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『Handsome Girls Detroit』(DAC) |
『Handsome Girls Detroit』(DAC-171) 2CD
July.6 1978 Masonic Temple Auditorium,Detroit,Michigan
Stereo Soundboard Recording Quality:Excellent
(※)Disc-2 Track 1,2,7,8,9 Mono Audience Recording Quality:Very Good - Good
(Disc-1) 1.Let It Rock/2.All Down The Line/3.Honky Tonk Women/4.Star Star/5.When The Whip Comes Down/6.Lies/7.Miss You/8.Beast Of Burden/9.Just My Imagination/10.Shattered (Disc-2) 1.Respectable/2.Far Away Eyes/3.Intorductions/4.Love In Vain/5.Tumbling Dice/6.Happy/7.Sweet Little Sixteen/8.Brown Sugar/9.Jumping Jack Flash
タイトル文字だけを変えただけのデザインそのままなジャケット、そしてそのアルバム名から、78年ツアーのFM音源集大成タイトルだったTSP『Hondsome Girls』(TSP-CD-200-4)のダイジェスト盤かとの誤解を招きそうな本作。
中身の方はそんなことはなく、サイト「Wolfgang's Vault」(※現在は「Concert Vault」)にて公開されている、78年デトロイト公演のFM放送素材のラフミックス音源をメインとした造りの、TSP盤の補完的なタイトルとなっています。
TSP盤の補完というコンセプトのタイトルとしては、『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』(-)と、音圧を若干上げた再発盤『The Lost Handsome Girls』(-)がありますが、これらはこのデトロイト公開ラフミックス音源をメインとして、TSP盤が収録しなかったFM放送音源4曲と、レキシントン公演の"Hound Dog"モノラルサウンドボード音源を収録した全編サウンドボード音源収録盤。
対する本作の方はというと、サウンドボード音源が未発表の曲についてはオーディエンス音源を補填した、デトロイト公演のみの全曲収録盤という違いを出しています。
そのメインとなる公開ラフミックス音源、「Wolfgang's Vault」の初期にアップされた音源の一部については音の圧縮率が高く、中高域に圧縮音源特有の不自然さがあったりしましたが、サイトの方でも密かに差し替えが行われており、現在ネット公開されている音は、公開し始めのころに比べてかなり音の圧縮率が改善されたものがアップされていて、このデトロイト公演音源も最初にアップされて音に比べると、現在ははるかに自然な音となっています。
本作はその点に着眼し、現在アップされている音源をベースに作成。 ちなみに比較的最近リリースされた『The Lost Handsome Girls』もそうですが、本作以外の既発タイトルは全て初期の公開音源を基としています。
その音の違いについては、事典でもデトロイト公演の代表盤として挙げていた、同じDACレーベル制作の『Abandoned In Detroit』(DAC-068)が旧公開音源から作成されているので、そちらと比較してみますと。
オープニングのミックによるバンドコールに被るところでよく分かりますが、歓声の一部が旧DAC盤では圧縮音源特有のチャラチャラとした揺らぎが生じていたのに対し、本作はそのように感じるところはなく自然な感じに。また、楽曲部分ではドラムのハイハットが開き気味になった時に旧DAC盤では同じような揺らぎが生じていますが、本作は歓声部分同様にそのように感じることは無し。
そのサウンドボード音源部の全体的な音質について。 "All Down The Line""Honky Tonk Women""Star Star""Lies""Beast Of Burden""Shattered""When The Whip Comes Down""Miss You""Just My Imagination"といった、サイトで初公開されたラフミックス曲では、ドラムのハイハットが妙にくっきりと浮き気味にミックスされていたが故に、旧DAC盤でのメリハリをつけた音造りでは、その点が更に強調してしまっているということになっていたのに対し、本作は前述の『Hound Dog -The Lost Handsome Girls-』や『The Lost Handsome Girls』と同じく、このハイハットが耳につかないよう周波数を調整していますが、本作はこれらノンレーベル盤よりも明るい音造りで、旧DAC盤とノンレーベル盤の中間くらいの音となっています。
続いて今回補填に使われたオーディエンス音源について。
オーディエンス音源が使われた楽曲は全てディスク2で、"Respectable""Far Away Eyes""Sweet Little Sixteen""Brown Sugar""Jumping Jack Flash"の5曲。
これまでこのデトロイト公演のオーディエンス音源は、LP『Abandoned In Detroit』(CS-DM-7678)で使用されていた音源と、旧DAC盤の"Respectable"で使用されたいた音源の2種がブート化されていましたが(旧DAC盤の"Far Away Eyes"はLPと同音源)、本作には今年になってネットにアップされた第三の音源が使われています。
この新たなオーディエンス音源、全体的に遠目でやや団子気味のモノラル録音。音質はクリアーさに欠ける標準的なカセット録音のもので、ややヒスノイズが多め。中高域部にやや歪みが生じていますが、気になるほどのレベルではなし。
ネットにアップされた音源の方は、右チャンネルに全く関係のない音声が混入していましたが、本作は左チャンネルをモノラル化して、この欠点を解消しています。
全体的な音については、旧DAC盤の"Respectable"音源と比べると音の距離は大差ありませんが本作の方が落ち着いた印象。また旧DAC盤"Far Away Eyes"すなわちLP音源の方とはどうかというと、音のクリアー差ではかなり劣るものの、低域は本作の方が出ているのと、録音者の周りは本作の音源の方が静か。
ようやく今回初めて"Sweet Little Sixteen"以降の3曲が本作に収録されたことにより、デトロイト公演の全曲がようやくブート化されたこととなりましたが、残念ながら"Brown Sugar"の序盤はテープチェンジにあたったのか、2番の歌い出し3小節半前からとなっており、別のオーディエンス音源での補填もなくフェードイン収録。
本作で残念だったのは、旧DAC盤をここで採り上げた際にも書いたのですが、今回もまた"Tumbling Dice"をオーディエンス音源でボーナス収録しなかった点。
この日の"Tumbling Dice"はラジオ放送で採用され、本作にもそのミックスで収録されていますが、録音時もしくはミックス時にミスをしたのか、何故か間奏後のミックのヴォーカルがオフに。ただしオーディエンス音源の方を聞くと、会場ではミックのヴォーカルはきちんと外に出ていたことから、実際の演奏はこうだったということを証明する資料的に貴重なもので、前述のLP『Abandoned In Detroit』でブート化されてはいるものの、今回のDAC盤はサウンドボード音源の補完的な役割のタイトルであるということからも、ボーナスは収録しておいてもらいたかったところ。 |
by Hara ¦ 07:00, Thursday, Sep 08, 2016 ¦ 固定リンク
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