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『Love You Live Mixes 2016』(IMP) |
『Love You Live Mixes 2016』(IMP-N-026) 1CD
Track 1 May.27 1976 Earl's Court Arena,London,UK
Track 2,3,5 June.6 1976 Les Abattoirs,Paris,France
Track 4 June.14 1975 Municipal Stadium Cleveland,OH,USA
Track 6-16 June.7 1976 Les Abattoirs,Paris,France
Stereo Soundboard Recording Quality:Excellent
(※)Track 6(part) Stereo Audience Recording Quality:Excellent
1.Hey Negrita/2.Hot Stuff/3.Star Star/4.You Gotta Move/5.Angie/5.Band Introductions/6.Happy/7.Tumbling Dice/8.Nothing From Nothing/9.Outa Space/10.Midnight Rambler/11.It's Only Rock'n Roll/12.Brown Sugar/13.Jumping Jack Flash/14.Street Fighting Man/15.Outro
冒頭の5トラックは、オフィシャル『Love You Live』のオーバーダブセッション時の素材を、ミキシングエンジニアがその当時独自にミックスした音源が、今年突如サイトにアップされたもの(http://www.willardswormholes.com/archives/36877)。
そのサイトにアップされているアートワークには、77年にミックとキースがフィラデルフィアのアルファ・インターナショナル・レコーディング・スタジオに極秘で訪れて、オーバーダビング作業を行った際の素材がそのままスタジオに残されていたことから、その5年後の1982年に当時駆け出しのエンジニアが練習用としてミックスした音である旨が記載されており、その真偽のほどは何ともといったところではありますが・・・。
音の方は確かに卓直結等のサウンドボード音源とは異なるオフィシャルの素材というべきもので、きちんと歓声もミックスされています。
本作は、そのサイトにアップされている音源の左右反転させた上で、低域に厚みを持たせた音造りにて収録。
その5曲に触れると、まず1曲目の"Hey Negrita"は、サイトや本作のクレジットでは76年のパリ公演からとなっていますが、実は76年5月27日のアールズコート公演から。
オーディエンス音源は『Sympathy For The Devil』(VGP-297)にて全曲聞けましたが、サウンドボード音源は初登場。
曲の短縮編集やミックのオーバーダブは無し。
ロニーのギターは中央やや右、キースは右、ビリープレストンのキーボードは左右にステレオで振り分けられていますが、何故かそのビリーのコーラスは丸々カットというミックス。ちなみにサイトにアップされているこの音源は左右が逆で、キースが左から鳴っていたことから、本作はキースがちゃんと右に来るよう反転させています。
"Hot Stuff"は、オフィシャルにも採用された6月6日のパリ公演から。
これも本作はサイトにアップされた音を左右反転させて収録。 ギターは2本とも中央にまとめられていますが、イントロでのビリーのピアノのオブリがオフィシャルでは右から鳴っていることから、本作もそちらに合わせて右から鳴るよう反転させての収録という意図なんでしょうけれども、チャーリーのハイアットやライドといったリズムを刻むシンバルは両方左に定位することになり、やや右寄りにミックスされているオフィシャルとは逆であるという解釈も。
曲前で聞けるミックとロニーの会話は、『French Made』(DAC-009)に代表される、この公演の流出ビデオの音声を基にした音源でも聞けなかったもの。
ちなみにその会話直後にキースがこの曲のイントロの音を試し弾きしており、サイトにアップされた音源では、その音のみ右から鳴るようにミックスされていましたが、本作は左右反転させてしまっているがために、この音のみ左から鳴ってしまっているので、この音の直後から左右反転させる等の配慮がほしかったところ。
なお。この曲も前曲同様に短縮編集やミックのオーバーダブはありませんが、前曲でカットされていたビリーのコーラスはきちんとミックスされています。
"Star Star"もオフィシャルにも採用された6月6日のパリ公演から。 基本的には前曲の"Hot Suff"と同じ定位のミックスですが、ビリーのピアノがこの曲はステレオで左右から聞こえるようになっており、これもまたサイトにアップされた音を左右反転させています。
"You Gotta Move"は、75年6月14日のオハイオ公演からで、短縮編集やミックのオーバーダブは無し。確認出来るのが音のあまり良くないオーディエンス音源につき、ひょっとしたら弾いているのかもしれませんが、ロニーのギターはオーバーダブによるものかと。
