方では頭4曲がブート化されていますが、残念ながら最後の"Everybody Needs Somebody To Love"は映像自体が残されていないようで、こちらでも未だ観ることが出来ません。

ただし音声の方では、放送当時にテレビのスピーカーから出た音をマイクで録音したエアチェック音源が残されていたことから、この公演全曲を聴くことが出来ており、『Down The Road Apiece』(BW 6167)やボックス『Live In The SIxties』(WLR-2145)、そして事典で代表盤として挙げた『Animal Duds』(DAC-064)やといったタイトルは頭からの4曲をブート映像から持ってきて、最後の"Everybody Needs Somebody To Love"をこのエアチェック音源という最良の組み合わせでリリースされてきましたが、本作が収録しているのは、このエアチェック音源の全長版。

downtheroad

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dacanimalduds1

このエアチェック音源を収録した既発タイトルは3種あり、それぞれの特徴は事典に記載しましたが、ここであらためて載せておくと・・・。

LP『Animal Duds』(MR 85-2)は、ヒスノイズが強烈な上にピッチ遅く、ラスト"Everybody Needs Somebody To Love"の最後の最後で音飛び。

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LP『Pollwinner's Concerts 1964 & 1965』(MDR-2)は、全体的にコモった軽めの音でヴォーカルだけが歪んでいるといったもの。ラスト"Everybody Needs Somebody To Love"は曲が完全に終わりきらないうちでのフェードアウト。

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CD『The Early Rolling Stones Live 1964-1967』(BGCD 029)も、低域がほとんどないような感じのこもった音でピッチも遅く、ラスト"Everybody Needs Somebody To Love"は途中でフェードアウト。

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さて本作ですが、ピッチは当然ながら正常で、ヒスノイズも少な目。既発3種がどれも中域中心の軽めの音だったのに対し、低域もそれなりに入って音のバランス面ではかなりの改善となっていて、この音傾向は"The Last Time"のエンディング以降を補填として使っていた同じDACの『Animal Duds』(DAC-064)と同じ。

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この音源、当時エアチェックした人がテープを節約しようとしたのか"Around And Around"が終わった際にテレコを一旦止めた様で、オープニングの"Everybody Needs Somebody To Love"や"The Last Time"は録音開始が間に合わず、僅かながらの音欠けを起こしているのは他盤同様。

また、肝心のラスト"Everybody Needs Somebody To Love"でも曲が完全に終わりきっていないうちにテレコを止めようとしたようで、まだ音の余韻が残っているところで音源終了。このことがあったため、既発の大半はフェードアウト処理がされていましたが、本作はLP『Animal Duds』同様に、テレコのヘッドがテープから離れる際のギュインという音まで収録されています。

続くトラック7の"Around And Around"からトラック18の"The Last Time"までは、イギリスのテレビ番組「Ready Steady Go」より、64年8月7日、65年1月15日、65年4月9日放送の3回分。これらの回は映像が残っていないため、ここでは当時のエアチェック音源を収録。

「Ready Steady Go」のストーンズ出演回については、現在聞くことが出来る8回分22曲全てをDAC『Animal Duds』(DAC-064)が網羅していましたが、本作が収録している3回分は、いずれもその音質向上版。

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DAC『Animal Duds』に比べると低域がややすっきりとした印象。また64年8月7日、65年1月15日の2回に関しては、DAC『Animal Duds』の方は圧縮音源特有のシュワシュワしたノイズが一部聞こえたりしていましたが、本作はそのようなノイズは無し。テープ節約のためのテレコのスタート・ストップによる曲の頭欠けや尻切れについては当然ながら変わらず。

1月15日の"Down The Road Apiece"は、イントロフレーズのスタジオ版より上がっているため、キーが高くなっているように聞こえますが、実際はメーカーインフォにあったようにキーAをGに1音下げているというレアなもの。


トラック19"Carol"からトラック23"I Just Want To Make Love To You"までは、アメリカのTV番組「Mike Douglas Show」から。

この番組については、オフィシャルではDVD『Mike Douglas: Moments & Memories』(D4330)で頭欠けながら"Not Fade Away"のみ、またブートではDVD『Rolling Sixties』(GP1206DVD1/2)にて"Carol""Tell Me""Interview"、そして"Not Fade Away"を観ることが出来ましたが、本作はこれらの曲に加えて新たに"I Just Want To Make Love To You"を聞くことが出来るようになっています。

