The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 



『Nasty Music』(SODD)
soddnasty

『Nasty Music』(SODD 002/003) 2CD
Stereo Soundboard Recording
Quality:Excellent

(Disc-1)
1.Brown Sugar(10/17 1st)/2.Happy(9/9)/3.Gimme Shelter(9/9)/4.Tumbling Dice(10/17 1st)/5.Doo Doo Doo Doo Doo(9/9)/
6.You Can't Always Get What You Want(10/17 1st)/7.Dancing With Mr.D(10/17 1st)/8.Angie(10/17 1st)
(Disc-2)
1.Honky Tonk Women(10/17 1st)/2.Midnight Rambler(10/17 1st)/3.All Down The Line(7/26 '72)/4.Bye Bye Johnny(7/26 '72)/5.Love In Vain(7/26 '72)/6.Sweet Virginia(7/26 '72)/7.Rip This Joint(10/17 1st)/8.Jumping Jack Flash(10/17 1st)/9.Street Fighting Man(9/9)

アナログ時代からの有名タイトル複刻作。
一応『Nasty Music』に関して簡単にまとめておくと、このタイトルは2種類の音源から作られており、メインとなるのは73年欧州ツアーを収録したラジオ番組「King Biscuit Flowers Hour」の1974年放送分からの曲。こちらからは放送された14曲の内、曲の中盤でミックが構成ミスをしている"All Down The Line"を除く13曲を収録。
そして、その放送音源を補う形で収録されている1972年7月26日MSG公演の流出卓直結音源。こちらからは前述の理由で放送音源からはカットされた"All Down The Line"と放送音源には入っていなかった3曲の計4曲を収録し、高音質でオフィシャルで出ていないテイラー期のライブが楽しめるといった趣向のタイトル。

と前置きが長くなりましたが(^^;)、今回「2006 Original Remastered Version」と銘打った(以下2006版)本作。『Nasty Music』のこれまでの代表作としては、VGPが変名でリリースした
『The Original Nasty Music』(SODD 012)

vgpnasty

でしたが、そのVGP盤と2006版を比較すると、まずはメインとなるKBFH音源。
全体的な音質は、VGP盤が高域の伸びたやや硬めの音に対し、2006版は高域を控えめにして低域に厚みを持たせた太い音の作りで、どちらかというとこのKBFH音源のこれまでの決定盤である『Europe'73』(VGP-011)

eurovgp

に近い音質ですが、それよりも音が太い反面、やや中域に音が集まり気味の音で、音の抜けがイマイチに感じる人もいるかも。

そのVGP『Europe'73』最大の売り"Happy"の1:31、2:04付近及び"Gimme Shelter"の30秒以降にあったスクラッチのようなノイズ除去ですが、本作も全て綺麗に消してあります。それに加え、"Angie"のオルガンソロに被るノイズ、これは音源供給がCDになった80年代後半のラジオショーでも確認出来たので、収録時に入ったものと思われますが、これも見事に消えています。またVGP盤のもう一つの「売り」だった"Dooテ%uEFBFBD"終盤の左チャンネル音ユレ無しに関しては2006版も無しですが、定位がやや右寄り。

では、欠点補正ポイントが似通っていることから、2006版がVGP盤のコピーかというと、曲間等の編集が微妙に違っているので、コピーでは無い模様。

一番分かり易い部分としては、"You Can't〜"のイントロ前にオリジナルのアナログではスネアが「タン」と一発入っていますが、
『The Original Nasty Music』『Europe'73』のいずれのVGPも、このスネアがカットされているのに対して、2006版にはしっかりと収録されています。

