The Rolling Stones Bootleg Reviews written by Hara  
 
 



『Tropical Thunder』(OMS)
tropicalthunder

『Tropical Thunder』(OMS 250-253) 4CD

Jan.21 & 22 1973 Honolulu International Center,Honolulu,HI

Stereo Audience Recording
Quality:Excellent

(Disc-1)
1.Introduction/2.Brown Sugar/3.Bitch/4.Rocks Off/5.Gimme Shelter/6.It's All Over Now/7.Happy/8.Tumbling Dice/9.Sweet Virginia/10.Band Introductions/11.Dead Flowers
(Disc-2)
1.You Can't Always Get What You Want/2.All Down The Line/3.Midnight Rambler/4.Live With Me/5.Rip This Joint/6.Jumping Jack Flash/7.Street Fighting Man/8.Radio Advertisements
(Disc-3,4)
1.Brown Sugar/2.Bitch/3.Rocks Off/4.Gimme Shelter/5.It's All Over Now/6.Happy/7.Tumbling Dice/8.Sweet Virginia/9.Dead Flowers/10.You Can't Always Get What You Want/11.All Down The Line/12.Midnight Rambler/13.Rip This Joint/14.Jumping Jack Flash/15.Street Fighting Man


Empress Valleyの8枚組ボックス『Sweet Tropical Sun』(EVSD-661〜668)は、ミックの入国許可が下りず中止となってしまった1973年のストーンズ初来日公演前に行われたハワイでの3公演を、新たに発掘した音源をメインに完全版とした黒レーベルディスクの4枚組と、このEV盤リリース以前からブート化されてきた音源をメインに完全版とした青レーベルディスクの4枚組、それぞれをボックスに封入してハワイ公演の決定版を目指したセットでしたが、本作はそこからのコピータイトル。

evsweettropicalsun


本作がコピーしたのは、EVSD-665から668のEV盤リリース以前からブート化されてきた従来音源をベースに、テープチェンジ等で欠落した部分をEV盤が初ブート化した音源を補填してノーカット版とした青レーベルディスクの方の4枚。

evsweettropicaisunaloha

本作はコピー盤につき、ディスク内容についてはEV盤のレビューを一部編集して再掲しておきます。


ディスク1と2に収録されているのは21日公演。
事典で挙げたこの公演のベストはSODDの『Stones In Exotic Honolulu』(SODD 117)。

soddstonesinexotichonolulu

従来音源は一部テープ劣化による音ブレはあるものの、若干遠目ながらバランス良く録れたクリアーな音質のステレオ録音で、一応全曲を収録していることにはなっていますが、"Jumping Jack Flash"はテープチェンジが原因で、最初のサビが終わった後のリフから3コーラス目のサビの途中まで欠落。

SODD盤含む既発タイトルは全て、この欠落部に翌22日の2ndショーの音源を繋いでいましたが、EV盤と本作は、EV盤の黒レーベルディスクに収録した同日別音源を補填して通しで聴けるようにしています。ただその補填部分、基音源の録音位置の違いで音が遠くなってしまっているのは仕方ありませんが、シンバル類が耳についてしまうのが玉にキズにつき、この耳につく周波数を調整してもらいたかったところ。また補填音源がモノラル故、音源切り替わり時に音の広がりが結構変わるので、思い切って疑似ステレオ処理をしてみても面白かったかもしれません。

全体的な音質は、SODD盤が既発と比べてロージェネレーションのマスターから作成されている分、すっきりとした感じの音となっていましたが、EV盤と本作も同じくロージェネレーションのマスターから作成してはいるものの、SODD盤より僅かに硬質な印象。

続いてオープニングのバンドコール前の歓声について。SODD盤含む既発タイトルはバンドコール後の歓声をコピー補填していましたが(つまりバンドコール前後で同じ歓声が聞こえる)、EV盤と本作は、EV盤の黒レーベルディスクで初登場したドラムのサウンドチェック部分を、こちらのディスクにも冒頭に持ってきて既発タイトルとの差別化を図ってはいるものの、バンドコール前にあったバンドコール後の歓声をきちんとカットせずにクロスフェードしてしまっていることから、この変な編集が本作でも解消されていないのは残念。

なおディスク2ラストに収録されている、この公演を含むホノルル公演全体の告知ラジオCMは、SODD盤のみに収録されていたもの。1966年のホノルル公演はラジオ収録されていたこともあって、このCMでも1966年のオープニングのバンドコール後半部分が放送されています。



ディスク3は1月22日1stショーで、事典での代表盤はVGPの『In Exotic Honolulu』(VGP-040)。
このVGP盤、ジャケットのクレジットではジャケットでは21日1stショーと誤記されているので要注意。


vgpinexotichonolulu1

アナログ時代から多数のタイトルがリリースされてきたのがこの音源で、少し遠目のステレオオーディエンス録音。

"You Can't Always Get What You Want"の前半で顕著なテープ劣化による音ユレが一部にあるものの、クリアーでバランスの良い音質の上質録音。

EV盤と本作も音質についてはVGP盤と同等ですが、"You Can't Always Get What You Want"前半の音ユレについては、その部分をモノラル化することによって、左チャンネルのレベルダウンによる聞きづらさを緩和しています。

またVGP盤はじめ既発タイトルのテープチェンジにあたった"Sweet Virginia"と"Dead Flowers"の曲間や、"Midnight Rambler"と"Rip This Joint"の曲間のテープチェンジによる欠落部についてはEV盤の黒レーベルディスク収録の別音源を補填していますが、どうせならモノラルの補填音源を疑似ステレオ化して音の広がりの差異を緩和してあれば尚良しだったかと。