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DVD『Rolling Sixties』、そしてこのショーの音源の代表盤として事典で挙げた『This Is Rhythm And Blues !』(DAC-115)では、"Carol""Tell Me""Interview"の3トラックがタイムコード入りの流出素材映像から、"Not Fade Away"は後年の再放送からということで、どちらも若干の音質差があったりしましたが、本作は5トラック全てクリアーな高音質の同一音源からのブート化。

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この音源、"I Just Want To Make Love To You"が聞けるようになったことに加えて、流出素材映像から再放送に音源が切り替わる際に欠落してしまった"Not Fade Away"前の曲紹介MCも、ノーカットで聞くことが出来るようになっています。

ちなみにその"I Just Want To Make Love To You"と"Tell Me"はレコードに合わせた口パク演奏。

なお、5トラック全てを収録したタイトルは他に、事典出版後にリリースされた6枚組ボックス『The Ultimate Masters』(UEO24)があり、本作同様のクリアーな音質なものの、こちらはトラックが変わるたびに2秒の空白が生じてしまっているという欠点あり。

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トラック24の"Satisfaction"は、LPでは『Don't Lie To Me』(BP-003)や『The Riot Show/Berlin 1965』(MDR-1)等幾つかのタイトルにて、CDでは『On Tour』(RS-3012)でブート化されていた音源で、VGP/DACとしては初のブート化。

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この音源、これら既発ブートでは9月13日のハンブルグ公演とされてきましたが、そのハンブルグ公演が発掘・ブート化された現在では、この演奏がどの公演からなのかが確定出来ておらず、ホフマンの「Recording Index 1961-2016」では9月12日のエッセン公演としていますが、本作では9月11〜15日にドイツで行われた公演のどれかというクレジットとなっています(事典では9月13日の本文で触れたものの、この演奏自体の項目が漏れてしまってました・・・)。

オフィシャルリリースされている9月11日ミュンスター公演1stショー同様に、ミックのヴォーカルに強めのエコーがかかっているので、ミュンスター公演の2ndショーをトラブル用の保険として実は収録していて、そちらが放送されたのではという推測も成り立つような気もしますが、はたして真相はといったところ。

音質は既発より若干高域がすっきりとした印象。なおこのトラック、曲が始まる前に25秒ほどブライアンによる曲紹介をシークレット収録していますが、こちらはこの公演からのものではなく、インフォによると翌10月のイギリスのラジオ番組「Teen Time」で放送されたものとのこと。

トラック25の"Sympathy For The Devil"は68年11月29日収録のテレビ番組「Frost On Saturday」からで、ミックのヴォーカルのみがライブというトラック。オフィシャルDVDリリースもされていますが本作もそこからではなく、事典でこの音源の代表盤として挙げた『Hyde Park Legend 1969 Complete Edition』(GP-1303CD1/2)同様に、デヴィッド・フロストによる曲の前後のコメント部分ではキーンという高周波ノイズが聞こえる音源から。

goldplatehydeparklegend1969

音質は同程度ですが、GP盤がデヴィッドフロストのCM前コメント途中でフェードアウトとなっているのに対し、本作はコメント後のCM前ジングルも収録しています。

トラック26と27は、69年6月16日収録のイギリスのテレビ番組「The David Frost Show」から。基本的にはミックのヴォーカルのみがライブですが、ここで使われた"Honky Tonk Women"のバッキングトラックは、オフィシャルでは聞こえないギターフレーズが入っていたりするというなかなか興味深いもの。また、シングルリリースを約半月後に控えている時の収録にも関わらず、2番をシングルとは異なるパリの歌詞で歌っているという点も興味深いところかと。

事典では幾つかある収録盤の中で『Hangout』(WPOCM 0290 D 047-2)を代表盤としておきましたが、本作はそれよりもはるかに高音質にて収録されています。

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なおこの2曲は、ディスク1とディスク2の2枚に分かれて収録されてしまっているのがなんとも不便ながら、DVD『Rolling Sixties』(GP1206DVD1/2)で観ることが可能。

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by Hara ¦ 23:26, Monday, Sep 18, 2017 ¦ 固定リンク

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