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2008年11月
『Hold On Tight』(DAC-083) 3CD
June.27 1975 Madison Square Garden,New York City,NY
Stereo Audience Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Fanfale For The Common Man/2.Honky Tonk Women/3.All Down The Line/4.If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud/5.Star Star/6.Gimme Shelter/7.Ain't Too Proud To Beg/8.You Gotta Move/9.You Can't Always Get What You Want
(Disc-2)
1.Happy/2.Tumbling Dice/3.It's Only Rock'n Roll/4.Band Introductions/5.Doo Doo Doo Doo Doo/6.Fingerprint File/7.Cherry Oh Baby/8.Angie/9.Wild Horses
(Disc-3)
1.That's Life/2.Outa Space/3.Brown Sugar/4.Midnight Rambler/5.Rip This Joint/6.Street Fighting Man/7.Jumping Jack Flash/8.Sympathy For The Devil
アンコールの"Sympathy For The Devil"でサンタナが
ゲスト出演したことで知られるMSG 6日連続公演の最終日収録盤。
この公演のブート化されている音源はアナログ時代から2種ありましたが、実のところ、こちらの音源の方が音が近くて迫力もあるのに、名著「The Rolling Stones Bootleg Discography」にて、もう片方の音源の方が「音は断然こちらの方がいいのだ」と記載されたが故からか一向にCD化が進まず、今年ようやく『The Original Hold On Tight』(-) にて初めてまともな形でCD化となった高音質音源が、大御所DACからもリリース。
もう片方の音源との比較に関しては、『The Original Hold On Tight』レビューの項で確認していただくとして、本作と『The Original Hold On Tight』の比較をば。
まず音質、『The Original Hold On Tight』の方は、元々ピッチが早かったが故に高域が伸びていたオリジナルアナログ盤の音を再現するかの如し、高域が伸びた感じの質感だった音だったのに対し、DAC盤はあくまでもピッチ正常化による高域減退そのままのマイルドな質感。
この辺りは、アナログ時代のピッチ早めの高域が伸びた音で聴いていた方にとっては、評価の分かれるところ。
そしてそのピッチに関して、DAC盤は更に厳密な調整を行ったのか、『The Original Hold On Tight』と比べると微妙な差異あり。ただし、音に合わせて楽器でも弾かない限りは、さほど気になるレベルの違いではありませんが・・・。
続いては音源のカット部分、これはDACもマスターテープからという訳でなく、アナログ落としだったようで、当然の事ながらアナログで欠落していた部分は、DAC盤でも欠落しており、そちらに関しては『The Original Hold On Tight』同様、もう片方の音源にて補填。
そのカット部分を改めて書き出しますと、"That's Life""Rip This Joint""JJF"は1曲丸々。そして"You Can't Always Get What You Want"は曲前と曲中、"Midnight Rambler""Brown Sugar"に関しては曲中に欠落あり。
なお、オリジナルのアナログ『Hold On Tight』(CS-MSG-75)に収録されていた"Rip This Joint"は同じMSG公演でも6月24日のものなので要注意。
補填部分の音源切り替わり部分に関しては、さすがにDAC盤は後発だけのことはあり、より自然な感じでの切り替わりとなっています。
そして、『The Original Hold On Tight』ではアナログ盤同様に
フェードアウト・インとなっていた"You Gotta Move"と"You Can't Always Get What You Want"の曲間も、もちろん別音源を使用してきちんと繋がっています。
ただし、基の別音源が右寄りとなっていた"Rip This Joint""JJF"に関しては、DAC盤もそれなりに定位を修正してはいるのものの以前として右寄りとなっているのに対し、『The Original Hold On Tight』の方は中央近くにきちんと定位している分だけ、若干ではありますが比較して聴き易いといった印象。