そして"Street Fighting Man"終了後も、黒レーベルディスクの別音源の方が僅か2秒ほど長かったことから、EV盤と本作は差別化を図るために少しでも長くと考えたのかクロスフェードして補填していますが、補填開始のポイントを早めに設定してしまったがためにメインのステレオ音源が13秒ほどVGP盤より短くなってしまっているのは、ちょっと疑問の残る編集。



そしてディスク4が1月22日1stショーで、事典での代表盤はVGPの『Blue Hawaii』(VGP-212)。

vgpbluehawaii

この公演も他のハワイ公演従来音源同様、やや遠目のステレオオーディエンス録音で、若干ホールエコーが強めなもののバランス自体は悪くありません。

まずメイン音源の音質ですが、VGP盤とEV盤はほぼ同等。したがってEV盤丸コピーの本作も同等。

VGP盤は一応全曲を収録していたものの、"Tumbling Dice"はフェードイン、"Midnight Rambler"の中盤から終盤にかけてはおそらくテープチェンジによるものと思しきカットがありましたが、EV盤と本作は黒レーベルディスクの別音源をこの部分に補填。VGP盤の"Tumbling Dice"はフェードインでイントロが始まった後、最初の1コーラス目に周期的なドロップアウトがあったことを本作は嫌って、曲の冒頭26秒を別音源としています。

また"Midnight Rambler"についても、VGP盤では欠落後から曲の終わりまで26秒ほどしかなかったことから、EV盤と本作は曲中で従来音源に戻すようなことはせず、"Midnight Rambler"欠落開始から次曲"Rip This Joint"が始まる寸前まで別音源としています。

更にこれら曲に被っていたカット以外にも従来音源には頻繁にカットがあり、EV盤と本作は"Rocks Off""Gimme Shelter""It's All Over Now""Happy""Tumbling Dice""Sweet Virginia""Dead Flowers""You Can't Always Get What You Want"の曲間と、終演のアナウンスが聞けるということで"Street Fighting Man"終了後にも別音源を補填していますが、VGP盤で右寄りだったメインの音源の定位を修正していないことに加えて、
やはりステレオとモノラルの違いによる音の広がりの差異を感じるので、ここはメイン音源の定位修正と補填音源の疑似ステレオ化をしてもらいたかったところ。

なお、VGP盤は何故かディスク冒頭と最後に、オフィシャル『Their Satanic Majesties Request』に入っていたイビキの音が収録されているという、意味不明の編集となっていましたが、当然のことながらEV盤と本作には収録されていません。



最後に装丁にも触れておきますと、EV盤ボックスには2種紙ジャケットと名刺大の説明カードに24ページのブックレット、紙ジャケ大のミックとキースのカードが1枚づつに、来日中止をうけてのミックとストーンズ名義のメッセージカードといったものが封入されていましたが、

evsweettropicalsunbox

本作はスリップケースの中に4枚組の厚プラケースにスリップケースが被せられており、プラケースの中にはハワイ公演のミニチュアパンフと28ページのカラーブックレットが封入されているという、コピー盤にしてはそれなりに凝ったものとなっています。

tropicalthunderbox

こちらはプラケースのジャケット
tropicalthunderjacket

by Hara ¦ 07:25, Thursday, Feb 26, 2015 ¦ 固定リンク

△ページのトップへ
 


最近の記事
『L.A.Forum 1975 5th Night:Mik ..

『Beginning Of Cosmic Consciou ..

『Nice 1976 Unreleased Master』 ..

『Still Life In Tempe 1981』(M ..

『Kick Off!! Europian Tour 198 ..

『Perth 1973 Soundboard』(-)

『All Meat Music 1973』(Mayflo ..

『Roseland Ballroom 2002』(-)

『New York Junction』(DAC)

過去ログ
2024年11月
2024年10月
2022年 5月
2022年 4月
2021年10月
2021年 9月
2021年 8月
2021年 5月
2020年10月
2020年 9月
2020年 8月
2020年 7月
2019年 4月
2019年 1月
2018年12月
2018年 5月
2018年 4月
2018年 3月
2018年 2月
2017年12月
2017年 9月
2017年 5月
2017年 4月
2017年 3月
2017年 2月
2016年10月
2016年 9月
2016年 7月
2016年 4月
2016年 3月
2016年 2月
2015年 6月
2015年 4月
2015年 2月
2015年 1月
2014年12月
2014年11月
2014年10月
2014年 9月
2014年 8月
2013年10月
2013年 9月
2013年 8月
2013年 7月
2013年 3月
2013年 2月
2013年 1月
2012年12月
2012年 5月
2012年 2月
2012年 1月
2011年12月
2011年11月
2011年10月
2011年 8月
2011年 7月
2011年 6月
2011年 5月
2011年 2月
2011年 1月
2010年 7月
2010年 6月
2010年 4月
2010年 3月
2010年 2月
2010年 1月
2009年12月
2009年10月
2009年 9月
2008年12月
2008年11月
2008年 9月
2008年 7月
2008年 6月
2008年 5月
2008年 4月
2008年 2月
2008年 1月
2007年12月
2007年11月
2007年10月
2007年 9月
2007年 8月
2007年 7月
2007年 6月
2007年 5月
2007年 4月
2007年 3月
2007年 2月
2007年 1月
2006年12月
2006年11月
2006年10月
2006年 9月
2006年 8月

Links
ローリング・ストーンズ海賊盤事典
Bridges to the Stones

フリーソフトで作るブログ