ちなみに、このスネア一発はこの日のAUD音源収録盤『Nasty Muzik』(VGP-252) や後述する本作のボーナスディスクでも
同位置で確認できるので、入っているのが本来の形となっており、ラジオショー自体をそのまま収録した
『Headin' For An Overload』(Totonka CD PRO 18)

headin

にも収録されていますが、同じくKBFH音源を収録していたアナログ時代の名盤Royal Soundの『Europe'73』(RS 002 -ジャケ写はVGP盤と同じ-)は、曲順を修正する際に、このスネアをカットしてしまっています。したがってVGP『Europe'73』はRoyal Sound盤の再現を目指して作成していた為に、スネアがカットされていると推測できますが、何故かVGP『The Original Nasty Music』もカット。
VGPはこのKBFH音源を多種リリースしており、
『The Lost Brussels』(VGP-088)

lostbrussel

や変名リリースの
『European Tour 1973』(RS-561)

eurotour

にはこのスネアが収録されているので、ここは些細とはいえやや残念。

他には"Angie"前の「ブン」というギターのグリッサンド。VGP『Europe'73』や『The Original Nasty Music』には、"You Can't〜"の前にもこのグリッサンドが重複収録されていますが、これはここまで挙げたブートがいずれも1974年の2回のラジオショーを基にして編集しており、"Angie"はその2回共に放送されたことに起因するもの。

2006版は正規の"Angie"前のみで、"You Can't〜"前はきちんとカットされています。なお前述のアナログRoyal Sound盤『Europe'73』の"You Can't〜"の前には収録されていませんので、後述する"Dooテ%uEFBFBD"終盤の編集含め、VGP盤はRoyal Sound盤のコピーでない事がこの事からも分かりますが、これまた些細とはいえど編集の際に気付かず重複収録されているのはやや残念。

続いて72年の卓直結音源部分。
こちらは『Welcome To New York』
welcometony

で有名な音源ですが、この音源を収録したCDはいずれもヒスノイズ除去処理の影響で、キュルキュル無音部分で鳴ってますが、2006版もご多分に漏れず同様。
音質自体も既発と大差なし。72年部分は卓直結につき、歓声がほとんど入ってない為、放送音源から続くとやはり違和感有り。

(Bonus Disc)
Oct.17 1973
Foret Nationale,Brussels,Belgium (1st Show)

1.Intro/2.Brown Sugar/3.Gimme Shelter/4.Happy/5.Tumbling Dice/6.Star Star/7.Dancing With Mr.D/8.Angie/9.You Can't Always Get What You Want/10.Midnight Rambler/11.Honky Tonk Women/12.All Down The Line/13.Rip This Joint/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man

Mono Audience Recording
Quality:Very Good - Fair

最後に本来ならCD-Rにつき無視するとこですが(笑)、一応無視出来ない音源につき、少々触れておきます。

収録されている10月17日のファーストショーは、この日の演奏曲全14曲中、"Star Star"を除く13曲がKBFHで放送されており、前述の『Nasty Music』を含み、幾つものタイトルでブート化されていることから
馴染みのある公演ですが、こちらはAUD音源。

この公演のAUD音源としては『Nasty Muzik』(VGP-252)

nastymuzik

にてリリースされていましたが、本作は別音源。

『Nasty Muzik』は全体的にエコーがかっていたり、シンバル類がつぶれたりしているものの、バランスの良い録音でしたが、こちらの音源も、シンバル類はやはりつぶれているものの、どちらかというと大人しめの音質で、序盤の内は『Nasty Muzik』より聴きやすい印象。
ただし最初から低音が若干歪み気味ではありますが、"Rambler"の序盤で一旦歪みが激しくなり、"Honky〜"以降はかなり歪んだままという、かなり厳しい音。

1.Introは状態の悪いラジオと思われるエアチェック音源が1分10秒程収録された後、場内BGMが少々といったもので、その場内BGMもぶつ切りで、バンドコールはカットされているという必要性がほとんど感じられないトラック。

おそらくテープチェンジにより"Angie"のイントロはカットイン、"Rambler"は終盤でフェードアウト。そして何故か"Rambler"が始まる前のミックのアドリブハープをダブって収録してしまっているという大変雑な編集。

とまあ、あまりいいとこないような音ではありますが、せっかくの初出音源だし、メインの『Nasty Music』も散々リリースされてきて魅力に欠けるタイトルにつき、CD-Rよりはプレスでオマケとして付けてもらった方が、ある程度のブート購入層にはアピール出来たんじゃないかなという気はしますが・・・。

by Hara ¦ 06:28, Monday, Sep 11, 2006 ¦ 固定リンク

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