あと、『The Original Hold On Tight』の"Gimme Shelter"5分42秒で確認出来る、マイクに何かがあったと思しきノイズ部分に関しては、
DAC盤はその直後の部分を切り貼りしているようで、よく聴くとミックのヴォーカルがおかしなことになっています。
ちなみに『The Original Hold On Tight』は2枚組に詰め込んだ影響で、オリジナルアナログにはあった一部曲間(ミックのMC等は無い歓声のみの部分)をカットしていましたが、DAC盤は当然の事ながら3枚組で収録時間に余裕があることから、もちろんその部分はノーカット収録。そして、アナログの面代わりにあたった部分に関しても、きちんと別音源を補填しています。
ただ、ビリーコーナーが終わって次曲"Brown Sugar"に移る辺りは、実際はドラムが交代したりするので時間が多少空いちゃっているのですが、曲間を詰めた『The Original Hold On Tight』の方が、間髪を入れない絶妙のタイミングで"Brown Sugar"が始まるので、実際とは異なるのにそちらの方が印象が良かったりするのも事実。
といった具合で、『The Original Hold On Tight』と比較して一長一短はあるものの、さすがに後発なだけのことはあるといったタイトルではありますが、ジャケに関しては個人的にはやはり『Hold On Tight』を名乗るからには、あのアナログと同じジャケットにして欲しかったかなと。 |
by Hara ¦ 00:11, Saturday, Nov 29, 2008 ¦ 固定リンク
『An Afternoon In Copenhagen』(SODD) |
『An Afternoon In Copenhagen』(SODD-072)
Oct.7 1973 Brandby Hallen,Copenhagen,Denmark (1st Show ?)
Stereo Audience Recording
Quality:Excellent
1.Brown Sugar/2.Gimme Shelter/3.Happy/4.Tumbling Dice/5.Star Star/6.Dancing With Mr.D/7.Angie/8.You Can't Always Get What You Want/9.Midnight Rambler/10.Honky Tonk Women/11.All Down The Line/12.Rip This Joint/13.Jumping Jack Flash/14.Street Fighting Man
今年になってネットにアップされた1973年10月7日コペンハーゲンでのアップグレード音源がSODDからもリリース。
本作のクレジットでは、ネットにアップされた際に1stショーとクレジットされていたことに準じて1stショーとなっていますが、この音源自体は元々2ndショーと称されてブート化されてきた音源。
まあ確認の為に一応、MC及びオープニングのアナウンスをチェックしたところ、所謂本作の音源とは違う、これまで1stショーと称されてきた方の音源での"Street Fighting Man"の終了後にミックが「Good Night」と言っています。
ただまあ、似たような発音につき、実はひょっとしたら「Godd Night」ではく「Goodbye」と言っている可能性もあったりはするのですが(笑)。
続いてセットリスの方から確認してみると、この公演直近の1日2公演行われた10月2日ハンブルグ、そして10月4日デンマークのいずれの公演も1stショーで"Dancing With Mr.D"を演奏し、2ndショーで"Doo Doo Doo Doo Doo"を演奏していることから、逆にこれまでの説よりも今回の説の方が正しいのかなと思えるような気がしますが、真相は如何に・・・。
さて、前置きが長くなりましたが、本公演は、事典やここのBlogでも本公演収録タイトルのレビューで触れた通り、このショーでの"JJF"は、サビでビリー・プレストンが珍しくもコーラスを付けているという珍演奏が聴ける貴重な公演。
本作の基となっているアップグレードソースを収録した既発タイトルとしては、この日行われた二つのショーを収録した『Copenhagen 1973』(-)
全体的に遠目な音ではあるものの、歓声をあまり拾っていない為、意外と聴きやすい良好な録音ですが、このアップグレードソースに関しては、それ以前の既発ソースと比べると音のクリアーさと分離は格段に向上。
本作もほぼ同様の音ではありますが、『Copenhagen 1973』では、Brwon Sugar"から"Gimme Shelter"まで続く、左チャンネルの周期的な音量レベルダウンという欠点を修正出来てなかったのに対して、本作はレベルダウンのなかった右チャンネルをメインにおそらく疑似ステレオ処理することにより、この問題を解消。元々の音源自体がステレオとはいっても音に奥行きが出た程度のものにつき、今回の処理の場合、聴感上の違いはほとんど無いわけで、これに関しては適切な処理だったのかなと。
また、この音源の欠落部であった、オープニングのバンドコールから