そのオーディエンス音源は『Boston Tea Party』(VGP-334)にこの公演全曲が、また"You Gotta Move"のみ『Any Port In A Storm Revisited』(VGP-308)に収録されています。
この曲もまたサイトの音源を左右反転して収録していますが、本作はキースが右でロニーが中央から聞こえるようになっています。
"Angie"は曲前の雰囲気が異なっていますが、76年6月6日のパリ公演からで短縮編集やミックのオーバーダブは無し。ギターは2本とも中央ですが、ビリーの鍵盤が左右に振り分けられてはいるものの、サイトでは左がメインだったことから、本作は左右を反転させています。曲が終わると同時に素早いフェードアウトで、最後のギターの1音のエコーが残るといった、いかにも作業中といった感じでトラック終了。
さすがに5曲トータル23分弱では短いと考えたのか、本作は「From San Francisco To Paris 2016 Transfer」として、同じく『Love You Live』の素材である76年6月7日パリ公演のステレオサウンドボード音源後半部を追加収録。
ベースとなっているのはLP『From San Francisco To Paris』(2S 920)。
本作はそのLPで欠落している部分を、別音源で補填してメンバー紹介以降のライブ後半部をノーカット収録としています。
まずはいきなりメンバー紹介、LPの方はオリーブラウン以降の紹介からという不完全収録だったことから、その前の紹介部分をオーディエンス音源にて補填。音の感じが非常に似ていることから、この部分はDAC『Europe 76』(DAC-087)と同音源。
続いてはLP未収録だったビリー・プレストンの2曲。ただ残念ながら、この2曲はピッチが遅い状態での収録。これと同じようなミスを過去にやらかしていたのがRattle Snakeの『Down And Out In Paris』(RS 066/67)。ヒスノイズ除去の影響による余韻の若干の不自然さや、そのピッチの遅さ具合も完全に一致していることから、本作収録のビリーの2曲はこのRattle Snake盤からのコピー。
LPの面変り部分となっていた"Midnight Rambler"と"It's Only Rock'n Roll"の曲間については、ここもオーディエンス音源を補填。ただしここも残念なことに、オーディエンス音源自体の定位が左に寄ってしまっていることから、音源の切り替わり時に定位ががらっと変わってしまうため、ここはちゃんと合わせておいてもらいたかったところ。ちなみに前述のDAC『Europe 76』の方は定位が左に寄ってはいないことから、本作が補填している音源はDAC盤のコピーではなく、DACと同じ基音源で定位修正をしていないということになるのかなと。
そしてこの6月7日のステレオサウンドボード音源で、ある意味最大のチェックポイントとなるのが"Brown Sugar"のイントロと歌い出し部分。
この"Brown Sugar"、イントロにテレコを急に回したかのようなノイズが入っていたり、歌い出し「Gold coast slave ship〜」の「coast slave ship」部分は、テープが伸びたような音になっていることから、既発タイトルはそれぞれ異なる対処をしてきていましたが、本作の処理はどうかというと・・・。
まずはイントロ部分、ほとんどのタイトルがノイズそのままにしていたのに対し、SODD『Paris Par Excellence』(SODD 067/68)は、ノイズ部分のみをオーディエンス音源に差し替えており、音ユレしたような印象受けるものの上々の出来に仕上げていました。
本作はオーディエンス音源や他公演の音源の差し替えなく、ノイズの無い状態でイントロが聞けるようになっているのがポイント。このノイズ部分はドラムが入る前のイントロだけに、他の箇所ではドラムも一緒に入ってしまっていることから、同じテイクの別箇所からの補填は不可。よって、何らかのノイズ除去処理をしたのかと推測しますが、音の質感が全然変わっていないので、これは何とも見事な処理であるといえます。
次に歌い出し「coast slave ship」部分。 この部分については音源切り替わりの違和感を少なくするため、同日のオーディエンス音源ではなく、前日6月6日のサウンドボード音源を補填しているタイトルが多かったりするのですが、本作もまた6日のサウンドボード音源を補填。右チャンネルの低域がちょっとオンかなという気もしますが、ほんの一瞬につき、こちらも違和感の少ない補填処理がなされています。
最後の"Outro"は終演後の場内SEまで収録していますが、同じようにSEを収録していたDAC盤やSODD盤よりも僅かながら長く収録しています。
といった感じで、せっかく凝った編集までしているのに、ピッチが遅いまま収録してしまったビリーの2曲のイージーミスが何とも痛いタイトルかなと。 |
00:42, Sunday, Apr 17, 2016 ¦ 固定リンク
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