"Brown Sugar"のイントロリフ2フレーズ、そして"Angie"と"You Can't Always Get What You Want"の曲間及び、"Midnight Rambler"とHonky Tonk Women"の曲間ですが、本作も『Copenhagen 1973』同様に既発のモノラルソースを補填していますが、こちらも疑似ステレオ処理を施しているようで、音源切り替わりの違和感は一段と軽減されています。
といった感じで、きちんと既発との差別化を図った、後発ならではの造りとなっているのがポイント高いかなといった印象を受けるタイトル。 |
by Hara ¦ 00:06, Saturday, Nov 29, 2008 ¦ 固定リンク
『Live At The Budokan (5th Anniversary Edition)』(SODD) |
『Live At The Budokan (5th Anniversary Edition)』(SODD 070/071) 2CD
Mar.10 2003 Budokan Hall,Tokyo,Japan
Stereo Audience Recording
Quality:Excellent
(Disc-1)
1.Opening Announcement/2.Jumping Jack Flash/3.You Got Me Rocking/4.Live With Me/5.Let It Bleed/6.No Expectations/7.Rocks Off/8.Everybody Needs Somebody To Love/9.Worried About You/10.Midnight Rambler/11.Band Introductions/12.Slipping Away/13.Before They Make Me Run
(Disc-2)
1.Start Me Up/2.It's Only Rock'N Roll/3.Rock Me Baby/4.Can't You Hear Me Knocking/5.Honky Tonk Women/6.Tumbling Dice/7.Brown Sugar/8.(I Can't Get No)Satisfaction
タイトル名にもある通り、ストーンズ武道館公演5周年記念版の本作。
武道館公演といえば、下記の4種3音源が既発リリースされてますので、一応簡単に紹介しておきますと。
まずは、公演単体でのリリース盤『Live At The Budokan Hall』(SD-001A/B)
手拍子・拍手の類が多く、この時期にしても珍しい位に高域がキンキンの
大変聴きづらい音質でしたが、他のプレスタイトルが全てボックス仕様だった為、唯一の単独リリースだったこともあり、それなりに好評を博したタイトルですが、今聴いてもやはりこの高域は耐え難いものが・・・。
この音源、その3年後には音に加工を施していないナチュラルな質感のままで『Live At The Budokan Special Edition』(EXM-015A/B/C)としてリリース。
こちらは前作に4曲だけ収録されていたり、他タイトルに散らばっていた武道館公演リハーサルの音を、未収録の曲前後のチャットも含めて1枚にまとめたディスクが付いた3枚組でしたが、本体の武道館公演に関しては、やはり手拍子・拍手の類が多いので、どちらかというとイマイチ感の強いタイトル。
続いては限定リリースだった為に、当時あっという間に市場から消えてしまったボックスセット『Licks Japan Tour 2003 Complete Box』(OOC 001-012)
序盤ほんのわずかながら定位が左寄りですが、邪魔な手拍子・拍手の類がほとんど無い好録音。音質もマイルドで聴きやすい質感。
そして大御所VGPの日本公演ボックス『Licks Japan Tour 2003』(VGP-330)
音の近さは一番で、こちらも邪魔な手拍子・拍手の類はありませんが、残念ながらマイクに布が1枚被っているような若干の音のコモリが玉にキズ。
さて本作ですが、VGP盤に匹敵する音の近さで、音質はOOC盤並にクリアーでマイルド。そしてこれまた邪魔な手拍子・拍手の類はほとんど無く、奥行き感のある歓声が良い具合に回り込んで聞こえるという、既発の良いとこ取りの様なタイトル。
もちろんまもなくの開演を知らせるブザーとアナウンスも既発同様に収録で、アナウンスから客電落ちまでの長い時間はきちんと編集されています。
武道館の玉ネギ部分の写真を使用したピクチャーディスク仕様も雰囲気を醸し出している好タイトル。
なお、番外的ではありますが、当時人気を博したCD-RタイトルにSylphリリースの『Sweet Things That You Promised』(SP-031003409)がありましたが、本作はもちろんそれとも当然別音源。
本作はそのSylph盤よりも低音が出ており、手拍子・拍手の類も格段に少なめとなっています。 |
by Hara ¦ 23:56, Friday, Nov 28, 2008 ¦ 固定リンク
『Exile On Main St.Outtakes』(SODD) |
『Exile On Main St.Outtakes』(SODD 069) 1CD
Compilations album of studio outtake
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent
1.Get A Line On You/2.Good Time Woman/3.Shake Your Hips/4.Hillside Blues/5.Sweet Virginia/6.Bent Green Needles/7.Loving Cup/8.Ventilator Blues/9.I Ain't Signifying/10.Let It Loose/11.All Down The Line/12.Travelin'Man/13.Stop Breaking Down/14.Shine A Light/15.I'm Going Down
『Exile On Main Street』のアウトテイク集。
1曲目"Get A Line On You"は、レオン・ラッセルの1st『Leon Russell』の24金ディスク版(GZS-1049)で一度オフィシャル化されていた後に"Shine A Light"となる曲のリハーサルテイク。
そのレオンのクレジットではミックがヴォーカルで、リンゴ・スターがドラムとクレジットされていますが(他のメンバーは不明)、NicoのHPによると"キース以外のストーンズ4人+レオン"というラインナップだそう。たしかにドラムのフィルインを聴く限りでは、タムの使い方等、リンゴというよりはチャーリーそのものですので、Nicoの分析の方が正しいんでしょう。
8曲目"Ventilator Blues"は毎度お馴染み1972年ツアー中に行われたダラスでのリハーサルから。一応、ミキサーを通しての録音ですが、ミキサーダイレクトのミックのヴォーカル以外は、スタジオの何ヶ所かにマイクを立てているだけ。という訳で、アマチュアバンドが自分たちの練習を、スタジオ備え付けの録音機で録音しているのと同じような音につき、これをスタジオアウトテイクと称するには当然無理があります。同傾向の音としては1978年のウッドストックリハーサルもあり、これもよく『Some Girls』のアウトテイク集に入れられがちではありますが、せっかくのアウトテイク集に、こういった音が入ってくるのは個人的には大減点。
上記2曲以外は、本当の流出スタジオアウトテイクで、過去リリースされた同傾向のタイトルと比べても、音の編集技術が上がった分だけ、格段の音質向上が図られています。
また、この手の編集物にありがちな各曲の音質差に関しては、出来うる限りの均一化が図られています。ただし、"Hillside Blues"はちょっと音の輪郭が甘めだったり、"I Ain't Signifying""Stop Breaking Down""Shine A Light"といった曲あたりは、余韻が不自然だったり一部高域が耳に刺さったりと、如何にも加工しましたといった音になっていますが、これらは基音のジェネレーションが高かったことによるもの。
ちなみに、6曲目"Bent Green Needles"は"Sweet Black Angel"の初期インストテイクのことですが、この曲名クレジットでのブート化はおそらく初めてかも(少なくとも大御所VGPではありませんでしたね)。
なお、本作では"Good Time Woman"と"Shake Your Hips"が独立した曲として収録されていますが、実は"Shake Your Hips"の冒頭に"Good Time Woman"のフェードアウトしていく音が一部被っていることから、これら2曲をクロスフェード収録していたSister MorphineレーベルのCD-Rタイトル『I Gave You Diamonds.You Give Me Desease:The Exile Outtakes:』の単なるコピーという説もありますが、本作の"Shake Your Hips"の丁度1分辺りを聴くと分かりますが、ほんの一瞬音が変わるので、別音源を繋げているのが確認できます。
Sister Morphineの方は、この部分で音が変わる不自然さが無いので、基にしたテープは前述の"Good Time Woman"の最後が被っていることから同じなんでしょうけど、SODDが基にしたテープの方は、何故か"Shake Your Hips"に音欠けが生じていたものと推測されます。
ただ、この音源の代表盤である『Wingless Angels』(VGP-153)をはじめ、他の既発タイトルに関しても、この部分に関しては一瞬の音ブレらしきものがありますので、大元のテープ自体がそうなっていて、後は各メーカーの処理の差異かとも。
前述のダラスリハーサル収録に続いて、この点に関しても、本作自体の全体的な出来は良いだけになんとも残念ではあります。 |
by Hara ¦ 23:46, Friday, Nov 28, 2008 ¦ 固定リンク
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